工作台
子供の頃から工作が好きだった。工作には工作台が必要だが、子供の頃は勉強机が工作台を兼ねていたから、勉強机は傷だらけだった。工作中、工作台をかばったりしないから、錐やドリルが貫通することもあるし、ナイフやノコギリが切り込むこともある。大学に入る頃は天板に傷が多すぎて机の上で字を書けないほどだった。 家を買って工作室を確保し、いよいよ楽器製作を始めた時、まず工作台を作った。初めてのことなので工作台はどうあるべきかはわからなかったのだが、惜しげ無く傷つけてもよい机を作りたかった。引き出しがあった方が工具類を収納するのに便利だが、引き出しを作るのは面倒だし、さっさと机を作って楽器を作り始めたかった。 職場では大きなゴミを捨てる時、決まった日に決まった場所に運ぶ。そこに置いてあるものはみな廃棄するので、欲しいものがあったら持って帰っても良いことになっていた。そこに、図書館が廃棄した図書カードのキャビネットが捨てられていた。木製でほどよいサイズの引き出しが2列3段並んだものだ。奥行きもちょうど手頃なので、これを拾ってきて、23ミリ厚のベニアで上に天板、下に足を作り固定して工作机にした。カンナかけの時、材料が止まるストッパーがあると便利なので、9ミリのビットで丸い穴をあけ、そこに9ミリの丸棒を差し込むようにした。 使ってみて使いにくかったら捨てて作り直せばよいので、とりあえずこれで始めたのだが、結局今もこの机を使っている。6段の引き出しはとても便利だ。中身は特に分類していないが、よく使う工具を適当に入れている。工作台は重くなければならない。材料を工作台にクランプ等で固定してカンナをかけたりノコギリで切ったりする。このとき、工作台が軽いと簡単に動いてしまう。引き出しにはなるべく重い工具を入れるようにして重さをかせいでいる。