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第3回 「森の神話-南方熊楠とプレ・エコロジストの系譜」
by 田村義也先生 @ 梅窓院 祖師堂 第3回の今回は、比較文学の田村義也先生をお迎えして、近年エコロジストとして評価されることの増えた南方熊楠について、「エコロジー」の歴史を踏まえながら。 ----- 第1回「生態調査からマンダラ的世界観へ」はこちら。 第2回「南方熊楠と淡水藻・キノコ・粘菌」はこちら。 ===== エコロジーの語源は、ギリシア語の「Oicos」にあります。「Oicos」は"家"。 経済学出身の方は良くご存知のように、「経済学」を意味する「エコノミー」も同じ語源。 すなわち、「エコロジー」と「エコノミー」というのは、語源的にも非常に近しい関係にあるのです。 「生物社会を対象とした社会学・経済学」、というのが、本来の「エコロジー」だった、と。 ----- 余談ですが、先生はこの語尾の付け方の別な例として、「Astronomy」「Astrology」をあげられていました。 「天文学」と「占星術」。共に空を見る「学問」ですね。 ----- 「エコロジー」という言葉の初出は、1866年ヘッケルの『一般形態学』で、それまでは、「Natural Economy」(博物誌)が、これに近い言葉として使用されていました。 ----- ギルバート・ホワイトの『セルボーン博物誌』の紹介。 この言葉の形成にダーウィンの『種の起源』が与えた影響について。 この2人の文章をプリントで頂きましたけど、今読んでも、十分に説得力のある、生態系のダイナミズム。 ぎりぎり牽強付会と言われても仕方ないのかな、という論理の飛躍はありますが。 ----- さて、後半は、ほとんどソローの話。 H・D・ソローは、時代のアメリカ人作家。 近年「Nature Writingの祖」として再評価されています。 ソローは、熊楠が生まれる数年前に亡くなっており、熊楠の蔵書や読書日誌からは、その作品に触れたことは確認できないが、影響を受けてなかったとは言い切れない、とのこと。 ----- そして、この2人の類似性について。 ソローは、膨大なメモ、日誌を残しており、それらが整理、出版されたことによって、彼に対する評価・分析が高まり、「Nature Writingの祖」としての評価が定まったのだ、と。 南方熊楠も今後、同様に、彼の膨大な知的遺産が整理されることで、新しい熊楠像が、新しい熊楠評価が生まれてくるのではないか、と。 ===== ふーむ。 『森の生活』読んでないなぁ。 てか、最近の読書量の少なさに、溜息。 次回は9月で、私はもう日本にいないのですよね。 中瀬喜陽先生と安田忠典先生による、「熊野古道と南方熊楠」。 聞きたかったですけど、仕方ありません。 ===== 来年予定されている「南方熊楠展」の頃には帰国しているかしら? できれば、旅行企画にも参加したいですけど…その頃は、籠の鳥か。 「目の前のビジネスに何のメリットがある?」と聞かれたら答えられないもんな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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