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成定 竜一~高速バス新時代~

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2011.07.29
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カテゴリ:メディア掲載情報
25日付の『東京交通新聞』に、先週の高速ツアーバス連絡協議会年次総会の様子が掲載されている。見出しは、<「新高速制度」移行へ意欲 高速ツアーバス協総会 集合場所対策も徹底>。村瀬会長の挨拶や、私が講演を行なったことのほか、<新高速制度への円滑な移行を目指し「新制度準備委員会」の新設を決定、関係者との調整や会員への情報提供に力を注ぐ>と、協議会として、原則として全会員が「新高速」に対応し移行するよう、協議会内外の調整を進めていく方針であることが紹介されている。

また、ご臨席いただいた国土交通省自動車局の舩曵旅客課長さんの講話も紹介されている。記事からそのまま引用すると、<ツアーバスは、需要にマッチしたアクティブなビジネススタイルである一方、苦情やトラブル、安全性などに問題もある」と事故防止とコンプライアンス順守徹底を要請。その上で「新高速制度では、ビジネスモデルは基本的に変わらないが、バス事業者として安全・サービス面の利用者保護に責任を持つことになる。バス停も必要になってくるが、警視庁や警察庁と話し合いも始めた。今後、どのような仕組みにしていくか、幅広い理解を得ながら解決を図る必要があるが、法制度と同じタイミングで乗り場確保も対応するつもりだ」と語った>。

新設するバス停について、既に、協議会の顧問(渉外担当)として私の方で具体的な調査に入っており、出張の合間に汗だくだくになりながら候補地を実際に歩いてチェックしているところである。また、制度の詳細についてはこれから関係者で協議するところだ。その協議で私自身は高速ツアーバス各社の意向を新制度に反映させる立場にはあるが、それは必ずしも既存の高速路線バスの権利を制限することを意味しない。「利用者が求める高速バスサービスのあり方」を目指すという「バス事業のあり方検討会」中間報告書の趣旨に沿い、また高速バス全体の成長を目指す私個人の信念に従い、既存の高速路線バス各社にとってもメリットの大きい制度を作っていくことができればと思う。

なお、この総会と全く同じタイミングで、独立行政法人国民生活センターから、高速バスに関して最近苦情が増加している旨、プレス発表が行なわれた。高速ツアーバスのビジネスモデル、あるいは個別の会社の意識不足から起こった苦情についても指摘されており、舩曵課長さんの講話でも本件について厳しい言葉があったし、私のセッションでも会員に対し強く苦言を申し上げた。私自身、販売側の事業責任者としてかなりの数の苦情に接してきた身。当初に比べればかなりクオリティが上がった会社もある一方で、なかなかそうはいかない会社もあることを知っている。

蛇足ながら、業態が二つ存在するがゆえに制度面が原因で発生している苦情に関しては、高速ツアーバス各社が無事に「新高速」に移行を完了すれば消える話ではある。それでも、座席指定制や定員制、前払いや後払いといった商品ごとの差異が無くなるわけではないし、同一路線に複数の車両グレードが運行される事例は今後急速に増加するだろう。制度が一本化されても、一例を挙げれば、座席指定制路線における座席番号について、「既存組」の高速路線バスは予約時点、事前発券の時点で号車と席番まで決まるオペレーションを変えないだろうし、「移行組」(現・高速ツアーバス)の多くは座席定員まで予約を受け付けておき出発直前に一斉アサインした上で乗車時に座席番号をお客様に伝えるオペレーションを変えないだろう(それぞれにメリットデメリットははっきりしており、例えば「既存組」でも夜行路線については一斉アサイン方式に変える例などは出てくるかも知れないが)。

もちろん、会社ごと、商品ごとにグレードや購入(乗車)手順が異なること自体は世の中に普通にある話だ(同じ牛丼屋でも、吉野家では席で注文して後払いなのに対し松屋では先に食券を購入するのと同じ)。「わかりやすさ」だけを優先してそれらの差を完全になくすことなど非現実的である。「平場」の路線バスの前乗りか後乗りかなども含め、だからこそ各事業者や予約サイトなどは、初めての利用者に対しハードルを上げてしまうことがないよう、また無用な苦情を生まないようわかりやすい表記に注力する必要があろうし、バスターミナルや乗務員など最前線における接客の力もますます問われることになろう。

さて、昨日までの出張では、高速路線バスや高速ツアーバスを数路線乗り継いで車中2泊しながら何社かの事業者を回ってきた。既存の路線バス事業者も、早期の「移行」を目指す高速ツアーバス企画実施会社も、いずれも「新高速」に向けて焦点が合ってきたようだ(もっとも、私の所にお声掛けくださる会社に限って、かも知れないが)。報告書通り年内に省令以下の改正が行なわれたとして、高速ツアーバスからの「移行組」はその時点ではまだバス停の完全な確保は間に合わないだろうし、仮に個別にバス停を確保できたとしてもその時点でイチから新規に乗合許可申請を行なうことになる。対して「既存組」高速路線バスは、省令改正と同時に「新高速」のメリットを享受することが可能である。

詳細を見るとまだまだ具体的に決まっていない点も多く身動きを取りづらいのは理解できるものの、既存事業者には、今まで以上のスピード感が求められていると感じる。おかげさまで、私も出張で宿題をたくさん抱えることになった。来週もまた、夜行便で某社へ向かう予定だ。本当は、こんなブログをのんびり書いているヒマはないのだが。取り組み方しだいで高速バスにはまだまだ成長余地が大きいこと。高速バスでの変革が成功すればバス産業全体に対しても何らかのインパクトを与えられること。そして、右肩上がり時代の終焉に立ちすくむこの国の縮図のようなバス産業に変革をもたらすことができればその先には……原点だけは忘れず、溜まったメールと宿題を一つずつ処理しよう。





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Last updated  2011.07.29 11:37:06
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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