|
カテゴリ:墨田区
われながら通俗的なことに恥じらいを感じないわけでもないのですか、見てしまった以上は行かずにはおられぬのがぼくの性分なのだから致し方ありません。やって来たのは清澄白河。近頃ちょくちょく来ていますし、まだまだいくらでも知られざる酒場があるはずですが、ひとまずは手っ取り早く、酒場放浪記で紹介された酒場へと行ってみることにしました。この番組で紹介される店って何度も申しており恐縮なのですが、実際言ってみないことには吉と出るか凶と出るか検討がつかず、実際のところ実際の番組を覚えていることも極めて稀で、番組のホームページを参照して作っているメモ書きに、店の名と場所が記載されている程度なので、気持ちとしては友達から紹介されたという程度、なんていくら言い訳してもミーハーっぷりは誤魔化せそうにありません。でも今晩は一人じゃありません。O氏とS氏という心強いミーハー仲間がいるので、いくらか気が楽です。
そんなこんなでやつてきたのはのらくろーどーで良かったかしらーにある「鳥長」です。ありゃりゃ、店の外に5人程入店待ちの人たちがいますね。店先の焼き場から店主らしきオヤジが、わりぃねぇ、今一組出るからもうちょっとで空くからねなどというものだからうっかり待ってしまったのが運のつき。一組帰るの言葉はどこへやら一向人の出てくる客もなし。結局30分ばかりも待たされて詫びの一言もないのはそりゃなかろうて。これが繁盛店の奢りというものか。これだけ人気があるなら空いたら電話連絡してくれる配慮くらいあっても良さそうなのに。憮然として店に入りますが、売り物の焼鳥だけは貰うにしてもーもう一つの名物鰻には手が出ないー、極力安く済まして引き上げようというのは、口にした訳ではないものの気持ちは一緒だったはず。長いカウンターを進むとひとしきり呑んで食べてをすっかり満足顔のまったり寛ぐ客ばかりがやけに腹立たしく思われもする広い小上がりがあります。極力控えめなオーダーを済ませ、ようやく不快さも和らぎお隣を見たのがいけなかった。贅沢至極にも散々呑んで食ってをしたらしき卓に運ばれたのは、〆の鰻丼です。これが正真正銘の〆らしく酒の追加もありません。われわれの卓に並ぶささやかな肴たちがやけに貧相に思えます。視界さえ卓上に集中すれば運ばれた焼鳥は確かに立派です。焼き加減もジューシーさもさすが人気店と納得しかかりますが値段を考えればまあこんなものかな。悪くありませんがここまで繁盛するもんかいなとやはり釈然とせぬまま店を後にしたのでした。 当然消化不良のわれわれは次こそ意中の酒場を見つけんとやっ気になって歩きました。やがてここはまるで聞いたことのない店だけど間違いなさそうだという「松屋」というもつ焼屋に行き着きました。結論から言うとここは大正解、これほどまでに素敵な店を知らずにいたとは、まだまだいくらもいい酒場があるのだなあと今後の酒場巡りに一挙に光明が刺したかに感じてしまうのだから現金なものです。外観も枯れた風情で魅力的ですが、中に入ってその興奮はさらに高まります。まっすぐ奥に伸びるカウンターがいい。カウンター席にまして素晴らしいのが、奥の座敷の眺めです。どこがどうという説明する余裕はありませんがその景色はまさに田舎のばあさんの家のようです。暑い夏の夕暮れに野球でも眺めながらビールを呑むのに最高に思われます。高齢の女性お二方でやっています。年齢に似ず炒め物をするときの鍋振りは力強いことこの上なし。余計なことはほとんど口にしませんが仕切りに店の雰囲気に感心するわれわれにはにかみつつ古くて奥行きが長いのよとちょっと嬉しそうに語られました。肴も上々。店に入ってすぐに入れ替わった若者2名以外お客もなく、どうしてこんないい店が空いているのか不思議でならないのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014/10/21 08:39:05 AM
コメント(0) | コメントを書く
[墨田区] カテゴリの最新記事
|