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カテゴリ:ニュージーランド映画
2002年 ニュージーランド ほとんど内容は知らなかったが、主演の少女がアカデミー賞にノミネートされたので興味は持っていた。 ニュージーランドの、ほとんどがマオリ族が住民の村。一千年も前から、新天地を求めて海に出たパイケアがクジラに乗ってニュージーランドに辿り着いたという伝説が残っている。パイケアを祖先に持ち、代々男を族長としてきたマオリ族の長コロは、孫に男の子を望んでいた。しかしコロの長男に双子が生まれるが、男の子と母親は死に、女の子が残された。その子にパイケアと名付けたコロの長男は、いたたまれずに村を出て行く。 孫娘の存在を最初受け入れられないでいたコロも、彼女の成長と共彼女を愛し、優しく育んでいく。 だが、後継者は男子とかたく信じているコロは、部族の伝統を男子だけに教えようとする場所へパイケアが訪れる事を拒絶し、彼女を遠ざける。 ニュージーランドの豊な自然の中で伸び伸びと成長するパイケア。しかし、女に生まれたが故に大好きな祖父との確執をうむことになる。 迫害されてきた少数民族は、自分達の伝統文化を風化させないために次世代の子供たちに教えなければいけないと、コロは焦っている。自分の息子でさえもマオリの村から出ていったのだ。長は男子でなければならない。長男が優先。日本の地方にだってまだ見え隠れするような問題。世界中のいろんな場所に共通の悩みはあるものだ。女性が長では、何故いけないの? とにかくコロが頑固。昔の日本の映画やドラマにもよく出てきた頑固オヤジ、あれと同じだ。あまりの頑固さに途中嫌気がさしたが、コロの中にも葛藤があったに違いない。孫娘を愛しているが、それでもどうしようもないのだ。 祖父から疎ましがられるパイを優しく支える祖母。そして、叔父やその恋人。パイとこの人達との関係もものすごく濃密な感じには描かれていないが、強い愛情を感じさせてくれる。 頑固な祖父に厳しく扱われながらも、祖父を愛し尊敬してやまない健気なパイ役のケイシャ・キャッスル=ヒューズが良かった。学芸会でのスピーチのシーンにはもらい泣き。喜びと悲しみを上手く表現した神秘的な彼女の瞳には、無限の可能性が感じられる。初めての作品だそうだが、彼女には注目。『スター・ウォーズ・エピソード3』にも出るんだって?期待大だが、ケイシャにはハリウッドに染まることなく、このまま素直に成長していって欲しい。(無理な話だろうか) 原題は『Whale Rider』。パイケアはトリトンのごとく、クジラの背中に乗って大海原へと旅立つ…のか? ニュージーランドの美しい風景と共にゆったりと流れる時間。この映画は、伝統、文化、家族の絆、そして新しい伝説を生み過去へと繋がる大きな人間愛のファンタジー。 観て良かった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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