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不機嫌なじーんその後　妄想劇場最終回

不機嫌なジーンその後　９２００７．１２．２５誰かの寝息を感じて、ふっと仁子は目をあけた。目の前に眠っている南原の顔が見えた。しばらくぼーっとその顔をみつめ、ゆったりとした寝息に耳を澄ませていたが、しばらくすると満足そうに微笑み、ゆっくりとまた、目を閉じた。窓からは月明かりがさしていた。白いサイドテーブルの時計が01:23をさしていた。南原は目を覚ましたあとも少し寝ぼけて「なにか」を探して自分の横をまさぐった。「なにか」が見つからない、、、。南原は驚いたように身体を半分起こすと自分の隣を見た。そこにいるはずの「なにか」がいない。まだ、少しボーっとした頭で「夢だったのか？」と考え一瞬、混乱した時「起きたんですね」自分の背後から声がした。『ああ、そうだった。夢じゃない』そう思うと、余裕のある表情で、ただし寝癖のついた髪で振り向いた。「おはよう」「もう。お昼前ですよ。ブランチ準備しました。たべますか？コーヒーは？」グリーンのトレイをもった仁子が笑顔で立っていた。「いいなああ。」南原がしみじみと言う「巨乳で無くても、ずば抜けた美人じゃなくても、そこに立っているのはおまえでなきゃダメなんだよね」「はあ？」「いや、なんでもない。コーヒーを頼む。」しかたないという表情をすると仁子は「さっさと服を着替えてください。風邪をひきますよ」といってもう一度キッチンに引っ込んだ。南原は身支度を整えるとコタツにはまりこんだ。コタツの上には、主に昨日の残り物がならぶ。「今日は、これでがまんしてくださいね。」仁子がコーヒーを運んできた。コタツにはまりこんで二人であり合わせのブランチを食べる。南原はバケットにバターをぬりながら「昨日帰ったばかりだろう。時差もある。もう少しゆっくりしてればいいのに。」となんとはなしに弾んだ声で言った。仁子は「ん。でも夕べはぐっすり眠れたから。」「俺のお陰だ。ほらおまえだって俺がいると安らげる」得意そうに言った。仁子はため息をつきながら困った顔をして「少しはそうかも。」と答えた。そして、横を向いてつぶやいた。「でも、なんだか頭の痛くなることも増える気がする・・・・。」妙に手放しで嬉しそうな南原に不安を感じた。「なんだか、前と同じ路線になるかも・・・。」南原は目をそらしてブツブツいっている仁子を見つめて言った。「大丈夫だ。俺は勝手に話をすすめはしない。でもな、おまえも何かするときは俺に一言言ってくれ。前みたいに仕事をどんどん決めてどこかに行かれると、やっぱり俺だって不安になる。いいだろう。」「教授が不安に？」「そう。自然界をみろ、オスは哀しいぞ。まあ、いろんなメスを追いかけるがな、最終的に選択権はメスにある。ハーレムといえば聞こえが良いが、居場所の無くなったオスは不要品だ。マウスでも無鉄砲で早死にするのはオスだ。生殖能力のあるメスは丈夫で、用心深く生き残れるように脳の中にシステムが組まれている。生命の根源でもそうだ。卵子はひとつひとつ大切に扱われ、成熟し、精子は粗製濫造だ。競争して必死にはしって、けなげだぞ。受精卵のまわりの顆粒膜細胞に突き刺さって息絶える多くの精子は自然界の象徴だ。」「なにいってんですか。またぶつぶつと・・・。でも、分かりました。相談しながらやりましょう。」「そう。今日はなかなか素直だ。」しばらく見つめ合った後、二人は笑い出した。南原が言った。「おまえも変わったな・・・・・。夕べ言ったようにおれは宿無しだ。ジーン。おまえが良ければ、午後から買い出しに行こう。いろいろと着替えとか未だ足りないから。」「そういえば教授。妙に荷物が少ないですよね。」「誰のせいか、そのうち話してやるよ。今は内緒だ。」頭を少し傾けて南原はいたずらっぽい笑顔でジーンを見つめた。昨夜の雪はすっかり溶けて、窓の外には青空が広がっていた。