猫並生活

[習い事日記] カテゴリの記事

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• なるほど、怖いかもしれない

  今日、初めて円朝の声なるモノを聞きました。カルチャーの講座も、だんだんと残り少なくなりまして、登場する資料の種類も歌舞伎から落語へ比重が移ってきているよう。ようやく、落語も音声が登場。どうやらビジュアルも出る予定があるみたいだけど、まぁ、どうなんでしょう、落語はビジュアルはね、あった方がいいけど、なくてもいいから。で、円朝。円朝の、牡丹灯籠。なるほどねー、こういうものだったのか、って感じ。何が意外かと言えば、まず、話のペースっていうか、速度。ゆっくりなので驚きました。寄席で語るんだから、きちんと内容が伝わるように、物語ってる感じ。だからこそ、怖いってのも、判る。うん。確かに、この感じで淡々と語ってて、ろうそくの明かりでぼんやりした寄席なら、話に聞き入るほど緊張感が増して、ちょっとの刺激にビビるかもなーでも、これだと、講談とどう違うんだろうなって、気もしまして。いや、もともと私、落語と講談って、はっきり区別できなくて（笑）、講談の方がより物語っぽい気がしているだけだから、こういうストーリー性の強いモノは違いが判らなくて当然。ただ、同じストーリー性と言っても、子別れなんかはちゃんと落語に感じられるのは…やっぱり口調かな、どうだろう。そうそう、円朝の肉声に驚いたのは、歌舞伎で役者がやる円朝の役の感じとあまりにかけ離れていたからよ！円朝の役って、噺家らしい感じ。立て板に水っぽい、そんな。あれじゃ、怖くないもんな、牡丹灯籠も累ヶ淵も。

  2012.02.27

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• 化石ってこと

  今日のカルチャーで見た映像が、欲しくて仕方がないのだけれど…これがなー、DVD化されていないものなんだなー、VHSなら比較的簡単に手に入るみたいなんだけども、さて、どうしたものか。ダビングしてくれるサービスは世の中にいくらもあるけど、そんな手間をかけるほどのものか？いやいや、手間をかけたとたんにDVD発売されちゃうかもしれないじゃん、なんて（爆）そんな今日のお題は、先週から引き続いて芝居小屋の話でしたが、印象に残ったのは、全国にいくつか残っている昔々の芝居小屋のこと。金丸座とか八千代座とかのことですが、ああいうのが今の世の中まで残っているのは、ひとえに、その町が活性化されないまま今日に至ったから、とな。その町の人々の、文化意識が高いとか、そういう理由じゃない。あはは、そりゃそうだよね、文化的価値が出る前の段階に、ただの流行遅れっていう時があるんだもん。いわく、その町が正しく活性化されていけば、全国各地に数多あった明治以前の芝居小屋は、演説場のように改造され、さらに映画館となり、映画が斜陽になってからはボーリング場になったりパチンコ屋になったり取り壊されたりしているハズ。うん、確かに。それが残っているのは、新しいモノを受け入れて盛り上がるほどの活気が、すでに町から失われていたから。なるほど、よくわかる。化石みたいなもんだ（爆）ツタンカーメンだって、寂れてたから盗掘されずに済んだんだもんなぁ…金丸座なんて門前町だし、こんぴらさんは日本を代表する観光地なのかと思っていたけど…案外、こんぴら歌舞伎が始まってからの方が賑わうようになったのかな、そうかもな。京都の歌舞練場ですら、映画館になってるところもあるくらいだもん、そうだよなぁ、なるほど。じゃ、その寂れ具合に感謝すべき？いやいや…そういうところが、アンティークな芝居小屋ひとつで持ち直すとは思えない。何か強力な…八千代座のように毎年玉三郎がやってくるっていうようなイベントが付随してこないとダメなんだろうな。劇場が町はずれにある（徒歩圏内）ならいいけど、郊外以遠にあるのはちょっとなぁ…そこら一帯が全部芝居町ってんならまだしも、住宅地の中に忽然ととか、田んぼの中にどどーんなんていうのには、全く惹かれないワタクシなのでありました。◇◆◇必要に迫られて…facebookとTwitter。そして引越し準備中。facebookは、そもそも仕事で必要な時があって以前にも登録してたんですが、すぐに隠れました。だって…旧友と再会するくらいならいいですが、私は不特定多数のヒトと出会うような仕事もしている関係で、こちらは覚えていないのに相手は私の名前と一部の身分を知っている状態というのがよく起きます。それで、何か問いかけられても困るし、お友達になりたくないし（爆）、何よりそういうところから仕事上の質問をしてくるヒトがいて迷惑なのでした。業務サービスは有料で受けてくれ！基本的に本名…とはいえ、舞踊名だって仮名ではないからいいかなとか、まぁ地味な仮名を使ってるヒトもいるらしいし、さまざま手段はあるものの、そこまでして参加したい世界でもなかったので、プライバシー設定で誰ともつながらなくしてしまっていたのですが。今回、ちょっと、そうもいっていられないか？な状況が見えてきて、もしかしたら設定を変更するかもなってところです。でも、以前の用な連絡は一切受けないぞっと。ヒト違いでつっぱねてもいいしな。うん。私の本名は、一般人としては少々派手で芸名っぽいとはいえ、ケイト・ミドルトンとか小和田雅子とか、前田敦子とか木村拓哉とかってヒトもいっぱいいるハズだし、親の趣味で坂本龍馬とか西郷隆盛って付けられちゃったヒトもいるらしいから、自分で思うほど目立つわけないだろう、きっと。Twitterの方は、もうこれは完全にしょうにあわないので、一度仕事で必要になって登録して、次の日に削除していたんですが（爆）今回、ちょっと試したい機能があるのに、それにはTwitterのアカウントが必要だという…うーん、なぜ！試したい。つぶやかないんだから、いいか。フォローもしない気がするんだけど、したくなる可能性がないとは言えない。こっちは本名じゃないからな。ってことで、こちらも再登録。でもつぶやきませんけど。そして引越し。楽天のブログは、4年以上前から書いていて、で、前回のうるう年の2月29日にすべてをリセットしてゼロから再スタートしたのでした。月日はめぐって、再びのうるう年。この4年の間に施された機能の変更には、気に入ったところも気に入らないところもあるけれど、ちょうど今年になってからの諸々の変更は、気に入らない方ばかり。ちょっと嫌な感じが高まってきて、他所へ行きたい気分になっているのでした。他所と言っても、ピグのいる大人気のところはちょっとなんだし、中途半端に綴じてるmixiは触る気がなくて登録してあるだけだし、プロバイダーが運用しているところは猫たちのアルバムにしたもんだから、選択肢は限られている…地味で、「いいね」ボタンとかプレゼントとか余計なつながりのないところがいいな。

  2012.02.25

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• 小屋という概念

  常磐津のセンセのカルチャー講座、今期の3回目。1カ月ぶり。1回目は受講できたけど、2回目は六郎オジサンを観に行くためにお休みして、その後はセンセが博多座に出演していた関係でずっと日が空いて、ようやく3回目が今日。おかげで今期は日が足りなくなるらしく、最終の3月10日は2コマ続けての授業になる予定…は、いいんだけども。前回をお休みしているのでつながりが判らないというか、今日配布された資料からピッタリ始まったことにびっくり。じゃ、前回は予定通り終わったんだ？！へー今日からのテーマは、ハコ。劇場。歌舞伎の。江戸の芝居小屋から、明治の演劇改良運動を経て、劇場がいろいろに変ってくるところを、種類別や機能別や位置づけや意味づけの違いなんかで分類してみたりして。いまや、歌舞伎の劇場には何を観に行くのか、なんて話が出てきたり。何を観に行くのか…劇か芸か、っていう話は、なるほど。面白かったです。うん。劇か、芸か、そうだなー、どっちだろう。劇っていうのは、古典劇ってこと。その作品が作られた当時と今とでは価値観も風習も違うけど、それを判った上で当時の文化的な背景を踏まえてドラマを楽しむ。古典劇ってのは、長い時間をかけて磨かれてきたわけだから、いいものだけが残ってきているとも言えるわけで、生き残った名作の名作ならではの味を楽しむってことかな。芸は、伝統芸能としての歌舞伎の演技法というか、表現手法。そこまでの筋も人物設定もボロボロでドラマツルギーは破綻していたとしても、たとえば最後の切腹のところの、述懐と落ち入りの芸を味わうって感じ。そういえば、お正月に観た矢の根なんか、まさに芸を楽しむ演目だよなぁ…いや、いかにも劇としての完成度を持っていそうな寺子屋でも、文楽（や素浄瑠璃）と比較すると、たぶん、歌舞伎のスターシステムによって書き換えられた部分が元の劇の要素を破壊してたりするんだろうな…熊谷なんか、そうですもんね。文楽の方が納得感がある。あと、上方の、封印切なんかも。この話は、これから歌舞伎や文楽を見るたびに思いだしそうな気がするなぁ…とはいえ、今日一番印象に残ったのはこれじゃなくて、タイトルにあげた、小屋のこと。そういえば、劇場のことを芝居小屋っていいますけど…いや、そう呼んでいた江戸の昔にしても、今でも、芝居をする場所がいわゆる「小屋」だったことって一度もないですよね。小屋ってのは、基本的には個室でしょ、いや2，3人が普通かな…そうじゃないにしても、文字通り、小さくて狭い空間を指すはず。芝居小屋以外に思い浮かぶ言葉は、犬小屋とか豚小屋とかのケモノ関係と…講義でセンセが取り上げてたのは歌舞伎や文楽でもよく登場しているヒニン小屋。日本人の狭い家をウサギ小屋っていうしな。では、小さくないのになぜ小屋っていうのか。これは、なるほど、センセが取り上げたヒニン小屋と照らし合わせて考えてみるとしっくりくるようで。人の数に入らない役者が芝居をして見せる場所は、小屋なんですよって、そういう意志表示なのか、そうか、なるほどなぁ…お能はもちろんだけど、寄席だって、話小屋なんて言わないもんな。なんだか微妙な話題だけど、改めて聞くと1匹2匹と数えたとか笠をかぶって歩いたっていうエピソードよりもずっとリアルに感じられる気がしましたゎ。実感っていうか。寄席と言えば、電子書籍で読んだ岡本綺堂のエッセイに「『よせ』とは、もとは夜席と書いた」とかなんとか、出てきました。だから夜の部しかなかったと。娯楽がないだけじゃなくて、交通機関が整備されていない時代に、仕事が終わってから自宅から歩いて出かけられる娯楽ってことだったらしい。昭和の野球のナイターみたいなもん？それがいろいろ変わって、昼もするようになって、昼席・夜席になった…と、そういわれると、なるほどと思うし、だから基本的に夜がメインだったというのには、今は違うよね？そうは思えないけどな？！って感じたり。うん。

  2012.02.18

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• 菊五郎を見比べる！

  本日、納品！…で、相変わらず夕べ寝てなかったもんですから、3時からのカルチャー講座は内容がつまんなかったら寝ちゃうかもなーって心配だったんですが、おお、こんな時こそ！ってな巡り合わせ。どうも進捗が遅れていて、相変わらず世話モノやってるんですが、お富与三郎をちらっと見た後に、今日は弁天が登場。しかも、同じ役者でも芝居が変わるってんで…菊五郎の弁天を見比べる！しかーも。最初に出たのが1973年歌舞伎座のモノ…ってことは！おお！これは、菊五郎襲名の時ですね！約40年前ですが、今の菊之助より若い菊五郎。むっちゃキレイ。そして、声が若い。地のトーンが高いし、高音の澄んだ感じはちょうど今の菊之助と同じ。その分、低い声を使ってる分量が少ない。40年前だから当然だけども、今とはかなり印象の違う弁天。若くてキレイなんだけど…おお、そうか、そうだよね、セリフ回しも芝居そのものも、今の方が素敵。芸の力って、やっぱり凄い。その後に出てきたのが、歌舞伎座サヨナラ公演の弁天。配役が豪華なのは、襲名といい勝負ですが（襲名の時の南郷は羽左衛門、駄右衛門が二代目松緑）菊五郎のビジュアルはもちろん、芝居も全然違う。間も違うし、セリフの切れが違う感じ。聞いていて気持ちいいのは断然後の方。なのに…講師が「昔の菊五郎はとてもきれい」「今の菊五郎ははっきり言って見たくない」なんて言うもんだからムカつく。ふん、だ、覚えてろよ、終了時のアンケートで仕返ししてやる（爆）あー、でも、あの襲名披露の時の映像、私も欲しいなぁ。決して好きな弁天じゃないし、ウチにある30代後半で辰之助とやってる方がずっといいとは思うけど、でもビジュアルはなー、すっごいキレイだもんなー、襲名だしなー、どっかで放映するかな、やっぱりスカパー契約する？！うーん。

  2012.02.13

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  伊右衛門は江戸っ子

  御園座の余韻…ロコモコのお土産だったレトルトのカレー。今日のお昼に食べてみました。これって、要するにあの喫茶コーナーで出るカレーセットのカレーってことよね？！本格インド風ビーフカレーって…ちょっと邪道な気もするけれど（笑）味は悪くなかったです。食べた瞬間は、ま、普通かな。それに比べると、後味はちょっといい。ホテルのレストランで出てくるタイプのカレーみたいな。で、お昼ご飯を食べてから、もう一仕事して、15時からのカルチャーへ。歌舞伎のことば・落語のことばも、今日で4回目、かな。シラバス的には3回目なんだけど（爆）ようやく、今日から生世話。生世話と言えば、まず南北。南北といえば、当たり前のように四谷怪談。むむぅセンセの名誉のために…というか、ま、いくらなんでも歌舞伎とついてる講座だから、南北＝お岩さんってほど短絡的ではないんだけれども、でも、講義の途中に参考として映像を見せながら進めていくのに、やっぱり手に入れやすい南北は四谷怪談みたいですね。桜姫を出したかったんだけど…と、言い訳っぽかったり。Mr.タモツや常磐津のセンセと違って、幕内や制作側に太いパイプがない学者先生だと、映像資料を集めるったって一般人プラスアルファな感じだもん、確かに難しいかも。ま、その四谷怪談が、意外な配役で面白かったから結果オーライ。勘九郎時代の勘三郎の、初役？のお岩、かな。伊右衛門が、まだかろうじてイイオトコの気配の残る幸四郎（笑）直助権兵衛が孝夫の仁左衛門。いまほどガリガリじゃない！そして、その映像を見ながら、もともとのお題である「ことば」について解説を聞き…いつも聞いてる耳慣れたセリフなんだけど、改めて解説されると発見がたくさんあるモノですね、学者先生も伊達じゃないしカルチャーの学費も無駄じゃない？！そういえば、鬼平とか勝海舟なんかは、ドラマや映画はもちろん、新歌舞伎でも巻き舌のべらんめぇ口調で、それが江戸弁の特徴ってことになってますね。「ひ」が「し」とか、「え」が「い」おっぽくなるとか、そういうのと合わせてアタリマエのように聞いてましたもん。新歌舞伎じゃなくてもそう。明治維新前後の戯作者である黙阿弥の芝居は、武士だって江戸者ならそんな風。直次郎と河内山は同じ口調で話す…でも、ずーっと遡って、丸本物ではそうじゃない。大星も義経も江戸っ子じゃないからな。それに義太夫節、いや、人形浄瑠璃そのものが大阪産だから、当然と言えば当然。だけど、忠臣蔵の外伝の四谷怪談は、江戸作で舞台の江戸だから、塩谷の浪人の民谷伊右衛門も江戸っ子で、バリバリの江戸弁を話す。…そうか、もっと顕著なのは、もともとは大阪人の並木五瓶が書いた「五大力」を書き換えた「三五大切」か！この、南北あたり、生世話あたりから、江戸弁の武士が登場するってことのよう。だって、その前までは、武士は正当な言葉遣いをするから、たとえば「行かない」とは言わず「行かぬ」といい、「そうだ」じゃなくて「そうじゃ」だったハズ、とか。ふーん、なるほど。江戸歌舞伎ってこのあたりのことか。丸本物は輸入品ともコピーともパロディとも言えるもんな。そうかぁ…

  2012.02.06

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• 大工調べを聞き比べ

  今期の講座で受講している一つ、歌舞伎のことば・落語のことば、今日で3回目。1回目に出て、先週の2回目はどうしても動かせない仕事が入っちゃって泣く泣く欠席し、3回目の今日は無事に出られたのだけれど…そして、1回目の時に2回分の資料が配られていたので助かったのだけど…3回目にして、講師から「このままだとどうも予定通りには終わりません」なんてエクスキューズが入ったのでびっくり。そんな…笑い事か？いや、そういうスタンスでいい世界なのか？受講者のみなさんも、なんだか笑いながら受け入れているので、それにもビックリ。ふーん。まーね。内容が面白ければ別に予定通りに進まなくても文句は言わない。今期もう一つ受講しているリピート講座の方だって、常磐津のセンセは毎回予定を積み残すもんな。でもなぁ…最後の8回目まで、途中でなんとか追いつこうとか取り返そうとか、そういう努力を見せようと言う意志はないのか。いや、フリだけでも見せとくべきじゃないのか。違うのか。うーん。初めてのセンセだからねー、自分以外の受講者（リピーターもいるハズ）の受け止め方や反応の意味するところがイマイチわかりませんでした。ま、いいか、仕方ない。それに、落語の分が減るって決まったわけでもないしな。落語がやりきれないかもしれないから、歌舞伎のうちに、話題に関連した落語の話も挿入しながら進めるとか、なんとか。で、今日、さっそく、落語を聞いちゃった（見ちゃった）わけですゎ。話題は悪態と啖呵。主題、というか、歌舞伎側で取り上げてたのは揚巻の、あの、悪態の初音で、サヨナラ公演での玉三郎の揚巻を、まずDVDで見せてもらいましたが…いやー、驚きました。なんだか、セリフ回しというか、発声や発音に違和感があって。私自身、劇場で2度か3度か見てるモノなのに、その時と感じ方が全然違う。録画（録音）として見ると、やたらにこもって聞こえるんですもん。確かに、時代物で、声を張るような時には、玉三郎のセリフって、私の耳には籠って聞こえる時もありました。女暫とかね。でもこの助六の時はなー、そんな記憶はないんだけどなー私の耳が壊れたか、デジタル音源のせいか、なーんて思ったりもしたけど、ついでに流れた福助・白玉のセリフはいつも通りの声にいつも通りのセリフ回しだったから、違うように聞こえたのは玉三郎・揚巻だけ。むむぅ。そして、悪態と啖呵についての蘊蓄というか解説のようなものを聞いて、それから落語の啖呵をDVD鑑賞。なんと、同じ「大工調べ」という噺を、談志と志ん朝で！わー、これは嬉しい。なんだかラッキー。このコース、受講して良かった（笑）もちろん全部聞けるわけじゃないんだけども（時間がないしね）、啖呵を切る同じ部分を続けて聞き比べまして。へー、全然違うわ。筋は同じだけど使いことばが違うし、何より登場人物の性格設定がまったく違う。なるほどねーどっちがいいとも悪いとも思わないけれど、どちらかと言えば、私は志ん朝の大工調べの方が、この啖呵のところに限っては好きだなぁ。うん。さて、この講座、来週のお題はいちおう生世話モノで、予定では四谷怪談が見られるハズ。しかも資料に乗っているのは、幸四郎の伊右衛門に勘三郎（勘九郎）のお岩。1992年。30代半ばの勘九郎が見られるんだよね…しかも直助権兵衛が仁左衛門（孝夫）だし。よーし。何事もなく、予定通り出席できますように（祈）と思って、目の前につり下げてある演劇界の付録のカレンダー（日付のところにその日が誕生日の役者名が載ってる）を眺めてみたところ…今月は菊五郎の直次郎なので気持ちが良いのですが…あら、今日1月30日は松也くんの誕生日ですね。ほほぉ、そうか、じゃ、あとでブログも更新されるかな。ね。

  2012.01.30

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• 贔屓は竜の子であった！

  今日は大寒に相応しい、なんとも寒い寒い一日。できれば外になんぞ出ないで、猫でも抱いて引きこもっているに限る感じ。とはいえ。今日から始まるカルチャーの講座があるんだゎ。常磐津のセンセのヤツね。前回はMr.タモツの講座とかぶっちゃったので受講しなかったもんだから、1年ぶりになるのかな、ずいぶん久しぶりな感じ。しかも、当初予定されていた初回は先週の土曜だったのに、誰の都合だか（いろいろなヒトの都合らしいです）、初回と来月の4日が休講になり、その分は3月へ。だから、今日がようやくの初回。それにね、常磐津って今月あっちこっちにかかってて、そのあっちこっちでこのセンセをお見かけしてるもんね。って、思っていたら、ご本人いわく。中村座の昼の身替座禅に出て、夜のお染の七役に出る、その間に上手くこれがハマったとか。確かに、私がお染の七役を観に行った日にはお見かけしましたゎ。身替座禅は右の梅で見たため常磐津は見切れていて判りませんでしたが。でもさ、国立の奴凧なんて補綴してるじゃないですか。そしてその補綴に関してプログラムに文章も載せてる。私が見に行った日には演奏にも出てた…国立はちょうど今時分（15時くらい）では？と、思ったら、浅草の吉田屋にも出てるそうな。吉田屋は昼の切りで終わりが14時半くらい。国立の奴凧は3時半前くらいに始まる。ゆえに浅草から国立までタクシーを飛ばす…ほほぉ。どこも毎日出てるわけじゃないのは判ってるけど、中村座と浅草公会堂と国立劇場を掛け持ちして、しかもスケジュールが日替わりって…なんだか間違えそうで恐ろしい気がするけど、この季節の地方さんとしてはアタリマエなのかもしれませんね。で、教室に来て最初に「昨日と今日、中村座はとっても寒い」とか。そーでしょー、そーでしょー、想像できます怖いです、とんでもなく寒いんじゃないでしょうか。特に松席の前の方と1階正面の竹席の後ろの方は、いたたまれないような気がします。こんな日にチケットをとっちゃった因果だわぁ（爆）楽屋も寒いそうですが、客席だってねぇ！そんな今日。相変わらず用意した資料の解説より周辺事情のお話が多かったのですが…講義はこの時期のお約束と言うか、お正月についての話から始まって、以前にも聞いた内容と結構かぶる感じ。ま、これは仕方ないよね。何度聞いてもなるほどって思うし、今日はたまたま三津五郎の以前の矢の根の映像が観られて、演舞場でやってるのと比べられた点はとってもありがたかったし。お正月らしく曽我モノや七福神の話を聞いた中で、今年のお初というか、今年ならではの話題は干支の龍にまつわる話。それが、タイトルにあげた、贔屓のこと。贔屓って、龍の子の一つだっていうのは、私は今日初めて聞きました。「贔屓の引き倒し」っていう言葉の意味も、ちゃんと知ったのはこれが初めて。帰宅して、改めてネット検索したらちゃんと出てきました。フレッシュアイ・ペディアによれば、『中国の伝説によると、贔屓は龍が生んだ9頭の神獣・竜生九子のひとつで、その姿は亀に似ている。重きを負うことを好むといわれ、そのため古来石柱や石碑の土台の装飾に用いられることが多かった。日本の諺「贔屓の引き倒し」とは、「ある者を贔屓しすぎると、かえってその者を不利にする、その者のためにはならない」という意味の諺だが、その由来は、柱の土台である贔屓を引っぱると柱が倒れるからに他ならない。』ですって。重石を背負った亀って言われると、玄武をイメージしちゃうんですが…フレッシュアイ・ペディアのページに載ってる、中国の公園によくあるらしい石像のお姿も、なんだか玄武っぽいというか…昨日の私ならこの石像を見れば間違いなく「これ、玄武でしょ？」っていうと思いますです。じゃぁ、何か、たとえば、私は菊五郎の贔屓っていうと、私は菊五郎を背負った亀って感じ？なんてね。最近の菊五郎サマ、石柱より重たいかも（爆）ま、今年は辰年。私は年女。菊之助だって新年最初の演目が雪姫で「墨絵の龍」だもんな。いいか、龍づいてる分には亀でもなんでも。

