１９９２．４．５
早朝、５：２５
ろんぼはうまれた。
前夜から、落ち着かない様子の「くま」は
コンクリートのたたきを無性に掘ろうとする。
「いよいよかな・・・」
一度出産経験のある「くま」は２歳。
ほんとに賢い子で
散歩もリードはいらないほどだったから
まよわず、この夜もリードをはずしてやった。
一目散にむかった先は
昼の間、はなしておいた庭先に掘った
ちょうど、じぶんの体がすっぽりおさまるほどのおおきさの穴。
はなみずきの根元のゆりかごのような形の穴。
まあるくうずくまるように横たわり動かない。
息も荒い。
一晩中、おなかと背中をなでつづけた。
まだ、ひんやりと冷たい空気の中
まっくろな「くま」の背中がモゾモゾと動く。
ほのあかるい朝のひかりのなか
よーく目をこらしてみると
それはうまれたての「まっくろ」なちいさなちいさないのちだった。
それから三時間かけて
「くま」はよっつのいのちを運んできた。
どういうわけか
ほかの子が「くま」のおっぱいにしがみついている時も
ひとり、「くま」の背中のうえでひたすらねむる
"
going my way"
な子は
その後もこの性格をそのまま維持し続けることになり
それから
１４年間ねこもりやと共に生き
ねこもりやをあたたかく包み込む「ひだまり」でありつづけた。
-「ろんぼ」誕生の日-
ねこもりやのビッダーズ
INOCHI no RING
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