不機嫌なジーンその後。これでおしまい。早乙女邸のNew year partyは相変わらずにぎわっていた。そして、半数以上が外国人であるのも昔のままだった。仁子は和装で、エスコートしてくれている南原に寄り添って立っていた。慣れた様子で、周囲に気さくに挨拶をし、ところどころで立ち止まっては南原は仁子を紹介した。数人に１人が「gene Aoi!」と驚き、「ロンドンでは本当にすばらしい発表をきかせていただいた。」と答えた。仁子はそのたびに感謝の意を告げ、恥ずかしそうに微笑んだ。南原は真剣な、ちょっと複雑な顔でつぶやいた。「おまえに負けるわけにはいかないな。俺も」しばらくすると綺麗な女性をつれた健一と出会った。仁子は「健一君。お久しぶり。なんでこんなところに？」と思わず手を振ってしまった。健一はちょっと驚いた顔をして、まぶしそうに彼女をみて、南原を見た。そして「お久しぶり、両親が早乙女博士と知り合いで僕も一緒に博士が招いてくださったんです。よしこさんこそ何でココに？そうか、研究の関係？ああ、紹介まだでしたよね。妻です。」と１人で納得し、あわてての隣に立つ女性を紹介した。そして彼女に「これは僕の妻の陽子です。陽子、こちらは存じ上げているよね。南原教授。それと蒼井仁子さん。蒼井さんはぼくの同級生なんだ。お二人は・・・。」健一は言葉につまった。すると南原が間髪を入れず答えた。「婚約しているんです。」健一はちょっと驚いた顔をしていたが、すこし淋しそうに笑うと「良かったですね。この二年、僕たちは見ていてはらはらしてたんだ。よしこちゃん」と答えた。しばらく話をしたあと、二組のカップルはまた歩き出した。「おまえがいけない。あいつまだおまえに気がある。」南原がむっつりして言う。きょとんとした顔で彼の見つめる仁子に「着物なんて、、、。３割り増しに魅力的にみえるんだ。あの夫婦はこのあと必ずケンカするぞ」仁子は言った。「だって、ドレスきたら『露出しすぎ』って反対したじゃないですか。教授。もしかしてやいてる？」「ちょっとな」南原は仁子を見つめた。人混みを抜けて二人は早乙女博士のところまでたどり着いた。早乙女博士は両手を大きく広げ、大きな声で「Takashi 、それにGeneよくきた。楽しみなさい。で、二人とも早く私に孫の顔を見せてくれ。」二人はちょっととまどったが、すぐに仁子が「はい」とにこやかに答えた。早乙女は涙ぐんだ。「すなまい。妻のことを思いだしただけだ。」そして他の客に呼ばれて「ちょっと席をはずす。Takashiあとで話があるから。あの研究、僕も関わりたい。ジーンも。オーストラリアの海はすばらしいよ。といって立ち去った」仁子はちょっととまどった顔をしていた。『早乙女博士は何をいいかけたのだろう』。南原は仁子をみつめて「『はい』って？」ときいた。「だって、そうこたえないと早乙女博士にわるかったし」「なんだ・・・期待したのに」二人は黙り込んだ。パーティーは和やかに続き、新年のカウントダウンがはじまった。二人は笑顔で、以前フクロモモンガのいたバスルームに向かった。２０１７年　１２月　ヒヨ大「蒼井教授」学生が廊下を走ってくる。「実習担当なんです。ちょっと分からないことがあって・・・。」ちょっと人を食った感じの目つきのするどい男子学生だった。何となく覚えがある。よく、講義でも質問する子だ。仁子は立ち止まると「そうね、、、。」と丁寧に答えていった。話をしながら『このこ、すごいな。目の付け所がユニークだ』と思った。「じゃあ、君の意見も入れて、こういう形でいきましょう」と仁子がいうと「はい」と嬉しそうに笑った。よくみると意外と童顔だ。「ありがとうございます」答えて走り去ろうとした彼に、仁子は声をかけた。「君、名前は？」彼は立ち止まって振り向くと大きな声で答えた。「勝田っていいます」声が廊下に響いた。不思議な気持ちに襲われ仁子はしばらく立ちつくしていた。