  2012.01.21

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  歌舞伎のことば、落語のことば

  今日ね、私、48歳になりました。子供の頃はいつも祝日の次の日で、気分的には祝日が続くような気もしてたんですが、大きくなるとことごとく試験にあたり…社会人になってからは「まさか崩御の日にならないだろうなぁ」と心配したり、「ギリギリで震災の日から外れた」と複雑な心境になったり、イマイチなんですゎ。それでも、誕生日は嬉しい。嬉しいから自分から率先して祝っちゃう。その一つ、毎年お約束の今年の1枚、実はもう着ちゃったんだよねー、初芝居で。あの日、雨かもって予報が出てたので、寒々しいかと思いつつも付け下げの裾を汚したくなくて着ていった雨コートがお初でした。今年は帯でも着物でもなく、これが誕生日記念なり。デッドストックだって言う昔サイズの大島で作ったものなんですけどねー、4日は結局雨にならず、お初の雨コートを濡らすことにはなりませんでした。それと、誕生日だからってケーキが必要なわけでもないんだけれども、なんとなくイチゴショートが食べたくてお向かいへ。そしたら、1月のケーキっていうのがあって…どうも限定品に弱いので、ついこちらのタルトも買っちゃったんですけどね。　その、お向かいの東京洋菓子倶楽部では、お誕生日ケーキを予約したり、そこでお誕生会をすると、こんな風↑に祝ってくれます。この看板に書かれているお名前を見て、つい写真を撮ってしまった私。その理由は…ワタクシの本名をご存知の方ならお分かりになるでしょ（同名ってわけじゃないです）。同じ誕生日、この子に会いたいな（大笑）そんな今日。冬季のカルチャースクールで選択した講座の一つが今日から始まりました。お題はタイトルにあげた「歌舞伎のことば、落語のことば」。全6回で、歌舞伎と落語と半分ずつになってるよう。1回目の今日は、歌舞伎。荒事と江戸ことば、というテーマでした。今まで私が受講した歌舞伎関係の講座のように、評論家とか演奏家とか幕内あるいはそれに近いヒトの講座ではなくて、講師は研究者。研究しているから、一般の芝居ファンよりはそれなりに接点を持っているんでしょうけど、今日聞いていた感じからすると、単なる團十郎ファンって感じがしないでもない、そんな感じ（笑）90分の講義の中で、配布資料を素材にした解説だけじゃなくて、映像資料も見せてもらえるあたりはちょっといいかな。でも、今日あたり見せてもらったものは、ものすごーく珍しい資料ってほどでもないんだけども（その気になれば自分で手に入れられる）、それでもテーマにしたがって収集して、適当にピックアップしてみるっていうのは手間だもん、ありがたいです。いや、私にとって一番ありがたいのは、やっぱり配布資料の内容。古文書なんぞ読めないし、その手の文献は映像資料より探すのが面倒だもんね。引用してくれるのは、とても嬉しい。面白そうだと思ったら、タイトルと著者を頼りに探せばいいんだもんね。便利便利。で、今日はテーマの通り、江戸のことばの発生いろいろと。布教にやってきた外国人が、都の言葉と江戸の言葉の違いを自分たちのために書き起こして文法書にまとめたって本の記述がなかなか愉快でした。否定形は「ぬ」じゃなくて（東国訛りでは）「ない」を使うとか、「買うて」と言わず「買って」、「習うて」じゃなくて「習って」とか、現在でもそのまんまだねー驚いたのは「しぇ」。その文献には、東国では「しぇ」の音節はささやくように「せ」と発音する、と書いてある。おお…つまり…「しぇ」が本家というか、伝統的な発音であって、「せ」は田舎の訛りだったんですね！今では「しぇ」は九州の一部とか四国の一部とか、ずっと飛んで東北の一部でしか見られないとかなんとか、先生はおっしゃってましたが…「しぇ」と言われて思いつくのは、あなた、私の世代ならアレでしょう！「僕は死にましぇん！」っていう、アレ。あの人は長崎の人でしたっけか。そっち系の訛りなんでしょうけど、大昔、いや、江戸の頃には「死にましぇん」が主流？！そういえば…あのドラマ、時代劇としてリメイクされるそうですね。しかも同じ配役で、舞台とか。バブル真っ盛りの頃のトレンディ・ドラマを、なぜ、今…いや、それより、あのセリフは時代劇だとどうなるんだ？江戸だと主流…つまり都風の発音ってことになるんじゃないの？！ね？！

  2012.01.16

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• 今期2回目

  今日は、私も主催者側の一員である地唄舞普及協会の企画する今期2回目の催しがありました。日記でも宣伝しましたが、『年の瀬に賑わいと歓び』と題して、年の暮れをテーマにゆく年を無事に送ることを寿ぎ来る年を楽しみに待つ心持…というコンセプトで企画したもの。私たちが普及させたい地唄舞と、太神楽と女流義太夫の素浄瑠璃に出演を願って開催しました。何かと忙しい年の暮れ。しかもこの週末はあっちこっちで様々な催しがあったとか。そんな中、おいでくださった皆様、ありがとうございました。集客が今一つで凹んでおりましたが、一人でも楽しんでいただけたならよしとする。うん。来てくださった皆様、ありがとうございました。少ない中でのご来場は、いっそう嬉しいです。いや、空いててビックリガックリしちゃってたらゴメンナサイ。そして、私自身はご挨拶もできず失礼いたしました。今年は企画担当のワタクシ。それでも前回はそれなりに着物きて人前に出てしゃべっとりましたが、今日は大道具の音響の照明さん。緞帳上げ下げしたり、客電つけたり消したりしとりました。ええ、最後の義太夫でマイクを出しはぐって、途中で舞台上をとぼとぼ歩いてったオバサン大道具がワタクシです（爆）反省点は、集客と、このマイクの件だけじゃなくて、休憩の場内放送した瞬間に「いかん」と思ったこととかね、いろいろあったんですけど、日記でボヤいても仕方ないので反省レポートを作って次回に活かしたいと思っとります。地唄舞チームは、来年には東日本大震災を鎮魂する企画を控えております。いわき市から地域の伝統芸能を招致し、こちらからも地元小学生から舞踊サークルのみなさんまで一つになって支援の心を形にする踊りを披露する予定。踊りへの参加はもちろん無料ですが、観覧も無料なので、多くのヒトに集まってほしいと思っています。また宣伝するつもり。太神楽の和助さんは、なんと、この舞台のあと鈴本演芸場へ直行。今日が中席の初日だそうで、夜の部の2つ目に出演されています。もし…お気に召した方、ぜひ鈴本へも！女流義太夫のお二人は昨日も多摩地区でご出演だったハズ。連日お忙しい…のは時期的なものか、それとも人気だからか、両方か。大夫の越孝さんは、1週間余り先の19日（月）にある定期演奏会に出演予定。これも時期的に忠臣蔵ですが、今日の催しで語っていただいた刃傷じゃなくて、一力茶屋ですゎ。めんない千鳥ですな。いや、お軽ちゃんの「ととさんは、非業の死でもお年の上。それに引き換え勘平さんは、三十になるやならずで…」とひでぇ感想述べちゃうあそこかな。あはは今年最後の女義の定期演奏会には、人間国宝・竹本駒之助さんも出演するし、明治のアイドルの名前を継いだ綾之助さんも出る…にしては、料金がお安いので！ご興味をもたれた方はぜひ国立演芸場へ。実は、来季（4月から先の話）も、引き続きこのシリーズを企画しております。まだ企画段階ではっきり決まっていませんが、来季は組紐か扇子の絵付けができたらいいなとか、12月に忠臣蔵するなら港区らしく泉岳寺でどーだなどと、妄想している最中です。実はね、地唄舞にも忠臣蔵にちなんだ曲があるのです。それこそ、京舞の名人だった三世井上八千代さんがふりつけたモノは毎年祇園一力茶屋で催される大石忌で舞われるお約束の曲が。ともあれ、今期の企画は3月にあと一つ。年内はこれで納め。ちょっとほっとしたかも。いや、明日からたまっている（また、溜めてしまった！）本業に精を出さなくては年が越せないぞっと。◇◆◇この催し、港区の助成金を頂いている関係で、今回は「区民ご招待」を出しましたが、港区にたーくさんある各国大使館にも案内しました…ところ。あら、期待していなかったけど、意外なところから見に来てくれたみたい。ドラキュラの故郷、ワオキツネザルの故郷、そしてEUでもっとも律儀な先進国から。うーん、嬉しいぞ。好きになりそう。中でも行ったことのないところ…生きているうちに、ワオキツネザルを見に行きたいかも。

  2011.12.11

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• 今日で一区切り

  このところ、あんまり日記に書かなかったけれど、Mr.タモツの明治演劇史はずーっと、きちんと、出席しておりました。で、今日、夏の終わりから始まったこのコースの、いちおうの区切りを迎えたところ。明治演劇史自体はまだまだ続くらしいですが…そりゃそうだ、まだ明治半ばだもんな（桜の咲く頃に再びお目もじらしい）、通年学期にするにはMr.タモツもお忙しいようで。今日も、どこかの講座と掛け持ちでいらしたもよう。働くなぁ（爆）内容も、いよいよ明治も半ばで川上音二郎も概ね説明しちゃって、新派の三巨頭とかも出てきてるし、同じ演目を新派と歌舞伎で同時に興行しちゃうとかって話がいろいろ。先週は、片岡仁左衛門家の怨念の系譜みたいな話もあったっけ。今日はとりあえずの〆なので、新派の話もあったし、歌舞伎の話も少し、そして文楽の話も久しぶりに聞いたかも。で、その流れで、今月の文楽公演の中の「袖萩」がとてもいいとのこと。へー、こんなにはっきり褒めるのは珍しいかも。明治の名人と比較しながら、いや、比較すれば劣るけど、でも、部分的には勝ってると言ってもいいかもしれないくらいだとか、で。「ぜひご覧ください」だって。長いんですよね、確か、半通しみたいな感じだったか…私はまだ観てなくて、取ってあるチケットはなんと千穐楽なもんだから、すでに演目は記憶から飛んでいるのだけども…袖萩は切りだったハズ。Mr.タモツいわく「7時から9時、長いですけどね」とか、「7時40分くらいに入ればいいですから、そこらへんから袖萩の出なので」とか。特に三味線が素晴らしいとのこと。ふーん。そう言われると楽しみになってくるかも。千穐楽ったって、週明けてすぐの火曜日だよね。よしよし。…実は、中村座の昼の部についてのコメントも少しあったのだけど、同じくこちらもまだ観てない私としては…こちらはとりあえず頭の隅にしまっておいて見ることにします（爆）中村座夜は、文楽より1日早い月曜日だなぁ…

  2011.12.10

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  今さら反省する

  思い返せばあっという間な感じがしますが、初めての本舞台経験からもう1カ月。舞踊会の当日、終演後に打ち上げをするケースも多いらしいですし、これまでそういう場合もあったんですが、今回は日を改めての反省会。それでも皆さんのスケジュールがなかなか合わずに、これだけ日が経ってしまいましたとさ。自分の分の録画DVDはすでに受け取っているのですが、今日は、スチールを貰いまして、あらー、やっぱりプロの写真はアラが隠れるもんですね。これ、遺影にしようっと（爆）プロの写真は他にもあるらしく（何人かカメラマンがいたらしい）、あとでデータでもらえる分もあるとか、ないとか、たぶんあるとか。だったらこれをスキャンしなくても、そっちを待って、たまには「どーだ」な年賀状でも作ってみようかしらん。あはは。上機嫌だな、私。DVDを見るとガックリくるのも事実なんですが…とにかく初めてだったもんだから、どれくらいできるのか、できたらいいなと思うのか、やりたいのか、さっぱり目標設定できず、ただただ上機嫌に終わった私。今年の10大ニュースのトップもこれだよなぁ、たぶん。そりゃぁね、今日だって談志さんが死んじゃったくらいで、これから1か月余りの間に何があるか判んないけどさ、とりあえず、かなりの確率で、これが1番だと思うな。その反省会に出かけた場所は、久しぶりの麻布十番。いや、住所としては東麻布。中国飯店のお気軽支店らしい紫玉蘭というお店でしたが、個室になってて静かだし、ランチのメニューはかなりリーズナブルなので、ちょっとした集まりなんかにいいんじゃないでしょうか。上段左から、前菜盛り合わせはピータンとかクラゲとか。中央はふかひれのようで、じつは上海ガニスープで、右はエビ。下段左は酢豚、中央にあるのはここのウリらしい醤油チャーハンで凄い色だけど全然しょっぱくないです。右はデザートで、タピオカ入りマンゴーミルク。量的には少なめかも。でも、ランチなのでこんなもんじゃないでしょうか。この辺、懐かしいです。大昔、このあたりで2年余り働いたこともあったっけ。まだ大江戸線も南北線も通ってなくて、この交差点に駅はなかった時代。その頃からあるドミノピザが健在なので驚く…

  2011.11.23

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• 12月には座敷芸の催しを

  地唄舞普及協会主催の、今年2回目の催しは、事情あってチケ代が値下げになりました。だったらそれを、宣伝しなくちゃね。去る9月にホテルオークラ東京で開催した「第1回地唄舞に見る日本美の世界」は、『おもてなしの文化と粋』と題したお茶つながりの内容でした。茶道と、それに縁の深い華道、そしてお茶にちなんだ地唄舞とを組み合わせて、鑑賞も体験もと欲張ってみたのですが…良かったこと、改善しなきゃ！なこと、さまざま課題を得ましたゎ。で、来る12月には、これとはかなり目先の違う内容で第2回を開催予定しております。チラシが、右の図。テーマは『年の瀬の賑わいと歓び』。無事に一年を納めて新しい年を迎えるめでたい気持ち…を、もともと座敷芸として発祥した3つの伝統芸能でお楽しみにただく、と、ともに、今回は日頃体験する機会はとても限られている！と思われる義太夫節の体験コーナーを設けてみました。座敷芸…内容は、地唄舞、太神楽、義太夫節。3つの芸を鑑賞し、それに続いて義太夫節のワークショップを実施。地唄舞は私ども花崎流から、家元の杜季女と、後2人出演予定。太神楽は国立劇場の研修所講師でもある翁家和助さん。先月は、国立演芸場の花形にも出演されてましたっけ。そして義太夫節は、女流義太夫の竹本越孝さんと鶴澤三寿々さん。女流義太夫といえば、来年は初代竹本綾之助の没後70周年だそうで、紀尾井ホールで山本陽子主演の「邦楽ドラマ」なるものが公演されまする。三菱商事が特別協賛してて、あらら、なんだか盛り上がってる？感じですが、それに先だって！！！わたくしたちの催しがあるざんす。それがね、ちょっと、嬉しいんですゎ。あはは。これから来ますよ、じょぎ。で、この、私的には盛りだくさんじゃないの！と思う催しのチケット代は、一般二千円、高校生以下はなんと千円。ロードショーよりお安いです、はい。さらに、別室で墨絵アートの体験コーナーもありまして、これは限定16名様なんですけどね、材料費をプラス千円していただいて、年賀状制作に役立つ墨絵アートを北原ゆかりさんに習えちゃう（早いもん勝ちだな）場所は、赤坂区民センター・ホール。前回の、ホテル宴会の時のように「後ろの席は見えなかったわ！」「狭くて混雑！」の問題も解決します。詳細は以下。日曜日に年の瀬の賑わいを楽しみにいらしていただけると嬉しいです。今回はお子様も大歓迎！日時：　12月11日（日）　14時開演（13時半開場予定）場所：　赤坂区民センター・ホール内容：　第2回地唄舞に見る日本美の世界『年の瀬の賑わいと歓び』　鑑賞の部　地唄舞・太神楽・義太夫節（公演順）　体験の部　義太夫節・墨絵アート（定員あり）お申込み・お問合わせ　社団法人地唄舞普及協会電話：080-3933-8731　メール：jiutamai.fukyu@gmail.comサイドバーから私にお問い合わせくださっても大丈夫。ぜひ！

  2011.11.06

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  プレ年女記念

  いや、早生まれで同級生はみんなウサギ年なんだから、年女記念でもいいか。昨日はお稽古している地唄舞花崎流の、年に一度の舞踊会。そこへ、私も初めて参加しました。念願の初舞台ですゎ。本番後の楽屋写真→　目標は年女記念の本舞台経験だったのですが、もろもろの都合により今年に前倒し。しかも、地唄舞としては異例の団体戦。一人で舞台上にいるのは4分くらい？全部で登場時間5分程度の瞬間芸ではあったのですが。それでも嫁に行ってない私にとっては初白塗りの初ヅラ。裾を引く衣装も初。それだけだって十分貴重な体験でした。地唄舞にだって、入門時から最高峰までさまざまな作品がありますが、プロはともかく、お金払って舞台を踏む場合はやっぱり「どうせなら」と思うわけで、会に出やすい曲はなんとなく決まっています。いや、もとい、出ない曲がなんとなく決まっているという方が正しいかも。私がやったような小品は、まず出ません。ああいう、段返しのような演出も、珍しいハズです。その珍しモノに参加できたんだから、異例でもいい。短時間でもセリにも乗れたし。それに、なにより、参加費がお得（爆）今回私は扇すら使わなかったもんだから、その分のつもりで、小道具の手拭を誂えました。普通、踊りの手拭と言えば真ん中に紋がどーんというタイプ。あるいは流派の紋と自分の紋を比翼にするとか。でも私の舞う曲はそういうタイプじゃないし、真ん中どーんはちょっとね。で、師匠にもお伺いを立てて、流派の紋をアレンジしたデザインにさせていただきました。近所にはそもそも繊維問屋街があるせいか、手拭いを染めてくれる工房も3件ほど見当たりまする。その中で一番近くにある浜町高虎に相談に行き、デザインと色と素材などなど丁寧に説明してもらって…なんと1ヶ月で作ってもらっちゃいました。これ、異例の速さです。でも、その作業というか過程がとても面白く…この先、なんだかもう、オリジナル手拭い作りにハマりそうな予感。お正月の挨拶モノ、この手のものにしようかしらん、なんて。本番の出来は…正直言って、事前に目標設定できるほど本番をイメージできなかったものですから、なんとも言えません。ただ、やってみて初めて判ることがある、というのがよくわかった、という収穫がありました。この先、これを知ってお稽古するのと、知らないでお稽古するのとは断然違う。確かに違う。なるほど、これが場数というもんですね。だから、また次の本舞台経験があれば、新しく得るモノもあって、引き出しは増えていくんだろうな。知らないまま、ただお稽古を積んでも…うーん、そうそう、獅童のようになるだけかもしれない（爆）やっぱり、最初に観た時には「？」でもいつの間にかピンでも鑑賞に堪えるようになっていた松緑とか、どっちも最初っから上手かったけど勘太郎と亀治郎の違いとか、納得できるような、そんな感じ。ちょっと例が悪いかな。ゴメンネ、私見だから許して。それと、単純に初めてで面白かったことと言えば…私は、白塗りはすべてを覆い隠す究極のベースメイクだと思っていたんですが、なんと、塗る前にコンシーラーのようなものも使うんですね。顔師さんの前に座ってやってもらうので鏡がないから確かなことは言えませんが、座って最初にされたことが明らかにシミ隠しだったんですもん！私の顔には、右目の下に濃くて大きなオバサンらしいシミがあります。普段は何にもしないでヒト目にさらしていますが、顔師さんは一番にここにぱっぱと何かを塗ったんですよ。で、それからおもむろに例の水おしろいを。へー、そうか、白塗りだけでは隠しきれないシミだったか（爆）リハーサルのために白塗りして衣装着てヅラかぶって、引き上げてきてヅラとって衣装脱いで、でも化粧はそのまま紅を軽く拭いて無造作に食事して。それで本番前に軽く直してもらいに行ったらば。あらら、私の顔、そんなに壊れてましたか？ってくらいにいろいろ塗り直されたのでびっくり。どうやら、顔師さんはリハーサルを見ていて、その感じで本番用に修正するらしい。過去には、リハーサルの後すべて落としてやりなおした方もいらしたとか。へー私自身は、素顔との落差が強烈で、リハと本番の違いがあんまりピンときてませんが、周りからは「はっきりした」とか何とか言われたので、きっとそうなんでしょう…そうでしょうか？左がリハ後、右が本番後。どちらも後なので、比べるには不適当かもしれませんが。　白粉は衿にもたっぷり、手にも塗りますが、足に塗るかどうかは本人の好き好き。ストッキングでも白塗りでもいいと言われてましたので、私はいちおうストッキングを用意して、リハーサルではそれを試してみました。で、全く違和感なかったのでそのままいきましたが…好みでしょうけど、ストッキングのが楽かな。落とすのがねー、大変ですね、白粉。落としたつもり、落ちてるつもりでも、なぜこんなところに汚れが？ってことになるもんで。腕も、一見落ちてるように見えたのに、帰りに持った荷物が白く汚れてびっくり。楽屋風呂にも入ったのになぁ。ともあれ。昨日はそんなこんなで、帰って猫にご飯出してすぐお風呂のしたく。そうしているうちに「飲みたいかも」と思いつき、普段は全く飲まないから買い置きがない…というか、頂き物の日本酒やワインじゃちょっとね、やっぱり炭酸でしょってことで、近くのコンビニまで行って帰って、その隙にお風呂も準備万端。サッパリして、飲んだら、すっかりいい気持でそのまま寝ちゃって。その分、今朝は早起きして洗濯に精を出し、昨日使った肌襦袢や浴衣や紐類、足袋などを洗って…これがまた、白粉がついてて、手洗いしてから洗濯機に入れないと落ちないんだな…Mr.タモツの講義を聞きに行って帰って、洗濯物を取り込んで畳んで、さて、普段は使わないこれらの小物達、もう一度以上出番があるように祈りつつしまいましたとさ。そうそう、せっかくだもん、やっぱり、もう一度以上日の目を見せてあげたいです。本舞台は面白くて楽しかった。有意義だったもんな。懐事情さえ許せば毎年だって出たい…とはいえ、懐はムリだと言っている（爆）次は還暦記念かなぁ。それまでの間に一度くらいは出たいなぁ。働かないとなぁ。芝居ばっか見てちゃいかんかなぁ。いや、それは別バラ別バラ。瞬間芸を見に来てくださったお友達の皆さん。ありがとうございました。私は十二分の楽しんだのですが、わざわざ来てくださった方々にも何かしら面白がってもらえたらいいなと思っています。私じゃなくて、他の演目でも、ロビーのサービスでも。そういえば、楽屋入りしてから最後まで一度も表に出ませんでしたが、ロビーではリトアニアの物販があったハズ。うーん、開演前にちらっとでも見ておけばよかったか。いや、白塗り坊主じゃどこへも行かれないもんな！

  2011.10.29

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  やっぱり京都？

  肌襦袢、買いました。それも、なんだかんだで、結局は京都から取り寄せちゃいましたゎ。日本舞踊踊り用肌着・紅赤・M／Lサイズ価格：1,890円（税込、送料別）踊り用です。もちろん、今度の舞台用。実際に着る衣裳はまだ写真でしか見てないんですが、いちおう裾引き。師匠から「肌襦袢は紅衿で」と言われまして。そんなもん持ってないから、作ろうかなって、最初は思ったんですけどね。だって、和裁を習った時、最初に運針の稽古で縫った（縫わされた！）肌襦袢が未使用のまま残ってるんだもん、それの衿だけ赤いのに変えれば済むじゃないのって。でも、衿だけって、言うのも縫うのも簡単だけども、布の量が中途半端。ものすごーく無駄が多い。余分に何枚も縫っておくってのも、なんだかね。そもそも。私はこのところずっと肌襦袢着てませんもん…チューブトップやキャミ、タンクトップ、婆シャツなんかを転用（または改造して転用）した方が具合もいいし都合もいい暑さ対策も寒さ対策も、肌襦袢よりずっとすぐれてるもんだから。だから、普段用に作っておく、なんてのも、肌襦袢の場合は無駄でしかないもんな。だからこそ、未使用のがあるくらいなんだし。でね。こういうの、別に、身近にないわけじゃない。たぶん、日本全国どこでも買えるハズ。日本橋でも銀座でも、いやいや、人形町でも買えるハズ。なんだけど。師匠に言われてからすぐ、何かの帰り道にちらっと寄って下見だけしてきたんですよ、銀座と浅草。売ってる＝いつでも買えるのは確認したんです。でも、その後、いちおう価格調査しようって気になって、ネットで検索したところ。おお。そんなに違うの？お値段（爆）イヤ、違うったって、単価の高いもんじゃないから数百円ってレベルなんですけども、でもねー、ちょっとびっくりしちゃって。ステテコと組み合わせるなら、送料払ってもお取り寄せの方が安いんだ…やっぱり京都か。そりゃそうなのかな。こういうのって、消費量が多いほど単価を下げられそうだもん。スケールメリットが出やすそう。京都には舞妓・芸妓がその他の地域よりは断然多くいそうだし、それ以外でも日舞のお稽古をしている割合が高そうだもんね。他の地域より、こういうのが売れる土壌かも。いやいや、もっと熱心に探したら、京都以外にも安いところは見つかるかもしれないけれど、それはそれで手間だもんな。適当に探して出てきたココが、身近なお店より安くて、しかも発送手配が早くあっという間に届いたんだから、やっぱり京都！ってことだと思います。デッドストックだから安いのと、需要が多くて安いのとは違うよね！

  2011.10.20

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• 復習するは我にあり

  佐木隆三の直木賞受賞作ではなくて。復讐じゃなくて復習。なんというか、子供の頃から予習にはまったく熱心じゃなかったワタクシですが、復習は好きです。好きっていうか、やる気になってるから、続けてやりたいだけかな。舞も音曲も、お稽古から帰ってきた時が一番気持ちが盛り上がっています。そこから徐々にモチベーションが下がっていって、おそらく次のお稽古前が一番低いかも。だからといって、お稽古に行きたくないって思ったりはしないんだけど。そういうと、なんだかへんかな。今日も、地唄のお稽古では全然できなくて…攫ってないんだから当然なんだけども…それでもお稽古して帰ってくると、やる気になってるから、ちっと攫っておこうと思って三味線を取り出してみる。で、始めると、30分やそこらでやめられない。やめられないからこそ、それが判ってるからこそ、普段はなかなか始められないわけよ。そういうと言い訳以外の何もんでもないんだけども。よく、1日15分でいいから毎日練習せよ、なんていうでしょ。あれって、ホントに可能ですか？私はムリだなぁ。だって、始めたら納得するまでやっちゃうもん。やりたくなるから。それが判ってるから、時間がない時は、始められない…基本的に、いつだってそんなに時間に余裕があるわけじゃないし、そもそも働きモノじゃないから、つい「また今度」ってなって、結局練習が不十分。だから上達しない。だけど、やる気になると最低でも2時間は止められないんだよなぁ。なんでだろうなぁ。おかげで晩ご飯は遅くなるし、右手は痛くて包丁が持てないし、もちろんキーボードもいつものように打てないからイライラする。仕事にならないし、他に何か気の利いたこともできない。今日はこれでおしまい。おしまいで、いいのか？うーん。やっぱり、性格を矯正するのが正しい道なのかなぁ。ああ、それにしても、「閨の扇」って難しい。最初にお稽古していた宮城会では、セリフのある曲なんて見たことなかったもんなぁ、あるのかもしれないけど、私は今まで一度もお稽古していませんもん。それが、やっぱり、菊筋とか富筋とか、大阪発祥の流派は文楽との交流関係が深くて、浄瑠璃っぽい曲があるよねぇ。洒脱で面白くていいんだけど、難しいなぁ。

