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カテゴリ:仕事
コンティさん一家はナポリからやって来た。
両親と、子供2人の4人家族。 ナポリ人らしく、とっても陽気でチェックインの際は 冗談をたくさん飛ばしていた。 滞在は2週間、たくさん働いてためたお金でやってきたと 冗談っぽく言っていた。 ポーターが部屋へ案内した後、コンティさんはすぐにレセプションへと戻ってきた。 陽気な笑顔はなく、だいぶ怒っているようだ。 「この部屋はシービューなんかじゃないぞ」 「せっかくサルデーニャに来たのに木ばっかり見えて、冗談じゃない」 と怒っている。 コンティさんは追加料金を払ってシービューの部屋を予約した。 シービューとは、“海の見える部屋” である。 しかし、困ったことに “海の見える” の基準が、人によって違うため、 こんなことが起こってしまうのである。 ホテルは孤立したアパートメント式のため、たとえば高い位置にある部屋は 前にある部屋越しに海を見ることになる。 海はちゃーんと見えるので “シービュー” として売っても、 “前の部屋の屋根が見えるからシービューではない” という人がいる。 コンティさんの部屋も、海は見えるけど前に木が何本か生えているので シービューではないという。 困ったものだ。 ゲストが怒っているときは、とにかく落ち着かせることが大切である。 それは、ただ “謝る” ということではない。 怒っているゲストというのは、 “あなたの話をちゃんと聞いていますよ” “状況を改善できるよう誠意を尽くしますよ” と、私たちが “ゲストの立場になって考えている”ということを感じると、 自然と落ち着いてくるのである。 そうなると、万が一ホテルが満室でほかの部屋に移ってもらうことができないとしても、 ほかの物を進めることで事が解決してしまうことだってある。 たとえば、スパにマッサージつきでご招待するとか、ヨットでの一日クルーズにご招待するとか。 わがホテルはこういったサービスを備えているので、 ホテル側にかかるコストは少ない。 これでゲストがハッピーに休暇をすごしてくれるのだったら、 2回だって3回だってお勧めする。 コンティさんの場合は、ほかの部屋が運良く空いていたので お勧めすると、大喜びでお引越しをした。 ゲストが喜んでくれると、私はいつも “この仕事は快感だわ~” と思うのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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