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喫 茶 去

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2013.06.21
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カテゴリ:本・読書
長い間、読むことをためらっていた。
宮廷の色恋沙汰を読むのは時間の無駄ではないのかと。


「明石返り」「須磨返り」という言葉があるほど、この巻あたりで読むのをやめてしまう人が多いとも言われる。


私も挫折するかもと思うと手が出ない。最後まで読み切れる自信がない。
あさきゆめみし」で顔が区別つかなくて挫折したほどだから。(笑)


先月、サントリー美術館に嫁と一緒に『もののあわれと日本の美展』を見に行って、嫁は源氏物語を知ってるものだから、「私は面白かったわ」と言ってくれたけど、屏風絵に描かれた一つ一つの絵の意味が私にはよくわからなかった。


出光美術館で見た『源氏絵と伊勢絵』も、知識がないので「馬の耳に念仏」「猫に小判」状態だった。(笑)


いかに教養がないか。何を見たってわかりゃしないとは・・・なんと恥ずかしいことよ。
嫁と源氏物語について語れるようになりたい。


瀬戸内寂聴さんが外国人記者クラブで源氏物語について話した時、質疑応答で、ある外国人ジャーナリストから質問を受けた。

「私たちは日本に赴任する時、必ず上司から源氏物語を読んでおくようにと言われます。源氏物語を読まないと、日本文化の本質も理解できないし、日本人のものの考え方感じ方もわからないから、と言われるのです。だからアーサー・ウェイリーの英訳本を必ず読んで来ています。ところが日本に来てみると、ほとんどのインテリは源氏物語を読んでいないようなので驚いてしまいました。いったいなぜ日本人は自国の誇りである傑作に興味を持たないのでしょう」

この率直な質問に寂聴さんは恥ずかしくなったそうだ。


私も耳が痛い。とりあえず予備知識を得るため、図書館で源氏物語関連本を数冊借りて読んでみた。


何人もの大学教授の解説や、寂聴さんの源氏塾などを読んでいるうちに興味が湧いてくる。


なんだか面白そうだ。ただの色恋小説ではない。千年間も読み継がれてきたものだもの。


政治、人事、経済、和歌、結婚、親子、宗教、健康・病気・死、心理・精神分析、衣装、雅楽、娯楽など、今も昔も変わらない人間の営みが盛り込まれているのだ。


では、誰の現代語訳を読めばよいのか。


寂聴さんは好きだけど、濃い紫の表紙は苦手。あの色を本棚に並べたくない。では安い文庫本ではどうか。


林望先生の訳もちょっと読んでみるが、変わった製本で糸綴りなので乱雑に扱ったらバラバラになりそうだ。


大塚ヒカリは超現代語。最初から「プライド」という言葉が出てきた。日本の古典のはずが。


与謝野晶子や谷崎潤一郎は難しそうで無理。 田辺聖子、円地文子、橋本治・・・・・誰のを読もうか。


知恵袋を検索してみると、文庫で気軽に読める玉上琢彌先生の訳をお勧めしている方が多かった。しかも、一人のものだけではなく複数の訳を読んでる方が多い。


『源氏物語』とはそういう本だったのか。読み比べる面白さがある本だった。


では玉上先生のものを書店で手にしてみると、原文と訳文が載っていて確かによいかもしれないが、印刷文字が小さくインクが薄い。視力の悪い私はそこで迷い、ふんぎりがつかず元の棚に戻した。


ぶらり書店の中を歩きまわっていたら、ダンボールの箱に入った『源氏物語』が目についた。


箱には「全八巻+別冊付録 分別不可」と書いてある。日本経済新聞出版社。
バラ売りはしないらしい。しかも28,000円


買えないけどちょっと中を覗くだけ、と開けて1冊抜き出してみると、表紙が美しい! とっても素敵じゃないの。でも28,000円。1冊3,500円では手が出ない。


上野榮子 訳」 聞いたこともない名前。


帰宅してAmazonで見てみると、中古品がいくつか出ていた。1万円なら他の文庫本10巻分とそれほど値段が変わらないではないか。


中古品でも「非常に良い」と書いてあるのは大丈夫かも。 エイ、ヤッ! と注文してみた。


届いてビックリ。新品ですよ。外箱のダンボールも書店で売ってるものよりきれいなまま。もちろん中の箱も。


          源氏物語.jpg


まだ、誰も読んでいないじゃないですか。Amazonの中古品「非常に良い」に嘘はなかった。


上野榮子さんは大正14年生まれで、学生時代に源氏の世界に心惹かれ、昭和52年から訳し始め、途中親の介護をしながら平成3年まで口語に直したとのこと。


清書された原稿用紙は4千枚。そのまま15年ほどたち、80歳の時に(平成17年)子供達の勧めで自費出版。


その事を知った息子さん(数学者 上野健爾氏)の知り合いの編集者が、平成20年(2008年)に、このような形で改めて出版して下さったとのことです。


『源氏物語』が出版された当時、主婦が訳したということで新聞などで話題になっていたようだ。


息子さんをウィキペディアで調べてみると、

日本の数学者。1945年熊本県生まれ。1968年、東京大学理学部数学科卒業。四日市大学関孝和数学研究所長、法政大学大学院工学研究科教授、日本数学協会会長、京都大学名誉教授。専門は複素多様体論。学力低下問題を中心に数学教育の問題にも言及している。


ご立派な息子さんを育てたお母様でした。


ということで、訳した苦労を思いながら尊敬しながら、じっくりと読んでみます。





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最終更新日  2013.06.25 16:45:07
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