「仁子」データーをまとめている仁子に後ろから声をかけてきたのは阿部だった。「阿部君　なに？」阿部は助教授だった。「大鷹大決まった。」と告げた。「おめでとう！」阿部は教授選に出ていたのだ。不思議ね。私たちが学生でここで研究していたのがまるでつい最近のような気がする。」「仁子はよくココでねてた。」阿部は笑った。「そんなことしか覚えていないの？」二人はいろいろと話し込んだ。しばらくして「あ、、、時間！」仁子は声をあげ立ち上がると実験室の方へ向かった。フラスコや試験管の間を通り抜けてテントウムシの水槽へと向かった。そして、器具を操作しはじめた。もう、阿部のことは頭から飛んでいた。その後ろ姿をみて阿部は『変わらないな』とおもいながら立ち去った。『今日は家で妻と子供達とお祝いだ。連絡しないとな』と思いつつ。妻より先に仁子に話をしたかった自分について考えながら足早に研究室を出た。仁子は水槽の前から立ち上がると今度はビーカーなどガラス器具を並べだした。彼女の手には指輪は無かった。タクシーにのった。めまぐるしくいろいろな仕事が頭の中を駆けめぐる。もう東京の町並みはクリスマス一色だ。携帯がなる「お母さん。うん、今年こそクリスマスには帰れるとおもう、え？なに？・・あれ。」また携帯が切れた。『最近は携帯との相性は良かったのに』仁子は携帯を見つめた気がつくとBGMにまた「あの曲」がながれていた。今度は仁子は泣かずに微笑んでその曲を懐かしそうに聴いた。マンションのまえでタクシーから降りた。ポケットから鍵を出そうとする。「？」鍵がない。バックのなかをまさぐっていると手に何か当たる。鍵だ。ほっとしてドアを開けようとしていると、背中から声がした。「ジーン」ふっと振り向くと南原が立っていた。「教授？！」「むかえにきた。」仁子は嬉しそうに微笑んで答えた「いつも向かえにきてくれるのは、あなただわ」「おまえに行動させると、必ず穴に落ちたり、反対方向に走るだろう。危険で見てられない。ヒヨ大は客員教授で３ヶ月すればシドニーに帰ってくるのは分かっていたけど、待ちきれなくてね。あっちで早乙女博士が向かえに行けとうるさくて。クリスマス休暇を早めにとった。」「うれしい。あっそうだ教授も年明けのロンドンの学会の演題プライズペーパーになったんだそうですね。おめでとうございます。」「ありがと、いいけどその教授ってやめてくれる？いい加減１０年だよ」仁子は笑いながら「どうしても仕事モードだと教授っていっちゃいますね。」「とりあえず部屋に入ろう」南原が言った。「はい。」仁子は南原の顔を見つめながら答え部屋に入った。南原も続いた。荷物をおいてコートをぬぐと、テーブルにある書きかけの論文をみた。Yoshiko Aoi　となっている。「仕事上は蒼井で通すのが都合はいいだろう？俺の言ったとおり。時にAoiスペルが短いから印象的で、外国の連中にはわかりやすいしな。羨ましいよ」「確かに、実績に連続性が出来るから。でも、時々、書類の関係で苦労するわ」仁子はおもむろに首の華奢なチェーンを外すとそのペンダントトップになっているものをはずした。チェーンを丁寧に桜色の小さな布袋にしまう。ペンダントトップは指輪だった。「こっちでは独身だとおもわれて言い寄られてないか？」「まさか。実験の時やフィールドワークの時は指輪が気になって・・・。」それを左手の薬指にはめて。振り向くと南原に言った「ただいま、タカシさん」「お帰り　僕のジーン」二人はしっかりと抱き合ってキスをした。しばらくして「ところで子供達は？」仁子が聞くと「お母さんに聞かなかったの？電話するって言っておられたんだけれど。シドニーから直接、山口に行ってっ僕たちを待っている。だから今日は久々に二人だけでゆっくりしよう」「ええ　ロールキャベツもあるのよ」仁子は幸せそうに微笑んだ。END最後の後ろから声をかけるシーンは。ブリジットジョーンズの第一作のマークがニューヨークからかえってブリジットに声をかけるかんじです。ついでに。