  2011.10.04

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  下攫い

  今日は、今月末の舞の会の下攫い。場所が国立劇場の稽古場なもんだから…隣の大劇場では菊五郎劇団が総浚いをしてるかと思うと落ち着かない（爆）今頃、ガガ菊五郎が宙乗りしてるかも？なんて想像しちゃうと、気が散りそうな…と、いうのは、まぁ、冗談でございまして。さすがの私も、こういう時くらいは集中する。するけど、隣に菊五郎って事実を忘れ去るほどではないかな。うん。なぜなら、これは、私にとっては趣味の範疇だから。ほら、同じ人前に出ることでも、お金もらってするオシゴトと、お金払ってする趣味は、心持が全く違う。緊張感も、あがるとか凹むとかも、ぜーんぜん違う。ぶっちゃけ、先日の地唄舞普及協会の催しの方がはるかに全力投球でしたゎ。あれは、料金を頂いてしたことだからね。とはいえ、菊五郎は、明日ちゃんと見られるんだから、今日は己の責任範囲をしっかりやらなくちゃ、と、いちおう己を律する。それに、本番はもちろん、当日の舞台稽古だって、他のヒトのは見られない可能性が高いんだもん、せめてここで見ておかなくちゃ。憧れの、あんな演目、こんな演目、あるもんね。自分には一生機会がなかったとしても、見るだけは、見たい。地唄舞は、座敷舞ともいうくらいで、もともとは舞台芸術ではありません。だから、基本の振り付けは座敷で舞えるスペース感だし、装置も必要としません。イメージとしては、舞妓・芸妓のオシゴト芸でしょうか。毎年、基本的に全員参加見たいな感じの門下生の会は、今のところ料亭の座敷で開催されてますしね。でも、イマドキそればっかりじゃない。かの井上流だって舞台でするし、愛之助が家元になった楳茂都流にしろ神崎流にしろ吉村流にしろ、見せる企画は舞台。お客さんに見てもらうなら、劇場じゃないと。劇場となると、座敷と同じフリじゃ見映えがしないしツマラナイ。それに、劇場向きの劇的な演目だってある。劇場ならではの演出は、こういう時にしか見られないからな。今回初めて出してもらうワタクシも、劇場ならではの恩恵にすこーしあずかるのですゎ。一人で舞うところはそんなに変わんないんだけども、団体戦という甚だ珍しい（地唄舞では）に参加するし、その際にセリに乗る！これ、師匠の構想が、最初はセリで、その後に盆の方がいいかもってことになり、それからまたやっぱりセリ！って戻ってきて、今日の段階でセリだったので、これで決まりかなー本舞台自体、人生に何度もない（私にとっては）ことだから、その中でセリに乗る機会があるのはかなり嬉しいです。うひひひひ…なんて思ったりするから、気が散って失敗したんだな、今日の私は！（大爆）でも。へこたれず、妄想は続く…もしも、次の機会が訪れたら、その時は盆でまわってみたいかも。いや、花道を歩くってのもあるなー、どっちもいいなー、って、そんな時が来るかどうか、あくまでも私の経済状況と健康に依存するんだな。今日はこんな陽気…東京は最高気温が21度くらいだったらしい…のおかげで、手持ちの中でもっとも薄手の袷を着ていきました。もしも暑かったら、単にすべきか、それともポリか、と悩んでたんですけど、寒気さんありがとう！明日もこんな感じならいいな。でも柔らかいもんはやっぱりキツイかな。大島かなー、雨じゃなきゃいいか。◇◆◇ちょっと前に、隣のマンションで夜中に火災報知機が鳴り響いて大迷惑だった…と、日記にも書いた気がしますが。昨夜は、なんと消防車が来ちゃったようです。11時ごろだったか、いきなりワサワサ煩くなり（隣は外廊下なんです）普段ほとんど無人？のように感じていた廊下を、何人ものヒトが右往左往してる感じ。そのうち、1軒のドアをどんどん叩いて呼びかける声がしたり、トランシーバーかなんかで通信しあってる音が聞こえてきて騒がしいもんだから、つい、カーテンの隙間から覗いてみたら！ほんまもん？背中にはっきり東京消防庁の文字。「呼びかけに応答しません、不在のもよう」「ベランダ側、ブラインドが下りていて中はみえません」「隣家から、パネル破りますか？」うーん、深刻？でも、この前と違って、今回は報知機の音はまったくしなかったじゃない。それはそれでなんだか怖いというか、キモチワルイ。お願いだから、燃えないでね、お隣さん。

  2011.10.02

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• 歌舞伎座開場のはなし。

  ちょっとだけ久しぶり。再開されたMr.タモツの明治演劇史。今日は、いよいよ？歌舞伎座開場までようやくたどり着きました。明治21年は11月の21日とか。へー、なんかこう、数字合わせたの？って感じ（爆）守田勘弥の新富座のすぐ近く、今の歌舞伎座の場所に建てられた、当時の日本最大の劇場は、洋風建築…なのだそう。写真を見せられたのだけど、切り妻屋根に櫓がのっかってるせいか、洋風と言われてもはぁ？って思っちゃったワタクシ。とにかく、歌舞伎座1号は洋風だったもよう。でも、中はまだ、座敷なわけでしょ？どれくらい忠実に再現されてたのか知らないけれど、映画の中に出てきた劇場のシーンが、私にはとても印象的で、それがまんま歌舞伎座1号のイメージと重なっています。ステンドグラスがあってガス灯で赤い絨毯で、でも桟敷だし、真ん中は升席だし。それに対して、新富座は和風な…というか、ちょっと近代化したけどそれまでを踏襲した作り。でも櫓がない。和風の新富座には櫓がなくて、洋風の、しかも当初は改良座と命名するつもりだった歌舞伎座の方に櫓がある。櫓は官許のシンボルで…保守的だよなぁ…歌舞伎座開場に対抗するために、守田勘弥が取った対策は四座同盟。短い間だったにせよ、それは大成功する。それを見ていた歌舞伎座側の千葉勝五郎は、理想を追って際限なくお金を使っている福地桜痴に不安を感じ、同時にすでに世の中にあった改良演劇の斬新過ぎる点と商売になっとらん点を見過ごしにできず。当初予定していた、改良演劇のための劇場を意味する「改良座」という名前を止めて、古典演劇もやる意思表示のような「歌舞伎座」にしたとか。しかも。そもそも改良演劇の3要素の一つだったハズの先進的な劇場なのに、改良演劇の公演は2つ目からね！ってことにして、開場は歌舞伎で…って、あらまぁ。でも、おかげで今日につながる流れができたんだから…ビジネスマン千葉さんと、借金王プロデューサー勘弥に感謝だゎ。おかげで「歌舞伎座」っていう名称がひとつのブランドになって、京都にも大阪にも名古屋にもできたんだそう。歌舞伎座が一般名詞じゃなくて固有名詞になったってことが重要か。楽しみにしていた話題だけあって、今日は1時間半のすべてが面白く興味深かったのだけど…写真もいっぱい観られたし…でも、その中から特に印象に残ったモノは2つ。1つは、歌舞伎座の座紋「ほうおう」の出所。これは、歌舞伎座開場当時、イケイケだった政治ゴロ福地桜痴はかつてのどっかの大名屋敷を占領して別邸にしていたそうで、その屋敷の釘隠しについていた紋が「ほうおう」なんですと。歌舞伎とも改良演劇会とも無関係。それを、自分が旗を振って立てた劇場の座紋にしちゃう。まさに、権力を握った田舎もんらしい所業だゎ（爆）もう1つは、千葉勝五郎の考える「お金持ちになる方法」。無一文からお金持ちになるには、盗むか貯めるか、お金持ちの家の養子になるしかないのだそう。でも、盗めば捕まるし、貯めるには時間がかかる。だから自分は、お金持ちの女婿になろうと決めて、実際にそうしたんだって。しかも、ただ養子に入っただけじゃなくて、ちゃんと受け継いだ資産を増やしたんだからエライ。そうやって、好きでもない女と結婚してまで築き上げてきた財産を、政治ゴロ福地なんぞに湯水のごとく使われて、千葉はいやだったろーね、とはMr.タモツの弁。でもさ、判りやすいよね、玉の輿。そういえば、福沢諭吉の女婿もそんな感じだっけ。いいねー、人生ギャンブラーな感じ、その割に浮ついた感じにならないし。ホリエモンみたく自力で貯めちゃうと勘違いして転げ落ちちゃうけど、玉の輿は最初に耐えてる分だけ辛抱強いし危機管理ができてるなー

  2011.10.01

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• かつら合わせ

  今日、かつら合わせしました。来月の舞の会のため…なんですが、結婚していない私は、当然結婚式をしたこともないわけで、ヅラも白塗りも今回が初体験です。だから、かつら合わせというイベント？催し？準備作業？も、今日が初めて。今年は出演者が多いので、皆さんの後にくっついていって、へーほーははーとうなりながら、言われるままされるままになってきただけ。オシゴトの都合で今日一緒にいらっしゃれなかった方は、あとからお一人でなさるわけで…ははぁ、それはなんか、ちょっと、大変？そうでもないのかな。うーん。今はショートカットで、この夏から前髪を作ってるせいもあって、あんまり目立たないのですが…私のデコは広いです。人並み以上に広々しています。禿げていると言われても反論できないくらい（爆）子供の頃から、物心ついた時から、広いんです。でも。へー、ヅラって…自慢？の広いデコが半分以上隠れちゃうのでびっくり。いや、もしかして、広いんじゃなくてホントに禿げてたってことかしら。だから隠れちゃうの？いやー、どうなんでしょ。しかも、アタリマエなんだけど、ヅラは見事な富士額。あらー、なんだかねぇ、デコが狭くて富士額の私なんて、ちょっとアイデンティティの危機を感じる。それくらいの違和感。だから？師匠は、素踊りよりも装束をつけて舞う方が、その「世界」へ入りやすいとおっしゃるんだけど、そうか、それって、要するに普段の私と違うモノに変身してるって実感から来るのか。変身って、おそらく、前向きな違和感、いや、ポジティブな違和感、いやいや、気持ちいい違和感、かな。たぶん。じゃぁ、ヅラが似合うヒトが有利なのか。有利って変かな。あはは

  2011.09.26

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• おもてなしの文化と粋

  以前、日記でも紹介した地唄舞イベントのひとつ、「おもてなしの文化と粋」を開催しました。今年から、港区の文化芸術振興基金の助成を受けられるようになって企画した催しでして、地唄舞からの視点、あるいは地唄舞からの切り口で、日本の伝統文化のあれこれを結びつけていこうというものなんですが、今回は記念すべき1回目。お題も、もっともポピュラーと思われる、お茶とお花。最初の1回だから、できるだけ低リスクで…と、高コストを承知で、場所をホテルオークラ東京にしたんですが…そのせい？予想外の大盛況でびっくり。嬉しい悲鳴でございました。いやいやいや…そのせいで、せっかくいらしてくださったお客様には、狭い思い、見づらい思いをさせてしまって、とっても申し訳なく感じております。だって、当初の定員を超えて〆切ってもコネを頼りに申し込んでくる方もいらっしゃるし（爆）まさか満席を超えるとは思っていませんでしたゎ。それでも、お断りした方もずいぶんあったんですもん。この日記を読んで、興味を持って申し込んでくださったお友達にも大感謝。そして、いろいろ至らなくて、とっても恐縮。でも、どうか懲りないで、次回、次々会のご案内もさせてくださいね。今回集まったアンケートのお声を参考に、次回以降はもっとご満足いただける催しにしたいと思っております。と。そんな今日。いやー、今月、これが最初で最後になるであろう、柔らかモノの単。あー、なんだかな、明後日には涼しくなるっていうけど、暑かったですねー、今日も。ホテルの中だからいいだろうとは思いましたが、現地に行くまでが難儀。私は、家で着付けをした瞬間、あーもう、今日は、タクシーで行こう！と決心したくらい。だって、ああいうホテルって、妙に山の上にあって、しかもエントランスから部屋までの距離も長いし。おいでくださったお客様も、ちょっと消耗してたりして？お水をご消耗の方がたくさん。それにもビックリでした。うーん、やっぱり、ホテル開催にしてよかった。それに、私だっていちおう、最低限の常識を発揮して、一度は袋帯を出したんですけどね…でも、朝起きた瞬間にこりゃダメだと思いまして。帯は、つづれで勘弁してもらいました（爆）どうせ見やしない…いちお、お茶テーマっぽくしてみたんですが、だからなんだ？って感じでもあり。しかも、いつもはいくらかでもキレイな状態を、と思って、出かける前に写真をとるんですが、今日は急いでいて帰ってからになりまして、あちゃーな感じ。お茶のお点前を披露した皆さんのお着物は、さすがにどなたもよい景色で…お茶の世界の厳しさを妙なところで実感した猫並でございました。あー、ちょっと、疲れたかも。アンケートの集計は明日でいいや。今日はもう寝ようっと。

  2011.09.17

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• チラシ

  10月の舞踊会のチラシができてきました。今年は、私も初めて出るので、お友達にでも配るか！と貰ってきたわけ。画像データはこちらで見られます。10月28日（金）、国立小劇場にて、18時半開演。隣の大劇場の千穐楽は前日の27日なので、歌舞伎を見たついでにどう？と言って誘えないのが痛い（爆）普通、地唄舞は一人立ですが、今回のワタクシはイレギュラー？な団体戦。この不思議な企画のおかげで、私自身の勝手な想定より1年早く本舞台を経験することになったんですゎ。年に一度の流派の会は、会場がいろいろ変わります。去年は紀尾井ホールだったし、その前の前はセルリアン能楽堂だったし、私が入門した年のはご近所の日本橋公会堂でした。ハコによって使い勝手がいろいろ違うわけなんですが、国立小劇場だと施設の特性上いろいろな試みができる…したくなる？…らしく、今年はこの団体戦を師匠が思いついたよう。一昨年もここでしたが、その時は二人立で片方がスッポンから出たりしてたっけ。で、私は、といえば、辰年生まれですから来年は年女の48歳。誰も祝っちゃくれないが、己は目いっぱい祝う気満々なもんだから、当初から年女記念で本舞台デビューしたいなと思ってました。ついでに還暦の時も本舞台でこれかこれがやりたいぞって目論見があります（爆）師匠には、そう言ってたんですけどね、年女記念に、来年って。でも。「今年は国立だから出ない？」と…えー、言葉足りてませんが（爆）ま、要するに、国立だといろいろできる＝いろりろやりたいんだけど、どう？ってことのよう。そうですね。いろいろ、とはいえ。本舞台慣れしてらっしゃる皆さんは、国立でやる時にはこれを、と、それぞれ思惑がおありのよう。大曲に挑戦とか、友達を大ぜい呼びたいからとか。そうなると団体戦のようなケレンじゃなくて、いかにも・らしい、あたりに落ち着きたい。でも師匠にも企画がある。あんた、内容に望みがないなら、来年が今年でもいいでしょうが？って感じ、でしょうか（爆）というわけで、プレ年女記念。団体戦だから、初めてでも安心…かどうかは、微妙ですが、とりあえず盆に乗って回れるらしいと聞いただけで満足してるワタクシでありました。「それで、チケットが何枚欲しいか、早いうちにまとめてねー」とも言われてまして。いやいや、友達少ないオバサンなんで…とは思いましたが、どうせだからしばらく会ってないような旧知のヒトにも声かけてみようかしらん、だってほら、ここんとこ、久しぶりのお目もじが決まってお葬式だからさ、ね。日記でお馴染のお友達も、そうでもないけど地唄舞の会そのものに興味をお持ちの方も、もし観てみたいぞとご希望がございました、左側のメッセージ欄よりご連絡くださいませ。喜んでご案内いたしますゎ。いやいや、ぜひ、観に来てくださいまし！それに、18時半開演なんですけどね、ほら、いわゆる日舞の会と同じで、最初から最後までずーっと観てるヒトなんて希少です。好きな時に来て好きな時に去る、が、基本。お気楽に、いかがでしょう。隣で歌舞伎やってたら、もっと良かったんですけどねー◇◆◇今日で8月もおしまい。8月が終わると、昼間がどんなに暑くても、やっぱり「夏は終わったな」という気分になります。麻のスーツも今日まで。さっき、帰宅して脱いでそのままクリーニング屋袋へ直行さ。今月の観劇は、1週間前の能楽堂・素の魅力ですべて終了してたんですが…やっぱりね、ワタクシ的にはなんといってもしのぶちゃん！でしょう、8月の1番は。歌舞伎の1番は花魁草。意外に印象に残ってるのは、今月最初の観劇だった三銃士かなぁ。さて来月は、襲名披露に初日からでかけます。3階だけどね。1日　演舞場・夜2日　演舞場・昼5日　キネマの天地8日　文楽1部・2部11日　rakugoオルタナティブvol.619日　志の輔らくご20日　朱雀家の滅亡21日　国立能楽堂企画公演24日　rakugoオルタナティブvol.7以前に宣伝した地唄舞関連の企画＠ホテルオークラ東京が17日（土）にあるせいか、比較的少ない（ワタクシ比）一カ月のような気がしています。それにしても、落語モノが3つもあるなんて、珍しいかも。さて、お友達にはおめにかかれるでしょうか。

  2011.08.31

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• 何桜彼桜銭世中

  Mr.タモツの明治演劇史も、やっぱり演劇改良運動には触れるようで、今日の講義はそのお話しでした。ご本人が「明治演劇史がつまんないのは、改良運動を言わなきゃなんないからなんだよね」とおっしゃる通り…なるほど、少なくとも、東京の改良運動は、ホントにツマンナイですね（爆）ツマンナイっていうか、なんだ、結局、それって失敗だったんじゃん。私はすっかり誤解してました。九代目團十郎の活歴＝演劇改良運動だと思ってたんですもん。そうか、活歴は活歴。それとは別に、演劇改良運動をする組織があったんだ。演劇改良会ですってさ。政治家や学者や貴族といった当時の名士たちが集まってできた団体さん。これが東京の演劇改良運動を始めた人たちってことらしい。失敗…というと語弊があるらしいですが、この会は主張だけして、その主張の中で実ったのは近代化した劇場ができたということだけらしいし、それだって会が解散してから後のこと。ハードは、企画が動き出したら止まんないもんね。歌舞伎座が、最初は改良座なんて名前だったって、そういえば歌舞伎検定のガイドブックかなんかで読んだ記憶はあるけれど、この時の企画が最終的に形になったモノだったからなのか。で、Mr.タモツによれば、東京はこんなで、名士ばっか集めて現場を無視したからダメで、大阪はそれよりずっと上手く行ったんですって。明治の大阪は、少なくとも演劇芸術においては、東京のずっと先を言っていたといえるよう。今、大阪には商売だけあって文化や芸術が貧弱（たぶん京都に比べて？）というけど、少なくとも明治の頃は大阪こそ最先端だったと言ってもいいというお説でした。なぜなら、大阪における演劇改良運動は、作家や画家と、戯作者に役者に興行主といった現場の人々が中心になって進んだから。改良運動のためにできた団体さんのメンバーが、そういう現場の人たちだったから、近代的劇場を立てよう！なんて時間もお金もかかることは置いといて、まず、今ある劇場を改装して、来年には改良演劇の公演をしようじゃないか！って。早い。そうだよね、公演してなんぼのもんだもんね。で、その頃の、大阪で上演された日本で最初のシェイクスピア劇の外題が、今日の日記のタイトル。翻案劇で登場人物も舞台もすべて日本に置き換わっているけれど、どうやら歴史的にもこれが日本初のシェイクスピアというのが有力な説だそう。さて、これは、何か。「さくらどき、ぜにのよのなか」と読むそうですが、なんと、これ、ベニスの商人ですと。大阪の人気役者、中村宗十郎によって上演…というから、てっきり宗十郎がシャイロックなのかと思った私は浅はか（笑）大阪で人気と言えば、和事師ですよね。ってことは、シャイロックじゃない。ただ、今日の解説ではアントーニオだって言われたんですが、それもちょっと不思議。和事師ならやっぱり、嫁取りに行って見事ポーシャをゲットしてくるバサーニオじゃないの？！バサーニオは主役じゃないからダメなのかな。これより後、ベニスの商人の翻案はいくらもあって、それぞれ凄い題名がついてるらしいけど、これはこれで斬新だよなぁ…

  2011.08.06

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• 艶モノ続き

  今年に入ってからお稽古付けてもらっている、地唄富筋の師匠は「どうせなら、宮城でお稽古しない曲を中心にやりましょうね」とおっしゃってくださってます。ありがたいです。でもね、そうなると、いきおい色っぽい曲ばっかりお稽古することになるんですよ。いや、もっとずーっと上達すれば、そこには「八島」とか「珠取り」とか「鉄輪」とか「葵上」とか、固い感じの古曲もいっぱい出てくるんですが、私はそんなレベルじゃないもんですから。このところお稽古していたのは、夏らしい「こすのと」。これは、いろんな漢字をあてる曲で、「こす」はだいたい簾のことで共通してますが、「と」は扉だったり外だったり。でも、内容は簾の内側、よーするに、ベッドルームの話。詞章には「癪に嬉しいオトコのちから」とか「ふたりして吊る蚊帳の紐」とか出てきますから、露骨に色っぽい曲です。で、前回のお稽古で師匠からあんまり小さいもんばっかりやっててもねー…なんて言われ、「これの後は、八島なんてどう？」というご提案。いえいえいえ、「八島」はですね、舞では最高峰ですから、とーぶんお稽古しないですし、もうちっと後、もっとずっと後でもいいですよ。「だったら出口にしましょ」と、「出口の柳」の譜面を受け取って帰ってきたんです。出口ってのは、京都島原遊郭の出口、と言うか、出入り口。そこにはお約束で柳がたくさん植わってるとか。入る時も出る時も見えるハズだけど、目に留まるのは名残を惜しむ帰り道だけってことらしい。なるほど、吉原の見返り柳とおんなじだ…しかーし。「八島」ほどじゃないけど、「出口の柳」だって舞では当分先になるんですけどぉ…とはいえ、受け取っちゃったから、今日は「こすのと」の他に「出口の柳」も持って行きました。行きました、けどね。なぜか…「やっぱり、出口じゃなくて、閨の扇にしましょ」といきなり変更。何か、思うところがおありのようで。ただ、共通しているのはやっぱり舞では当分先までお稽古しないってこと！舞と演奏で難易度の違いがこんなにあるとは思わなかったなーそれに…「閨の扇」だってね、なんたって閨ですから、ええ、内容は「こすのと」よりさらにロコツですよ、ええ。これから蚊帳を吊るんじゃなくて、もう閨の中なんですから。いや、もう「出ようかなぁ」なタイミングかもしれない（爆）もしかしたら私は、これから当分の間、こういう艶モノが続くんじゃなかろうか…うん。この山を超えないと、あこがれの「鉄輪」にたどり着けないんだから、やるしかないか。よしよし。でもねー、「閨の扇」にちょこっとだけ入ったんですけど、その前の「こすのと」が全然イケてないんですよね、私。ぜーんぜんイケてない。これで終わっちゃっちゃいけないんだけど、一回りしてまた戻ってきた方が良さそうな感じ、かもなぁ。艶モノ、向いてなかったりして…

  2011.07.26

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• イベントやります

  今日の日記は宣伝。◇◆◇8月7日日曜日に、地唄舞の会をします。私もちょこっとだけですが、出ます。ベリーダンスの会と一緒…ってのが、ユニークなんじゃないかと思っとります。いや、もちろん、地唄舞の立方とベリーのダンサーは別人ですよ、ええ（爆）ベリーは、ちゃんと（！）若いオネーサンが素敵な衣装で（たぶん）踊ります。地唄舞は…ちょっと年齢層が高いです（大爆）えーと。踊りの会っていうと、知人が出てるか、自分自身がお稽古していてそれなりにその世界に馴染んでいるかじゃないと、なかなか見られないシロモノだと思うんです。日舞だって、ごく普通のヒトが入手できる公演情報は歌舞伎公演が中心じゃないでしょうか。あるいは、それなりにメジャーな歌舞伎役者が出る舞踊会くらいがせいぜいかと。でも、日舞の会はそこらじゅうで割と頻繁に開催されていて、見たいと思えば意外に機会が多い…多いはずなのに見に行けない。情報が来ないから、と、なんかお作法がありそうで敷居が高いからとか何とか。バレエとかオペラとかも、ちょっとそんな感じがあるかもしれないけど。地唄舞なんて、いわゆる日舞よりさらにマイナーで、見る機会を見つけるのが大変…ゆえになかなか普及しない！で、気軽に気楽に見られる会をしましょうよ、普及のために！ってことで、企画したんです。だから、地唄舞の中では比較的有名な大曲「雪」や「葵上」や「八島」なんどが出るわけではありません。大曲は舞うのも難しいけど、見てるのも大変ですもん。長いから！今回は、1曲5分から10分くらいの小曲で、判りやすいモチーフのものを選んで並べています。飽きちゃっても10分で終わるなら席を立ちやすい（爆）ちょっとお茶飲んで帰ってきて、また見続けるのも楽勝（大爆）邦楽に馴染がないと詞章も判りづらく、何やってんだかわかんない時もあるけれど、桜とか月とかならイメージしやすいのでは…という思いをこめています。1部地唄舞は、『季節のつれづれを舞う』と題して小曲ばかり6曲並べています。正月、春、夏、秋、冬ときて、最後に地唄舞では珍しい三人立ちで四季の曲。全部見ても1時間以内。しかも。2部はベリーダンス。1枚のチケットで両方見られる。地唄舞に興味のない夫や彼氏連れでも、ちょっと待ってればベリーが始まるんだから、いいんじゃないでしょうか、どうでしょう、ダメですか？！（笑）場所は港区の高輪区民センターホール。地下鉄白金高輪駅直結で、炎天下を歩く必要もなし。まだ熱気の残る夕方に、ちょいと涼んでいけるかも…ええ、たぶん、港区だって、エアコンくらい入れてくれるでしょう、きっと。8月7日（日）　高輪区民センターホール　『舞いの愉しみ、踊りの楽しみ』　　1部地唄舞：　季節のつれづれを舞う　　　　　　　　　17時開演　（開場30分前）　　2部ベリーダンス：　オリエンタル・ナイト in 高輪　　18時開演　全席自由　２千円ご興味のある方は、サイドバーのメッセージ作成からお問い合わせくださいませ。◇◆◇実は、今年はこんな普及の会をいろいろと企画しています。9月17日（土）にはホテル・オークラで、地唄舞とお茶とお花のコラボレーション・イベントの予定があります。舞の鑑賞やお点前の実演のほか、お茶とお菓子がつきます。希望者には、茶花のいけばな体験もあり。別々に見える和のお稽古の、相互の関連性をテーマにした体験型イベントで、立ち寄りやすいホテルでの開催なので、ぜひ。チラシができ次第、これも宣伝するつもり。さらに12月には、やはり地唄舞と、和の化粧や結髪体験や、前むすび着付けのパフォーマンスも。パーティーシーズンを前に、簡単で華やかな帯結びの案内ができれば実用性も高いかな、なんて。そして今年度のゴールは、来年3月に大震災の一周忌の頃に鎮魂の会を。鬼に笑われるより、その頃まで自分が元気かどうかのが不確定よね…と、思うから、私は明日、いつもの人間ドックに行くのでありました。あー、12時過ぎたら水も飲めなくなる！

