堀日亨上人による「開目抄」解題(2) (創価学会版:「開目抄講義」より)
― 第一に形式 即ち外相に就いて(1) ―後人の釈明を須たず 大聖人自ら弟子檀那に 現文中にも また 殆ど年を越えずに仰せられて 本抄の重要を示されてある。即ち、開目抄(下巻)には・・・・・日蓮といゐし者は去年九月十二日子丑の時に 頚 刎ねられぬ【はねられぬ】此れは魂魄・佐土の国にいたりて返年の二月雪中にしるして有縁の弟子へ贈れば【をくれば】畏ろしくて【をそろしくて】・怕そろしからず【をそろしからず】見【みん】人いかに・怖【を】ぢぬらむ,此れは釈迦・多宝・十方の諸仏の未来日本国当世をうつし給う明鏡なりかたみともみるべし。(堀日亨編纂 新偏御書:P.223) http://www.sokanet.jp/sg/sn/gosho_text.html?key1=223&ref=nullまた、富木殿御返事には・・・・・日蓮が臨終一分も疑無く頭を刎ねらるる時は殊に喜悦有るべし大賊に値うて大毒を宝珠に易ゆと思う可きか。鵞目員数の如く給び候い畢んぬ御志申し送り難く候法門の事 先度 四条三郎左衛門尉殿に書持せしむ其の書 能く能く御覧有る可し(堀日亨編纂 新偏御書:P.962)http://www.sokanet.jp/sg/sn/gosho_text.html?key1=962&ref=Kyogakuまた、種種振舞御書には・・・・・さて皆帰りしかば去年の十一月より勘えたる開目抄と申す文二巻造りたり頚切るるならば日蓮が不思議とどめんと思いて勘えたり此の文の心は日蓮によりて日本国の有無はあるべし譬へば宅に柱なければ・たもたず人に魂なければ死人なり日蓮は日本の人の魂なり平左衛門既に日本の柱を倒しぬ【たをしぬ】只今世乱れてそれともなくゆめの如くに妄語出来して此の御一門 同士討ち【どしうち】して後には他国よりせめらるべし例せば立正安国論に委しきが如しかやうに書き付けて中務三郎左衛門尉が使にとらせぬつきたる弟子等も強義【あらぎ】かなと思へども力及ばざりげにてある程に二月の十八日に島に船つく、鎌倉に軍あり京にもあり(堀日亨編纂 新偏御書:P919)http://www.sokanet.jp/sg/sn/gosho_text.html?key1=919&ref=Kyogakuまた、三沢抄には・・・・・又法門の事は佐渡【さど】の国へ流され【ながされ】候いし已前の法門は・ただ仏の爾前の経とをぼしめせ此の国の国主我が代をも・保つ【たもつ】べくば真言師等にも召し合せ給はんずらむ爾の時まことの大事をば申すべし弟子等にも内内【なひなひ】申すならば披露【ひろう】して彼等【かれら】知り【しり】なんずさらば・よも会わじ【あわじ】と・思いて【をもひて】各各にも申さざりしなり。而るに去る文永八年九月十二日の夜たつの口にて頚をはねられんとせし時より・後【のち】不便【ふびん】なり我に附き【つき】たりし者どもに真【ま】ことの事をいわざりけると思うて【をもうて】佐渡【さど】の国より弟子どもに内内申す法門あり此れは仏より後迦葉・阿難・竜樹・天親・天台・妙楽・伝教・義真等の大論師大人師は知りてしかも御心の中に秘せさせ給いし・口より外には出し給はず其の故は仏制して云く「我が滅後・末法に入らずば此の大法いうべからず」と・ありし故【ゆへ】なり日蓮は其の御使にはあらざれども其の時剋にあたる上存外に此の法門を悟り【さとり】ぬれば聖人の出でさせ給うまでまづ序分にあらあら申すなり而るに此の法門出現せば正法・像法に論師人師の申せし法門は皆日出でて後の星の光・巧匠の後に拙を知るなるべし此の時には正像の寺堂の仏像・僧等の霊験は皆きへうせて但此の大法のみ一閻浮提に流布すべしとみへて候各各は かかる法門に契り【ちぎり】有る人なれば・たのもしと・覚ず【をぼす】べし。(堀日亨編纂 新偏御書:P.1489)http://www.sokanet.jp/sg/sn/gosho_text.html?key1=1489&ref=Kyogaku已上の所引の如く開目抄には日蓮は現在には竜の口で頚切られ 其の魂魄が書き附けて有縁の弟子に「佐渡から送る」と云われ富木殿には「法門の事は四条金吾に書を送ったから能々見られよ」云われている。二月比に開目抄を送られて直後の注意であるそれから4年後の「振舞御書」には明白に「開目抄二巻を四条中務三郎左衛門が使に持たせた」 ・・・と記して「日蓮が霊妙不思議の宣言を此の書に留めた」と自ら珍重し給うてある。但し安国論の御警告は表面上に強くして 自らも再々 公けに絶叫せられたのに反し本抄の深意は裏面に重大で 有縁の人々の心中に深く注入せられたのであって大に趣きを異にしてある、此れを本抄の興起成立とする。※「eco◆Smw69BiSBO」より原本では「旧かな使い」や難解な表現が多分に含まれていた為一部の文章につきましては解りやすい表現に治した部分もあります。また、難解な表現につきましては「Infoseekマルチ辞書」へLinkさせております。