2005年04月22日

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内野病

昨日来た　ちーちゃんは　「真性エリザ病」です。どうも最近わたしは「ジーン」病でなく「内野病」かも？なんておもっております。でもコリン・ファース病は続いているので合併してます。ちーちゃんの場合若いから「ほほえましい」域ですみますが、私の場合笑い話ではすみません。・・・・。ふらちな女たちという「もも」さんという方のサイトを調べますと「内野病」について、またその患者の実態がよく分かります。どうも症状としては「突然幸せになる」とか「目がハートになる」とかの感覚的なものから「チケットの入手法を検討する」など社会的な物まで多岐にわたるようです。生活に実害がでることはほとんど無いようですが、とりあえず。たぶん・・・・。大丈夫だとおもうんですが・・・・。年を取ってかかるとどんな病気も重症らしいし・・・。ちょっと心配。

2005年04月22日

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ちーちゃん　エリザベートを語る。

ちーちゃんは２０歳の「エリザ命」の女の子です。もともと「タカラズカ命」だったようですが、いつのまにか「エリザ命」になってます。この「エリザ命」というのは「ミュージカル　エリザベート命」の略です。ちーちゃんは月一回ふらふらと雑談にきます。主に演劇。小さな演劇のエキストラにでたこともある彼女は演劇大好き。今日は昼休み、茶をしばきながら（お茶をしながら　という意味）やっぱり「エリザ」または「タカラズカ」のはなしかな？とおもったら・・・。「不機嫌なジーン」の話。内野さんがでているのでとりあえずチェックしたそうだ。彼女は「内野ファン」ではまったありません。「ジーン」は２０歳の乙女らしく。「哀しい・・・。」といって話し出す。と私は思わず「でも今まで舞台とかミュージカルのことしか聞いたこと無いよ・今回はどうしたの？」っていいました。彼女は、ファンではないが「役者　内野」はチェックしている。とのことで、いろいろ教えてくれました。で、ひとこと「むぎさんこそ　テレビなんてみないのにどうしたの？」「だって、、、哀しいんだヨン」「内野さんは不幸が似合う役者だから、あれは予想しているべきです。甘い」ばっさりと問い言い放たれた・・・。「ふえーーーん。それが倍ちかくちがう年上の人間にいうことかああ」「演劇は私が詳しい！」「ううううう」へこむ麦。「だいたい、トートの役なんて、好きで好きで追っかけて、なんか最後エリザ死んじゃうからトートの勝ちだけど。なんかハッピーってんじゃないよね。レ・ミゼでも警部の役で、ジャンバルジャンじゃないし・・・。蝉しぐれもね・・・。」そうだっのだ。配役をみて、まともな終わり方を期待した私がアホなんだ。その後、東宝の歴史や、コマ劇場についていろいろとご教授賜って昼休みは終わったのです。そうしてちーちゃんは軽やかに「タカラズカ」を見に行く資金集めのバイトに出かけていきました。

