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りらっくママの日々

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2009年07月06日
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カテゴリ:ある女の話:ユナ
今日の日記(息子とポケモンラムネ作り♪と「官僚たちの夏」感想☆)


ユナ1


あ~あ、
この歳になって思うよ。
私ってこんな人生を送ることになってたの?
フツーの人生ってやつやろうと思ってたのにさ。
昔から未来設計ってやつを立ててなかったのがいけないのかしらね?
私の話を聞いてみる?


短大を卒業して、何とか就職できた。
いわゆる一般職ってやつで、正社員のフォローって仕事。
私はあまり仕事が人生ってやつをやりたくなかった。
お茶汲みしてニコニコしてコピーを取ってれば、
お金がもらえるなんてありがたいじゃない?

同期の研修期間があって、
いろんな人と知り合った。
合宿研修の最後に同期で盛り上がってしまって、
帰りの飲み会で隣の席に座ったのがフジサワくんだ。

大勢での飲みの中、
私はフジサワくんと一対一で話をすることになった。

フジサワくんは私の好みではなかったけど、ルックスは悪くなかった。
他の同期の女の子も、好みのタイプ。って子がチラホラいた。

しばらくの間、どこの学校だったか?って話をしてた時、
話の流れでふと言った。

「フジサワくん、カッコいいのに彼女いないの?ウソだぁ~?」

私は酔ってきていたので、馴れ馴れしくなって言った。
同期とはいえ、向こうは大学卒業だから2つは上だろう。
でもみんな同期ってことでタメ語だった。

「え?オレカッコいいの~?
褒めすぎじゃない?ヤマグチさん、酔ってるでしょう?」

私は笑った。

「うん、酔ってるけど、カッコいいと思うよ。マジで!
本当にいないの?彼女?」

「いや、ほんっとうにいないんだよなぁ~。
見る目無いよね。
フラれちゃったんだよ~。」

私の隣で酔ってきたフジサワくんがつぶやく。

「ふ~ん。私は好きな感じよ~。
笑顔がステキじゃ~ん!」

酔ってるからテキトーなことを言える。
じ~っと顔を見た。

うん、やっぱりイイと思う。

フジサワくんが照れたような顔になって目を逸らす。

あ、嫌われちゃったかも。
ま、いっか~!
飲んでるしぃ~!
じょーだん、じょーだん。

私は目の前にある青リンゴサワーをグイッと飲んだ。

来週はようやく配属になる。
ようやく研修が終わって、開放された気分になっていた。
そう。
ちょっとハメがはずれてたのだ。

「あ、フジサワくん、嫌がってるでしょ~?ゴメンね、変なこと言って~!
私オヤジみたいだよね~!」

私は席をうつろうかな…と思った。
どうせフジサワくんは違う営業所だし、
来週からは会うことも無い。

席を移ろうと腰を浮かしかけたとこに、フジサワくんが言った。

「あれ?どっか行くの?」

「え、あ~うん…トイレね!」

別にそうじゃなかったけど、トイレに行くことにした。
嫌じゃなかったのかな?

戻ってきたら、自分の席には違う子が座っていた。
私は違う席に移った。

フジサワくんがこっちをチラッと見たのがわかった。
目が合った。
フジサワくんが目を逸らす。
私も逸らす。

お互い、違うグループと話して盛り上がってしまったので、
私がフジサワくんの隣に行くことはもう無かった。

みんな道でバラけていた。
二次会どうする~?ってボヤボヤしていた。
私はそんな時に限って本当にトイレに行きたくなり、
仲良くなった同期に言って、店に戻ることにした。
トイレから出たとこにフジサワくんが立っていたので驚いた。

「みんなもう行っちゃったよ~。」

あ、フジサワくん酔ってるな~と、ボンヤリ思った。

「うん、ドコ行くの~?」

「次?カラオケだってさぁ~。
ねぇ、オレもトイレ行きたいから、待っててくれる?」

うん、いいよぉ~、と私はトイレの前の通路で待っていた。
出てきたフジサワくんは気分良く酔ってる感じだった。

「ねぇ、ヤマグチさんさぁ…
さっき言ってたことホントかなぁ?」

「え?あ…うん。」

目が据わってるので、コレはマズいんじゃないかな?って思った。
でも、自分も酔ってるから、
テキトーに話を合わせておこうと思った。

フジサワくんは、私を壁に追い詰めて、
ジーっと私の顔を見る。

「カッコいいって、フジサワくん!
すぐ彼女できちゃうよ!
大丈夫~?酔ってない?」

私は無言でいると妙な雰囲気になりそうなのが怖くて、
慌てて笑いながら言った。

「本当に、本当に、そう思ってる?
オレのこと好きな感じって言ってたじゃん?本当?」

「ホント、ホント!」

フジサワくんの酔った息がかかる。
どうしたらいいんだ?

とりあえず笑顔を作る。

フジサワくんもニコリと笑うと、

「じゃあさ、電話バンゴー教えてよ。
交換しよ~よ。」

軽い調子で言ってきた。

おいおい、同期だよ。
ナンパじゃないんだよ?
コイツ、そういうことやってたな?

