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テーマ:映画レビュー(889)
カテゴリ:映画-さ・た行
-1978年作品-
[監督]市川崑 [出演](金田一耕助)石坂浩二 (神尾秀子)岸惠子 (大道寺銀三)仲代達矢 ▲似顔絵は神尾秀子役の岸惠子さん ---------- 金田一シリーズ第4段です。 今回は何と、今までの犯人役の俳優さん達が再度出演、というシャレた演出。 (ちなみに今までの犯人役は、『犬神家の一族』=高峰三枝子、『悪魔の手毬唄』=岸惠子、『獄門島』=司葉子、という具合です) 皆さん女優さんなのですネ~。 この豪華女優陣に、映画初出演の中井貴恵を加え、まさしく『女王蜂』というタイトルピッタリに。 そして季節を秋と設定しているので、映画全体の色彩が赤(というか朱色)みたいな感じで、艶やかな印象がしました。 (鮮やかな紅葉はもちろん、開かずの部屋の扉の赤、茶会の日傘?の赤、そして赤い毛糸の玉などなども) 【ペンダント】 今回も泣きのシーンの一つを書いてみようとおもいます。 それはケガを負った金田一(石坂浩二)を神尾秀子(岸惠子)が見舞いに行った場面。 見舞いにきた神尾秀子と金田一は、今回の事件のちょっとした話ををする。 すると金田一はなにげに、神尾秀子になぜ結婚しないのですか?と訪ねる。 神尾秀子は苦笑しながらも、「私の愛した方の写真をお見せしましょうか」と言い、胸のペンダントを開ける。 そこには神尾秀子が遣え、ずっと世話をしていた大道寺家の一人娘、琴絵(萩尾みどり)の写真が入っていた。 このシーンは、見直して初めて泣けるシーンです。 ペンダントには琴絵の写真が入っている。 けれど実はその下には彼女が本当に愛していた、大道寺銀三(仲代達矢)の写真が入っているでのある。 (それは最後に明かされるのですが...) 秀子の銀三への、深く静かに秘めた想い。 それを思うと泣けてきましたネ~。 この秀子から銀三への一途な想いが、この作品のベースになっていたと思います。 【君は間違っちゃおらんよ】 金田一シリーズはラストというか、エンディングのシーンが良いのが多いのですが、この『女王蜂』のエンディングはダントツに大好きです。 汽車に乗っている金田一耕助、バッタリと等々力警部(加藤武)にでくわす。 等々力警部は、金田一の手に持っている毛糸の玉を見て、神尾秀子の話をする。 それに対して金田一は、「どうも今度の事件の事は、自分の失敗だったようで...」とポツリと言う。 すると等々力警部は、「真犯人の事か?君は間違っておらんよ」と言葉をかける。 ビックリする金田一。 意味ありげな表情をし「金田一君、また会おう」と言いって、等々力警部は去って行く。 金田一はその後ろ姿に対して軽く頭を下げる。 そして映画は、落ちた毛糸玉のアップで終わる。 もうこの最後のシーンは本当に好きなんです。 多くの殺人が起きたこの事件も、大道寺銀三と神尾秀子の死によって終わる。 そして映画全体が、悲しさというか、感傷的な気分に包まれる。 その感傷的な気分が、等々力警部の「君は間違っておらんよ」という一言で一気に吹き飛び、そして全てが救われたような気がしました。 +++++++++ 女王蜂(DVD) ◆20%OFF! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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