『リトル・バイ・リトル』 島本 理生
『リトル・バイ・リトル』 島本 理生/講談社文庫母親と父親の違う妹の3人暮らし習字の先生にボーイフレンドの周くん。この登場人物たちとの結びつきで主人公ふみが少しずつ成長していくお話です。 私はもう何も待たなくて良かった。私が待っていたものは、もうとっくの昔に失わ れていた。そんなこと、本当はずっと分かっていた。(本文より)ゆっくりと静かに進む物語の中には、前を向くエネルギーや明るさ、楽しさは直接的には描かれていない。なのになぜか、さみしくてかなしい表現の中にそれらが見えてしまうのです。読む人にかならずあたたかな光をあてててくれます。