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カテゴリ:墨田区
八広を初めて訪れた頃は、定評のある酒場もそうだったし、ネットなんかに店や存在すら公開されていない酒場だとなおさらにおっかなびっくりと店の暖簾をくぐったものです。今ではすっかり擦れてしまって、恐れを抱くのは価格面と空調面に対してばかりであって、無論客のことごとくがそっち方面の方々ばかりであれば話しは別ではあるけれど、基本的には多少の警戒心は無くしてはいないと思うけれど恐れを感じることはほとんどなくしてしまったのです。そうなる前の初心な時代に初めて八広を訪れた時には確かに恐る恐る手探りでこの町の酒場への潜入を試みたのです。あの頃は未知なる酒場に対しての不安や期待、そして時には恐怖すら感じることがあった気がします。特にこの界隈は危う気な気配を放つ酒場が少なくなかったと思うのです。しかし、今ではそうした気配も道路の拡幅とかの理由による整備が進んだこともあり、すっかり希薄になってしまった。現況の八広の町を当時のぼくが訪れていたとして、その頃に確かに味わった不安含みの興奮はもたらされるのでしょうか。 しかし少なくともこの中華飯店に分類されるであろう「来集軒」には、初めてこの町を彷徨い、ハシゴした頃の危険なムートが嗅ぎ取れました。少なくともそれがボロと言ってもさして失礼には当たらぬであろう店の外観がぼくの記憶に働き掛けたのではなさそうです。こうした店にはもう相当にお邪魔しています。ボロより余程ピカピカなお店に入るときが緊張するものです。店内に足を踏み入れると、なるほど、かなり眼光鋭いオヤジもいるけれど、それより老人たちが目に付きます。彼らはぼくなんかのことなど、虫ケラ程度にすら関心を向けることもないのであります。ぼくなんぞは彼らとは別の世界の住人であるかのような扱いであります。さすがに店の奥さんはぼくの姿を認めたらしくお好きな席をどうぞと促すのですが、その割に円卓に腰を下ろすとそこは予約があるとの事です。結局その席には常連が孫子を連れ立って訪れたのですが、高校生位の娘とその弟は明らかに怯んでいました。時々ジイジ、バアバと不気味な呼ばれ方をする人たちが孫子を伴ってこうした店に連れてくるのを目にするけれど、なかなかに思い切ったことをするものと感心することがあります。今時の子供たちはファミレスや回転ずしでも満足しないと耳にしたりもしますけど、育て方次第でこうした大人ですら怯むようなお店にも即座に馴染んでしまえるものなのですね。こういうジイジ、バアバが増えれば、古いタイプの飲食店も活路を見いだせそうな気がします。ぼくは餃子とピータンで一杯。お値段がお安いので一品だと申し訳なく思いつい二品も頼んでしまいましたが、味もいいものだから酒量がついつい増えてしまうのが嬉しい誤算です。店のご夫婦もまだまだやれそうなので、ぜひ続けていっていただけるとぼくも嬉しいし、地元のジイジたちもお財布に優しくて喜ばしいことと思うのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018/09/19 08:30:13 AM
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