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カテゴリ:イギリス映画
≪どんな事をしても他人になる為のパスポートが欲しい…海外でのパスポート盗難はこういうふうに使われるのかも≫
ロンドンにはヨーロッパやアフリカからの不法滞在者が多くいて、さまざまな底辺の仕事に就いていると言われています。 母親のような生き方をしたくないとトルコ系移民のシェナイ。夢はいとこのいるニューヨークに行く事だ。ホテルのメイドとして働いている彼女には、同じホテルで夜勤のフロント係として働くアフリカ出身の不法滞在者オクウェという同居人がいた。 ある日オクウェはホテルでショッキングな取引が行われている事を知り支配人に相談するが、支配人はその事を承知のようだ。そして、シェナイもパスポートを得る為に支配人のもとへ向かうが、パスポートと引き換えに彼女にある条件が出される… 不法滞在者のラブストーリーと思って観ていたら、かなりショッキングな内容でした。 さまざまな理由で国を出て、大都会の片隅で毎日怯え、ある時は逃げ回らなければならない貧窮した暮らし。それでも祖国には帰れない、帰りたくない理由がある彼らは生きる為にお互い助け合い、ある時は利用もし合いながら生きていかなければならない。 そこにつけ入って彼らに犯罪をさせる悪人がいる。 恐ろしい構図です。 取引の内容はここでは書きませんが、こういう話は聞いたことがあるのでまんざら映画の中だけの話ではなさそうです。 そこまでしても別人にならなければならないほど帰れない、帰りたくない祖国って…。 愛情の入り込む余地もない程切羽詰った状態の、厳しく残酷な現実を目の前にしてシェナイとオクウェの取った行動を何と言えば良いのでしょうか。 決して正当化はできないけど、目をつぶっていてやりたい気持ちにもなります。ただ、彼らのつかの間の幸せに見えるラストも、きっと永久の、真の幸せにはならないのだろうという事は予測できます。 夜いかがわしい事が行われたホテルの一室も、朝きれいに掃除されて何事もなかったかのようになる。 オクウェが一時期寝泊りしていた遺体安置所。そこは生と死の舞台の病院。 そういった場所を舞台にサスペンスタッチで作られた秀作だと思います。 オクウェ役のキウェテル・イジョフォーの熱く、秘めた演技が素晴らしい。 彼は『ラブ・アクチュアリー』にも出ていましたね。 脇も個性的な俳優で固めていました。 DIRTY PRETTY THINGS 2002年 イギリス 監督:スティーヴン・フリアーズ 脚本:スティーヴン・ナイト 出演:キウェテル・イジョフォー、オドレイ・トトゥ、セルジ・ロペス、ソフィー・オコネドー、ベネディクト・ウォン、ズラッコ・ブリッチ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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