2005年04月21日

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不機嫌なジーン３・４

「妄想劇場」とういジーン専用掲示板にむぎこが投稿したものを自分の控えとしてのっけてみます。いろんなジーンと南原教授のいるパラレルワールドです。妄想劇場へジャンプ不機嫌なジーンその後３　クリスマスカード　2007.12.22シドニーの研究室のデスクで、南原は大きくため息をついた。東都大の清水助教授へのメールを書き終えたところだ。『日本の大学の体質はやっぱり苦手だ』ふっと考えた。『あのなかで良くやっているよあいつは』と彼女のことを考えた。どうもダメだった、オーストラリアに帰ってからも彼女のことが度々頭にうかぶ。ふっと「あいつが俺がレフリー（論文の審査員）に加わっている学術誌にファーストネーム（著者）として投稿したのは初めてだな。」とつぶやいて机の上の原稿をみた。昨日届いた英文の論文。Yoshiko Aoiと名前があったのをみて心が騒いだ。先月、偶然日本で会った彼女の顔が今そこにいるかのように浮かび、２年前にメリーゴーランドでわかれたとき抱きしめた彼女の感覚が蘇る。論文の内容は申し分無い物だった。「コレを読むのは拷問だよ」と呻いた。「とても幸せな拷問だ」二年前、仁子と別れてから、気をとりなおし、一生懸命、それこそムキになって女性とつきあいだした。そして、どうしようもなく彼女につなぎ止められている自分に気がついた。続かないのだ、誰とつきあっても。仁子より美人、仁子より素直（コレはたくさんいた）、仁子より気が利く（これもいた）、場合によってはこの三拍子のそろった女性だっていた。なかには全身全霊で南原を愛してくれる女性もいた。『オスは多くのメスに、しかも優秀なメスに遺伝子を受け継がせたい』という考えを自分で否定していることに今では南原は気がついていた。論文をよみおえると、メルボルン郊外のモナッシュ大学で環境科学の研究をしているショーンと会う予定になっていたことを思い出した。時計をみると思ったより時間がたっていた。研究室で仕事をしている研究員に外出することを伝え急いで街に出た。今、オーストラリアは夏だ。乾燥した空気にユーカリの香りが漂っていた。真夏のクリスマスは間近だ。オーストラリアではクリスマスは一年の中で一番大きな行事だ。街も人も普段は日本より質素なのにこのときばかりはとんでもなく華やぐ。ブルーのブルックスブラザーズのポロシャツにパンツ。サングラスにキャップというスタイルで街をぶらぶらあるき、いつもよくいくカフェにたどり着いた。コーヒーを注文しまっていると、ジーンズにTシャツというスタイルの大柄な金髪の男性が「Takashi」と彼の名前をよび近づいてきた。二年前にオーストラリアにきてまもなく早乙女教授を介して優秀な研究者として彼を紹介された。ロンドンが長かった南原にはショーンたちオーストラリアンのイギリス英語は米国英語よりなじみやすく親近感を感じた。そうして話しこんでいるうちに、彼とすっかり意気投合し、いまでは一番の親友になった。ショーンも「いつか日本にいってみたい。特に山形」といって南原を笑わせた。彼には仁子との婚約、婚約破棄の話もしてあった。婚約破棄の話を告げたとき彼は「何故だ？Takashi、君がその女性を心から愛していることが僕には分かる。お互いが研究者である事だって可能だ。なんとかならないのか？」とつめよった。その時、南原は返す言葉もなかった。その後、ショーンとひとしきり環境問題とクリスマスツリーについて語りあった。一段落するとショーンは「実は結婚するんだ」と照れくさそうに切り出した。南原はおめでとうと言いながら驚いた、なぜならショーンの恋人はロンドンの研究所にいる。当面　ロンドンにいる。そのことを聞くと、ショーンは「でも　僕たちは　それ乗り越えられると思うんだ。というか、乗り越えたいんだ。」と答えた。その後「結婚式には必ずでる」約束をさせられ南原は研究室に戻った。南原が研究室に帰ったとき、一人の研究員はクリーンベンチに向かって、細胞培養の準備をしていた。もう一人の研究員が大小の封筒を抱えてちょうど返ってきたところだった。そして「教授宛はこれです」と差し出した。「ありがとう」そういって南原は受け取ると自分の個室に戻った。エアコンを最大にかけている部屋は過ごしやすかった。くつろぎながら、ざっと郵便物に目を通しているとさっきの研究員が戻ってきた「すいません　もう一つありました」と白い封筒をもってきた。