|
テーマ:鉄道雑談(1540)
カテゴリ:路面電車に乗ろう
さて今日は昨日の告知通り、東急玉川線の“ペコちゃん”ことデハ204号車について話をしたいと思います。この東急玉川線は、玉川線(渋谷~二子玉川園)、砧線(二子玉川園~砧本村)、下高井戸線[世田谷線](三軒茶屋~下高井戸)の3路線で構成された路面電車で、建設工事に使う多摩川の砂利を採るために敷かれた「玉川電気鉄道」がその由来になります。そのため別名“ジャリ電”とも呼ばれていました。 そんな東急玉川線に1955年(昭和30年)、東急車輌にて6両の新車が登場しました。全体が丸っこい1軸構造の連接車で、玉電としては初の「カルダン式駆動車」となったこの電車は「デハ200型」と呼ばれ、別名「タルゴ」とか、緑と黄緑のツートンカラーのため、「いもむし」と呼ばれました。 しかし、一番定着したニックネームは、不二家の宣伝人形・ペコちゃん人形に形が似ている事から“ペコちゃん”というあだ名でした。また、ドアの開閉と共に連動してステップが下り、利用客にとっても便利な電車となりました。 特に半室運転台で、運転台の隣りには先端まで座席があった事から、子供達にとっては「特等席」でした。子供達の中には、“ペコちゃん”が来るまで何台も電車を待つ子供もいたそうです。 超低床、超軽量構造のこの電車は、まさに時代の先端を行っていたもので、ドアは左右非対称でした。 また登場初年には、新車のPRも兼ねて“ペコちゃん”による「プールゆき」電車も運転されました。これは当時、二子玉川園のプールへ行くための直通電車で、乗車には往復切符と二子玉川園の入場券が必要でした。前面にはちびっこ2人を描いた「プールゆき」というヘッドマークと「直通」というサボを付けていました。停車駅は三軒茶屋、駒沢、用賀のみでした。 ちなみに東急玉川線の行先表示板ですが、二子玉川園ゆきの本線系統は白、下高井戸へ入る下高井戸線(世田谷線)系統は赤でした。 このように順風満帆に思えた“ペコちゃん”ですが、昭和40年代から国道246号線の交通量が著しく増えてきました。そして玉電のあだ名も“ジャリ電”どころか“ジャマ電”、“ノロ電”等と言われる様になりました。 またこの“ペコちゃん”には3名の乗務員が乗る形態でしたが、合理化のため「連結2人のり」という方式が採られるようになりました。片方に運転手、片方に車掌が乗るというシステムです。 そして地下鉄工事や、高速道路工事などの影響もあって、1969年(昭和44年)5月10日、東急玉川線(渋谷~二子玉川園)と砧線(二子玉川園~砧本村)は廃止されたのです。下高井戸線(三軒茶屋~下高井戸間)は、全線専用軌道だったので「世田谷線」として生き残りました。 “ペコちゃん”ことデハ200系は、車歴こそ浅かったですが、横揺れが激しかったのと、超低床構造だった上に故障も多く、整備に普通の車輌より手間がかかるため、「世田谷線」に引き継がれる事なく、全車廃車が決まりました。しかしデハ204号車は多摩川園に、デハ206号車は千葉県・野田公園の“のりもの公園”に保存展示されました。 1979年(昭和54年)、多摩川園が廃園になると“ペコちゃん”デハ204号車の運命も色々と取り沙汰されました。しかし、当時の東急の幹部の中から「あの文化遺産をつぶしてはならない」という強い声があり、デハ204号車は長津田整備工場で整備され、田園都市線・高津駅ガード下に展示保存されました。その後、同駅にオープンした「電車とバスの博物館」の目玉展示物となり、同館が宮崎台駅に移転した後も、目玉展示物として幸せな余生を送っています。 しかし、デハ206号車の末路は哀れなものでした。部品という部品は全て盗難に遭い、塗装は剥げ落ち、ガラスは割れた状態でした。何度かガラスの交換や塗装の補修などを行いましたが結果は良くならず、結局1980年(昭和55年)頃にスクラップとなってしまいました…。屋外展示というものは難しいものですね。 こうなると、“ペコちゃん”デハ204号車を残した、当時の東急の重役の決断は大きかったと言えます。それを考えると、以前このトピックスでも取り上げた「ハチ公前の“アマガエル”デハ5001号車」は、モニュメントでも何でもありません。「貴重な産業文化遺産の破壊」としか言えないでしょう。 宮崎台の「電車とバスの博物館」で、“ペコちゃん”デハ204号車は、今日も幸せな日々を送っています。 当ブログもほんとうに「徒然な」ブログではありますが、これからもよろしくお付き合いの程お願い致します。 旅行会社の店頭では、いよいよ夏旅の申込が始まりました。 すると、ふと旅に出かけたくなった・・・・・・。 そんな時は、お出かけする人も、そうでない人も、日本全国の観光情報なら、国内旅行情報サイト「日本の旅ドットコム」を是非、ご活用下さい。 尚「楽天広場会員」以外の方で、御意見・御感想・コメントのございます方は、こちらまでどしどし下さい。お待ち致しております。 日本の心・和の心。織部は、そんな和の心を大切にする美濃焼を窯元から直接提供している和洋陶器の専門店です。 本店は、大きな店舗面積を生かした圧倒的な品揃えが魅力。うつわ邸は古商家屋を店舗として利用し、美濃の人気作家の器が並びます。様々の表情を持つ器たちとの出会いを、心ゆくまでお楽しみくださいませ。 ◎伊豆長岡温泉「南山荘」 古き浪漫漂う、数奇屋造りの宿。露天風呂をはじめとする3つの温泉が自慢です! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[路面電車に乗ろう] カテゴリの最新記事
|