  2011.07.05

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• 椅子こそ文明開化

  Mr.タモツの明治演劇史も今日で一区切り。6月はお休みして、7月の半ばくらいから再開される予定なのだけど、内容もちょうどいい具合に切りがつく。もともとそういう計画だっただろうってのは想像つくんだけれど、なんたって春学期は震災の影響で開始が1月近く遅れてるからねー、どうなるんだろうって思ったけれど、たまたま？それともうまく調整できたのかな？今日の内容はホントにありがたい終わり方でした。これから出す著書の内容の、1章分を1回の講義にしてる感じなのだけど、今回はお能と歌舞伎を両方お話ししたから2章分になったんじゃないかな。でも、お能も歌舞伎も明治初期の区切りが来てて、比較するような感じになって面白い。私は、そもそも歌舞伎の話が聞きたくてこの講座を受講したのだけれど、いざ聞いてみると歌舞伎の講義より能楽の時の方がずっと面白く感じるのはなぜ…今日も、最初が能楽の話で、へーほーとずいぶんノートを取ったような気がします。90分のうち50分くらい、もっとかな、能楽の話で、残りが歌舞伎でしたが、能楽で気分がのったせいか、それとも歌舞伎の内容も惹かれる部分が多かったのか、いつもよりずっと面白く感じてたかも。能楽は、芝山内能楽堂のお話し。明治14年にこれができると同時に、能楽社という団体が発足したそう。堂上華族が発起人で、要するに上流階級の集まりって感じのよう。明治初期には文明国ニッポンの国劇に相応しいのはどれ？ってことで、お能と歌舞伎が「我こそ」と争っていたわけで、お能の派閥が一致団結して結成したのが能楽社なんだそう。Mr.タモツいわく「日本人てのは、ピンチになると統合したがる、今だって『一つになろう』とかって言ってるでしょ」とな。なるほど。で、能楽社ができて、その中心施設である芝山内能楽堂ができて、ここで4つの大きな変化が起きる。「能楽」という言葉が一般化したこと、劇場構造を持つ「能楽堂」が登場したこと、全国から名人が集まったこと、能楽が古典劇としての地位を確立したこと。特に面白く感じたのは、二つ目の能楽堂という劇場について。それまでは能舞台だったわけで、能舞台に対して客席は別棟の造りであったものをハコの中に屋根付きの能舞台をそっくり入れて能楽堂にし、全天候型演劇に進化したんだそう。能楽堂と言う言葉もこの時からで、つまり最初の能楽堂が芝山内能楽堂なんだそうな。ココは、正面席が椅子席だったそう。そういや新富座の2階席も椅子席だったっけ。で、Mr.タモツは椅子席はいいですよねーテリトリーが決まってて。座敷になると押せばいくらでも押せるしねー、なんて。「私は椅子席がいいです。金丸座なんて行きたくない。椅子こそ文明開化じゃないですかね」で笑いを取る…確かに。私も、こんぴら歌舞伎には1度行ったからもういいかも。この先行くとしたら菊五郎が出る時くらいかなぁ。前に行った時に升席に座ったわけじゃなくて、2階の椅子状態のところに座ってたんだから苦労したっていうんじゃないけど、ああいうところは何度も行きたいと思わないもんな。ええ、私は風情と言う名の不便は大嫌いですから（爆）四つ目の、古典劇としての地位っていうのも面白くて…これは歌舞伎が演劇改良運動に走ったのと正反対なんですねー、古典を守って、そこに現代的な表現を付加していくような感じのよう。つまり、改良が改善なんだ。歌舞伎の改良は改革だもんな。商売柄、改善と改革は明確に使い分けますが…一般的には改善は悪いところを直す、改革は良くも悪くもすべていったん白紙にして最適なモノを新しく作る、ということ。だから行政改革だの構造改革だのと言ってもそう簡単にできるハズないのはハッキリしてるのに簡単に公約しちゃう神経がちょっと信じられないです。だってそうでしょ？いったん白紙っていうのは、過去の実績をなかったことにするってことだもん。先輩の功績をゼロクリアするってことで、そんなことしたら先輩に憎まれるじゃないですか。この能楽社と芝山内能楽堂ができた明治14年に、歌舞伎では名優を独占していた新富座で最後の六大スター競演があり、それがあの河内山と直侍の『天衣紛上野初花』の初演。これを最後に六大スター競演がなくなり、新富座も崩壊していくとか。この時から、歌舞伎座が開場する7年後までの間、歌舞伎は疾風怒濤の時を迎えるんです、と言って今日の講義はちょうどお時間になりまして。うーん、なんて切りがいい！それと、ちょうど昨日見たばっかりの狐忠信の型の話があったんだっけ。歌舞伎はそれが今日一番の興味を引かれた話だったっけ。なんでも、今みんながやってる四の切での狐忠信の出は、菊五郎が工夫した型なんだとか。あの階段から出るヤツ。團十郎の型ってのもあって、それはすっぽんから出るモノだったそう。なるほど、そういえば、吉野山の忠信はすっぽんからでるな…でも、團十郎の型は結局受け継がれず、今では全員が階段から出る、團十郎本人ですら、すっぽんから出る方をやらないとな。へーあと、菊五郎の型でも宙乗りをしていたとも。ああそうか、五代目なんて、いかにも宙乗りしそうですもんね。何も澤瀉屋の専売特許じゃないですよ、とはMr.タモツの言。五代目は当初宙乗りをしていたけど、年取ってからやらなくなっただけ。六代目はデブだったからやらなかった。へー、そうなんだ。当代の菊五郎もデブと言えばデブ…いや、昔はシュッとしたオニーサンだった！別に、どうしても飛んで欲しいとは思わないけど、そう言われるとそうかなって、納得。だってそうだよ、五代目だもん。やりそうやりそう。

  2011.05.21

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• 養子が「左」で実子は「右」

  Mr.タモツの明治演劇史、今日は明治10年から15年くらいの関西のお話し。考えてみれば、江戸に視点を置いて関西を眺める話はいくつも見聞きした記憶がありますが、関西そのものには馴染がなかったかも。なぜなら、江戸に下ってきた役者は知ってるけど、江戸に縁のなかった役者は、大立者でも知らないヒトがいたから。天保の改革で江戸払いになった七代目團十郎が大阪にいたとか、その縁で大阪の芝居に出ることになった八代目團十郎は、なぜか当地で切腹しちゃったとか、そんな話のすぐ後に明治維新がやってくるんですもんね…で、今日の話題の中心は初代右團次だったんですが、この人の実父は四代目小團次。あの、黙阿弥と提携して白浪モノをたくさん作った有名人。試験にも出ちゃう（爆）忍ぶの惣太だって三人吉三だって十六夜清心だって、この人が初演したんだ…でも。四代目小團次のセガレは五代目小團次と初代左團次って、今まで読んだ小説や歌舞伎本には出てたような気がする、と、思ったら。おお。四代目小團次って、ブレイクしてタガの外れるタイプだったんですね（爆）最初は大阪でやってて、その時は芝居茶屋の娘を妻にしててコドモも一人生まれたけれど、それ以外に気に入った美少年を養子にする。この養子が後の初代左團次。大阪でそれなりに成功した小團次は、江戸の芝居に呼ばれる。よし！ってんで江戸下向を決めるも、妻は茶屋を継がなきゃならないから連れて行かれない。だから別れる。それは判るけどねー、別れると同時に次の妻と結婚する。おいおい。しかも、実子は元妻のところに置いていくけど、養子は連れていく。ま、それも判るかな。期待してたんだもんね、イケメン養子に。江戸に行ってもいきなりは売れない。でも黙阿弥と提携したら、七五調の流れるようなセリフと小團次の個性を活かしきった当て書きと役得な演出を与えられて大成功。そうだよねー、小團次と黙阿弥が手を組んだからこそ、忍ぶの惣太も三人吉三も十六夜清心も生まれたんだもんね。でも。大阪から連れてきた二番目の妻との間にもコドモが生まれたのに、江戸で売れない時に力になってくれた別の女にあっさり乗り換える小團次。いるよねー、現代の芸能人にも、こういうヒト。自分の得になるなら何でもOKみたいな。ただ、この三番目の妻はすごくて、小團次亡き後、残された養子の左團次は関西訛りがひどくていくらイイオトコでも江戸のお客にはてんでウケず「もうダメ？」と思われたものの、頑張ってステージママっぷりを発揮し、黙阿弥の協力も得て、しっかり売り出しちゃう。ちゃんと、團菊左の一角を占めるまでに出世させちゃう。となると、小團次の妻選びも、役者として正解？この三番目の妻については小説なんかにもよく出てきて、国定忠治の妾だったとかって話は聞いたことがあったのだけど、今日の解説を聞くとものすごい伝説の女傑ですな…いや、Mr.タモツ自身も「でき過ぎの話で、半分はホントに伝説でしょうけど」なんておっしゃってましたが。なんでも。大店のお嬢さんに生まれて大名家に行儀見習いの奉公にあがっていたところ実家が倒産。一転して吉原に身売りしちゃうけど、国定忠治に見染められて身請けされ、妾奉公になる。忠治は指名手配犯で年中逃亡してるんだけど、主不在の間に彼女が大勢いる子分をしっかりまとめ上げてたとか。そんな時に、大阪から下ってきてパッとしない小團次に興味を持ち、黙阿弥と協力して（資金的にってことよね）売り出し、さらに妻になって公私ともに支えたとか。それって…略奪愛ってやつ？国定忠治はどうなったんだ？むむぅ…ま、それはいいとして。本日の主役は右團次のハズなんだけど（笑）、右團次は、小團次に置いていかれた後、普通に奉公したけど勤まらずに役者になり、大阪でそれなりになったので、江戸で大成功している父を追って江戸下向したものの、江戸ではイケなかったとか。そりゃあね。女傑の三番目の妻がいて、二番目の妻が生んだコドモも役者になってるし、養子の左團次も可愛がってるところに、最初の妻のコドモがいきなり来てもねぇ、気まずいよねぇ。で、江戸を諦めて大阪に帰ってから、右團次はブレイクしたんだそう。右團次と言う名前を襲名したのも、大阪に帰った時なんですと。ってことは、養子が左團次だったから、自分は右團次にしたってこと、よね。古来、日本の序列じゃ左が上で右が下。大事にされてる左團次から一歩下がって？うーん、その心理、理解できませんが…やっぱり成功者のオヤジは恋しいのか、それとももっと打算的な何かがあるのか。ま、関西歌舞伎の大立者に出世したんだから、なんでもいいか。結果オーライだね。だって、異母弟（二番目の妻の子）は父の名を継いで五代目小團次になったものの、脇役専門みたいな感じで終わってるもんね。江戸の團菊左に対して、上方の延宗右ってのになったんだから。で、どうやらこの延宗右の次に初代鴈治郎が登場して、松竹という会社も登場して、結局関西歌舞伎は凹んでいくとか。それはまた後日らしいけど。なるほどねー、とは思うけど、どうしてか、Mr.タモツのこの講義では、私は歌舞伎の話よりお能の時の方がずっと面白く感じる。それもまた、不思議なり。

  2011.05.14

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• 鶴の字法度

  今日は、『大江戸の娯楽世界』の2回目。震災でスケジュールが先送りになったのだけど、この講座はオムニバスで2回ずつ先生が変わるので調整が難しいらしい。当初は2回目には芝居の話が来る予定だったけれど、その先生の分がそっくり先送りになって順番が変わり、その他はほぼ予定日そのままで、ゆえに今日は古浄瑠璃の話。わーい。前回、音曲の会は何を聞いても面白くて、期待していた芝居や風俗の会以上に楽しめたんだっけ。今回も期待しちゃう。古浄瑠璃…ということは、浄瑠璃の前ってこと。ラファエロ前派ってのと同じ意味合いだよね。義太夫節がイマドキ宣言をしたから、それより前は全部古浄瑠璃って位置づけなんだけども、浄瑠璃姫物語と言う素材以外に、音楽的にその始まりがなんだったのか、今日初めて知りました。つまり、琵琶法師から脱出したのは誰からってことなんだけども、私は三味線の登場がそのきっかけだったんじゃないかって予想してたんです。でも違ってました。そうかぁ、琵琶の後、最初は扇拍子だったのか。で、三味線が登場して、それと同じくらいに傀儡子も登場して、三業が一気に合体する機会が訪れるよう。そうそう、それが文楽…というか、操り芝居ってヤツ。阿国歌舞伎がもとで、それが江戸に伝わってきたように、あるいはお能が江戸に下ってきたように、文化的なモノの故郷は上方あって、成長してから江戸に流入してくるんだとばかり思ってましたが、江戸初期の古浄瑠璃とか操り芝居のあたりは江戸と上方を行ったり来たりしてると言うのも、ワタクシ的にはオドロキな感じ。ふーん。で、年表とか系図とか図表とか、いろいろ資料をもらって充実した講義でしたが…一番印象に残った、というか、面白かった話の一つがタイトルにあげた「鶴の字法度」について。私は忠臣蔵マニアなので、小説やドラマ、映画などでたびたび目にしてるから、犬公方綱吉に鶴姫って娘がいたのは知っとりますが…年取ってから生まれたその姫を溺愛した犬公方は、娘の名前を独占すると決めたそう。全国に「鶴の字は使うな」という命令を出したんですと。改名したヒトはいっぱいいたらしいし、屋号や店名、地名を変えたところもいっぱい。鶴が駄目なら亀にする？って発想も、当たり前のように多かったとか。最初、中村座の紋は鶴だったのに、その法度の時に現在に伝わる隅切り銀杏にしたんだそうですゎ。犬公方が亡くなってからだったか、鶴姫が死んじゃったからか、間もなく「鶴の字法度」は撤回されたのに、中村座の紋はそのまま。なんでかは知りませんが、最初から銀杏じゃなかったんですね…ふーん。次回は人形浄瑠璃の話で、今回と重なる部分も多いらしい。今月の文楽を見る予定はそれより後だけど、その話を聞いてから見てより楽しめるようなら嬉しい。でも、聞く前に見たかったなーって思うような気もする（爆）ところで…犬公方って、学問好きで真面目で自分勝手にいろいろ考えていて、将軍である以上は親政すべきだと思ってたフシがあると私は思ってますが、なんだか現首相にイメージが重なっちゃって。イキモノを大事にするのはいいこと。でもトップが安易に方向性を口走ると、下々はそれを受けて暴走する＝「有能な官僚が完璧を目指して頑張る」可能性だってあるんだから怖い。リーダーシップとパフォーマンスは別モノだし、そんなの誰だって判ってたハズだけど。浜岡が目くらましに見える…鶴の字法度はさしずめ…

  2011.05.09

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• 見比べる贅沢

  Mr.タモツの明治演劇史、今学期の2回目。前回、新富座の隆盛の章が時間内に終わり切らず、その持ちこし分から今日の講義が始まりましたが…先週の土曜は連休ということでお休みだったから、2週間ぶりなのだけど…なんだかそんな感じがしなくて。前回の印象がまだ鮮明な気がするうちに続きが聞けたのはラッキーだったかも。主だった役者を全員手中に収めた勘弥の新富座が隆盛を誇ったと言う話の結末は、その黄金時代が実質2年しか続かなかったってことでしたゎ。理由は二つ。外的要因である新しい劇場の開場と、内的要因の役者同士の不協和音とな。まーねー、一人勝ちって状態はそうそう続くもんじゃないのは市場原理の常識。役者同士の…ってのも、まぁ、判りやすいかな。誰が一番？ってのはねー、ムズカシイ。それに一流どころを全部囲っちゃうとお金だってかかる…ここの余談が今月の公演にピッタリはまって面白かったかも。いわく、明治座は安い。染五郎に亀治郎、勘太郎と七之助、その他には小山三くらいしか出てないんですからねー、って（笑）そうなんだ、私はまだ観てませんが、小山三さんはこっちに出てるんだ、へー。だから、安い、安いけど、それなりに入ってる、いや演舞場より入ってるんですと。どっちもまだ行ってないんだけど、へー！ただ…これとは別に出てきた余談だけども、その明治座へMr.タモツは昨日いらしたそうで、牡丹灯籠を見ていた時のこと。途中で牡丹灯籠が客席をふわふわ行くところで、Mr.タモツの後ろの席のお客さんが「へー、節電なんだ」と話してたとか。あっはっは、なるほど。いっぱい入ってる中にはそういうお客さんもいる（少なくない？）とも。へーへー！！ただ、今日の講義で一番惹かれたのはこんなところではなくて、タイトルに挙げたこと。新富座の話は先週の積み残しで、今週分はお能の話。明治の権力者が、西洋列強の真似をして日本にも国劇を作ろうとする話は前にも聞いたけど、その能楽派の筆頭・岩倉具視と、キーパーソンの一人だった英照皇太后について。お能の岩倉vs歌舞伎の伊藤ってのは判りやすいし、何度も（今日も）説明してるってことは強調したいことなんでしょうけど、公家と武家は素養があるからお能を押し、明治新政府の要人は田舎の下級武士出身だから文化的素養がないので判りやすい歌舞伎が好きってのは、なるほど説得力がある。しかも、明治天皇もお能の方が好き…という根拠は、天覧歌舞伎が1回きりなのに対して天覧能は何度もあったという事実。さらに、今日の話で、養母である英照皇太后の影響も大きいとな。へー英照皇太后は夫の孝明天皇のお能好きの影響を受けていて、それが明治天皇へも影響したとな。なんでも、明治天皇は養母への孝行として青山大宮御所（今の東宮御所）に能舞台を拵えたんですと。そこで豪華なお能の会が何度もあったという…本来なら新富座と時を同じくして舞台開きになるはずが、大久保卿暗殺で1か月遅れになったそうな。それでもお能が国劇にならなかったのは…これも前にも聞いた記憶があるけれど…お能の会の時、明治天皇は舞台も見てたけど客席もちゃんと見てて「お、みんな寝てるぞ」と気づいちゃったから。で、お能の良さが判るヒトが少数派なのなら国劇にしても困るだけじゃんと思った。なんて英明な！ちょっと前まで馬にも乗れない少年だったのに！！「もうちょっと、世の中に（お能が）普及してからでもいいんじゃないの？」と言ったとか。ま、それはいいとして。その、明治天皇に影響を与えた英照皇太后。葉山の有栖川の宮の別荘に当時の名人二人…梅若実と宝生九郎…を呼び寄せて、お能の会をしたそう。3日間だか4日間だか、八島とか通小町とかを素謡と仕舞で見たのだけれど…梅若実はセガレの万三郎、宝生九郎は弟子の松本金太郎をそれぞれ連れていってて、この二人に同じモノを続けてさせたんですと！つまり、万三郎の地謡で梅若実が頼政をやり、続けて松本金太郎の地謡で宝生九郎が頼政をやるということ。うわーそんなん、今の時代も当時も、皇太后じゃなきゃできないですよね。皇太后の権力があって初めて叶うもんであって…他の誰でも役者は断るんじゃ？やるかな？やるとしたら、とんでもない料金になりそうだもんな（爆）今の時代にだってねー私なんぞ、お正月に野村萬斎と茂山千三郎が並んで同じ小舞をやるってだけでコーフンしてるのにっさらに、細川家の別荘で、この二人に加えて桜間ばんばまで呼んじゃったという。翌年には葉山の御用邸に能舞台を作って、そこでもやったとな。むむぅ…やっぱり権力って素晴らしいかも。ま、そこまで望めないにしても、見比べる機会があるなら逃しちゃもったいないなって思いました。なんかもう、いつになく、強くそう思って…で、予定は未定として悩んでいたチケットを思わず確保。大丈夫か、私？！…ま、いいのだ、なんとかなるだろう、見比べなくちゃ、機会のあるうちに。うん。

  2011.05.07

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• いがみあってちゃイケない

  震災の影響で開講が半月遅れたカルチャー講座。Mr.タモツの明治演劇史の第二弾が、今日から始まりました。前回同様に盛況で、空席を探すのが大変な感じ。それに常連さんばっかりな雰囲気も。前回は明治10年くらいまでをやって、その最終回が歌舞伎。西南戦争劇が大流行したってところで終わったんだっけ。今回は始まりは、その西南戦争ブームが火事で水を差されて、でもめげない勘弥の努力で新富座が近代的な劇場として再出発するあたりから。とっとと仮普請しつつ、さらにもっとすごいもんも作っちゃおうって勢いは凄い。明治に優れた実業家はたくさん生まれたけど、この人もその一人に数えていいよね、きっと。その、新しい新富座の多くな特徴を、Mr.タモツは2つあげてました。2つだけど、裏表のような。1つはガス灯を導入したこと。場内の明かりはもちろん、場外のいわゆるイルミネーション（ってほどでもないみたいだけど）にも花ガスを使った最初の劇場のよう。そして2つめは、櫓を廃したこと。つまり、それまで櫓のあった場所に花ガスを使った装飾を置いたそうで、その様子は錦絵に残ってるし、なんと（考えてみればアタリマエ？）東京ガスの博物館に収蔵されてました！もちろんネットで作品が閲覧できます。つまり、権威と正統性の象徴だった櫓をとっぱらって古いモノからの脱却を宣言し、先進技術であるガス灯を導入して流行の最先端にいるとアピールする…しかも、その時点で新富座は主だった役者のすべてを手中にしている独占経営状態だから、コストも莫大だけど、作り上げる作品だって凄いもんができちゃう状態にあったという。だからこそ、翻案劇もできたし、九代目の活歴も実現したと。…活歴はいくつか現代に残ってるのがあるけど、どれもツマンナイでしょ？でもあの時代のあの顔合わせなら面白かったんですよ、今それを再現しようと思ったら、やっぱり大一座にしないとムリだねぇ…みたいな、そんなコメントでした。当時の新富座の凄さの一つとして、仮名手本忠臣蔵の通しを配役日替わりでやった時の配役表のコピーが配布されたんですが、なるほどこれが凄いモノ。大星だけでも團十郎、宗十郎、菊五郎、左團次、仲蔵と5人の日替わり。それだけなら5回見に行けば済むんだけど、本蔵も平右衛門も師直も判官も定九郎も勘平もみんな変わる。おかやや源六まで変わる。なんと23日間の公演で同じ組み合わせは一度もないんですと！相手が変わるだけでイキが変わって芝居も変わるから、同じ團十郎の大星だって平右衛門やお軽が違えばやっぱり変わってくる…そりゃそうかも。だから当然、大当たり。ま、そうですね、景気のいい時代だし。で、今日聞いていて面白かったのは、だから！面白いモノいいモノを作ろうと思ったらいがみあってちゃ駄目なんだよね！っていう余談のあたり（笑）現在の松竹は歌舞伎役者をほぼ独占してる…というか、世界遺産としての歌舞伎は松竹の持ってるコンテンツしか含まないらしいのだから、当時の新富座＆勘弥と立場的には同じハズ。そして、なるほど、歌舞伎座のサヨナラ公演では結構な大顔合わせだって実現したし、満員になった理由の一端はそこにもあるよね、きっと。だから、その盛況が終わった今、ちょっと寂しいなって思ったら、同じようにジャジャーンな顔合わせでやったらいいんじゃないの？とは、誰だって思う…Mr.タモツの話題その1。勧進帳の3役を日替わりでやろうと言う企画を松竹が作った。対象の役者はA・B・C。Aは3役とも経験があり、Bは弁慶と富樫はあるが義経はなく、Cは富樫と義経はあるけど弁慶がない。結局これは、Cが嫌がってボツ。むむぅ…妄想が驀進する話ですよね？！富樫と義経っていう組み合わせは、菊五郎もそうだし、他にも割合想像しやすい気がします。弁慶と富樫も、成田屋がそうだし吉右衛門でも両方観たし、仁左衛門なんかもありそう。でも弁慶と義経をやる役者（あるいは3つとも）となると、すごーく限られてくるような。っていうか、富樫と義経をやってるのは思い出せるけど弁慶もやってたっけ？って感じがする人が何人か。例えば勘三郎と梅玉、そして染五郎。花形とかならあるのかな。私が確かに想像できる3役やったヒトって亡くなったトミーさんだけだわ（爆）いや、弁慶役者ならほかに三津五郎と段四郎か、でも義経は？？？…と、ずっと妄想中。その2。来月の籠釣瓶、久しぶりに発端からの通し。芝翫がこの役に出るなら、こっちの役はバランスから見てもこの座組なら幸四郎しかないし、そう言って決まってたのに、結局降りちゃって幸四郎は昼しかでない…ここで「いがみあってちゃ…」ってセリフが出る。ふーん。誰と誰が？やっぱり妄想驀進するよねぇ（爆）結果、私は今、来月のチラシを眺めつつ、あーでもないこーでもないと想像しています。とはいえ、来月は演舞場を見る前に大阪に遠征するので…菊五郎の弁天と菊之助の鏡獅子を見て帰ってきたらすっかり忘れてるかもねー