目を上げないままに「ありがとう、そこにおいておいてくれないか？」というと南原は郵便物のチェックを続けた。各研究機関、学会関係のものが多かった。「ほぼ　順当だな。」今の研究成果は正当に評価されていることがわかりほっとし、ふと目の前にあるさっき一つだけ「遅れてやってきた」「間の悪い」封筒をてにとった。宛名は確かに「Takashi Minamihara」。見覚えのある文字だった。封筒をもった手にちからがはいった。おそるそる裏をみた　Gene Aoi　in Londonと書いてあった。「なんでロンドンなんだ・・・。」（南原は日本での仁子との会話は上の空で全く内容は覚えてなかった）過去からなにかがやってくる気がした。一瞬にして５年前に時がさかのぼっていった。雛がかえる瞬間の「ジーン」の表情が蘇った。おそるそる封をあけると、生まれたばかりのキリストをたくさんの動物たちが囲んでいる色彩豊かなクリスマスカードと３枚の便せんが入っていた。便せんはラブレターではなかった「南原孝史教授机下　とはじまり、先生にはますますご清祥のことと存じ上げます。という書き出しの硬い物であった。次いで『先月、日本でお話しをした学会で評価されたこと』などが淡々と書いてあった。『そんな話したっけ？』南原は苦笑した。『あのときは彼女に見とれて、涙を流さないので精一杯だったから、なにも覚えていないんだが・・。』少なくとも自分の動揺はジーンには分からなかったわけだ。となぜか満足した。後半は、新しい研究のプロトコールが走り書きされていた。急いだのだろう文法がおかしくなってる。『変わらない』南原はほほえんだ。プロトコールは立派なできで研究者としての南原を刺激するのにも十分だった。最後に「環境問題に関わる新しい知見が導きだせる可能性があり広く共同研究を行うことが望ましいと考える。」と記され「南原教授は興味を持たれると思い提案します」と記されていた。そこには研究者として自分と同等な視線の仁子がいた。そして追伸として『教授がいらっしゃったからこそ今の私があります。２年間研究者としてがんばり、研究者としていろいろと物事をすすめていくことの困難さが分かりました。そしてどれだけあなたに守ってもらってきたか分かりました。２年前、自分で道を選んだつもりでしたが、本当はあなたが私の背中を押してくれたのだと今では思っています。そして、世界中で誰よりもあなたが私を分かってくれている人だったと気がつきました。ありがとうございました。二年前、私はあなたの理解者のつもりでした。でもそれは私の思い上がりでした。でもあなたが私の最高の理解者であったことは間違いありません。』と記してあった。南原はくいつくように読んだ。自分のことを分かってくれたという喜びはあったが、ただ、文章が全部過去形なのが気になった『俺は、ジーンにとって過去の男？なのか』ふと浮かぶ。そして落ち込んだ。『なんで急にこんな物をよこすんだ。まさか結婚するとか、なにかあるのか？けじめか？なんでだ？あの気むずかしいメスであるジーンがこんな殊勝な事を書いてくるなんて。』『でも、まだ蒼井のままだ。名字が変わってはいないし』と考えがまとまらない。ふと、さっきのきれいなクリスマスカードに目がいった。それを手にして、立ち上がると腰に手をやってうつむいた。「今日は、本当にいろいろとある」とつぶやいた。そしてカードを開いた南原の目にひとつの文章が飛び込んできた。南原は手紙とカードを握りしめると、電話をかけ叫ぶように言った。「日本までのチケットを頼む、一番早いやつだ。なんでもいい。何とかしてくれ。」南原は手紙とクリスマスカードを握りしめると、てじかにある荷物をもって「日本に行ってくる。あとはまかせる」といってあっけにとられる研究員を無視して走り出した。研究所から飛び出し、タクシーを捕まえ空港へ向かった。そしてカードをもう一度開いて見つめ、幸せそうにほほえんだ。カードには一行だけ、間違うことはない　ジーンの文字で記されていた。I love you eternity.不機嫌なジーンその後４狂った？オス　空港成田に着くと神宮寺は空港内のVIPルームに向かった。そして夫のセーターとジャケットを差し出した。目の前には半袖のポロシャツをきた南原が寒そうにしながらも「やあ」となんとか片手を上げて座っていた。神宮寺は「なにかんがえてる。相変わらず理論的では無いわね。それで、なんで真冬の日本に半袖のまま帰ってきたかは話してくれるのかしら？」と全てをお見通しのようにほほえんだ。

