『ブランコのむこうで』 星 新一
『ブランコのむこうで』 星新一/新潮文庫最近どんな夢をみましたか?笑ってしまうようなありえない設定の夢だったり、目覚めてからも恐怖心が消えないようなこわい夢だったり。。または思い出そうとしても断片的な像だけがあいまいに残っている、朝目覚めた時には憶えていたのに時間が経つとすっかり忘れている…その内容も見方もさまざまな「夢」。そんな、眠っているときにみる「夢」という現象が題材となっているお話です。ある少年がもうひとりの「ぼく」に出会い、夢の国と現実、2つの世界を行き来する幻想的な冒険に迷い込んでしまいます。夢の世界は、現実に住む人のときに不満のはけ口となり、強い願望や生きがいなどを如実に現わしてしまう。それを垣間見た少年は何を考えたのでしょう。どこに行きつくかもわからない抽象画をみているような物語。とても奥が深いテーマがちりばめられていますが、「夢の世界」のように、見え方も人それぞれ。どうとらえるかは読む人に託されているのかもしれません。