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February 16, 2021
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カテゴリ:中世の移動ド
辻康介の体感音楽史:オンライン編

ルネサンスの階名唱(ソルミゼーション)と旋律論

この講座では、11世紀から1700年頃まで実践されてきた6音階の階名唱(ソルミゼーション)を学び、実際にこれで歌えるようになることを目指します。また、この階名唱を前提とした15〜16世紀頃の旋律論つまり旋法理論を実際の曲に照らし合わせながら学びます。6音階階名唱は、楽譜の視唱や音程の正確な把握のために、旋律論は、単旋聖歌の旋法分類、作曲や演奏のための手引として、音楽教育と演奏の現場で発展してきました。6音階名唱を身につけルネサンスの旋律論を手にすることは、中世・ルネサンス音楽はもちろん、これ以降の時代の音楽の理解や解釈の基礎となり、様々な音楽に取り組むための新しいアイディアとなることでしょう。各講座は、それぞれのクラス(4人までのグループまたは個人)の興味や取り組んでいるレパートリー、専門楽器等に合わせて、内容を深めていくことができます。演奏・作曲・教育・研究と様々な立場から、中世から現代に至るまでのあらゆる音楽に関わる皆様の参加をお待ちしています。

講座は初級と中級に分かれていて、それぞれ2時間の講座を5回行います。各回のテーマは下記ですが、参加者に応じて柔軟に変わります。

初級:ソルミゼーションと旋法の基礎
1 どうして六音なのか?
2 中世の移動ド?とムタツィオ
3 ルネサンスのムタツィオとラの上のファ
4 フィナーリスとディアペンテ・ディアテッサロン
5 正格・変格と繰り返される音

中級:ルネサンスの旋律論とポリフォニーの旋法
6 旋律の完全性とミクストゥス:第7第8旋法
7 旋律論としてのカデンツァ:第1第2旋法
8 コンミクストゥス・第5第6旋法
9 12種の音階・ムジカ・フィクタの♯・第3第4旋法
10 旋法と言葉

受講者の希望に応じて1名から4名のクラスを編成します。一緒に受講したい人を集めていただいてもけっこうですし、こちらで調整することも可能です。
日時はクラスごとに随時調整します。
既にある程度学んだ人は中級だけの受講も可能です。希望があれば上級クラスの編成も検討します。

会議アプリZoomを使用し、録画配信(期間限定)を行いますので、復習したり出席できなかった場合の補いにもなります。

料金(1クラス単位:クラスのメンバーで割り勘)
初級または中級、全5回:¥50,000−
初級及び中級、全10回:¥90,000-

申込・問合:​nemotsuji@mac.com​(辻康介)

