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テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:日本映画
かなり前にDVDで観たのですが沢尻エリカの事が話題になっているので、今日はこの作品で行きます。 原作者の東野圭吾が、これは映像には出来ないだろう、と言っていたのだとか。原作は読んでいませんが、とても難しく重いテーマだと思いました。確かに、好演をしないと何もかもがダメになってしまうような。 工場で働く直貴は誰とも打ち解けず、人目を避けて生きていた。彼の兄の剛志は、弟を大学に行かせる為に一生懸命働いていたが、持病の腰痛があり思うように仕事が出来なかった。ある日、直貴の学費欲しさに盗みに入り、そこを見られてしまった事から動揺し、誤って家人を殺してしまう。無期懲役で服役中の兄から毎月手紙が届いていたが、工場の寮で兄のことがわかってしまい、直貴は工場を去る。以前から夢見ていたお笑い芸人になる為にコンビを組み、やがて人気が出てきたが… 加害者の家族は世間から冷たい目で見られ、狭い日本では静かに生活を送ることもままならないのです。 被害者、その家族はどうやったって加害者の事が憎くてたまらないのは当たり前です。自分の家族を殺した相手を許す事は難しいし、会いたくもないのが普通でしょう。そして、加害者の家族は、身内と言えども罪を犯したものを憎むでしょう。でも一方で、そこは血を分けたもの同士、世界中から嫌われても、自分だけは最期まで見守りたい存在ではないかとも想像できます。しかし、直貴は自分自身に家族が出来た時、その家族が兄のことで差別された時、兄を捨てる決意をします。その決意のシーン、そしてその手紙を読む剛志のシーンが印象的でした。 加害者家族が世間から浴びせられる目は「差別」かもしれませんが、加害者の家族も又被害者なのだと言うことだと思います。 剛志が遺族へ書き続けた詫び状。どんなに詫びたって死んだものは生き返らない。でも、手紙を書き続ける事で、罪と向かい合う犯罪者の気持ちが段々わかってきたのか、被害者の息子はその手紙を般若心経だと気付いた、と言います。 手紙を通して、塀の中と外の交流し続ける兄弟。どんなに憎んでも、絶縁しようと思っても、なかなか出来ることではない。血のつながりというものの不思議さと、因縁とを思い知らされた作品でした。 山田孝之のお笑いのシーンはあまり面白くなくて笑えませんでした。相方の子の雰囲気が良かったので持ちこたえているような。 でも、被害者の息子と会い話すシーンと、ラスト直貴が刑務所慰問を終え妻子の元へ歩いていく後姿に安堵感のようなものが湧いてきて、ほっと胸をなでおろすようでした。 そして、剛志が直貴のステージでの言葉を聞き、合掌して目を閉じ涙を流す姿が一番の見所だったように思います。剛志のあのシーンを観たら、漫才シーンが笑えなくてもプラマイゼロかもしれません。あの剛志の姿の為に、この映画のそれまでのストーリーがあったのかも。 ところで沢口エリカ。この作品では、直貴を支える健気な女性を演じていました。(関西弁は何か変だったけど)。これまでの彼女の出演した映画やテレビドラマを観て、将来性のある女優さんだと思っていました。しかし、いろんな所で物議を醸したここ数日。以前からテレビでインタビューを受けたりしているのを見る限り、生意気というよりも随分気取ってるな、と思っていたのですが、やっぱり今回のあの態度は激しくいけませんでしたね。司会者を睨んだあの目、あの場の雰囲気…あれはダメだわ。21歳の大人とは言っても、あの態度はどう見たって、気に入らないとふてくされてしまうようなお子チャマにしか見えませんでしたから。自分ひとりのことならまだしも、多くの人の思いの込められた一つの作品を、彼女の悪態でどれだけマイナスなものにされてしまったかを考えたら、責任は大きいでしょう。封切り初日にあれでは、せっかく良い作品でも、その映画の事を思い出すと彼女のあの態度がまず思い出されるのでないかと思います。今まであまりに周りが彼女を持ち上げすぎて、本来注意すべき事もしてこなかったのかもしれませんね。本人は反省しているみたいですが、失くしたものは大きいでしょう。しかし、これまでせっかくいい作品に出続けて、かわいいしまだ若い。良いものを持っているのでしょうから、あんな事で将来を台無しにして欲しくないです。 これからどういう風になっていくか…とにかく、真摯に仕事をしていくしかないでしょう。 2006年 監督:生野慈朗 脚色:安倍照雄、清水友佳子 原作:東野圭吾 「手紙」 出演:山田孝之、玉山鉄二、沢口エリカ、吹石一恵、尾上寛之、杉浦直樹、風間杜夫、吹越 満、田中要次 他 DVD お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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