叩かれて 昼の蚊を吐く 木魚かな ---昆虫の翅 (その2)---
「鳥がうれしそうに鳴いている」 「植物が元気に花を咲かせている」研究者はこのような文章を研究記録ノートには書きません。それは、書いてはいけないことを書いているからです。さて何がよくないのでしょうか。----------科学を研究するにおいて、してはいけないことがあります。それは 『人間の意思を入れる』ということです。上記の文章には、「うれしそう」 や 「元気に」 といった人間の主観があります。これは根拠がないので書いてはいけません。人間の意思を入れてはいけないという当然の性質が、科学に対して非人間的な冷たい印象を与える原因になっています。しかし、そんなことはどうでもよいのです。ブログトップに載せている三行詩の五節目にあるように、自然には心はないのです。心という人間スケールでは、世界は語れません。しかし、科学に心がなくても人間は科学にロマンを感じます。科学にはロマンというものがないのに、人間は感じます。それは、詩そのものには感動がないのと同じです。その感動は詩から湧いたものではなく、自分自身から発生したものです。ブログトップに書いてあるように、人は見えない世界を想像力で信じることができます。----------しかしどうしても人間は、人間の感覚で世界を読み解こうとするので、その解読はしばしば暗礁に乗り上げます。驚くことに、次の文章は良くない書き方です。 「昆虫が飛んでいる」「飛んでいる」 という当たり前の表現が、長い間 『昆虫が翅を持っている理由』 の研究を妨げてきた元凶でした。(続く)----------【口直しの画像】図1 : シイタケのひだ繊維のような菌糸でシイタケができていることが分かると思います。キノコはスライスが難しいので、要工夫です。