ぼくは、寿司屋にはとんと縁の薄い人間です。回転寿司にすら年に1度行けばいい方で、高級寿司店は当然ですが、町場の個人店舗となるとさらに稀なことなのだ(と書いたけれど、よくよく考えると知人に誘われたり、職場の呑み会だったりで実はたまには行ってる気がしてきたなあ)。違う、違うのだ、ぼくのイメージする寿司屋ってのは銀座の店のような気取ったのではないけれど、商店街の片隅にひっそりあったりするようなカウンターだけの普通の町の寿司屋のことなのです。と書くといかにも寿司屋で呑んだって話に流れ込みそうでありますが、そんなことにはならないのでした。寿司屋に滅多に行かないって話はどうも有耶無耶になってしまいましたが、たまには持ち帰り寿司を買って帰ったりはしています。そんな際に巻き物が入っていると、先に食べてしまう(ぼくは好きなものは後までとっておくタイプです、無論、大人数向けの寿司桶なんかから食べる場合は好きなものから攻めることになります)、つまり、余り好ましいネタではなかったのです。ここで過去形を用いたのは他でもない、とあるテレビ番組で江戸っ子は干瓢巻で〆るということを聞いたからなのです。いやいや、今更江戸っ子なんて見栄を張ろうなどという下心はないのですが、握り寿司の本場の人がそうするには然るべき理由があるのだろと試みにやってみたらこれがなかなか良かったわけです。甘いというのも理由ではあるのでしょうが、同じ甘いといっても玉子じゃないんですよね。とにかく〆の干瓢巻は「あり」であるということに目覚めたのです。
ということで、先般西日暮里の「刺身屋 新太郎 本店」で呑みの〆に巻物を食べたから前段のような話をしたわけですが、今こうして書いている時点で幾種類か頼んだ巻物に干瓢巻が含まれていたかどうかはしっかり失念しているのです。だらだら書いた事が反故になってしまいますが、酒の〆には握りよりも巻物がいいと言い切ってしまいます。のりで手が汚れないし(ごはんのぺとぺとが服に着いちゃうとなかなか落ちない)、サイズもコンパクトで口元のだらしなくなった酔っ払いでも品よく食べられ、食べ過ぎにならずに済むからです。にしてもここは実に客の入りが良いですねエ。4名でお邪魔したのでぼくには珍しく予約して伺ったのですが、それでもどういう訳か入口付近で待たされてしまいました。4人卓の客が席を移動させられていたので、時間ギリギリまで空席を設けないということなのでしょう。それって結構な手間だし、オペレートも大変と思いますが、その点実によく頑張っていると思います。とある酒場で聞いた話ではこちらにはなかなかユニークな従業員の方がおられるとのことで、その方の接客が抜群との評判でした。でも2軒目だったということもあり、そんな話はすっかり失念してしまっており、確認はできなかったのです。酔っ払って余り記憶にない居酒屋のことを語ろうなんてのがまあ実に乱暴な話なのです。しかもこちらは刺身全般がお勧めのようですが、特に売りにしているのが鮪料理でありますが、なぜか誰一人として頼もうとしなかったのです。いや、もしかすると巻物に鉄火巻が入っていたかもしれないけれど、やはり確たる記憶もないのです。さらには〆にいいはずの巻物、頼んでいるのは覚えているけれど食べたって記憶は皆無なのでした。ここは魚介系の質が良くって量が多い事で知られているらしいのにほぼ覚えていないのはなんともお恥ずかしいことです。次回は1軒目に来ることにしよう。(今、写真を見たら干瓢巻はなしですが、鉄火巻は映ってますね)。