2005年04月18日

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不機嫌なジーンその後１

「妄想劇場」とういジーン専用掲示板にむぎこが投稿したものを自分の控えとしてのっけてみます。妄想劇場へジャンプ１，タクシーの中の天使タクシーの中で想いでの曲がしずかに流れていくラジオの電波が悪いのか、声を押し殺して泣いている自分のせいか良く分からないけれどときどきその曲は聞こえにくくなる仁子はその度に息をころして耳を澄ます。この涙はどこからわき上がってくるのかわからないでも　自分の中のどこか深いところからなのは分かる。仁子は思った『学会でのシンポジストとしての発表は成功した。多くの研究者が蒼井仁子を研究者として認めてくれた。この学会での発表の成功は、私の今後の研究への可能性を予想以上にひろげてくれたにちがいない。それに、この成功がなくとも、この二年間は、苦しい局面もあったが、楽しくもあり、充実感をもって研究を続けてこれた。毎日、わくわくして、必死で、とにかく、、、幸せだった。私が望んだことだった』それでも涙は止まらなかった。嗚咽が漏れた。仁子は涙を流しているだけでなく、声を押し殺して泣いている自分に気がついた。そして意を決したように、小さな声でつぶやいた。まるで自分に言い聞かせるように。『なんで、哀しいのだろう。後悔はしていない。あの時の私にはあの答えしかなかった。』気がつくとあの曲は終わっていて、聞き覚えのあるクラッシクが流れていた。仁子は深呼吸を一つすると、タクシーの天井を見て、小さなシミを見つけてはっとした『テントウムシみたいだわ』そう思ってほほえんだ。タクシーがホテルの前に止まると、運転手が心配そうに振り向いた。今まで　見て見ぬ振りをしてくれた彼に感謝を込めたほほえみを浮かべチップを少しばかり弾み仁子はしっかりした足取りでタクシーを降りると、寒さをこらえるように襟を左手で押さえ、ホテルに足早に入っていった。ラバーズ・コンチェルトにテントウムシの形のシミ。あの運転手は背中に天使の羽がはえてたりして・・・。ふっと考えた。フロントから鍵を受け取るとエレベーターで部屋にむかった。エレベーターの中で襟を押さえていた左手を緩め。ふと薬指を見た。何かの想い出が頭をよぎった。ちょっと首を傾げ、視線をおよがせその考えをとばす。そう、いままでも研究室でこんな「感じ」に襲われたときがあった。そしていつもこうして考えをどこかにとばした。『何を、どんな考えを私はとばしていたんだろう？』仁子は思った。ホテルの部屋に入った。ブラウンと落ち着いた緑色でコーディネイトされた部屋は質素だが居心地がよかった。ため息を一つついた。コートとジャケットをハンガーに掛けて鞄の中からパワーブックとシンポジウム用に作ったDVDのディスクを取り出した。そしてシンポジウムでの活発な質疑応答を思い出した。そして愕然とした。『私、フロアーに教授の姿を探していた・・・・。』＊フロアは学会で聴衆がいる場所です。この場合仁子は舞台に当たる部分、聴衆がいる（劇場で客のいる部分）がフロアになります。先月、日本で教授とあったとき、彼が綺麗な人をつれて幸せそうに歩いている姿をみて少し心が痛んだ。気を取り直して話しをした時、「ジーン」ではなく「君」と呼ばれた事に軽いとまどいと、お互いの立場の変化、時間の流れを感じた。そして「イギリスの学会」のことを口走った。いきなりジーンの頬を大粒の涙がつたった。『ワタシハ　カレヲ　アイシテイル』頭の中で響いた。二年間、オーストラリアに着いていけないと言ったとき、教授がもうしばらく私のことを待ってくれると思っていたのかもしれない。もしくはすばらしい解決策を示してくれると思っていたのかもしれない。結局、そうはならなかったのだけれど。『私の中で、教授への気持ちは二年前のまま、むしろそれ以上につのっているんだ。二年間、遠くに離れ研究をしながら、それまで以上に教授の事を理解し、感謝し、愛していたんだ。』哀しさは、苦しさを伴いながら心の奥からわき上がるような幸せな暖かさに変わっていった。『ワタシハ　カレヲ　アイシテイル』頭の中で自分の声が響いた。・・・・・・・・・・・・・・・次の日　仁子はクリスマスカードを探して歩いた。日本とは違い派手さは無いが丁寧なつくりの綺麗なカードを何枚か買った。ホテルに帰ると長い時間をかけてカードを仕上げた。しばらく考え、ホテルの便箋で手紙を書き、それをカードの間に滑り込ませた。宛先を書いた。自分でも笑ってしまうが、アドレス帳をみなくても空で書けてしまった。