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カテゴリ:競馬関連本の感想
先の「JRAディープインサイド」に続いて読みました。 ---------------------------------------- 内容は、日本経済新聞の運動部で競馬を担当している著者が、21世紀になって 競馬の凋落(JRA、地方)について、危機感を綴ったものです。 実際の競走馬として「ハルウララ」「コスモバルク」「ホリエモン」が 出てきます。 いずれも、一般の視点からは分からなかった内情をルポしています。 ・なぜハルウララがあれ程人気したのか。 ・コスモバルクがJRAに移籍されなかった理由。 ・ホリエモン(人間のほう)が、地方競馬を買収しようとして失敗した理由 など ほかにも、畜産という名で保護されてきた馬産地の話、海外への開放に関する 問題などは前回読んだ「JRAディープインサイド」と似た話が出てきます。 独自の視点で鋭く競馬にキレ込んだ本と言えると思います。 「JRAディープインサイド」を読んで思った疑問の解が少しだけ書いて ありました。 【疑問】競馬は何故、毎年売上げが減っているのか? 冒頭に著者はこんなことを書いています。 >競馬は、絶えざる「血統改良」の場として位置づけられた。レースを通じて >敗者を淘汰し、勝ち残った強い馬=エリートだけが、子孫を残すことができる。 >もとより「階層上昇」を疑似体験できるような場ではないのだ。 サラブレッドは、アラブ3頭を起源として血統を重視してきた歴史があります。 欧州では貴族の遊びであり、自分達の優越感を満足させるための道具でした。 弱者を淘汰し、強いものだけが生き残るサバイバル。 一方日本では、軍用馬を育成する目的で戦前は競馬を国が振興した歴史があります。 戦後は、「賭博」という後ろめたさを農林水産省がJRAに押しつけて国庫にお金を 収める道具として競馬が存続します。 第一次競馬ブーム(1970年代前半)と言われたハイセイコーは、大井出身で中央に 殴りこんで来て連勝し、クラッシックを勝ちました。 第二次競馬ブーム(1980年代後半)のオグリキャップも笠松から出て中央の有力馬を なぎ倒します。 マイルCSから連闘で臨んだジャパンカップは今は伝説のレースとなりました。 いずれも、日本人が大好きな「判官贔屓」から人気が出ています。 第一次競馬ブーム・第二次競馬ブームは競馬をやっていなくとも良く覚えています。 第一次競馬ブームの頃は増沢末夫騎手が出したレコード「さらばハイセイコー」を 口ずさみながら小学校に通っていました。少年漫画の表紙を飾ったこともあります。 第ニ次競馬ブームで最も印象的だったのは「UFOキャッチャー」。オグリキャップ の縫いぐるみを始め、メジロマックイーン、イナリワンなど競走馬の縫いぐるみが ケームセンターに多数ありました。 車で走っていると、後部座席の後ろに競走馬の縫いぐるみがたくさん置いてある車を 良く見かけました。 それくらい、競走馬が親しまれた存在でした。 ところが・・・ 現在は、地方と中央の馬に投資する金額の差が拡大し、かつてのような地方からの 有力馬が出にくい環境になっていると考えます。(たいようのマキバオーを読むと 良く分かります^^;) また、地方から強い馬(例えばメイセイオペラ)が出てきても、日本経済が疲弊 していると、立身出世というのが現実感が伴わなくなって、結局エリートと言われる サンデーサイレンスが勝つ競馬を苦虫を噛んだ思いで見ることになります。 第一次競馬ブームはいざなぎ景気の後でオシルショックの前。第二次競馬ブームは バブル経済と言われた頃です。 競馬ブームは経済と深くかかわっていることが分かります。 エリートが勝つことを目的としている競馬は、不況の時代になじまないのだと 考えます。 もうひとつ面白い話。 >「若者には難しすぎる?」 >昨今のメディアをにぎわしている話題に「学力低下」がある。(中略) >教科の学習も競馬の知識習得も、意欲のない人には苦痛以外のなにものでもない。 >(中略)競馬にまつわる多くの情報や知識を取り込もうという意識を、いかに >喚起するか。この課題に答えがまだ出ていない。 競馬の複雑性については、以前マージャンとの類似性で書いたことがあります。 (→ココ) 非常に複雑怪奇だし、それゆえに面白い側面も持っているのが競馬です。 ところが、学力の低下(?)により、若者は簡単に出来るパチンコ、スロットに 手を出すと言っています。 日本だけではなく、米国は競馬場にスロットマシーンを置く競馬場が高収益を上げて いると言う報告が以前週刊競馬ブックに書いてありました。 学力が1990年代から2000年にかけて大幅に下がったとは思えません。 おそらく、1990年代に若者を熱狂させた背景に「ダービースタリオン」という ゲームの存在が欠かせなかったのではないでしょうか。私自身、20代の頃は 競馬が嫌いでした^^; 居酒屋で競馬好きが集まると、複雑怪奇な用語を使って延々と話をします。 説明を求めると「やってみればわかるよ」と答えるだけ。 複雑さは、今も変わっていません。(3連単などの発売でさらに複雑になったかも) それをTVゲームという形で、若い人にルールを理解させた功績は大きかったと 思います。 現在、競馬ゲームが流行っているという話は聞きません。 後輩と飲みに行って「競馬って何ですか?」と聞かれたら「やってみれば 分かるよ。」と答えるでしょう。自分でも説明に窮すると思います^^; 「JRAディープインサイド」「競馬よ!」ともに、馬券必勝法とは関係あり ません。でも、色々と考えることができました。 2つの本の問題提起を読んで、日本の競馬事情について少しは理解することが出来 ました。しかし、競馬については、読後も考えは変わっていません。 「サラブレッドが走ることに賭ける」 それが競馬です。 地方競馬場の未勝利戦も、フランスの凱旋門賞も全て競馬。見る人がレースを 「博打として」または「スポーツとして」見るか、それによって楽しさが違って くるのだと思います。どちらも素敵な見方だと思います。 競馬がいつまでも存続し発展してくれることを願っています。 もっと言えば^^; 競馬人口が少なくなると、競馬の上手い人が残ることになります。 競馬は、投資されたお金から一定の控除を引いた残金のぶんどり合戦です。 へたくそな私の取り分がどんどん減って行くことになります^^; 競馬ブームが再び盛り上がって私より下手な人間が多く参加することによって自分の 取り分が多くなることを希望します。 自分が一番下手だとダメだろっ!!(*`◇´)=○☆)゚o゚)/ バキッ! 競馬の研究はライフワークなので、いつかは上手くなりたいと思っています^^; JRA貯金の引き落としが凍結したままですが・・・ 「あとがき」に、こんなことが書かれていました >何年か前、職場(日本経済新聞運動部)の学生アルバイト君に、こう尋ねられた。 >「競馬って、夢とロマンの世界ですよね?」 >私は即座に答えた。「とんでもない、欲と打算とリアリズムの世界だよ。」 >「お前は競馬が嫌いなのか」と、突っ込まれそうだが、決してそうではない。 >むしろ、人間の欲こそが、競馬を前に進めるエンジンだったのだ。 今の競馬サークルには、ハブル期に楽をしたせいで「欲」が無くなってしまったと 嘆いてしめくくっています。 競馬を発展させるのは、人間の欲です。これからも貪欲に競馬に向き合って いきたいですね。 読書の秋は、これにて一時休止^^;。だいぶ回顧も溜まったので3連休では 予想と回顧を頑張ります。来週はクラッシックだしね(^_^) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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