  2011.04.23

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• ふてぶてしく歌う

  『大仏』のお稽古は今日で3回目。それなりに歌えるんだけど、きっちり歌えない、そんな状態の私。富筋の師匠は発音や発声を細かく見てくださるのですが…今日のご指導は「そこは、ふてぶてしく歌って」というもの。ふてぶてしく…キャラ的には十分イケる私ですが、それはまた、どういう？『大仏』という曲は、恋の歌だからメロディはなんとなく春っぽくフワフワした感じですが、後半になるに従って歌詞がどんどんアブナくなっていきます。いかにも上方で発達した座敷芸って感じがするくらい。そりゃぁ小唄ほどロコツじゃないしムード歌謡みたいにかえって恥ずかしいくらい飾ってるわけでもないんだけど、古き良き日本の大らかさがあるっていうかねー、ほら、地方の古い神社仏閣のご神体やご本尊が男女和合のシンボルそのもの！みたいなことってあるじゃないですか？コドモが生まれるのはめでたいんだから、そのための努力もおおっぴらにって感じで。柱が太いとか、穴をしのびながらくぐるとか、中学生男子なら過剰に反応しそうな詞章になってますし、芸者が歌って踊ればお客のオヤジはニヤニヤ楽しくなるって風。最後は布団着て寝る、ですしねーだから、可愛いのも色っぽいのも景色過剰になりやすいので、ふてぶてしく歌うんだそう。むむぅ…なるほど。アタマでは判っても…フシと手を追うので精一杯な私はまだまだ。とりあえず歌いましたってレベルだけど、ま、根がふてぶてしいからナントカなるかもしれないな（爆）で、今日でいちおう『大仏』は区切り。ちょっと季節が戻った感じの日だったけれど、もう桜も散ったことだし、じゃぁ次は夏だ！ってことで『芦刈』の譜を貰って帰ってきました。その場で少し…全体の四分の一くらいかな…攫ってみたんですが、おお、なるほど、夏かも。なんとなくメロディが爽やか。気のせいかな。いや、きっとそうだ。『大仏』に比べたらサッパリしてる。あっちは桃色イメージだけど、こっちは水色イメージだな。『芦刈』は、舞のお稽古を初めて比較的最初の頃に習ったモノ。ゆえに、フリはすっかり忘れている（爆）覚えているのは、鷺が飛ぶようなフリがあったのと、詞章の最後が「ざざんざ」だったことくらい。でもねー、5月の6日は立夏だし、先取り気分で夏になるのはいい。歌って涼めればこんないいことはないと思うぞ。うん。なんたって春に恋して秋に振られて冬に出家する地唄に夏の曲はとっても少ないから大事にしなくちゃ。

  2011.04.19

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  今年の『やりたい放題』

  世間的なエイプリル・フールは昨日だけど、私が四月馬鹿になるのは今日。今日は、地唄舞の内輪の発表会でした。花崎流門下生の会、例年通りに人形町の料亭濱田家にて。そもそも内輪で出演者の関係者しか来ない上、私自身は誰にも声をかけないので知人は来ないもんだから、毎年やりたい放題してるんです…ホント、陰で何言われてるか判んないくらい。いや、みなさん上品なマダムだから陰で何もおっしゃらないとは思うけど、あはは。一昨年は師匠の新作をやりたがり、去年は長い長い曲を舞い、今年は舞うだけで満足せずに師匠の舞に演奏しちゃうというお耳汚し。今年から富筋の師匠について地唄舞によく使う曲（で宮城では習わないモノ）を教わってるので、覚えたそばから出たがる私なのですゎ。ええ、ヒトの迷惑は顧みず、己の自己啓発だけに熱中しとります。場数踏まないと上手くなんないんだもん。いずれは、自分の音と舞で老人ホームを慰労して回るんだ！いや、それは、とりあえず置いとくとして。まずは舞。今年の曲は『ゆかりの月』。師匠に言わせると、舞踊会などで出すと得な作品なんですと。自分で感じる出来以上に評価されやすいとか。んー、それはヒトによるんじゃないのかなぁ。そうかなぁ。ま、嫌いじゃない。それに、今年はなんだかとても楽しんでできたような気がします。できは…うーん、あとで録画を観てみないと何ともなぁ。当初予定していた音源が、なぜか会場のAV機器と相性が悪いらしく、ぜーんぜん音が出なくて急遽別の演奏家の音になったのだけど、流派が違っても同じ曲だし、そんなにベラボーに違うってもんでもない。前に、その音でもお稽古したことがあったから、いきなりの変更といっても「ああ、そうですか、したかないですねー」といい、内心では「出来が悪かったら音のせいにしよ」とほくそ笑んだりして。それに、くじ引きの順番が2番…つまり口開けで舞う師匠の次、弟子たちの中の最初、前座みたいなもん？始まったばかりでお客さんもまだ疲れてないし、みんなお行儀よく観てくれていて（知り合いでもないのに！）なんだかとってもいい気分。しかも手伝いに来てくれた若者がイケメンだったのでモチベーションもあがるあがる。そんなこんなで、あっという間に終わったけれど、とにかく楽しめてできたので結果オーライ。終わってから「もうちょっとできる気がしてたのに」と思った去年より、今年は自己満足度は高いかも。それから演奏ですが…富筋の師匠に最初に習った曲が『菜の葉』で、今日はそれを。覚えると、すぐやりたがるもんですから。下攫いの時はボロボロだったし、今日も舞よりずっと緊張してたんだけど、まぁ、なるようになった。いや、ミスもしたんだけどさ。何でだろうね、本番で、今までお稽古では一度もしなかった失敗をやらかすのは…つくづく不思議だ。最初の第一声が出なかったことなんてなかったのに、今日はいきなりむせてしまいました（爆）カッコ悪い…でも。ま。それもまた糧になるざんす。ええ、私は落ち込まない主義なので（大爆）しかもめげない主義でもあるので、次の機会も狙っている…それにはもっとうまくならないといかんのだけど、ぶっちゃけて言えば、場数もいるのさ、場数も！練習通り弾けるかどうかは、慣れが大きいんだもん。師匠はこれで懲りちゃったかもしれないけど、私は次の獲物を探すぞぃ…と、いうわけで。舞は最初だったから、前半分は後の方々のをちゃんと観られたし、後半分は演奏する3つ前までは観られたかな。見逃したのは、あとで録画を拝見しよう。他のお弟子の舞は普段あんまり観る機会がないのでねー。ヒト様のを観て、あー、次はこれやってみたいなーなんて妄想するのが、私は好きです。今回は、そうだなー、『夕立』がよかったなー。大目標の『鉄輪』もあったんだけど、あれは当分無理だしな（爆）そして。運動の後は美食。いつもの通り、濱田家のご飯。本日の献立は…二段のお弁当箱に前菜がいろいろ（上段の3つ、中央が上段、右が下段の中身）桜の葉っぱにくるまってるのは、鯛の木の芽寿しと穴子寿し。椀盛はあいなめやヨモギ麩（中央左）、お造りはヒラメとカサゴと赤貝（中央中）、焼き物はアマダイにホタテにアワビにエビなど（中央右）。炊き合わせはこの時期お約束の若竹煮に鯛の子や菜の花（下段左）。そしてカニご飯と赤だしの食事が出て（下段中）、最後に水菓子と甘味はいつもの通り（下段右）良きかな良きかな。

  2011.04.02

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• 大仏って…

  今年に入ってから、それまでの宮城会をお休みして、そちらの流派ではお稽古しない小品を中心に、富筋の師匠にお稽古付けてもらってるワタクシですが。いずれは自分の音で舞う…を目標にしてます、なんて言った手前、舞でお馴染の曲から順番にお稽古してるのですが、まぁ、舞もそれなりの数をお稽古してて（でも覚えてない・爆）選択の余地があるので、ある程度は季節に合わせた曲を選んでます。で、今日までは春の曲である『袖香炉』を。梅の花が出てくるんですけどねー、すっかり咲いちゃって散っちゃって、ギリギリ（爆）次に何しましょう…と、聞かれたら、前回『袖香炉』に決める時に別の選択肢として『高砂』もあげていたからそれでもいいし、春の終わりっぽければ夏前にもう一曲春でもいいとも思ってたんですが。師匠に思惑がおありのようで。さっと『大仏』を出して、「二上りつながりで、これにしましょう」とな。むむ、『大仏』かぁ…と、誰でも思う『大仏』。それでまたひとしきり、盛り上がったりもして。いや、ね、思うでしょ？大仏ですよ大仏、ダイブツですもん。たとえば友達から「今度の舞踊会に出るんでしょ、何舞うの？」と聞かれて、ダイブツって、答えづらくないですか？音曲でも同じ。「演奏会では何を弾くの？」と聞かれるのが怖いので、黙っていようかなって思っちゃいそう。そう思いません？師匠も「そうなのよねー、これをやれと言われて、えー、友達にいえないじゃんって思ったりしたわ」とのこと。とにかく、ダイブツですから！内容は、のほほんとした恋の歌で、曲調もほんわかしてるし、舞のフリもゆったりして割合に上品で女っぽい感じ。舞そのものも、曲そのものも、どうってことないんだけど、タイトルがさー、ダイブツ。なんで大仏よ？といえば、ま、詞章がそうなんだけどもね。奈良（東大寺）の大仏と京（方広寺）の大仏が恋をしたって話で、それをイメージするとやっぱりドヨーンとするんだけど（いや、大爆笑かな）、詞章そのものを深読みすると妙にヤラシイものでもあって…粋なのか雅なのか、何なんだ！って感じがします。『大仏』の舞はすでにお稽古していて（忘れたけど）演奏を習ってもう一度攫ったらいいなぁとは思ってるし、今日ちょこっと最初を攫ってもらったら唄も演奏も面白くていい曲だなぁとも感じたし、なんたって恋は春だし、悪くない。悪くないけど、ダイブツ。うーん、この曲、このタイトルさえなんとかなれば、もっと人気が出ると思うんだけどなぁ…◇◆◇ところで。首都圏の大学には卒業式も入学式も取りやめた上に、4月中はお休みにするところも少なくないようですが…おー、そうか、ということは、当然、大学に関連したカルチャースクールもお休みになるのですね。申し込んでおいた講座の開始日が先送りになるという通知が届きました。うーん。Mr.タモツの講座、楽しみにしてたんだけどなぁ。早く始まるといいな。

  2011.03.29

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• 地震後、ようやく地唄舞の稽古へ

  そもそも今週は終日の仕事が2件と観劇予定が2件あったせいで、稽古事は音曲のみの予定でした。ところが地震の影響で、電車のダイヤがはっきりしないもんだから…田園都市線に乗って溝の口の先まで行く、今年から始めた方之地唄の稽古はとりあえずキャンセル。午前中の予定だったから、行くのは大丈夫だったと思うんですけど、帰りに電車が動いてなかったら洒落にならない…実際、通勤客の減るお昼前後の郊外への便は大胆に減便されてましたもんね。その反面。週末に西日本へ行く予定のあった舞の師匠はその予定がキャンセルになり、急遽本日の稽古が可能と連絡あり。こちとら仕事も観劇もなくなってたので渡りに船。お願いしますと返信して、本日午後、出かけてきました。あー、地震後、初稽古だわ。でも。今日も寒い。もしも予想外の大停電が発生して地下鉄が動かなくなったら、港区の南端から中央区の北端まで歩くことになる。うん、着物で行くのはやめて、浴衣持参のリュック＆ウォーキングシューズでGO。どうせなら、歩いてみるか。三田のあたりから坂に入ると近道のハズなんだけど、その辺は不案内なので、行きはとりあえず第一京浜をまっすぐ行き、品川駅前から柘榴坂を上がって高輪へ。帰りはその高輪ナントカという坂道を下って聖坂へ出て、行きには止めた三田へ。そうか、ここへ出るのか。よし、次からはこっちだな。なんて、ルートを確認しつつ、一気に帰ってきました。2時間弱。そうかぁ…遠いと思っていた新宿は意外と近くて、隣の区とはいえ端から端の稽古場は印象より遠いんだ。今日は、地下鉄は問題なく動いていたので、別に歩く必要もなかったのですが…天気は良いのに寒い日だったので、暖まるにも歩くのは好都合でした。ただ、節電のため行灯看板や飲みモノの自販機がほとんど消灯してる地下鉄は、雰囲気がまるで「パリの地下鉄みたいだったよー」とのこと。それを見てくれば良かったな…ともあれ。来月の頭に予定されている門下生の会に向かって稽古は順調に進んでる（つもり）できることをして、事態の好転を待たなくちゃ。…そうそう、行き帰りで三原橋の交差点を通り、帰ってきて5月演舞場の演目が発表になってるのを見て、つくづく「地震が1年早かったら、いや、歌舞伎座閉場がもう1年遅かったら」と想像し、ギョッとしました。九段会館之天井が崩れたくらいだもん、歌舞伎座が無事だったとは思えない。うっかりすると自分自身があそこで被災・落命してたかもしれないじゃない。時は3月。確か菊五郎ほか豪華メンバーで弁天やってたんだよね。よよよ、おーこわ。松竹も、ギリギリ助かったよねー◇◆◇本日のとほほな節電は、分電盤の活用。ウチの配電盤は玄関にあるんですが、一昨日と昨日は出かける際に安全ブレーカーを切っておりました。冷凍庫には粉類や乾物しか入ってないので大丈夫だろうと。でも、よく考えてみると、それじゃガス警報器と電話が機能不全じゃん。いかんいかん。で、分電盤制御に切り替え。どれがどこのスイッチなのか一通り確かめたら、幸い電話とガス警報器は同じところ。だったら、それと、あと仕事用のパソコンにつながるところだけを残して他を切ってしまえ。出かける時じゃなくて、いる時でも、昼間なら大丈夫よね。トイレは、いつだったか猫たちが暴れまわってコンセントを抜いちゃってた時には、便座の冷たさにギョッとしたもんだったけれども、それだって予想していれば大丈夫。ヒトが抜くには面倒な位置にあるトイレのコンセントだけど、温水便座の待機電力はかなりのもんだから、分電盤で切っちゃうのはいいアイデアだと自画自賛。なんか、今日は私なりに、成果を出せたような…自分勝手な達成感に浸っております（笑）

  2011.03.18

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• 左甚五郎だったのか

  年明けから始まったカルチャー講座も今日で最終回。このセンセの講座は、この次は夏の陣になるのかなぁ。前回の夏の時はいろいろなものと重なって2回も欠席しちゃったけれど、今回はいちおうすべて出席できてよかったよかった。やっぱりねー、根がケチだから、申し込んだ以上は全部の講義をきっちり受けたいですもんね。で、最終日の今日は、恒例の常磐津演奏のある日。でもその前に、1時間ほどいつもの講義もある。本日のお題は…お酒の話。歌舞伎にはお酒がキーになる話が少なくないし、酔っ払いキャラも珍しくないから、どの話を聞いても「ああ、そうだ」と思い出す材料を自分自身でも持ってるほど。だってね、たとえば勧進帳の弁慶だって飲む芸があるくらい。っていうか、松羽目モノって酔っ払いにならないモノがあるのか？！っていうのが私の印象なんだけども…棒縛りしかり、身替座禅しかり、素襖落しかり、高杯だって…音羽屋のアタリ芸にも、魚屋宗五郎のような可愛いけど困った酒飲みも出てくるし、毒酒といえば暮れに玉手御前を観たばっかりだし、今月は（まだ観てないけど）国立でうんざりお松の時蔵が蛇の毒酒を作ってるんじゃないのかな。助六の白酒売りだって、サヨナラ公演の最後は菊五郎だったし。しばらく見ていない演目で、久しぶりに見たいと思う酒飲みモノは…あるかな…慶安太平記をガンガンに動ける若手でとか、五斗三番叟を吉右衛門か三津五郎でとか、それくらいかなぁ。酒飲みモノって、わりと頻繁にかかるんですね、そう考えてみると。で、今回はあまり「おお！」と思うお話はなかったのですが…幕内話も含めて…それでもモノを覚えたぞ！っていうのがひとつ。酒飲み、というか、お酒の強いヒトや好きなヒトのことを「左党」っていいますよね。それは、大工道具のノミは左手で持つものだから、左はのみ＝飲み＝ノミの手と言う意味だとは聞いてました。落語かなんかで、だったと思うんですけど。へーっと思ってそのまま何の疑いもなく受け入れてたんですけど、よく考えてみれば、左手だけじゃノミの手というわけにはいかない。大工の左手だからこそ、ノミの手といえる。だから左というだけじゃ、即座にノミ＝飲みには結びつかないような気もして。その疑問が解けまして。なんだ、左甚五郎か。そういえば、菊五郎でも三津五郎でも、京人形という踊りは何度か見てるじゃないのよ、私。あれで、左甚五郎が左手で奥さんに合図するんだよね、確か。お酒出してって。そうかそうか、左甚五郎が左手を使うから、大工の左手＝ノミの手と通じるんだ！と、今になってようやく判った次第。あー、すっきりした。あまりにアタリマエで、だからこそ解説を見つけられなかったんですね、私。誰でも知ってるような、常識に近いモノって、知識として扱われにくいから、用語集なんかの解説からもハズされやすい…と、そういうのは自分が用語集を作る時にも注意してた基本的なお作法だったんだけど、いやはや。落語だって（枕だったかなぁ）、あまりに常識過ぎる解説をしたら興醒めですもんね、はしょったというか、酒飲み大工の代表＝左甚五郎ってのは、一般教養だったんだなぁ、きっと。でもま、いいや、いくつになってから恥をかいても、知らないことを一つでも余分にクリアできたらお金払ってカルチャーしてる意味がある（笑）

  2011.03.05

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• 『今、キミが思っていることを言え』

  今季のカルチャー講座も今日で5回目。今回は全6回だから、後1回でおしまいだし、最後はまた常磐津三味線を聞くプログラム。途中3週間あいたのに、なんだかあっという間。で、今日の主題は先週から引き続きのセリフ術。配布資料を見ると、セリフ術の後に再び舞と踊りの話に戻るような気配もあったのだけど、セリフ術の最後まできたところで「ちょうど時間になりました」って感じで終了なり。先週より、すこーし、つかみの幕内話が長かったかな。いや、余談が多かったのかな。あははお能や平曲のような先行芸能の朗唱術から、元禄歌舞伎の雄弁術なるものを経て、三味線の登場、そして黙阿弥の七五調、九代目團十郎の活歴劇、そして現代。その中で、九代目の「せりふではなく談話のように」などという芸談話はいろんなところで見かける機会のあるものだけど。そこで面白かったのは、現在に置き換えると、という例え話。幸四郎が座頭の芝居で、稽古の時にセリフの出ないヒトに向かって言う言葉は…『セリフなんてどうでもいいんだ、今、キミが思っていることを言えばいい』うん。意味は判る。その前に誰の話だったか「セリフは全部覚えろ、そして舞台に上がったらすべて忘れろ」というのもあって、それと同じ意味なのも、判る。そして私は、たぶんそういう役者が好き、歌舞伎以外の舞台では。いや、たぶん歌舞伎でも。亀治郎が、どこかのトークで「セリフはだいたいの流れと意味が頭に入っていれば、正確な言葉遣いは忘れても意味的に正しいことは言える」とかなんとか言ってましたっけ。でも、大河ドラマの時は時代劇だったからそれでNG出さずに済んだけど、現代劇をすると言葉遣いの問題でNGを出してしまったとか。確か…「こいつ」という言葉が出なくて「きゃつ」か「こやつ」しか浮かばず、どっちも違うとは思ったけれど、と。要するに、板の上でその役を生きるってことだけど。でも、そういう役作りじゃない人も、いるよね、たぶん。幸四郎の、そういう言葉を口にするシーンがリアルに想像できちゃって、なんだかえらく印象的でした。それから、今日はワタクシ的に貴重な映像を見られて大満足。それも、二つも。一つ目は、独白のありようを歌舞伎とシェイクスピアで比較して云々の最後に、シェイクスピア翻案劇の映像を。NINAGAWA十二夜ではなく、染五郎が10代の時にやったらしいハムレット。外題を「はむれっとこきょうのにしきえ」というそうで、調べたら葉武列土倭錦絵と書くようですね。そういえばこれ、ずいぶん前に松井今朝子さんが自身のブログで「松竹の倉庫には大昔に作ったシェイクスピアの翻案劇なんかも眠っていて」と書いてたことがあって、その時にも見た記憶があるな。なんでも、明治に仮名垣魯文が作ったんだけど上演しないままお蔵入りになってたんだそう。それを染五郎が初演して、初演の時点で英国公演もその後の凱旋公演も決まってたとか（笑）もちろん歌舞伎座とか演舞場とか国立劇場とかではなく、グローブ座だったかな、どこだっけ、すでに忘れたな、メモも取らなかったし（爆）ハムレットがはむろまる（葉叢丸と書くよう）ってのは秀逸かも。この映像を、ほんの少しですが、見られましたゎ。しかもあの、「To be, or not to be」ってとこ。下座もついた、しっかり歌舞伎的な演出なのに、どこか新舞踊を連想するような感じがして。もう一つは、セリフ術の〆ってことで、加賀鳶の勢揃いの懐かしい映像。ちょうど一世代前で、主役の松蔵は写ってなかったけど二代目松緑、梅吉は先代の羽左衛門。勢揃いの先頭がすらりと大きな吉右衛門、次の白塗りはもちろん菊五郎。この役は音羽屋の御曹司がやると決まっているそうで。なるほどセリフに「菊に縁あるナントカ」ってある。その次が超カッコイイ亡くなった初代辰之助、そしてまだ海老蔵だった團十郎、福助だった梅玉、わっかい東蔵に友右衛門、八十助の三津五郎、右之助、すらっと長身のコドモ？に表示された名前は橋之助、亡くなった新車に亡くなった松助の松蔦時代＝松也君のお父さん、銀之助時代の團蔵、左團次、亡くなった蓑助と先代権十郎なり。辰之助の声がとっても素敵なのと、松蔦の松助の声が松也君そっくりなのに感動。そういえばサヨナラ公演の時だったか、いや、もっと前だな、何年か前の團菊祭かな、ちょうどこれの子供世代の勢揃いがありましたっけ。三津五郎が先頭で、菊之助、松緑、海老蔵と続いてたの。この加賀鳶の勢揃いは、やっぱり江戸の役者でないと…とはセンセの談。そりゃそうでしょ、子音の発音がねー。だから私は、仁左衛門の鳶姿がどんなに素敵でも、加賀鳶では観たいとは思わない。お祭りでいいです。はい。

  2011.02.26

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• 能管は打楽器？！

  3週間ぶりのカルチャー講座。講師のセンセが今月の博多座に出てるせいで…つまりは完成度にこだわる玉三郎は役者だけでなくすべてのスタッフを公演通して変更なしをお望みだから、のよう。へー、博多座に常磐津出てるの？と不思議に感じちゃったのは、泉鏡花シリーズの印象が強かったせいだけど、改めて見てみればなるほど将門か。かつては若き染五郎や松緑を相手に踊ることも多かった玉三郎は、今はもっぱら獅童を相手にしてる印象がありますが、歌右衛門もそうだっただそうですね。私は最晩年の歌右衛門しか知らないので判りませんが、「女方はトップに立つと下と組みたがるみたいですね」とはセンセの談。出来上がってしまった人よりも、未完の人を育てたい気になるのかもしれないとか。歌右衛門しかり、今の玉三郎しかり。でも…獅童って出来上がるのか？（爆）私はむしろ、去年の南座での関の扉で隼人君を使ったのにびっくりで…もしも獅童が出来上がったら次は隼人君なのかしらん。そうねー、若手でも壱太郎なんて、自力で出来上がりそうというか、かなり高いところまで行っちゃいそうで、かえってやる気が出ないかもしれないもんな。最近ちょいとへこたれちゃった福助も、歌右衛門を襲名した後はそういう気になるかしらん。いや、そうなったらまず自分のセガレだよな。うん。で、お久しぶりの今日、お題はせりふ術。前回までは歩く話だったけど、今日からはしゃべる話。お能や狂言のような先行する芸能の朗唱術から始まって、黙阿弥を経て九代目までやっと到達した、かな。西洋演劇を学んだ二代目左團次まで来たといっていいのかな。うーん、どっちだろ（爆）今日も面白い話はたくさんあったし、なるほど！というポイントも多かったのだけど、一番印象に残ったのはタイトルに挙げた能管の話。能管は、形は笛だけど、楽器としては笛ではなく、むしろ打楽器であるという。確かに、能管に音階はあるようでなく、メロディを奏でているようで全然そんなこたぁない（らしい）だから絶対音感を備えた人とか、西洋音楽をきちんと学んだ人には気持ちの悪い音でもあるそうな。じゃ、能管はどこがどう打楽器なのかと言えば、能管が表現しているのは、メロディ表現じゃなくてリズムだから。拍を刻むというのか、拍を取るというのか、要するに拍子か。そうだね、お能じゃ大小の鼓と太鼓と能管で囃子方っていうんだもんな。すごーくメロディを吹いてるように思える曲もあるんだけど…あれは構成にできた作品なのか、それとも素人にはメロディに聞こえて実はそうじゃないとか。篠笛は間違いなくメロディを奏でる普通の笛だけどねー能管は笛の形状で、笛と同じ方法論で音を発しているんだと思うけど、それでも打楽器。三味線は、太鼓と同じ方法論で音を発してるので打楽器とも言えるけど、メロディを奏でるので、いちおうリュート類に分類されるらしい…面白いなっまた、声についてのちょっとした分析？にも、なるほど！と感じる点が。荒事の声の良し悪しは、甲（かん）の声と呂（りょ）の声で評価されるんだそうですが…今だと團十郎に幸四郎に吉右衛門、それに仁左衛門ってとこが評価対象になるんでしょうかね。團十郎は、私は確かに甲の声は好きじゃないです。あくまで個人的な好みですが、同じ理由で橋之助の甲の声もダメかも。そもそも地声が嫌いな染五郎の方が、甲の声はいいように感じるくらい。松緑はこの頃とてもいいと感じるし、海老蔵の甲は前から好きですが、できれば愛之助のを改めて聞いてみたいかもな。一番いいと思うのは、甲に関しては吉右衛門なんですが、センセが「技術的には吉右衛門さんが一番、特に甲はいい」とおっしゃったので妙に納得。ただ、吉右衛門は呂の声に多少難があるらしい…兄の幸四郎は、反対にとてもいい呂の声を持ってるんだそう。幸四郎は甲の声もいけるハズなのだけど、時に古典の発声から外れるとか何とか。おお、そうね、甲がファルセットになるかも。ミュージカルスターだし。仁左衛門への言及はなかったのだけど、私はそもそも仁左衛門に荒事を求めないのでいいです（笑）そりゃぁ仁左衛門の助六も弁慶もいいとは思うけど、一番好きではないし、どちらかと言えば仁左衛門には上方の香りを嗅いでいたい。でもなー、たったそれだけの話を聞いたくらいで、当分観なくていいと思ってた車引が、にわかに観たくなってきちゃうから不思議。教材としてちらっと観られた車引は懐かしい…この先ないだろう配役で、辰之助時代の松緑の梅王（これはずっとある）と新之助時代の海老蔵の桜丸（これはもうない！よね？）。ああ、海老様もあんなに線の細い時代もあったんだっけ。そうだよねぇ、大河ドラマで足利義政やってた頃は白皙の美青年と言って間違いなかったもんなー