封をして急いでフロントにもっていった宛先は Takashi Nanbara to Australia・・・・・・・・・・・・・・・１２月２４日　仁子は成田に下り立った。空港は年末年始に海外に向かう人々でごった返していた。疲れているとは思わなかったが、帰国したとたん気がゆるんだのかふいに軽い眩暈を感じた。側の柱にすがると目を閉じて深呼吸をした。『大きな荷物は空港から送ってしまおう』そう思うと荷物を配送業者に預けてバックだけでゆっくりと家路についた。本当はもっと早く帰国するつもりだったが、学会の後　様々なレセプションに招かれ、研究所に招待されたため予定が大幅にずれ込んだのだ。ロンドンで電話したときは実家で母親と一緒に久々にクリスマス、年末年始を過ごす予定だったが、全部がずれ込んで国内の切符もとれない有様だった。おかげで東京で１人でクリスマス・イブを迎えることになってしまった。『自業自得だものね』と思いつつ、クリスマスのイルミネーションを楽しんで街中を歩いた。気がつくと雪がちらつきだした。夜空から降る雪は、いったいどこからやってくるのだろう。不思議な気持ちで夜空を見つめた。立ち止まっている自分の横を若いカップルが大きな声で笑いながら歩いていく。ふっと昔の自分たちを思いだして、心が騒いだ。時計をみると８時をまわっていた。夕食をどこかで食べて帰ろうかとも思ったがさすがにイブに１人で食事をするのは気が進まなかったので、手近なところで夕食とワインとケーキを買って家に向かった。その時、携帯がなった。「もしもし」仁子はずれ落ちそうな荷物を持ち直しながら返事をした。「あーら、やっとかえってきたのね」神宮寺だった。「なに？今どこにいるの」と聞かれ仁子は「さっきついたんです。予定が大幅に狂って・・・。今日はもうアパートに帰ってゆっくりします。さすがに疲れました。」とこたえると思わず笑顔がこぼれた。神宮寺が電話の向こうで「かえったんだって」というのが聞こえた。「？？？」仁子は怪訝な顔をした。まるでそれを見ていたかのように「なんでもないのよ、まあ良いわ、狂うのは予定だけじゃないから物事はおもしろいのよ。計算通りに行かない複雑系の世界よね。ここにも狂ったのが１人いたりして・・・」「神宮寺先生？？？」「まあ、いいわ、そうそう、先週、あなたからのクリスマスカードがついたのよ。ありがとう。落ち着いたらまた顔をだして、ロンドンの話でも聞かせてちょうだい」「はい、ありがとうございます。おみやげもあるんですよ。是非伺います。」電話を切ると、日本に帰ってから感じた孤独感が少し和らいだのを感じた。「携帯も悪くない」そうつぶやいて再び歩き出した。１人暮らしということ、夜遅く研究で残ることも考え１年半前に引っ越した。アパートに近づくに連れて、人通りは減っていった。明るい道を選んであるくし、もともと治安が悪いところではないが足早にあるく。あと、１００ｍで我が家。しかし疲れた身体には荷物が重い、両手が少しつかれてきた。神宮寺との電話の後、気分が高揚して買い物をしたために荷物が増えていた。これではせっかく空港で荷物を預けた意味がないことに気がついたのは両手一杯の荷物を抱えた後だった。『ワインなんか買わなければ良かった』後悔しつつ、立ち止まって「もーう。重い！」と声を出した。そして「やっぱり私はアホだ」とつぶやいた、その時、急に両手の荷物が軽くなった。

2005年04月17日

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購入　携帯用加湿器ちょこっとオアシアス

ちょこっとオアシアス机の上に置く、周囲２ｍ位をカバーする携帯保湿器というのを芸術新潮でみつけました検索書けて　「ハンズ」で扱っていることを確認価格は１０００円程度なので試してみたくて購入。パソのよこ　仕事中のデスクの上においてみましたなんか、、、いいんですよ。空気がすっきすする感じ。価格も手ごろ送料を考えると他の物とまとめて購入するほうがいいけどでも今回はあたりでした！ちょこっと　オアシス　携帯加湿器

最終回をみて苦しくなってしまいました・・・・。絶対、あれは別れるべきでない。他の選択もあったはず。制作者、コメディもので最終回だけシリアスにして、どん底まで主人公を落として声も出さずに泣かせるナンテ最低である。救われない気持ちでいっぱい。不機嫌なジーン２をつくって救って欲しい。この二日もうしんどくてたまりません。

2005年03月30日

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