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テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:ヨーロッパ映画
≪北欧の冬の寒さは厳しいけれど、2人の寂しい男性の交流は温かい≫
私は滅多に観る事のなかったノルウェー、スウェーデンの映画です。 1950年初頭。スウェーデンの家庭研究所では新製品開発の為に、ノルウェーの独身男性の台所での動線の調査をすることになった。調査員フォルケはノルウェーの片田舎に住む独身男性イザックの家へ。調査員は調査対象とは口をきいてはならないし、交流してもいけないという規則があった。はじめはお互いに気まずそうな2人だったが、やがて話すようになり交流が深まっていく… まず、この映画の設定が面白いと思いました。キッチンでの行動を調べるのに調査員は高い椅子に座って、一日中調査対象者を観察し続けるのです。カメラかなんか置いておけばいいじゃない、と思ってもみたのですが、いかんせんこれは1950年代の話でした。よくこんな事思いつきましたね。もしかして当時本当にこんな風にして調査したのかもしれません。でも話もせず、ジーっと様子を見られるなんて我慢なりませんが。 やっぱりそういう変な状態は長くは続かないもので、2人の間にも交流が出来、友情らしきものが芽生えてくるのです。一人暮らしの老人にとって、家の中に話し相手がいるというのは嬉しいに違いありません。 最初の2人の気まずい雰囲気の漂うキッチンでの様子がなんとも言えずおかしいです。でも、ゆっくりと交流を深め、誕生祝をし、ラストに行くにつれ調査が終わる日が近づいて来る寂しさが2人を包みます。 お互いの生活や、寂しさ、孤独についてあまり深く追求しないところが返っていいのかもしれません。 ちょっと切なさがありますが、ラストのシーンで又ほっとするのです。 当時のインテリアや北欧の冬の色が落ち着いていて心地よいです。 大きなドラマがあるというわけではなく、日常の中の調査されているという非日常的なキッチンという狭い空間での物語が淡々と、ほのぼのと、のんびりと描かれている佳作でした。 SALMER FRA KJOKKENET 2003年 ノルウェー/スウェーデン 監督/脚本:ベント・ハーメル 出演:トーマス・ノールストローム、ヨアキム・カルメイヤー お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.08.22 17:32:36
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