カテゴリ:本・読書
作家の人柄がわかるので、エッセイを読むのが好きだ。
ちょうど1年前に読んだ宮部みゆきの『平成お徒歩日記』も面白かったが、三浦しをんは、もっともっと面白い! こんな痛快なエッセイは初めてである。 ネット上で連載されたのが2007年に単行本になり、今年文庫化されたのを今頃知ったわけなんだけど。図書館で借りたら、あまりに面白いので翌日買ってしまったほどだ。 歌舞伎も生で見たことがないのだから、人形浄瑠璃なんてもっと無縁の世界である。 そんな関連本を読むことになるとは思いもしなかった。 歌舞伎なら東京まで見に行く人も多いが、文楽を見に行くという人を、この辺では聞いたことがない。 「文楽」と「人形浄瑠璃」が同じだってこともわかっていなかった。 「近松門左衛門」とか「義太夫」とか、そりゃあ名前は聞いたことがありますよ。 『曽根崎心中』とか『冥土の飛脚』とか名前だけは知ってますが。 『女殺油地獄』なんて字のごとく恐ろしい話しだと思っていたから、怖いのは嫌いだし。 しかもそれらは全部歌舞伎の演目だとばかり思っていた。 それくらい私は「文楽」について何もわかっていなかったわけですよ。 江戸時代、人形浄瑠璃で大当たりした作品を、歌舞伎がすぐに取り入れたらしい。 そしてなんと、しをんちゃんの手にかかれば、文楽は全てが面白くなってしまうんですねぇ。 しをんマジックにかかると『女殺油地獄』もニヤニヤしながら読めてしまう。 私には残念ながら、その面白さを上手に説明する筆力がない。 『仮名手本忠臣蔵』といえば赤穂浪士事件ですが、実はとっても長いお話らしい。 しをんちゃんは大阪国立文楽劇場でこれを見るんですが、なんと、朝10時半から上演されて、終わるのが夜の9時半なんだそうです。 休憩はトータルで1時間ちょっとだから、通しで見ようという客は10時間座っていなければならないという。 しかも上演に一日かかるような大作に、構成や展開の無駄がないという。 ものすごく緊密にできているのだそうだ。 しをんちゃんの巧みな解説で、私もすっかり内容を把握してしまったような錯覚になる。 未知の世界に連れ込んでもらって、楽しかったわぁ。 好きだなぁ、しをんちゃんの感性。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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