  2011.02.19

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• 見比べるのは面白い

  歌舞伎検定の合格証が届きました。一昨年、昨年、今年のそれぞれの合格証を並べてみると…色違いなだけかと思ってたら、番号も毎年変わるのね。受験に制限がない（誰でもどの級でも受けられる）から当然か。公式サイトに「結果は21日に発送予定」とあったので、今日あたり来るなーとは思ってたけど、予想通りにちゃんと手に入ると嬉しい、というか、安心。今年から問題を持ち帰って良くなったし、年内に正答が公開されたので、自己採点で結果は判っていたのだけれど、それでも何かの間違いもあるし。アタリマエだけど、自己採点通りの結果。名前や受験番号を書き間違えたりはしていなかったわけだ。まだ、ボケちゃいないか。よしよし。2級は6割できれば合格なんですが…やっぱり、一応、検定と言う以上は、7割取れないとイケないような気がしていました。が、自己採点の結果はピッタリ7割だったので、ちょっと微妙な気分でもありました。改めて「70点」と書かれた用紙を見て、うーん、2級はもう一回受けたいかもなーって思ってます。自分的にはギリギリの点でも、現実がそうなんだから文句はないの。でも、なまじ公式テキストなんて買ったせいで直前に悪あがきしてハマったところがちょっと悔しい。だから、もう一回やってみたいなって気がして。それにしても…記念品が…どんどんイケなくなる気がするんですが（爆）手拭いは好きで集めてますが、手拭いなら何でもいいってわけじゃない…3級から2級への点数の下がり方は、まんま標準的な級差設計の通り。ってことは、私の知識は何も向上してないってこと。このまま上の級を受けても、今度こそ受かんないな。来年どうするかは、その時になって決めよっと。さて、今日の本題は、いつものカルチャー講座。今日は珍しく？センセの幕内話が少なくて、映像資料をたくさん見られる内容でした。歩きの芸についてだから、映像を見せたいのは当然だし、こっちも観たい。でも、同じモノを違う役者で見比べられるとは思ってなかったので、今日はそれが一番の収穫だったかも。六方は、いろいろ観てる…とはいえ、きちんと観てないことも多いし、一つが印象に残ると他が上書きされちゃう場合もある私。勧進帳の弁慶なんて、いろんな役者で観てるハズなのに、六方についてはあんまり印象にない、というか、違いを感じたことがないかも。誰のが印象に残ってるんだろう…勧進帳全体についてなら、マイベスト弁慶は吉右衛門なんだけども、六方となると…絵的に思い浮かぶのは三津五郎と海老蔵くらいかも。華麗なのと豪快なの、かなぁ。どうだろ。今日は、二代目松緑のを見せてもらえたんですが…それでびっくり。なるほど…Mr.タモツが幸四郎の弁慶を見るたび貶してるところの、その意味が良く判ったかも。なるほど、美しい。すごーく美しくて、力強くて、カッコイイ。でも、何よりもまず、美しいゎ。なるほどねー、これを見られなかった（覚えてないだけかも）のは不幸かもね、私（爆）それと、宮島のだんまり。ラストの傾城六方なんですが、私はこれ、福助で観た記憶は残ってます。花横の席で間近で観たこともあって、かなり鮮明な記憶。だから、最初にその映像が流れた時にも「ああ、覚えてる通り、笑い過ぎだよねー、これ」なんて記憶を確かめることができたんですが。その後に続けて、時蔵のを見せてもらえたんですよ。これがとっても面白くて。いや、時蔵が面白いんじゃなくて（アタリマエだ）、二人の違いが面白い。印象に残ってた笑いも全然違うし、六方の振りそのものも違うし、そのせいで、この傾城だけど実は盗賊っていう不可思議な役に対する解釈が物凄く変わる気がして。時蔵は、女方をしてるとかよわそうに感じるし、サラッとして上品な印象が強いけど、私服になるとどこをどう見ても普通のオジサン。福助は、強そうには見えないけど情熱的で一歩間違うとストーカーにもなりそうな情念を感じるし、私服でもオネエな印象が強いオジサン。なのに、傾城六方の時の摩訶不思議な扮装の時には、時蔵の方が凛々しい印象なのでビックリしました。テレビ中継の録画なので同じ角度で同じようにクローズアップして撮ってるし、見比べるにはちょうどいい感じで、なるほど映像ってこういう楽しみ方ができるんだなぁと発見。そうかぁ、なるほど、見比べるととっても面白い。これからは歌舞伎中継を録画しておくべき？いや、それとも歌舞伎チャンネルとか？いやいや…観ないよなぁ、めったなことじゃ。もったいないもんな（爆）うーん。

  2011.01.22

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• 舞踏と舞踊

  カルチャー冬の陣は今日で2回目。先週は例年のお約束だというお正月の話で、今日はその積み残しから始まり、本題は全90分のうちの30分くらいだったかも。本題は「歩く芸」で、六方とか丹前とか出てくるも…説明だけで時間切れになったのか、おそらく映像も用意されてたんだろうな、話だけじゃ「らしくない」もん。その他積み残し分と合わせて、来週に期待しよう。今週見られた映像資料は前週の内容にまつわる分の「対面」と、今週分のひとつ「鞘当」。後者はちょうど今月やってるし、同じ配役の映像を見てもいまひとつ嬉しくない（笑）…ま、確かにね、歩く芸だけど。今日のお話の中で印象に残ったことといえば、舞踏と舞踊のこと。歌舞伎では、舞も踊りも総称して所作事と言ってて、舞踏とも舞踊とも呼んでいなかったのだけど、明治維新後にいろいろな外国語が入ってきて、それにどの言葉を当てるかで悩み、いくつかの新しい単語も生まれた時（経済、とか）、やっぱりDanceをどう訳すのかも検討されたそう。身体表現には、舞（まわる動き）と踊（飛ぶ動き↑）と踏（踏みしめる動き↓）とがあるんだそうで。なるほど、舞と踊りは芸能っぽい動きだけど、踏は四股を連想するせいか、神事って感じがするなぁ。で、雅楽の世界には大昔から使われてきた舞踏と言う言葉があったので、Danceに相当する日本語を舞踏と決めたのだけど、昔からあったとはいえごく限られた世界でしか使われていなかった専門用語のようなものだから、一般人には馴染薄。Danceという言葉と共に入ってきた、鹿鳴館文化に象徴されるような西洋のモノばかりが舞踏のイメージなってしまったのだとか。うん、確かに。舞踏会に代表されるもんね。舞踏と言われたら、社交ダンスとクラシックバレエのイメージかも。歌舞伎の所作事や、芸妓の座敷芸、稚児舞や獅子舞のようなもんを、舞踏とは呼べないなーと、明治の人も思ったようで。かの坪内逍遥先生が、だったら日本の伝統的な方を舞踊と呼んで区別したら？と提案し、そのままそれが定着したんですと。だから、舞踊という言葉は明治にできた新しい日本語で、言葉年齢としては経済なんかと同じ年くらいみたい。へーただ、坪内センセのご提案はあくまで文化的あるいは芸能的な利便性の中だけにとどまってるようで、役所の中では最初にDance＝舞踏と決めたという事実がそのまま生きてるんだとか。国立劇場も含めて、公的なその手の文書には、いまだに舞踏という呼称が登場するそう。日本舞踏と書いてあったりするんですと。へっへー、日本舞踏。なんか、音だけ聞くと、日本武闘と勘違いしそう（爆）でも、確かに、文字の意味だけ見れば、少なくともお能は舞踊というより舞踏だよなぁ。

  2011.01.15

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• 学び初め

  カルチャー冬の陣、今日から『歌舞伎から見る日本文化』講座の始まり。講師が常磐津の太夫でもあるこれ、このところ連続受講しておりますが、その1回め。そういえば、去年の冬もそうだったっけと思い出した今日の内容。なんでも1月の1回目は吉例にて毎年同じ「歌舞伎と正月」というテーマで話してるそう。うん、そうそう、顔見世と初芝居の話は聞いたことがある。と、その前に、これも恒例の幕内話。そういえば、一昨日浅草で講師が語ってるのを見たんだけども、浅草には清元も家元が来てて「あれ、他では清元使ってないの？」って思ったんだっけ。確かに、大阪は新歌舞伎系が多いし、国立にも浄瑠璃はないし、演舞場も夜は長唄メインだったなぁ…ちょっと不思議…なのは、そうか、もともと浅草の他にテアトルでいろいろ出る予定だったんじゃない！なんでも、当初のテアトルには常磐津の演目が3つあったそう。それが全部消えて無くなったので、常磐津連中には影響大だったようで。うーん、大変だよね、ホント（爆）で、講師は半分浅草で半分テアトルの予定だったから、消えた仕事は半分だけだからマシだったようで。そんな話と、それからトミーさんがらみの話題もひとつ。系図を書いて説明されると…そうか、かつて関西歌舞伎の人気スター同士だった藤十郎とトミーさんは親せき同士でもあるんだ。この二人をつなぐところにいるのが、なんと亀鶴くん。むむぅ…すごい血筋なのに、それゆえにエア・ポケットに落ちちゃったような不遇さ。去年から藤十郎のそばで勉強するような風になったと聞いたけど、とてもいい役者さんだもん、ぜひ、もっといい役がたくさんつきますように（祈）トミーさんの父が再婚してできた子供が先代の亀鶴。つまり、当代の亀鶴はトミーさんの甥っ子ということだ。しかも再婚相手の女性は二代目鴈治郎の妹、つまり藤十郎の叔母。亀鶴が藤十郎と親戚だとは聞いてたけれど、実は鴈治郎家と富十郎家の両方の血筋を引いてるのか。本来なら結構な御曹司のハズ。藤十郎の長男・翫雀と、トミーさんの別の弟（同母弟）の娘・吾妻徳弥が結婚して、セガレが壱太郎。あっちとこっちと二箇所で結びついている両家。うーん、やっぱり系図に女性を書き込むと俄然面白く見えてくる歌舞伎の世界なのであーる。と、それよりも、私が個人的に興味を惹かれたのは、トミーさんがすんなり父の名跡である富十郎を引き継げずに、その間に坂東鶴之助になり市村竹之丞になって、それからやっと富十郎になったということ。実子なのになぜ？と思ったら…トミーさんの母の吾妻徳穂さんは舞踊の名人なだけじゃなくて奔放な方だったとか。夫である先代富十郎は、妻を姦通罪で訴えたんですと。その後に離婚して、鴈治郎の妹と結婚してってことになったので、憎い？元妻の産んだ子供はたとえ己のセガレでも可愛くなかったのかしらん。しかも竹之丞襲名の時の口上は前代未聞なものだったとか。居並ぶお歴々の口上のことごとくが襲名を祝ってなかったそう。この人は市村の人間ではなく本来箱の名前を継ぐべきでないとかなんとか言っちゃう人が、一人ではなかった…トミーさんがセガレに鷹之資という全く新しい名前をつけて、いくらでもある自分の全名や家に伝わる名前を継がせなかったのは、そういう名前に関するツライ思い出がたくさんあったせいではないか、とのこと。ふーん。菊五郎と純子奥さんの大河ドラマ「義経」で、トミーさんは知盛をやってるけれど、その時の名前が竹之丞だもん。そうかぁ、あの頃は、何かとツライ時期だったのかなぁ。なんて、本来の内容とは無関係なところでメモをたくさんとっちゃった今日の私なのでした。あはは、いかんいかん。今年の学び初めは、実は昨日からだったのですが…昨日は、池袋に芝居を観に行く前に、地唄の初稽古にまいりまして、それがトータルで今年最初の学び。しかもこれ、実は去年のうちに段取りしておいた、新しい地唄のお稽古の方です。宮城の方じゃなくて。富筋の師匠に、唄をしっかり習うつもり。発声法というか、発音というか音楽ではなく邦楽の唄モノとしての基礎から。ただ、こちらはホントに盲人の世界に近くて譜面になってない部分があったりして、戸惑う部分も多いのだけど、その分だけ面白い。詞章を読み込んで、解釈を音と声に表現できるようにならなくっちゃ。そのために詞章を書く練習もしたいのだけど、この上お習字までは手が回らないから、当面はきっちゃない字で我慢しよう（爆）連休が明ければ舞の稽古も始まるし、今年は音曲と舞とを今まで以上に密接に結びつけて行こうっと。そしてそこへ、歌舞伎とかお能とかの周辺知識を盛り込んで普及活動への糧にできたらいいと思っとります。むふふ、なんだか楽しくなってきたな。うん。◇◆◇国立劇場の、夏の鑑賞教室の情報が出てたので見てみれば！お…これって…7月のこれ、松緑が知盛やるってことですよね？！わー私の、妄想かもしれないあやふやな記憶だけど、でも確かに「カッコイイ！」と思った最初の記憶のハズのものは、先代辰之助の知盛。イメージが、知盛と蘭平とで重なってる部分はあるのだけれど、確かに観てると思うんだけどなぁ、10代の頃に。いずれにしても、松緑の知盛、観たいです。ぜひ。

  2011.01.08

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• 歌舞伎が現代劇から古典劇に移行する時

  Mr.タモツの明治演劇史も今日でいったん区切り。この学期の10回講義の10回目でした。今日で明治の最初の10年が語り終わる予定…で、明治10年ですから、もっとも大きな出来事は当然のことながら西南戦争というわけ。私は、学校で歴史の授業をサボってた口ですが、この辺は真面目に勉強してた人でも学校では習ってない確率の高いところですよね？受験勉強として自力でがんばったとか、塾で学習したとか、あるいは大学に入ってから専門に勉強した人以外は縁のない部分じゃないのかしらん。だって、小学校や中学校の日本史って、ここまで到達しないでしょう？する？トップクラスの進学校なら到達するのかな。少なくとも公立の中クラスのガッコでは、無縁だったなぁ…だから、西南戦争についての私の知識は小説と大河ドラマが元になってて、史実とフィクションの境目があいまい。それ以前に、なんで西南戦争が起きたかっていう原因を全く知らず（爆）そうよねぇ、いくらなんでも西郷さんと大久保さんが喧嘩別れしたからって、それだけで内戦になったりしないわよねぇ…今日の講義では歴史的背景と史実も丁寧に解説されたので、なるほどなるほどと勉強になることが多かったのですが…なんといっても一番印象に残ったのは、最後の最後に出てきた西南戦争劇の位置づけについてでした。西南戦争は、政府軍は中身はともかくも体裁だけは最新鋭の軍隊で、それに対して薩摩側は旧態然たる抜刀隊だったそうで…で、それゆえに、少なくとも片方の薩摩軍については歌舞伎役者がまともに演じられたといえるそう。歌舞伎の方法論は、所作は和装を前提としているし、対決は殺陣だし。ところが、次の日清戦争になると、もう双方とも近代的な軍隊なので、日清戦争劇を劇化したのは歌舞伎役者ではなく川上音二郎。つまり、西南戦争劇までは歌舞伎がマスメディアの機能を持っていたけれど、それ以降はそういう機能を果たせなくなり、それゆえそこから古典化していくことになるという。なるほど。菅原伝授の三つ子も、曽根崎の心中も、伊勢音頭や三五大切の大量殺人も、その時話題の事件を劇化して世間に広めたわけだ…忠臣蔵だって、仮名手本は47年後だけどそれ以前にいくつも劇化されてきた集大成なんだもんねぇ。ワイドショーの再現フィルムみたいなもん。それが、西南戦争の後は、できなくなる。洋式化したから。むむぅ。その後の、團十郎の演劇改良運動も、歌舞伎を洋服で演じるようにはしなかったんだ。あえて着物で？その方が高尚になると考えたのかな。史劇は時代劇、時代劇は着物ってことかな。いや、シェイクスピアなんぞ翻案してるんだから、そうでもないんだろうけど…とにかく、歌舞伎に洋装が定着しなかったって理由は大きいかも。黙阿弥の作品にも洋装の登場人物は出てくるし、現代でも上演されてるモノにもあるんだから、まったくないわけじゃない。それでも、現代劇としての風俗を舞台上に表現しなくなっていく。そういう結果論はなるほどと思うけど、理由はなんだったんだろうなぁ。できなかったっていう、それだけじゃ納得しにくいなぁ。技術的にできなかったわけじゃないんだから。その辺の話は、次の時に聞けるのかな。この、最後の現代劇としての歌舞伎、西南戦争劇を書いたのは黙阿弥だそうですが、ネタを仕入れたのは現地で取材してきた福地源一郎からだったそうで（それ以外にもいたけど）、それがきっかけで福地源一郎が演劇と結びつき、福地桜痴の誕生につながるという。とっかかりが西南戦争かぁ。これをプロデュースしたのは勘弥だけれども、この後しばらく勘弥の新富座黄金時代は続くんだそう。ただ、結局借金が重荷になって勘弥も苦しむし、福地桜痴は歌舞伎座を作る一端を担う人だし、團十郎が心酔しちゃうヒトでもあるし、これからの10年の話こそ熱い明治演劇史の核なのかも。続きは春頃になりそうだけど、その講座も受講できるといいなぁ。

  2010.12.11

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• 江戸の遠足？

  カルチャー講座、大江戸の娯楽世界も今日が最終回。こういう講座（江戸・東京テーマど真ん中のオムニバス講座）は今学期になって初めて受講してみたのだけど、つくづく面白かったなぁ。欠席しちゃった回もあったし、全部が「すごく良かった！」ってわけでもないんだけれども、ま、概ね満足。それもこれも、たぶん、今日の内容に「終わりよければすべてよし」な印象を持ったせいかもしれないな。そんな、気に入った内容の、最終回のテーマは「江戸近郊小さな旅」というもので、最初の頃にあった伊勢参りに代表される一生に一度の大旅行とは対極にあるような、まさに江戸の遠足ですかねぇ。時代小説を読んでいると、江戸には七福神とか六阿弥陀とか、お参りを口実？にしたスタンプラリーみたいな遠足プログラムがあるなぁとは思う…もちろんそれだって、大規模になれば西国八十八ヵ所のようになるわけだけど…一日でくるっとまわってご利益も期待できてちょっとしたレクリエーションになるヤツ。今日のお題で登場するのは、そういう一日でまわれる散歩に毛の生えたような小旅行と、伊勢参りの間くらいな感じかなぁ。江戸から、金沢八景や鎌倉、江ノ島を観光してまわるもの。西の近江八景に対して東の金沢八景なのかな…とにかく、有名な景勝地だったそうで。今でも観光地だけど、どうやら当時はもっとすごかったらしい…というのを、文献をネタにいろいろ解説されたんですけどねーネタになったのはもちろん紀行文で、取り上げられてた中に河井継之助と清河八郎があったのが意外というか、面白かったというか。だって、私の乏しい知識では、この二人はバリバリ硬派で観光旅行なんかしちゃうイメージじゃないし、仮に何かのついでに景勝地に行ったとしても、それを文章に残すなんてガラじゃないような気がしてたんですもん（爆）まー、河井さんはともかくねー、清河八郎って、新撰組と坂本龍馬の両方にからんで良く時代小説や時代劇に登場する（脇役として！）からねー、イメージがある程度固定してるというか…ま、新撰組を主役にしても龍馬にしても、清河八郎が善人になるわけじゃないからさ…ちょっと変わりモノで天才だけど嫌われやすくて友達の少ない、とーっても変な奴！と、私は先入観を持ってるくらい。そんな、好かれにくい変人が、紀行文、ねぇ。思い起こせば、三谷幸喜が脚本を担当した大河ドラマの時なんて、白井晃でしたよね、清河八郎。うーん、変だ（爆）でも、その中身が…とても「らしく」て、面白かったんですよねー変人らしく…なんでも「昔から風光明媚で有名なところだというから期待してきたのに、それほどじゃないじゃん、普通じゃん、ちょっとイケてないところもあるじゃん」って文句言ってたりする（笑）どうやら、かつて「ここから観た景色はサイコー！」と言われてた場所が、埋め立てや造成によって風景が変わっちゃって、だんだんと価値が落ちて行ったんだそうで。江戸の昔から、今と同じようなことをしてるわけですか、我らニッポン人は。とにかく、清河八郎のイメージ通りの悪態があって、笑えたなぁ。それに対して河井さん。こちらは信念を守って自爆したヒトっていう感じで、どちらかといえば善人側にいるっていうイメージ。善人だけど不遇。で、そのまんまなんだ。河井継之助、景勝地に来て見れば、その日は風雨でなんにも見えず！と日記に書き残している。金沢八景で暴風雨、江ノ島でも晴れなくてイマイチだったんだって。あららー、あなたのこれからの運命を暗示しているような…運に味方してもらえないヒトだったのね。気の毒な文章ではあるのだけれど…岩本院なんて単語が出てくると自動的に弁天小僧を連想して、一人密かに盛り上がっちゃう私。あはは、そうか、だから楽しく聞けたのかな、今日の内容。何を食べたかやいくらだったかなどを詳しく書き残してる人もいるし、様子がリアルに判って面白い上に、担当講師のしゃべりが良くて、あっという間の90分。うん、終わりよければすべてよしだな。来季にはこのタイプの講座を申し込んではいないので、それがちょっと残念に思えてきたかも。

