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カテゴリ:イタリア映画
≪庶民の貧しさの中の豊かさが描かれた名作≫
トリノオリンピックが始まりましたね。日本選手の活躍に大いに期待したいところですが、まあその話題は今後の日記で書くことにして、今日はそのイタリア映画の代表格で。 と言っても、代表格と言えるような作品は数多くあるのでこれも、これもと並べたいのですが、今回は『鉄道員』です。 酒が大好きで頑固一徹の父親は鉄道機関士。長女や長男は父親と始終衝突しているが、末っ子のサンドロにとって父親は英雄。母親はいつも優しく夫と子供たちの仲を取り持っていた。ある日長女が流産し、その事で心を痛めていた父親の運転する列車の前に一人の若者が飛び込み自殺する。ショックを受けたその後信号無視で危うく大惨事に。それから父親は降格し、組合も彼の言い分を聞いてはくれず、酒びたりになり仕事にも行かず、家にも帰ってこない日々が続き… ピエトロ・ジェルミが監督・主演で父親の鉄道員を演じています。イタリア映画、特に昔の作品はデ・シーカやジェルミのように貧しいながらも逞しく生きていく市民の哀愁漂う生活の様子が描かれたホームドラマが多く、それが又素晴らしいです。 陽気なイタリア人というイメージとは程遠い切なく、哀愁に満ちた人物、生活。この映画でもいろんな葛藤と向かい合い、苦しむ家族一人一人の人物像がしっかりと描かれ、胸が苦しくなるほどそれぞれの人物に感情移入してしまいます。子供の頃観たときは、父親の酒びたりで、頑固さ、自分のせいで家族が大変な目に合っていると言うのになんて父親なんだろう、とものすごく印象が悪かったのですが、今考えてみると少しわがままなかわいい子供みたいな親父かな、と許せる気持ちになります。そんな父親の理解者である母親が、慈悲深く温かで、この母があってこその父だと思わずにはいられません。ラストの階段の手すりで佇む母親の姿が悲しくてなりません。 そしてこの映画の決め手は何と言っても末っ子のサンドロです。無垢なあの笑顔で「パパ帰ろう」と言われたら思わず抱きしめたくなるのです。長女がサンドロを見ると、いつも駆け寄って抱きしめていた気持ちがわかります。彼は喧嘩が多く、そして寂しくなったマルコッチ一家の太陽のような存在でした。 ここで長女役を演じていたコシナの品のある顔が好きです。 私は観る度に、父親とサンドロが馴染みの店を久しぶりに訪れ、仲間達が何もなかったように迎えてくれるシーンで涙がドバーッと出るのです。 音楽が又いいです。聴いているだけで切なくて涙が出てきそうです。 エンリコ・モリコーネやニーノ・ロータ、そしてこのルスティケリにしろなんでこんなにイタリア人作曲家の曲は琴線にふれるようなものばかりなのだろうかといつも思うのです。 モノクロの古い映画ですがおすすめ。 IL FERROVIERE 1956年 イタリア 監督:ピエトロ・ジェルミ 脚本:アルフレード・ジャンネッティ、ピエトロ・ジェルミ、ルチアーノ・ヴィンセンツォーニ、エンリオ・デ・コンチーニ 出演:ピエトロ・ジェルミ、ルイザ・デラ・ノーチェ、エドアルド・ネヴォラ、シルヴァ・コシナ、カルロ・ミュッツ DVD CD お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.02.12 16:34:41
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