参宮橋の小さな商店街で呑む
代々木公園の裏手にあって,小田急小田原線の跨線橋である参宮橋のそばにあるのが参宮橋駅。初詣の際の明治神宮の臨時改札がありますが,余程のことがなければ下車することもない駅です。先日幡ヶ谷から初台を通って代々木に向かった際にちらりと通ったばかりですが,数軒古い居酒屋を見掛けただけであまり面白味のないところだと感じました。それなのにわざわざ訪れたのはS氏と代々木で待合せて,ぶらぶら彷徨っているうちに辿り着いてしまったのでした。 町の様子はおおよそ記憶しており,古びた居酒屋がぽつぽつある線路沿いは後のお楽しみに取っておくことにして参宮橋駅を越えて商店街を歩きます。といっても飲食店のある通りなど限られており,駅からすぐの別れ道の左に進んではお楽しみの店が待つばかりなので,右手に進みます。これといって気になる酒場もなかったので,「大阪串かつ たんと」というお店に入ってみることにしました。間口は狭いものの店内は奥に深く,10席以上ありそうなカウンターを越えるとテーブル席がけっこうな数置かれていますが,先客は男性2名だけ。リフォームを終えたばかりのようなコンクリートの打ちっぱなしのきれいな明るい店内とあってちょっとばかり寂しすぎる気がします。従業員は店長らしきちょい悪系のオヤジとやたらときれいな顔立ちをした女のコです。早速注文,枝豆や串カツで味試しです。まあ悪くないんですけどねえ,串カツ屋はやかましいくらいに賑わってるのがちょうどいいですね。 さて,さきほどの別れ道に引き返し,もう一方の道を進んですぐに「居酒屋 さつき」があります。まあ都心部から外れた町にならどこにでもありそうなちょっと古びて渋いといった店ですが,参宮橋界隈にあってはとりわけ貴重な存在に思えます。昭和55年に開店したということで,歴史がそのまま店の構えに見て取れるというのがうれしいですね。この程度の年季だと店のオヤジやおふくろさんも開店当時そのままなのでしょう。店の奥はテーブル席,座敷もありますが,そこに辿り着くにはカウンターに並ぶ客たちの背後を縫うようにようやく入り込めるようになっています。寒風吹き込む入口そばだけがなんとか空いています。カウンターのお隣にはひとり鍋をつつく女性がいて,女性だけで気兼ねなく呑めるいいお店であるとそれだけで好意的になります。値段もほどほどで(ただしサワー・酎ハイ関係がやたらと高いのはどうして?),味も家庭的でほんわかとなります。便所の壁にはお店のカレンダープレゼントと貼り紙してありますが,一見のわれわれがもらったのでは恐れ多いので遠慮しました。品書:ビール中/ウーロンハイ:550,酒2合:550,玉子唐揚/サツマ揚/ポテトフライ:350,どじょうの唐揚:550,肉じゃが煮/とり竜田揚:450