  2010.12.06

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  お江戸日本橋、五つ半過ぎ出発。

  ウォーキング・シューズを買ったら歩くのが妙に楽しくて、機会があれば歩いて行ってみたくなる私。今日は、午前中からお昼過ぎまで音曲の稽古が高輪であって、午後3時からは八丁堀でカルチャーの講座に出席する予定だったので…いい天気だし、徒歩でGO！ホントはね、ギリギリまでウチで攫ってから行く方がお稽古的にはいいような気はするの。今週はぜんぜん楽器に触ってないしね。でも、歩きたいんだから、仕方がない。お稽古場は、都営線の泉岳寺駅が最寄りで、まさに高輪大木戸の近く。おお、だったら、日本橋から行こう！お江戸日本橋、七つ立ち…じゃなくて、五つ半過ぎ、9時半過ぎに自宅を出て、まずは日本橋へ向かうなり。お江戸日本橋、七つ立ち…して、高輪で夜明けってんだから、2時間で歩いてくる感じなんですよね、あの人たち。日本橋は中央区の北の方で、高輪は港区の南だけど、2時間もかかるような距離感じゃない気がする…あの人たちはアレワイサノサなんて歩いてるから、時間食ってる？お稽古は11時からのお約束だったので、1時間半もあれば着くわよね？と思った私は、9時半に家を出て、日本橋を渡ったのがだいたい9時45分くらいでした。そこからは、中央通りをまっすぐ直進。日本橋地区を超え、八重洲から京橋を通過し、銀座を1丁目から8丁目まで通り過ぎると、その先は新橋。新橋からは港区になる。ちなみに、日本橋のすぐ北側は神田で、千代田区。歩いていて、長く感じたのは銀座地区…実際に距離も長いのかもしれないけれど、やっぱりヒトが多くて障害物に感じたからかも（爆）　新橋を境に、それまで中央通りと呼び習わしていた通りは第一京浜と呼ばれるようになる。いずれにしろ国道15号に違いはないのだけれどねー。このまままっすぐ行けばいずれ目的地なんだけども…時間をみると「やっぱり早いじゃん」「このまま行くと早過ぎる時間に着いちゃうよね」ってんで、遠回りすると決定。この頃はスカイツリーが身近になっちゃって、東京タワーがご無沙汰だったから、新橋で西へ向かい、西新橋から日比谷通りを行くことにしました。第一京浜より、日比谷通りの方が、なんとなく歩く環境としていいような気もしたし。　芝公園から観る、お久しぶりの東京タワー。そして、菊之助の羽衣以来かな？の増上寺。同じように交通量は多いけれど、周囲に公園とかお寺とか私立の学校なんかが並んでる（ついでにやたらに立派な港区役所もある）日比谷通りは、感じのよいお散歩道ですねー戸板女子短大、東京女子学園、そしてNECの本社ビルを過ぎると、さっきお別れした第一京浜と再びまみえる合流点。　合流点には、西郷隆盛と勝海舟が江戸城開城を話し合った場所だよーんという記念碑が立ってます。この先すぐにJR田町だし、目的地まではもう間もなく。　札の辻があって、「世界は一家、人類はみな兄弟」の会社があって、だんだんオフィスビルが大規模になってくる感じ。そういえば、右手の坂の上にはコーフクの科学もあったっけ。　高輪大木戸の表示が見えて、その先に高輪大木戸跡という、実態というか史跡というか観光資源というか、週末によくウォーキングツアーのグループがたまってる場所があって、私自身もめでたくゴール。予定通りお稽古を終えて、次のカルチャーまで行くのも少し時間に余裕がある。今までは電車で行って、現地の近くのコーヒー屋さんでお茶しながら読書したもんでしたが…今日は、ここから歩いて行ってみよう！行きは日比谷通りを通ったんだから、帰りは素直に第一京浜を行って新橋に出て、そこから今度は昭和通りに出ようかな。うん。新橋では、こんな風に、ここからこっちは中央通り、反対側は第一京浜、ちなみに曲がると昭和通りだよーんって出てる。銀座や日本橋のあたりだと昭和通りは中央通りと平行に走ってるイメージが強いのだけど、なんてことない、こっから枝分かれしてる感じ。昭和通りを歩いて、三原橋の交差点まで来ると歌舞伎座のあったところが空っぽ。まだ壊してる最中なのか、それとも基礎を打つくらいまで進捗したのか、外から見えるモノだけじゃ素人にはサッパリ判らないけど、判る必要もないしな、判りたい気分でもないか。今くらいの時期じゃ、遅れてるとか進んでるとかって評価もないハズだしなー三原橋の交差点が、中央通りだと4丁目交差点なわけだし、そこから京橋までの距離が、やっぱり長く感じられる…実際に長いのかな。どうなんだろう。鍛冶橋通りが出てくると、目的地まではあとわずか。右折して、弾正橋を渡ったら到着。時間的にもちょうど良くて、なかなか満足。カルチャー終わりも、家まで歩いて帰るのはすぐなんだけども、ここは電車に乗る…疲れたんじゃなくて、終了時間は4時半なので、さっさと魚屋さんに寄りたいため。近所で贔屓にしている魚屋は人気なのか、早めにいかないと良さそうなもんがどんどん売り切れていくんだもん。なんといっても時間勝負。気楽に歩いてる場合じゃない！というわけで、無事に魚も買えたことだし、いい天気の土曜日を満喫した気分でございますです。あはは。◇◆◇で、カルチャーは、Mr.タモツの明治演劇史の9回目。今学期は残すところあと1回のよう。今日は、明治初期の大転換点である、春太夫＠文楽と彦三郎＠歌舞伎の、二大名人の死について。この二人の死によって、明治演劇史の方向性が決まったんだそうで。歌舞伎において。九代目團十郎や五段目菊五郎があれだけの実績を残せたのも彦三郎がいてこそだという話や、その彦三郎が46歳で夭折せずに長生きしていたら、この二人の評価も変わっていた可能性が大きいという評価。なるほど、根拠をあげて説得力のあるお話しで面白かった…のだけど。一番印象に残ったのは、春太夫が亡くなったことで、文楽の世界に起きた大きな変化の話でした。名人春太夫が亡くなって世代交代が進んだとか、大隅大夫が台頭したっていうのは「へー」と聞いていただけなんだけども、観客の感性が変化したって部分に思わず注目。ちょうど今お稽古しながら感じていたことが、同じように引っ掛かってて。観客の支持が、悪声から美声に移ったんですって。春太夫は、腹の強い、息の長い、声の大きい、スケールの大きなタイプだったとか。いわゆる悪声なんですと。悪声って、悪いって意味じゃないようです。力強くて迫力のある…悪く言えばガサツとか乱暴って印象もあるってことなのかな。そういう悪声が観客の支持を受ける人気の声だったのに、春太夫の後は澄んだ美声に支持が移り、観客の感性が大きく変わったという…ふむ。いや、あの、地唄も、そんな感じがありまして。ちょうど今。昔の名人として音が残ってるのは、西松文一のような枯れた声。今でも現役の演奏家でいえば、富田清邦さんくらいじゃないかなぁ。喉を、一度潰してから声を作り直すという…ざらざらっとして、美声って感じじゃないんだけど、枯れて味のあるもの。地唄の演奏家ってそういうもん？って感じてたけど、現代の流行は違うんですよね。実は、私がお稽古しているのが宮城会だから、この会がそういう特殊な流行りを持っているのかと、ずっと思ってました。宮城会は、それゆえに地唄舞の地方には向かない気がするし、実際に地方ではめったに見かけない…少なくとも唄ってるのは見かけない。でも、地方を多くする富筋や菊筋の演奏家でも、現在活躍しているヒトはみな高音が澄んで抜ける美声の持ち主ばかり。ちょっと清元っぽい。艶モノの曲がとても映える…それゆえに、舞がつくとリアルにイヤらしくなる危険性もはらんでるような。地唄で、いつからこういう美声が流行るようになったんだろうなぁって、少し疑問に感じていました。ほんの20年くらいのことじゃないのかしらん。違うかな。もっと古かったとしても、せいぜい50年じゃないかなー舞の師匠だって、なじみは枯れた声だっておっしゃってるしなぁ。不思議だなぁ。春太夫が亡くなったような、名人の死という大きな転換点が、地唄の世界にもあったんだろか…◇◆◇茂山さんで不幸。千之丞さん、先日の公演を降板してたのを、そんなに大変な状態だとは露とも思わず。兄よりずっと元気に見えていたけれど…あのトボけた味わいがもう見られないなんて残念ですが、茂山さんは末広がりだもん、乗り越えていっそうの繁栄につながるよね。

  2010.12.04

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• 留学と遊学

  カルチャー講座「大江戸の娯楽世界」ももう9回目。わー、後1回だ…前回は江戸っ子の学問の話だったけど、今回は田舎から都会へ学びに出てくる人々の話。地方になって藩校のような学問所はあったろうけど、最先端を目指すならやっぱり都会なんでしょうかね。まさに「身を立て名を挙げ」るために、江戸とか長崎とかにお勉強に行く人たちの話は、なかなかおもしろかったです。昨日、最終回だった坂本龍馬もお金持ちのボンボンらしく不要不急の剣術修行に江戸まで出かけちゃってましたっけね。ああいう、武家や富農・冨商の次男三男（ま、龍馬はいちおう武家のはしくれだけど、半分商家みたいなもんだ）が出てくる場合と、長男や主人が出てくる場合とは区別できるらしいですが。次男三男は養子の口がなければごくつぶしなだけだから、勉学だの剣術だのが向いてたら行ったきりになる場合も多かったらしい…なるほど。その世界で名を挙げれば、改めてどこかの藩に召抱えられるケースもあるからで、確かに立身出世だぁ。ま、勉学（朱子学とか蘭学とか漢学とか）と文化芸術（和歌、俳諧、書画とか）はともかく、私は剣術修行って、少なくとも江戸中期以降はあんまり信用しとりません（笑）だってねぇ、特に幕末なんて旗本八万騎が使い物にならないぞ！ってんで講武所を作るような状態だもん、そんな時の町道場は経営面を考えたら厳しさも優しさも加減が大事。免状なんてお金払えばそこそこ貰えたんじゃないの？って思っちゃう。竹刀でやる剣道なんて、武士にとっては舞踊といっしょじゃん（爆）で、今日の内容で印象に残ったこと。遊学。もともと、故郷を離れて勉強に行くことを遊学といったそうですね。そうかぁ、そうなのか。留学という言葉は近代になってできたモノだとか。私は、留学は国費または公費あるいはそれに準じる組織からの出資を得て学位を取ってくるモノ、それ以外は年月や分野に関係なくすべて遊学だと思ってました。なるほど、留学って、明治新政府が脱亜入欧を目指して国費を使って外国へガンガンヒトを派遣したあの辺りで生まれた言葉っぽいかも。江戸の頃の○○修行とは違うと心得よ！って感じかな。現代でもそうだけど、古い（悪い？）イメージを払しょくするために言葉を新しくするって、お手軽な手段だもんな。坂の上の雲の第2部の先行放送が始まって、軍人の場合は留学と潜入の境目が微妙だなぁと思いながら見ちゃった昨日。今日は再放送を見て、いくら何もないからとはいえ明治新政府もやることが大胆だ、でもあれくらい大胆になれないと国は革新しないかも、しかーし現代のように説明責任を厳しく問われる時代にはあんな無茶苦茶できないなぁ…と思う。でも。説明責任なんて言わないからこそ、政治家も軍人も「国民が爪に火をともすようにして納めた税金で高い買い物をした」と自覚してくれてたってことだろか（爆）それにしても。先進国へ留学して新しいモノを学んでくるのはアタリマエだけども、古典文学を深堀して自己革新を図った正岡子規って偉大。それに比べたら森鴎外や夏目漱石は普通に見えちゃう。これはドラマの演出効果のなせる技か。役者の演技力か？！そういえば、先行放送で盛り上がってた私（広瀬武夫がいっぱい出てきたからね）は、その後、龍馬の最終回もなんとなく片手間に見ちゃったのですが…片手間だったせいか、暗殺シーンで、香川照之と亀治郎がごっちゃに見えましたゎ。私だけ？あはは。あの二人、顔立ちも表情も声も似てるんだからさぁ、ああいうシーンで組み合わせるって…何か意図があったとしか思えないのだけど、その意図がさっぱり判らなかったので、ただただ配役が意味不明に感じられてしまったのでした。

  2010.11.29

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• 青年明治天皇

  カルチャー講座「明治演劇史」も今日で8回目、残すところは後2回と思うと、ちょっと寂しいかも。今日はお能の話が中心だったのだけど…いやぁ、この講座を申し込む時点では「歌舞伎座120年史」という名称だったから私は歌舞伎関係の話だけを期待していたのだけど、モノが「明治演劇史」になって思いがけず聞く機会ができたお能や文楽の話題が楽しくて楽しくて仕方ないです…歌舞伎の分だって期待には十分応えて貰ってるけど、お能と、それから近代史がこんなに面白いとはね。やっぱり学校で歴史の授業はちゃんと聞いておくべきだったな。いや、明治なんて授業でやってないか（爆）今日は天覧能の話が中心だったのですが、天覧ってことはお客さんは明治天皇なわけで、明治天皇と言えば今なら断然菊之助のイメージなわけです、私には。しかも、第一回の天覧能は明治9年、西南戦争前夜、明治天皇23歳という。菊ちゃんは32歳だけども、ま、イメージとしては『坂の上の雲』に登場するちょっと前くらいだからちょうどでしょ。ねぇ。ビジュアルが浮かんでくる…妄想とも言う…から、話を聞きながら想像が膨らんで余計に楽しい。明治天皇は、お能を全部で19回観たんだそう。つまり、天覧能は19回あった。それに比べて天覧歌舞伎はたったの1回だし、文楽はゼロ。この差は何か。政治力なり。ものすごーく乱暴な言い方をすれば、明治の勝ち組は下級武士出身者と公家＆大名に分けられる。この二つが主導権を争って引きあう綱が文化芸術。その天覧は、箔付けとか権威付けとか格付けとかに当たり、支配の体制を固めるモノである。公家や大名は、江戸の昔から一般教養としてお能をたしなんでいる。誰だって謡の一つや二つ、仕舞の一つや二つは持ちネタになってる。だからお能が好き。明治天皇がお能を好きになってくれたら、自分たちの側に権威を取り込める。華族階級を再編して、天皇を頂点にした支配階級を新しく作れる。これが岩倉具視の思惑なんだというのが、Mr.タモツの今日のお説。一方、薩長を中心とした成り上がりの政治家はもともと下級武士だから文化的素養はない。だから、判りやすい庶民の娯楽が好き。歌舞伎や文楽を国劇に昇格させられたら、公家や大名の風下に立つこともない。なるほど…そうかなぁ。ふーん…私の勝手なイメージでは、岩倉具視というのはヤクザ公家（笑）で、お公家さんとは思えない行動力だし陰謀家だし、実務家でもあるような。おおよそ文化的な印象はなかったのだけど、そうか、考えてみればヤクザ公家でも公家のはしくれ、一般教養はあるんだよね。それに、いくらヤクザ公家だって、どちらかといえば田舎の下級武士なんかより、都会育ちの公家や大名の方がお友達になりやすいってのも判るな。うん。幕末に締結しちゃった不平等条約を改正したいのに誰からも相手にされないのは、日本が文化的に未熟＝野蛮な国と思われているからで、まずその認識を改めなくちゃ条約改正の見込みはない、そのためには欧米並みに文化的になったと証明しなくちゃ！と思った岩倉卿。例の使節団で欧米に行ってオペラを見たら、そこには王侯貴族も来てるしお客はみんな盛装している。これだ！と思ったんだそうな。なるほどねー、確かに、現代でも…失礼と偏見を承知でごく個人的な感覚で言えば、中米の小国で警察に捕まって現地の法律で裁かれる羽目に陥ったら相当怖い。私は日本人なんだから日本の法律で判断してほしいと思う。それが治外法権だよね。幕末に日本に来た外国人だって、気持ちは同じだろうなぁ。まともに扱われずヒドイ目に合いそうな気がするもんなぁ。ヒドイ目に合わないよ、自分の国と同じだよ、と納得しない限り、やだよ。それと同じか。国劇があって、そこへ皇族や宮家が来てて、一般人もみな盛装してたら、それを見た外国人から「お、同じじゃん」と思ってもらえるのではないか…短絡的じゃないか、それ？笑同じ発案でできたのがダンスホール＝鹿鳴館、と言われると、なーる！と思ったりもして。明治の最初の頃、日本には演劇といえるモノは歌舞伎と文楽とお能（と狂言）しかなかったのだから、国劇を作るにしたってこの中からどれにするかしかなく、そこに勢力間の綱引きが起きる。と、なんとも生臭いような、政治と歴史の話になって、妙にそそられた私。あらー、歴女の資質あるかしらん（爆）結果的には、天覧能19回vs天覧歌舞伎1回だから、お能の大勝利、岩倉卿の大勝利なんだけども、最初は私「明治天皇だってお友達は公家なんだからもともと文化的に公家なんじゃないの？」と思ってて、別段びっくりもしなきゃ面白くも感じなかったんだけども。あら、意外に、そうでもない？ってのが、明治天皇が23歳ってところにあるよう。23歳くらいじゃ、お能の素養がそんなにあるわけでもない、らしいですね。あはは。岩倉卿が、なんとか明治天皇をお能好きにしようと苦心したそうで。一回目の天覧能の演目を、ずらずらずらっと口頭で並べられた時は、メモを取ったけど「お、観たことあるヤツばっかり」と感じただけ。でも、後から解説を聞いたら「観たことあるということを、しっかり覚えているヤツばっかり」であることを発見。小鍛冶、橋弁慶、土蜘蛛、熊坂、これに狂言が釣狐と末広り。Mr.タモツいわく「チャンバラばっかりですね」。おお、確かに。「女性は一切出てきません」なるほど。お能の中でも動きが大きく派手で判りやすいモノばかり。しかも比較的短め（熊坂は半能だったから）お能慣れしてない明治天皇でも飽きないで最後まで楽しめて、お能を好きになれるモノを厳選したのかぁ…その結果が天覧能19回かぁ…翌日の皇后・皇太后の日の演目はもっと穏やかに融とか鉢の木が登場してるし、静寛院宮ほか宮家のみなさんになると鉄輪に安宅に望月にって感じ。時間もずっと長かったんですと。「それでも松風も熊野も井筒もやってないんですから」という。おおお…松風、熊野、井筒、これらも観たことあるけど…正確に言うと「観たことあるハズだけど覚えてない」なぜならプログラム上にこれらの曲名が並んでるのは何度もみてるけど、誰のどれが良かった！という具体的な記憶がない。これら、お能の発表会によく出るもんね。謡が名曲で…うん、そうか、やるのはいいけど聞くのは…素人にはツライ＝眠いモノかも（爆）天覧能のプロデュースをした梅若実の話とか、これをきっかけに表舞台に躍り出た宝生九郎とか、宝生九郎の舞台に一目惚れして弟子になっちゃった岩倉卿とか、加賀の前田をかつぎだした理由やあの！松平容保がこの天覧能で小鼓を打ったという話とか、その時お能の他の流派の家元はどうなってたかとか、面白い話は他にもたくさんあったのですが…私はとにかく、ビジュアル菊之助の青年明治天皇が、チャンバラ能を見て大喜びし、お能が大好きになったよーっていう妄想に浸って楽しみました。まだ日清日露の大戦前の、いやいや西南戦争前の、落ち着いてないけど後から考えればまだまだゆったりしていた時代の日本かぁ。…早く始まんないかなぁ、坂の上の雲。って、もちろん再放送観てます（笑）制服フェチとしては、イイオトコの軍服はたまんないしねーBS-Hiの先行放送、いよいよ明日から、だったっけ？！いよいよ広瀬中佐だな、わーただ…明治天皇・菊之助の、御前会議のシーンで観た服装が…ローマのカラビニエリみたいなおズボンでちょっとむむむだったっけ（爆）

  2010.11.27

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  芸は身を助けるなぁ…

  カルチャースクールの近所にお米屋さんがありまして。角を回って別の面に出ると…お弁当屋さんでもあり、ご飯屋さんでもあるよう。入ってみるべ…お米をおいしく食べるメニューというコンセプトのよう。から揚げにも焼き魚にも惹かれたけれど、これがあったら避けて通れないぞょカツカレー。ヒレかつが揚げたてで、しかもカレーに浸ってないのは素晴らしい！ご飯は確かに美味しかったし、サラダも面白い味のドレッシングがかかっていて、なかなかアタリでした。別のメニューも食べてみたいなぁ。カルチャースクールのある八丁堀のあたりは、会社も多いからお弁当屋さんやご飯屋さんがいっぱいありますが、月曜日の講座の開始時間が13時だと一番混んでる時間に思い切り当たっちゃうので利用が難しいんですけどねーで、「大江戸の娯楽世界」の8回目、いよいよ終わりが近づいてきた今日のお題は『幕府御家人たちと文人世界』という。芝居だ音曲だ廓だと柔らかい話が続いてきたけど、ようやく固い？真面目な？難しそうな？話題が登場。今回と次回が同じ先生なんですが、同じ文人の話をするようですねー。今回が御家人を中心とした直臣＝江戸っ子の方で、次回は地方から江戸に留学する話のよう。江戸っ子の話の今回。旗本や御家人の文人といえば…大田南畝くらいなら私でも思い付くんですが…うーん、滝沢馬琴？ああそうか、旗本の家来だから直臣じゃないけど江戸っ子の武士か。浅野梅堂？誰ですか…戸川連仙？知りませんね…橘千蔭？むむぅ…舘柳湾？何した人ですか（爆）わー、知らない人ばっかり出てくるよ。他に知ってたのは広重くらいかな。講師が研究対象として専門にしてるらしい舘柳湾なんて初めて聞きました。御家人で、漢詩人で書家でもあったそうで、軸装した書の実物を見せてもらえましたが、なんと、講師の私物だとか。ほほーこの人の人生の解説聞き、他の人に思いをはせ、しかも私にとって御家人といえば！今月は特に！！片岡直次郎なわけですから…そうかぁ、みんな貧乏だった御家人が、どうやって生活費を稼ぐかって時に、こういう手段もあったのねー直侍は悪さ。舘柳湾さんは、芸！エライ人のお祝い事に詩を読んだり、揮毫してあげたり、添削したり指導したりがサイドビジネスかぁ。なるほど、芸は身を助けるなぁ…何でもいいから、一芸に秀でると、いろんな意味で豊かな人生を送れそうな。戸川連仙なんて、徳川慶喜の書の師匠だったそうで。面白かったのは、鈴木翠園って人で、文人として物凄い！ってほどじゃないんだけども、歌人だったこの人は幕府重鎮の家で行われたイベント（武術見分）の時に自作の歌を見せて評価され、それがもとでエリートの出発点である徒目付に推挙されたそう。それで感激して「これから一層心を入れて生涯歌はやめまい！」と思ったんだと。案の定トントン拍子に出世して、勘定奉行や佐渡奉行を歴任したそうで。ホントーに、芸は身を助ける！！文人の御家人さんの中には、若いうちに本業から引退して家督をセガレに譲り、芸の道に精進しちゃったヒトもいるけれど、本業を全うして老人になってから芸を楽しんだヒトもいるし、芸で本業が盛んになったヒトもいる。大田南畝なんて…知らなかったんですが、芸の方は寛政の改革の時に挫折しちゃってるというか、「アブナイことは止めよう」的なこだわりのなさ？で手を引いちゃってるのに、それで暇になっちゃったからか、じゃ本業に精を出そう！と中年になってるのに幕府の学問吟味を受けちゃって主席合格。昇進したそうで。本業を引退後に芸を楽しむのが普通っぽいけど、逆に芸から身を引いてから本業で出世ってケースもあるんだから、江戸はつくづく凄い。武士なんて公務員ですもんね。公務員の登用に年齢制限とかがなかったわけで…軍事政権とはいえ、今のいちおう？民主主義な社会よりもずっと柔軟じゃん。敗者復活アリだもん。卒業後3年以内なら新卒扱いにしようどころじゃないよね。企業にばっかり柔軟性を求めてないで、公務員試験のすべてで年齢制限外したらいいじゃん。警察だって消防だって年齢と身体能力は別もんだし、教員なんて中途採用しない方がおかしい気がする。と、今日はそんなこんなで知らないことをたくさん聞いたので頭がいっぱい、飽和状態。早々に眠くなりそうだなぁ。◇◆◇本日未明にあったハズの停電。さすがは問題多発続発で謝りっぱなしの東電、低姿勢だし仕事が早い。小雨決行の文字が、とても感じいいです（笑）そして明日。東京ガスがガスメーターの取り換え工事をするらしい。9時5時って…長すぎませんか？と思ったので、問い合わせちゃいました。どうやら、工事の正確な時間が決められないので、開始予定時間から終了予定時間まで、就業時間いっぱいを表示してあるよう。むむぅ…不在でいいんだから、問題ないんだけどね。出かけるよ、明日。うん。そして、2度目の断水のお知らせ。うーん。むしろ、ガスのように昼間やってくれた方がありがたいかも。夜の11時からって、ちょっと微妙ですよー。せめて東電のように午前1時とかさぁ。朝6時半もねー、とっくに起きてる（起こされてる！）からねー。それにしても。年末でも年度末でもないのに、いっきに来た感じ。なんなんだろなー

  2010.11.22

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• 『株式会社新富座』なるもの

  Mr.タモツの明治演劇史。日程が変更になった前回は、舞踊会と重なって無念の欠席。そのせいか、日は多少開いたけど、ワタクシ的には「守田勘弥は凄いヤツ」という話を続けて聞いた形になりました。今日のお題は、勘弥が作った日本史上初の株式会社化した芝居小屋。浅草は猿若町のどん詰まりから都心目指してとりあえず新富町に森田座（守田座）を構えた勘弥が、それを株式会社にするまでの流れと背景…中村座や市村座がどうなってたかや、團十郎（当時まだ権十郎）がどうしてたか、上方から下ってきた役者はどうしたかなどなど。勘弥の目論見は芝居の一座独占興行だから、森田座を作った後にするのは役者の独占と他の2座を叩き潰すこと…むむぅ、ホントにやり手ですよ、守田勘弥。父も凄かったけど、その父にしてこの子ありな感じ。この天才がいなかったら、松竹だって今のようになってたかどうか。もしかして、玉三郎が勘弥を襲名したくないのは、このやり手の印象が強いからだったりして。いやいや、一説には、そんなジジムサイ名前は真女方に反するとおっしゃってるとか何とかってな噂もありますが、ともあれ、策謀家（あえて陰謀とは言わないぞ・笑）な印象が、まだまだあるんでしょうかねぇ。戸籍上は、玉さんの祖父に当たるんですよね、きっと。團十郎の事情とか、中村座や市村座で何が起きたかも十分に面白かったしノートもたくさんとったのだけど…なんたって「へー！」だったのは、株式会社化の話、本論そのものでした。芝居小屋はどこも折からの不況で借金苦だったわけで、市村座はたまりにたまった借財を放りだすために名前を替えちゃったくらい。座元は13代目市村羽左衛門、言わずと知れた後の5代目菊五郎。こいつ、借金で首がまわんないから弟に14代目を譲って自分は役者になっちゃう。さらに弟も、付き合いの深かった大茶屋の子供に跡目を譲って、自分は役者になっちゃう。養子にしたわけじゃないので、市村座を継いだ子供は違う名前。ゆえに市村座も市村座じゃなくなる。と、その子供には借金を請求できない…と、当時の法律はそうだったらしいです。ほぼ夜逃げじゃん（爆）でもね、夜逃げの方が親しみが湧くというか（笑）愛嬌を感じる。勘弥のやり口は…うーん、イマドキはお馴染でアタリマエの手段なんだけど…あの時代に、芝居関係者なのに思い付くって、凄いかも。ブレインはいたんでしょうねぇ、きっと。勘弥も借金苦は同じ。それを棚上げするために、森田座を新富座にリフレッシュ。で、その際に株式会社化。森田座は座元である勘弥個人の私有財産だから、借金だって勘弥個人の負債だったハズ。負債は、商売の状況がどうであろうと、いつかは返済しないといけないもの。ところが、株式会社新富座になると、借金は投資に化けちゃう。金主と呼ばれていた債権者は投資家、すなわち株主となる。借金は資本金だよ。資本金は、配当は出すけど返済する必要はない。会社がつぶれるまで、返せとは言われない。しかも、赤字なら配当しなくていいんだ！アタリマエ過ぎる仕組みだけど、江戸時代に生まれて芝居町に育ったヒトが思い付くってことが凄いなぁ。市村座の夜逃げ同然の手段の方が、イイヒトな気がする！勘弥は一座独占を狙って役者を買い占めるような行動に走ってるから、他のどこよりも借金苦だったのに（当時で三十万ってことは、三億くらいですかね？とはMr.タモツの談）、なんとかお金を回して興行を成功させ、借金問題も父親同様に見事解決しちゃう。その裏で、市村座がまず消えて、團十郎が苦心して作った河原崎座と中村座も耐えきれず明治10年を待たずにさようなら。ここに、江戸三座の時代は完全に終わるんだそう。もちろん、この先新富座だけが歌舞伎をやってたわけじゃないから、まだまだ波乱万丈でしょうけど…これが明治維新からたった10年以内の出来事だもんねぇ。人間、やっぱり才覚が大事だねぇ（爆）ただ、明治9年に火事があって、新富座も、お休み中（実質的に倒産）の他の2座も、それから大阪道頓堀までも、灰燼に帰したとな。ハコ的にまっさら。殻だけ残ってた旧時代がキレイに消えてなくなった…むむぅこの、本日のお題そのものだけで大いに楽しめたんですが…余談も楽しかったな。そこが興味のある世界の話か、そうでない分野の無駄話かの違いですねぇ、しみじみ。余談はですね、かつて東宝の社員だったMr.タモツ。当時は東宝だって歌舞伎をやってたし、営業もしてたそうですが、もしもチケットがぜーんぜん売れなくて興行的に大ピンチだったらどこへお願いに行くか、という話。昔は、ほら、團十郎を盛大に後援してた魚河岸とか、そういうんだけど、Mr.タモツの時代は…学会と飛脚だそう。ソーカガッカイとサガワキュウビンは、少なくとも当時はイケイケで、お願いすればチケットをたっぷり買ってくれたんだって。大劇場といったって、芝居のチケットなんて1回の興行で十万枚くらい。それを五千とか六千とか一万とかって単位で買ってくれちゃったそう。なるほど。でも困ったこともあって…よっしゃと買ってくれるのは良いけど、買ったチケットを机の引き出しに入れてそれっきりになるとか。そう、後援はするけど、芝居は見たくない（爆）だから、チケットは売れてるのに実際に来てる観客は少ない。前の方は完売だったのに、入って見たらガラガラ。それって、気分悪いですね（笑）現代では、確か、野球場やサッカー場で似たようなことが起きてた気がします。いや、劇場でも「いい席が1列分ごっそり空席だったら、そういう目にあったチケットだと思っていいでしょう」という…なるほど、つい最近、私も…むむぅ團十郎を後援してた魚河岸も似たようなもので…って言うか、そっちの話が本筋で、話が脇にそれて現代の話が登場したんですが…魚河岸も権十郎が市川宗家を継いで九代目襲名の時には盛大に後援したそう。引き幕だけで80本集まった…なのに！お客さんは全然入らなかった。結局、興行するなら経営者はそういう相手に頼っちゃいかんということでしょうか。一時的には良くても本来の贔屓が離れていくというか、芝居好きが減っちゃうだろうから。だってねー、奮発したのに後ろか端っこしかなくて、なのに前の真ん中がごっそり空いてたら「二度と来ないぞ」と思う可能性も低くないもん、貧乏だと特に！劇場は、傾き始めるとあっという間だそう。現在でもいくつか？あるような？ないような、あはは、ですってさ。交通機関が発達していない明治初期の劇場といえば立地が大切！なんだそうですが、いやいや、今だって、ワタクシ的には都内でも行く気になれない立地にある劇場は「ダメなんじゃない？」と勝手にダメ組に入れたい。それと、昨日見てきたテアトル銀座ねぇ、あそこ、入場する前にエレベータ待ちで外に行列しなきゃならないのが物凄くモチベーションを下げるんですよね。だから、ほかにも理由はあるけど、お正月の海老様は買ってません…あと、どこかな。あー、狭い中に座席を目いっぱい詰め込んだせいで通路が少なく、なかなか出られないクリエもなー、キレイだしお手洗いもたくさんあっていいかと思ったけど、苦痛でしかないカーテンコールを経験すると…同じ東宝ミュージカルでも帝劇はいいけどクリエはって気分になってきたんだよなぁ。

