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カテゴリ:江東区
住吉駅を下車,四つ目木通りをひたすら南下,小名木川を渡ります。さらにしばらく進み,暗い住宅街を清澄白河駅方面に進路を変更します。人気もまばらな暗い通りを進んでいると本当にこんな住宅ばかりの一帯に酒場があるのだろうかと不安になってきます。ところが,そんなことを思うのもほんのひと時のこと,しばらく歩くと点在してはいるものの,よさそうな風情の酒場が飛び飛びですが視界に写り込みます。いざ,目当ての酒場を見つけ損ねても,代わりの店には事欠かないようです。
さて,何軒かのよさげな酒場を素通りして次の曲がり角で見つけられなければ,取って返して他の店に入ろう,それでも構わないじゃないかと折り合いをつけだしたところに,大きなトタン壁の2階家が視界に納まりました。ちょっとした倉庫のような大きな建物に意表を突かれるとともに,すごい期待感が高まります。正面に回り込みいそいそと扉を開きます。中に入ると外観程のインパクトはありませんが,広々としていながら不思議とオオバコ的な疎外感がないのはどうしたことでしょう。どうやらこの店を独り切り盛りする女将さんの気さくかつ明るい人柄に負うものが大きいようです。ああ,こちらは酒場放浪記にも紹介されたばかりの「万葉」です。ホッピーを注文,切り昆布のお通しをつまみながらぼんやりと焼物を待ちます。先客は若い男性グループと独り客,ぼくの背後では随分早くから,恐らく開店早々呑み始めたであろう酔客2名の独りがかつて××組に属していた頃の武勇伝を朗々とした語りで話し始めます。話半分で聞き入りますが,声質は朗々たる立派な語りですが,お話は支離滅裂なのが残念。話に飽き掛けた頃,焼物が届きます。その流れで女将さんとお喋りをすることになりました。特段,どうという話題もなくどうした縁でここにおいでになったんですか,などなどの質問を適当にはぐらかしながらのお喋りでした。店内をうろうろしていた猫が外に出ていくと入れ替わりに若いきれいな女性が入ってこられました。どうやら女将さんの娘さんのようです。店の手伝いもしているとのことでしたが,準備のためでしょうか,いつの間にか姿がなくなりました。これはまた訪れなければならないようです。 先ほど素通りした酒場の一軒に立ち寄ってみることにします。ここに来るときには小名木川橋を渡りましたが,そのお隣にある小松橋のある通りまで引き返します。ここで清澄橋通りに向かって右に折れるとすぐに「みづほ」があります。遠目にも見誤ることのない居酒屋らしい佇まいは,赤い内照看板がもたらす効果のようです。紺暖簾をくぐって店に入るとこれまた外観に反しないよい雰囲気です。かつてはL字のシンプルなカウンターだけの店だったのでしょうが,奥がカウンターはそのままに小上りに改造してしまっているようで,それはちょっともったいないかも。先客は独りだけ,時折予想外に若い女性店主と何やら親密そうな雰囲気を漂わせつつ短く言葉を交わしています。冷え込んできたので日本酒を燗してもらいます。肴はごくごく限られた品数で,これといった特徴のあるものはありませんが,お通しのシラスおろしだけで呑むのもオツなものと独り悦に入ってひっそりとほくそ笑んだりしてしまいます。年季を感じさせるのがこちらのご不浄。入口脇の扉を抜けて細く暗く伸びる通路を進んだ先にあります。ほんのりと酔ってほてった頬に冷気を感じ,ひととき酔いがすっと軽くなるのを感じます。この界隈はまだまだ渋くてよい酒場が潜んでいそうです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014/02/28 08:35:32 AM
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