ルネサンスの階名唱と旋律論

 口伝による記憶と、譜線の無いネウマ譜で伝えられていたグレゴリオ聖歌が、11世紀に譜線上の楽譜に記されるようになった頃、音楽教育の現場担当だった修道士グイード・ダレッツォは楽譜の視唱を可能にし、旋律を正しく効率よく記憶させるために、元祖「ドレミの歌」となる讃歌を子供たちに憶えさせ、ドレミファソラの6音階を把握させることを提案しました。
 これはあくまで基本音階を把握するための基礎であり、6つの階名ではオクターヴすら歌うことが出来ません。また、現在も使われているAからGまでの7つの音名(1オクターブで繰り返される)も昔からあり、グイドもこれを使っています。が、ポリフォニーの歴史と足並みをそろえるように、1200年代までには、6音階名と7つの音名を組み合わせた「グイードの」音列システムが確立します。ここでは、オクターヴを階名唱するのに、2つの6音階を組み合わせるため、そのややこしさが時に批判を受け、しばしば7音階名システムも提案され、事実、「ドレミファソラシ」の7音階名唱は1600年代には既に使われています。しかし、「グイードの」音列システムと6音階名唱は、結局は、18世紀末にいたるまで、実際の音楽教育の土台となったのでした。音楽教育の基礎であったということは、中世・ルネサンスからバロック期に至る作曲家達の耳の半分は6音階で育っていたと言えるでしょう。実は、ハイドンやベートーヴェンも最初期の教育ではこれを学んでいました。
 この音列システムと階名唱は、教育だけでなく、音楽理論の基礎でもありました。音楽理論書はこのシステムを前提としていますし、曲名に音名や階名が使われている場合も、もちろん、これが前提です。さらに、特に15世紀イタリアのルネサンス・人文主義文化と、それに続く楽譜印刷による音楽文化の広がりの中で、6音階は音楽の調べの基本単位とされました。作曲家達は、雄弁に歌詞を表現するための旋律を、6音階を物差しにして旋律を設計したのです。この結果、例えば「ラの上のファ」という音を含む旋律は、甘美な歌詞を表現する決めどころのお約束の節回しとなりました。元々は、子供のための教育ツールだった6音階名は、ルネサンスに至って、旋律を読み書きするための大人のための音楽デザインツールとなったのです。
 一方、「旋法」理論は、中世に修道士たちが覚えている聖歌の調べを分類するために生まれ、バロック期に至るまで、単旋聖歌の旋法を識別するための理論でした。作曲家達の仕事は歌詞にふさわしい旋法を選ぶところからはじまるものでしたが、とりわけ15世紀後半以降、「旋法」理論はポリフォニーの旋律を作曲することを前提として語られはじめます。ところが、こうした「旋法」理論は一般に思われている旋法の枠組みを超える「旋律」論でした。例えば、私達にとって、旋法の違いは、基本的に(長調・短調の長音階・短音階などの)音階の種類、つまりモードの違いです。この音階はJ.S.バッハに至るまで8つから12種類に分けられていましたから、これを理解するだけでも、私達にとっては重要な課題ですが、当時の人々にとって、「旋法」の違いとは、モードの違いにとどまりませんでした。彼らの「旋律」論では、旋律の中の支配音や音域、5度・4度のフレーズの種類、フレーズの方向といった、実際の旋律の様々な特徴の違いが、和声や対位法とはひとまずは別個に論じられています。現代のクラシック音楽の考えでは和声理論を拠りどころに捉えられる「転調」も、中世からバロックにいたるまで、まずは旋律の変化としてとらえられ、これで作曲家達は歌詞を効果的に雄弁に表現していたのです。
 6音階名唱も旋律論も、音楽の現場の理論でした。古楽のレパートリーを6音階で読み直すことは、演奏解釈として新たな発見につながるだけでなく、耳を育て、歌心を刺激します。逆に、実際に歌ってみて初めて意味がある理論でもあり、この理論を理解するには実際に歌ってみなければなりません。ですので、これまで私の「体感音楽史」講座では、実践にそれなりの重きをおいて取り組んできました。このたびの完全オンラインの講座でも、この点を鑑み、人数を少数に限ることで参加者が実際に声に出してみる時間をある程度作りたいと思っています。とはいうものの、オンラインで「一緒に歌う」のは、技術的に難しく、今回はどうしても理論的なレクチャーが主体になるでしょう。しかし、実はこの理論的な部分のレクチャーはオンラインに向いている、という側面があるのも事実で、なるほど、会議室のホワイトボードよりも手元のパッドやモニターのほうが見やすいですのです。
 オンライン講座では、特に中級で、ルネサンスの階名唱と旋律論に基づいて曲を分析することが、一つの柱になります。なるべく多くの曲にあたりたいと思いますが、これは、しかし、将来への布石でもあります。コロナ禍が去った暁には、実際に歌ったり演奏しながら取り組む講座や、学びをともにした皆さんの創造と遊びの場である合唱団Ogmiosの活動を復活させ、存分に音楽をやる機会を作りたいと思っています。

辻康介
歌手。ソルミゼーション講師として東京・名古屋・仙台・大阪で定期講座開講、日本合唱指揮者協会、日本合唱連盟、日本コダーイ協会、愛知県立芸術大学・福島県や千葉県の高校教員の研究会などに講師として招かれた。国立音楽大学楽理科卒、同大学研究所研修課程終了、ミラノ市立音楽院バロック声楽科2年専門課程終了。声楽を牧野正人、C.カヴィーナ、R.バルコーニらに、ルネサンス・ポリフォニーの演奏法と古楽の演奏理論をD.フラテッリらに師事。計6年ほどイタリアに留学。様々な楽団を主宰し古楽を中心に多様な音楽活動を展開、ジャズや能など他ジャンルのアーティストとの共演も多い。モンテヴェルディ「オルフェオ」(宮城聡演出)や「オルフェオの冥界下り」(安田登構成・演出)のオルフェオ役。都市楽師プロジェクト、青山学院大学鳥越けい子研究室のサウンド・スケープ企画、ジョングルール・ボン・ミュジシャン等で歌う。合唱団Ogmios指揮者、聖心女子大学グリークラブ常任指揮者。聖グレゴリオの家およびフォンス・フローリス古楽院講師。





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Last updated  February 16, 2021 06:15:40 PM
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