  2010.11.20

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  輪い輪いまつり

  港区の、いや、高輪区民センターの？文化イベントのひとつ。「輪い輪いまつり」に参加しました。昨日と今日、ホールの舞台を使って入れ替わり立ち替わり、いろんな分野の発表の場が作られていて、私は今年初めてそれに参加したわけ。私の地唄舞の師匠がここで舞の教室を運営してらして、その関係で参加できるよう。とはいえ、私は師匠宅での個人稽古だから、ここでお稽古してるわけじゃないんだけども…金屏風を立てる日舞系は、開演直後と終演直前にプログラムされていて…年齢層が高くて集客力がないからではなく（たぶん・笑）単に分野の違いだとは思うんですけどね、集客力がないのも事実といえば事実。うーん、見た感じ、邦楽演奏会といい勝負かなぁ（爆）集客力があるのは何と言ってもコドモのバレエですが、バレエが続くのも良くないらしく、バレエの間にフラダンスやベリーなんかもある。ゆえに、年齢層は日舞といい勝負？！のフラダンスだってお子様の間に入ってるのだゎ。でもねー、並びに妙があって…コドモのバレエの直前のフラはお客さんがいっぱい。コドモのバレエが終わると潮が引くように、まさに大津波の前の大引き潮のように！客席からヒトがいなくなるので、直後のフラは閑散。なんだか…それでも最後の最後だった我々よりお客さんはいたよね（大爆）と、お客さんは少なかったんですが…いや、実は照明が逆光で、演奏会なんかと違ってまったく客席は見えなかったんですが（笑）たぶん少なかったハズ…それでも出たがりの私は妙に機嫌よくやってまいりました。あー、面白かったな。後から録画を見たらいろいろ「あちゃー」ってところもあるでしょうけど、とにかくやってる最中は気持ちいいし、終わったら上機嫌で、帰宅してご飯食べてチョコレートも食べて、猫を転がして遊んで、またチョコレート食べて、やっぱり上機嫌。うーん、そうだなぁ、お琴の演奏会だって最初の頃はこれくらい上機嫌だったよなぁ、終わった後も。いつ頃から楽しめなくなったんだろうなぁ…いや、それは、今は置いとくとして。我ら、地唄舞の花崎会はプログラムの最後。3人が順番に舞った中でも最後だった私は、ホントに最後の最後。袖に紋付袴のオッサンが控えてるのが目に入ったんですが、あれって、閉会の言葉を言いに来た港区の偉い人？私の前には、本舞台経験も豊富な上級者のお仲間が、いかにも地唄舞らしい曲を舞われまして。最初は格調高く上品に「寿」、次が艶っぽく粋に「愚痴」、そしてワタクシはイロモノ…男舞で、目指すところは洒脱だったんですが、やっぱりイロモノで「西行」。あの、二月に花（桜）の下で死にたいとほざいてる坊主の曲です。旅をしてて、江口の遊女なんかに迷っちゃう…で、そんな曲だったもんだから、衣装はシンプルに市松と鱗。舞台がばっちいと聞いてたので、なんと全身ポリ。しかも、足袋はめったに履かないストレッチ足袋。なぜなら、3人のうちで一番最後といっても、みんな一緒に舞台に出て両脇に控えている＝正座して待ってる予定だったのですよ。で、先週のリハーサルで「わー、待ってる間に足がしびれるかも」と危険を感じて。固い床に座るのは邦楽演奏会も同じなんだけども、演奏会の場合は足は見えないので4つコハゼの足袋にしてる私。でも舞は…素踊りだし…フリの関係でちょい短めに着つけてるし…やっぱり4枚じゃちょっとねって思う。でも5枚コハゼで正座してると、15分くらいでアブナイ気分になってくる！だからストレッチ足袋。でもねー、ストレッチ足袋、足もとがフワフワして、なんだか不安。びしっと固まってる方が安心できるもんなんですね。やれやれ。それでもコケなかったから良かったゎ。始める前は私だって一応、男舞だから脇を開けてとか、親指の付け根に乗らなくちゃとか、表情はとぼけて柔らかくとか、師匠の注意をいろいろ思い返してもいたんですけど、舞台に出て座ったら「あー、足がしびれないといいなー」しか頭に浮かばなくなり、そのせいで爪先にへんな力が入ったのか、思わず攣りそうになって慌て、それでも始まっちゃったらスポットライトが当たるもんだから舞い上がって楽しくなっちゃって。終わって帰ってきても反省のしようがないなんて、ねぇ。あはははは。◇◆◇帰ってきて、膝の上で猫を転がしながら、むさぼり食らうLOOKかな。期間限定とあると、無視して通り過ぎられないLOOKです。2箱、食らいました。…これがいかんのよね。足がしびれるのは、太ったから。コドモの頃は、板の間（フローリングではない）に1時間くらい平気だったのに。これから歩いてくるか？歩くんじゃなくて、走るべきか？？？走るより早い、エクササイズ・ウォーキングか…いや、おやつを減らす方が効果が早いな、きっと（爆）

  2010.11.14

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• 遊女の手まり歌

  先週、心ならずも欠席しちゃった『大江戸の娯楽世界』講座の…えーと、6回目かな。ちゃんと出席した今日のお題は、「遊女の手まり歌」というもの。手まり歌に限らず、江戸のわらべ歌全般において、色里の様子が歌いこまれているモノが結構あるのだけれど、それは一つには遊女は大人ばかりでなく女の子にとってもあこがれの存在だったことが理由であり、もう一つは遊女の住まいと一般人の住まいが特に分かれていなかった＝身近に接していたことにもよるのだという、そんなお話しでした。まず江戸のわらべ歌を実際に聴いて、歌詞にいわゆる「コドモらしくないところ」があるのを確認し、歌いこまれている内容の元となった色町の様子の解説を聞く。そして、女児の遊びと歌の関係（コドモの、女性への同化感。あこがれ）から、わらべ歌の生成と伝搬を聞いておしまい。印象に残ったのは…配布資料に掲載されていて、しかも楽譜まで出ているのに、まったく解説されなかった数え唄（爆）あの「一つとや、一夜あくれば賑やかに賑やかに、お飾り立てたる松飾まつかざり」というアレ。載せただけだったのは…あまりに有名で言及するまでもなかったからでしょうか。私は、これで思い出すのは歌舞伎の『暫』。鯰と女鯰の毬つきです、はい。いろんな組み合わせで観てるけど、一番最初に思い浮かべるのは菊之助と松緑。あはは。遊里については、その分類がはっきりしてて腑に落ちたかも。政府の公認が、場所と娼婦の両方にそれぞれあるわけか。そうかそうか…吉原（元吉原、新吉原）は公認公娼、江戸四宿の飯盛り女は公認私娼、市中の岡場所は私設私娼。ふむ。岡場所は、最盛期には江戸市中に64か所あったそう。その代表選手といえば、なんといっても深川。いい加減な時代小説とかで、よく「芸者は芸を売っても身は売らない」とか「芸のあるのが芸者、芸のないのが遊女」みたいに書いてあるけど、そんな短絡的なもんじゃないですよね。芸者だって死ぬまで芸者してるわけじゃないし、年取ってお座敷かからなくなってからは、芸事の師匠や遣り手になるかだけじゃない。っていか、そうなるよりも、いい旦那がついて楽に暮らしたい。それを目指してるハズ。だから、旦那になってくれそうなお客に対して、体を張るのはアタリマエ。逆に、吉原の遊女だって太夫と呼ばれるクラスは歌舞音曲はもちろん見事な字を書き歌も読める。そういうお稽古ごとをきっちりして遊女になるんだもん。断じて、芸がないわけじゃない。芸しか売らない人と、色しか売れない人が、それぞれ両端にあって、ほとんどの色町のオンナはその間にあったハズ。どっちに偏ってるかが違うだけ。そこに、公認か非公認の差がかぶってくるわけだ。深川は、羽織や男名前や独特の髷という特徴づけが顕著で際立ってたから、江戸で一番有名で繁華な岡場所だったよう。なるほどーま、芸妓でも遊女でも、とにかくアソビメはいわゆる芸能人。あ、現代の芸能人と、感覚的には似てる気がします…芸能人が体を売ってるかどうかは詮索しませんが（爆）、色気を売る水商売（男女ともに）という点では同じですもんね。だからこそ、ファンにとっての仮想恋愛の相手でありうるのだから。アイドルやトップモデル、女優に憧れるのと同じ感覚で、江戸の女児は遊女に憧れたと言われると、なるほどとっても説得力がある。しかも、イマドキの芸能人よりずっと身近で私生活が接していたんだもんねぇ。…なーんてことをつらつら考えながら、あっという間の90分。今日の講師は脱線の多いセンセで、用意した内容がギリギリやっと終わった感じだけども、最後に駆け足で説明されたコドモの遊び歌の分類もなるほど！と思うものでした。いやー、私はどうも、こういう定義付けが好きなもんですから（笑）で、内容そのものも、もちろん勉強になったのだけども、今日はそれ以外にコースの進め方にも発見がありました。どの講師の場合も、どうしても進め方や話し方、時間管理など技術的な面にチェックを入れてしまうのですが、やっぱり大学のセンセには独特のモノがあるというか、大学だと許されるんだ…という特別な部分が大きいので、このところはあまり参考になる点は見つからなかったのです。それが今日、久しぶりに。ま、あまり良い発見ともいえないのだけど。余談、の効果、かな。リピしてる歌舞伎の講座の常磐津のセンセも余談が多いのだけど、あっちは余談の方により興味を引かれることも多いのです。ところが今日は、余談が入ると集中力が切れる感じがありました。理由は明白。余談に関心があるかどうか。常磐津のセンセの場合、専門が歌舞伎研究だし、常磐津の地方としても稼働してるから、余談はそのまま現在の歌舞伎関係の話題。だから興味津々で聞けます。でも今日のセンセの場合、専門は民俗学。だから余談も民俗学なんですね、アタリマエですが。それにはイマイチ惹かれるもんがないワタクシ。その話になると飽きちゃって。企業研修の場合も、この余談の使い方が難しいんですよね。8割の受講者が有意義だと感じてくれても、残り2割から辛辣な評価を受けちゃうことがある。8割にウケがいいと、実施中はうまく行ってる感じが強いから、ついつい2割へのケアが薄くなる。それが危険。そのリスクを避けようと余談もなく淡々と進めれば、全体の活気が失せる。どれだけ空気を掴めるかがカギなんだけども、いろんな人が集まってくるオープンコースだと、それがホントに難しい。講師の立場は良くわかるので、飽きちゃって悪いなぁとは思いつつ、こういう状況だとアンケートに辛辣な評価を書いちゃうのも仕方ないなぁと感じる。うーむ。まだまだだな、私。

  2010.11.08

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• リハーサル

  今日は立冬。そして、一の酉。猫たちがボロボロにした熊手を奉納してお詫びし、来年のために新しい熊手を手に入れてくるべきだとは思いつつ、ついダラダラと午前中を過ごしてしまったワタクシ。酉の日はもう一回あるからいいか（爆）午後にでもちょこっと行ってくれば良かったかなぁ。でも、今日は来週のイベントのためのリハーサルに出かける予定があったので、お昼を食べて片付けたら「あと2時間後には家を出なくちゃ、かな」という感じ。ちょっと中途半端だったもんだから、やっぱり熊手は二の酉だな、うん。イベントの名前は『輪い輪いまつり』、港区のナントカ委員会主催の文化祭みたいなものです。来週の土日、13・14日の二日間、高輪区民センターで開催されます。区のサークルの作品発表の場になってるので、展示会場にはお花とか絵画とか手芸作品などいろいろ並んでるし、体験コーナーもできてます。似顔絵コーナーは無料で描いて貰えるそうですが、占いコーナーは有料らしい…で、ホールでは、舞台モノの発表会。13日の土曜日には演奏関係、14日日曜日は踊り関係となっていて、私はその踊り関係に参加させてもらうのですゎ。リハーサルは、段取り等を確認するためのようで、本番とまったく同じ進行で実施するそう。へー、じゃ、ホールを土日まるまるリハーサルに使っちゃうんだ…なんか、もったいない気がするけど、お役所のイベントだからそんなもんかなぁ。ヒトコマ20分（30分になってる表もあってイマイチ不明）の割り当てらしく、それをどう使うかは自由みたいですね。今年、我らの会では3人が順番に3番舞う内容になっているので、今日のリハーサルでは舞台に上がってから順番に舞って下がるまでを一通り攫ってきたわけです。我ながら、なるほどなーって感じ（笑）この手の会は、音曲の発表会にここんとこずっと出てたので、感じ自体は判るんですが、舞となるとやっぱりいろいろと違うもんですね。なんか、面白いや。素踊りだし、舞台が汚いから！と洗える着物で出ちゃうワタクシですが！プログラムを眺めると、同じ踊り系でも、比較的構成人員の平均年齢が高そうな（大笑）日舞モノは最初と最後で、コドモが多い＝お客さんも多いバレエは午後一や3時ごろのいい時間帯。その前後にフラダンスやベリーダンスがある感じ。日舞モノとこれらが区別されてるのは、主に背景のせいですけど…日舞モノの時には金屏風がでる段取りになってるよう。金屏風、ねぇ。邦楽演奏会でも金屏風ですけど、あれって、どんな色の着物で出ても写真うつりはイケてない気がしますが、なんで金屏風なの？と思ったら…そうか、講演とかね、オッサンの挨拶の背景は金屏風か。ホールを開場する時にまず行うイベントで使うのが金屏風か。だから必ずあるんだ…ともあれ。リハーサルは無事（と思ってるのは私だけだろうか…）終了。私は本番までにまだあと一回お稽古があるけど、さすがにナマケモノの私も今週中くらいはできるだけさらっとくべきよね。よーし。そうそう、出番は日舞モノの後ろの方…ホール・プログラムの一番最後なんです。予定では4時25分から（とチラシには書いてある）になっていますが、時間はたいてい押すハズよねぇ。しかも、ウチの3人の中でも一番最後。私が最後だぁ…お客さん、いないかもなぁ。しょうがないかなぁ。そんなんで、誰もいないとちと寂しいので、お近くでお暇な方はぜひお立ち寄りくださいませ。駅の上なので雨でも大丈夫（笑）お茶のコーナーもいろいろあるし、近隣の商店がショップを出してたりもします。1階のホールでは、11時の開演から基本的にはずーっと何かしら上演しているし、出入り自由の無料自由席。ヒトコマも短めなので出入りしやすいと思いますです。どうぞ、よろしく。

  2010.11.07

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• 師匠の舞踊会

  好天に恵まれた今日は、地唄舞の師匠の会。今回の構成は面白い…というか、工夫されてて、芸術祭参加公演の師匠の舞踊会『花崎杜季女の会』が第一部。続けて、門下の弟子3人が参加する『花崎会』が第二部になっている。第一部には審査員がいて、第二部にはいない、実際にはそれくらいの違いなんだけども、芸術祭参加の会となると舞踊家としてのモノになるのでハッキリわけないといけないらしいですね。構成上は第一部と第二部でも、進行上は第一部で師匠が2番舞うわけだから、最初の舞と次の舞の間に休憩が20分入る。第二部は弟子の作品3番なので、第一部の終演から第二部の開演までの間は15分しかない。裏方としては、それぞれ休憩20分と15分という捉え方になっちゃうのね。ふーん。と、そうなんです、今回、私は初めて裏方をお手伝いしました。私は、名前をもらったとはいえ本舞台の経験はなく、どなたかの付き人として裏方をお手伝いしたこともありませんでした。根が出たがりなので、手伝うなら表方（笑）表は表の進行で、今回なら時間がどうであろうと休憩は休憩だし、終演は終演、開演は開演。お客さんとして観に行ってても判る進み方だもんね。だから、初めてお手伝いする時から、それほど戸惑わないような気がします。それに比べると、裏は闇の中…でも、このまま裏方を一切知らないのはマズイ。だから、誰かの付き人として裏方修行したい…というのが今年の希望でした。年初から、本舞台してる大先輩の○○さんにお願いして…なんて目論んでたんですけど。結果的には、今年の舞踊会は会場が紀尾井ホールになり、国立劇場なんかと比べると楽屋が狭い。だから裏方は少なめでいろいろ共用になり、特定の立方の専任として貼りついてるわけじゃなくなったのだけど…とりあえず、裏の進行をいろいろ見ることは叶いました。叶ったなーってくらいかな。役には立てなかったぞ私、な感じ。裏方をしてなくても、たとえば、子供の頃から本舞台を踏んでるような人は経験で良くわかってるんですよね、どこで何が必要か、とか。私にはそれが全然わからんので、どうも気が利かなくて。帰ってきて、日記書いてる場合じゃなくて、記憶が新しいうちに覚書を整理しておかないといけないぞ、とは思ってるんだけど（爆）ともあれ。そんなんで、役に立たないとはいえ裏方修行。ずっと裏にいたのでリハーサルも本番もモニターでしか見られませんでした。あとでDVDを貸してもらおうっと。…あ、見られないのは出てる方も一緒なんですね。そうそう、そんなことに気付いたくらいが収穫かな。その、実際には見てなかった会の内容は、師匠の2番が『鉄輪』と『水鏡』、そのほかは『文月』、『縁の綱』、『八島』という組み合わせで、季節配分もイメージバランスもなかなか。『八島』は、地唄舞では珍しい二挺三味線で、音の華やかさはモニター経由でもよーくわかりましたっけ。終わってから、立方のみなさんから例によってたーくさん頂戴モノし、ロビーのお花もいただいて、ついでに余ったお弁当までGetして帰ってきた私。鑑賞アンケートの集計もしなくっちゃなんだけども、とりあえず覚書。それから、貰ってきたおやつをつまんで、もう今日は寝るかな。うん。いろいろ勉強になったもん。あたまパンクしそう。

  2010.11.06

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• 江戸の風情そのまま…ではない。

  Mr.タモツの明治演劇史、今日で最初の1章分＝明治元年からの5年間が終了。守田勘弥と新富町森田座、林立する新劇場のお話しでしたが、なるほど、守田勘弥…明治の敏腕経営者である12代目守田勘弥って人は、凄い人物ですねぇ。いや、その父も凄いから、そういう血統だったのかなぁ。父の話からして感動しましたもん。勘弥の父は、どこぞのお百姓の次男だか三男だかで、江戸へ出てきて役者になったそう。歌右衛門の弟子になったんだけど、役者としてはイマイチ。でも、田舎もんなのに読み書きそろばんが達者で才覚が利いたので、推薦されて市村座の帳元の助手に雇われたとか。で、ここからが凄い。死にそうな羽佐衛門のために不可能と思われた借金をしてのけ、さらに返済不能になったそれをしっかり整理し、金主からの信頼厚く、頭取～帳元へとどんどん出世。JALにもこういう人が来たら良いのにねぇ、とはMr.タモツのコメント。ところが、倒産して控え櫓に変わってた森田座が再興して、あぶれた敏腕プロデューサーの河原崎権之助が市村座に来ちゃうと、英雄並び立たず状態。しかーし、勘弥の父だっていつまでもほうっては置かれない。再興した森田座も経営難なので、この有能な帳元を引き抜きにかかる。と、そこで、出した条件が凄い。市村座には恩があるので、そちらに移るには理由がいる。ウチのセガレを養子にしてくれ、だと。おいおい、最初から森田座を乗っ取る気か！これが簡単に受け入れられ、最初に養子に入った長男は早死にしちゃうんだけど、続けて次男も養子に入れて、これがのちの12代目勘弥になる。すごーい。戦国時代みたい（爆）で、この12代目は親に劣らず敏腕で、明治の歌舞伎の方向性を決める存在になったという、ここからが今日の本論だったのだけど！！！本論の方、セガレ12代目は親勝り？目から鼻に抜けるというか、先見の明があるというか、見ようによっては腹黒い策略家だわな、12代目勘弥って。結果的に今の歌舞伎座の定式幕が森田座のもんなわけだから、なーこの勘弥がうまいこと言って真っ先に浅草から都心への移転を完了した新富町森田座や、その後の規制緩和で林立した芝居小屋の話も面白く、いっぱいノートを取りながら聞けましたが…消えちゃった小屋が多いんですねぇ。その中では喜昇座からいろいろ変わって最後に明治座になったところだけが後に大歌舞伎の公演もした一番出世ってことかなぁ。森田を守田にしたのもこの勘弥だそう。森の近くの田んぼは日が当らなくてよろしくない、田んぼを守って繁盛しよう…って、ホントかよ、それ。勘弥が新富町へ移転するにあたって成し遂げたのは、劇場設備の近代化（なんと2階に椅子席を作ったそう！）と表方の合理化（チップで生きてる人達を人員整理）、舞台構造の変化（花道を直線に）の3つだそう。これと、九代目團十郎の心理描写にこだわった演技方法とで歌舞伎の近代化の方向が決まったというのがMr.タモツの説のよう。この辺は、書籍化されてから読み直さないと整理が不十分かも。その余談…というか、明治の劇場の様子ってことで見せてもらった資料（劇場風景図）から派生した話が、一番興味を引かれたというか、印象に残ったのでした。タイトルはそのこと。新富町森田座の入り口は、江戸時代よりは大きめの木戸になってて入りやすくなったそう。小さくなってくぐって入る木戸は大変…金丸座はなぜあのままなのか、というお話し。あれを指して江戸時代の風情そのままに、なんていうけれど、全然江戸時代じゃないだろう！とな。木戸から入るお客は低級（笑）…土間の追い込みのお客だけであって、だからこそ下品でけんか騒ぎもあるからああなってると。金丸座は桟敷も何も全部あそこから入るのに、どこが江戸時代だ！と。なるほど。平成中村座もしかり、とな。なるほどなるほど。あはは。江戸の風情と言いたいなら、全部ちゃんと江戸様式にしろ、と。いやー、それは、不便を通り越して不愉快ですから…お客さん、減っちゃいませんかね。偽もんで、なんとなくその気になる…そういえば、新しい羽田のビルにある江戸っぽいところも、へんちくりんでいい加減（考証が）な芝居小屋モドキを作っちまって、外人向け江戸村か？とか、前回か前々回の時にもボヤいてたっけなー金丸座を見て、これが江戸時代かぁ…と思っちゃイケない、間違いである。ふむ。同様に、江戸から続く芸談とか口伝とかにもいい加減なのがあって、たとえば仁木弾正の雲歩きのところで、花道の先の上げ幕の上を右目、下を左目（逆かも）で見るというのがあって、今でも律儀に守ってる役者もいるけれど、そもそも12代目勘弥が新富町森田座を作るまで、少なくとも江戸にはまっすぐの花道はなかった（花道は桟敷の終わりで鍵の手に曲がって横へ抜けていた、上げ幕は横向き）ので、そんな口伝が江戸から残ってるわけはない、と、これはMr.タモツじゃなくて、四代目松助が書き残してるんですと。口伝ならではの、勝手な修正や思い込みあり、ですかねー。どこの世界にもあるんだ。へー本論も十分聞き応えがあったのだけど、余談もサイコーだった本日。台風にも負けず、大勢出席してるわけ、わかるような。でもね。ちょっと悲しい出来事。次回は、もともとの予定では13日のハズでした。6日は予備日で空いてたのだけど、ちょうどそこへ師匠の舞踊会があたってた私には嬉しいスケジュールだったんですよね。それが、Mr.タモツのご都合で、13日分が6日に振替に。だから次回、予定では散切り狂言の流行（顔見世に出る河内山や、菊五郎の髪結新三もある！）あたりを欠席しなくてはならない…うーん、残念。悔しいなぁ。

  2010.10.30

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