モナコGPは、1929年からの歴史を持ち今年で64回目となります。F1でのモナコGPとしても1950年以来54回目となる伝統のレース。市街地を使用し、わずかなミスも許されない危険なサーキットでもありますが、モナコという贅沢なイメージと、政府をあげてのバックアップもあり、各チーム、ドライバーとしても是非とも勝ちたいグランプリの一つです。
モナコを制することはドライバーとしての能力の証明であり、ここで勝つことは他のGPの1勝とは違った価値があるといわれます。過去ここで強かったドライバーといえば、アイルトン・セナ、そしてグラハム・ヒルが有名ですが、この2人はモナコ・マイスターとして特別の賞賛を送られました。
ミハエル・シューマッハはベネトンで2勝、フェラーリで3勝と計5勝をあげ、グラハム・ヒルと並ぶ勝ち星を挙げていますが、過去数年フェラーリ&ミハエル・シューマッハの強かった時代でも、ここでは勝ちを身がしています。いかにモナコで勝つことが難しいかを証明しているといえるでしょう。
年 | モナコGP WINNER | チーム・エンジン | ワールドチャンピオン |
1994 | ミハエル・シューマッハー | Benetton Ford | ミハエル・シューマッハー |
1995 | ミハエル・シューマッハー | Benetton Reanault | ミハエル・シューマッハー |
1996 | オリビエ・パニス | Ligier Mugen-Honda | デーモン・ヒル |
1997 | ミハエル・シューマッハー | Ferrari | ジャック・ビルヌーブ |
1998 | ミカ・ハッキネン | McLaren Mercedes | ミカ・ハッキネン |
1999 | ミハエル・シューマッハー | Ferrari | ミカ・ハッキネン |
2000 | デビッド・クルサード | McLaren Mercedes | ミハエル・シューマッハー |
2001 | ミハエル・シューマッハー | Ferrari | ミハエル・シューマッハー |
2002 | デビッド・クルサード | McLaren Mercedes | ミハエル・シューマッハー |
2003 | ファン・パブロ・モントーヤ | Williams BMW | ミハエル・シューマッハー |
2004 | ヤルノ・トゥルーリ | Reanault | ミハエル・シューマッハー |
2005 | キミ・ライコネン | McLaren Mercedes | フェルナンド・アロンソ |
モナコGP歴代優勝者一覧はこちら
モナコ・マイスター、アイルトン・セナ亡き後のモナコGPの優勝記録を見てみると、意外と連覇が少ないことに気がつきます。特にグラハム・ヒルと並ぶ5勝を記録しているミハエル・シューマッハは、2002年以降ここでは勝てていないという事実もあります。そのおかげで、現役ドライバーにミハエル、クルサード、モントーヤ、トゥルーリ、ライコネンと5名もの優勝経験者がいます。
1996年のリジェ・無限ホンダによる、オリビエ・パニスの優勝は印象的でした。豪雨の中、次々とリタイアが続出する中でしっかりと生き残った優勝。チェッカーを受けたものは確か4台だけでしたよね。(完走は6台)
また、トゥルーリもここモナコが初優勝でした。
モナコマイスターとしてここで圧倒的な強さを誇ったアイルトン・セナは、デビューイヤーには弱小トールマン(現ルノー)で雨の中で驚異の追い上げを見せました。しかし、1988年にはセナもここで手痛いクラッシュを喫しています。
マクラーレン・ホンダで首位を快走していたセナは、2位に大差をつけていたにもかかわらずトンネル手前のポルティエでガードレールにクラッシュ。セナはピットにも戻らずそのまま自宅に帰ってしまいましたが、この事故をきっかけに、セナは大きな教訓を得、大きく成長したとも云われています。
この事故に冠しては、先日この時セナはスローパンクチャーをおこしていたが、セナがそのまま走ることを選択した結果だったと証されています。マクラーレンのメカニック、故セナを擁護(Nifty F1)
もしこれが事実なら、この時タイヤ交換をしなかった故に勝利を失い、その4年後には、大差をつけて走っていたマンセルがタイヤに異常を感じて交換したが故に、伝説の名勝負の末に勝利を得たということになるのかも知れません。
佐藤琢磨にとって、多くの日本人ドライバー同様、ここモナコは鬼門となっています。デビューイヤーの2002年は予選16位からスタート。ペースの速いチームメイトのフィジケラにラインを譲ろうとした際にグリップを失ってスピン、接触というモナコの洗礼を受けました。
2004年は予選7位を獲得。ロケットスタートを決めましたが、エンジンが白煙を上げました。
2005年は、チームが出場停止の為、スタートすることさえできませんでした。
今年はモナコの居を構え、家族が見守るグランプリです。
中嶋悟、片山右京といったドライバー達も予選落ちという屈辱を味わったモナコGP。
その厳しさ故に、心に残るドラマがあります。
今年は、どんなドラマを見せてくれるでしょうか。
モータースポーツの話題はBlogランキングへ
ACM モナコGP公式グッズ
PS:ミハエル・シューマッハは今年勝てば、モナコGPで6勝というセナの記録に並ぶことになります。F1における記録を次々と塗り替えていくミハエル・シューマッハ。
しかし、個人的にはそれでもミハエルをモナコ・マイスターと認める気にはなれません。それは理屈では気持ちの問題。いくらミハエルが優れたドライバーであったとしても、マシンのハンディを乗り越えて何かをおこしてくれそうな期待感を、ここモナコでは感じないから・・・・。
そして、できうるならモナコGPの記録はセナに捧げておきたい・・・