でもまあいいか~って感じだった。
酔ってたし。

ホントにかけてくるの~?
怪しいなぁ。

私は手帳を出して、自分の電話番号を書いて渡した。
フジサワくんが口頭で番号を言うのを書いた。

「サンキュ~。じゃあ行こ~!」

欲求が満たされたのか?
私はフジサワくんの後に従う。

が、もう道には誰もいなかった。

「店どこか知ってるの?」

ほろ酔い気分で私が言った。

「あ~、うん。」

フジサワくんがキョロキョロと繁華街を見渡す。
どうやらわからなくなったらしい。

「ねぇ、もしヤマグチさんがいいならさ、いっしょにどっか他の店行かない?」

このまま帰るのも何だしさ~とフジサワくんが言う。

それもそうかな~と思って、付いて行ってしまった。
どうも私は流されやすい。
それにもうちょっと、この気分を楽しみたかった。

また居酒屋に入る。
今度はカウンター。
どうせ終電までに帰れば、親は文句を言わない。
明日は休みだしね~。

フジサワくんがドコの営業所に行くのか、
彼女とどうして別れることになったのか、
飲みながら聞いていた。

残念ながら、私には披露できるような話がほとんど無い。
話しても笑えるような話じゃないし。

笑ったり相槌を打ったりしているうちに、
次第に酔いがまわってきた。

「オレってつまらない?」

ボウッとしてたらいきなりそう言われた。

「ん?別にそんなこと無いよ~。
何でそんなこと言うの?」

眠いかもしんない。
飲み過ぎちゃったかも。
マズいと思った時には手遅れっぽかった。
ちょっと机がフワリと揺れている。

「いや、さっきの店でも席はずしちゃったしさ…」

それはアナタが嫌そうにしたからじゃ?
と思ったけど、頭がボ~っとしてきたので、
とりあえず、戻る席が無かったから~と言っておいた。

「ヤマグチさんは…さ、付き合ってる人いないの?」

「うん、いないよ~。」

気分良く私が答えた。

「ふ~ん。どれくらい?」

「一年…かな?」

フジサワくんがテーブルにあった私の手を握ってくる。

「じゃあさ、連絡していい?オレと付き合わない?」

え?
何だそれ?
展開早過ぎじゃない?

フジサワくんの目がジッと私の目を見ていた。
私は目を逸らす。
心臓がドキドキしてきた。
お酒のせいなんだろうか?

酔ってるよ。
コレって絶対酔ってるって。

冷静な私がそう言ってるのに、
口は笑いながら答えていた。

「うん。いいよ~。」

「やったあ!」

フジサワくんが笑ってビールを飲み干した。

ホントかよ?

その店ではフジサワくんが会計を出してくれた。
いいよ、オレが出すからって。

「ありがと~。」と階段の踊り場の壁に寄りかかったまま私が言うと、
フジサワくんは真っ赤な顔で私の肩を抱いてきた。

そしていきなり強く抱き締めてきた。

え?って思ったらキスされていた。
お酒とおつまみの味がした。

彼女がいたのは本当だろう。
慣れてる感じがした。

もう一度強く抱き締めてくる。

「ヤバ…。ヤマグチさん…かわいい…。」

何?何言ってんの?
私がカワイイ?
何かの間違いでは?
でも体から力は抜けていく。
力強い腕。

その後はよく覚えていない。
いや、覚えてるんだけど、
半覚えで。

抱き締められた体が気持ちイイなぁ~とか。
男って大きいんだな~とか。
抱き締められたのは久しぶりだな~とか。

体がフワフワしていた。

「ホテル行かない?」
声が聞こえてきたんだけど、
どこか遠くで聞こえた声みたいだった。


起きたら朝じゃん!
それにコレはどう見てもラブホテルだ。
しかも私裸だし。

頭が痛い。
顔面蒼白…。
あ~ヤバい。親に何て言おう…。
でももうしょうがない。

隣にいるフジサワくんは、かわいい顔して寝ていた。
子供みたいだな…とぼんやり思った。

私がシャワーを浴びて出てくると、フジサワくんは起きていて、テレビを見ていた。

「おはよぉ」

バツが悪そうな顔で言う。

「おはよ。」

なぜか彼はコーヒーを入れてくれていた。

ありがとう…。ともらう。

あったかくて美味しい。

ぼんやり私もテレビを見て、

駅まで何もありませんでした。って顔していっしょに歩く。

「親大丈夫?」

と、言われた。

「わかんない…。多分怒られると思う…けど。フジサワくんは?」

「オレ一人暮らしだから。
…ゴメンな。」

このゴメンが何を意味してるのかわからない。

でも私の頭の中は親への言い訳でいっぱいだった。
一体何て言ったらいいのだろうか?

最後に電話して母親に言ったのは、

もう会えなくなる同期の子たちもいるから、飲み会。ごめんねー。

だったと思う。

ため息。


そんな感じで、私とフジサワくんはお互いの家への分岐点で別れた。

フジサワくんは手さえ繋いでくれなかった。

そんなものだろう。

帰ると幸い誰も家にいなかった。
もう昼だった。

部屋のベッドに寝転ぶと、ホッとしたせいか頭が違うことを考える。


あ~あ。失敗しちゃったな。
何で寝ちゃったりしたんだろう…。
他の同期に言われちゃうのかな。
あの女はカルイよ…って。

よりによって、同じ会社だなんて。
また同期会があったら、どんな顔をすればいいんだろう?
しかも、ちゃんとしゃべった当日に…だよ?

私は期待してなかった。
酔った上での勢いってやつは、学生時代に経験していた。
その男は、彼女がいないと言っていたくせに、
ホントは彼女がいるって言い出した。

「あの時はちょっと上手くいってなくてさ…。ごめんな。」

そう言っていた。
私はそういう関係になったんだから、付き合うもんだと思っていた。
付き合ってるもんだと思っていた。

私は彼が好きだった。

あれ以来、男の言葉には信用を置いていない。

だって、寝たのは一度じゃなかったんだから。
それなのに付き合ってたワケじゃないって言うんだから。

勘違いして何が悪いの?
勘違いなの?

苦い思い出が蘇る。

人の価値観なんてそれぞれだ。




続きはまた明日

目次





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最終更新日  2010年03月03日 21時33分40秒
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