19日は、朝10時にホテルを出て、東武東上線沿いにある駅で、I氏と待ち合わせる約束をしていた。この私鉄は、私が学生の頃、通学に利用していた懐かしい路線である。しかし当時と比べ、停車する駅の数も増え、準急電車に乗ったにもかかわらず、1時間以上を費やしてしまった。I氏からは、軽いドライブでもと聞いていたので、埼玉県の名所観光でも案内してくれるのだと気軽に考えていた。
ところがI氏の愛車に便乗し、向かった先は、群馬県との境に位置する秩父の山奥であった。しかしその日は、相変わらず強風が吹き荒れていたものの、透き通るような晴天で、絶好のドライブ日和だった。都心から少し離れただけで、北海道と変わらない自然に触れることができた。途中、ガストというファミレスで昼食を摂り、二瀬ダムや秩父湖を見下ろしながら、3時間近くかけて目的地ある三峰神社に到着した。
山頂では、小雪が舞っていた。三峰神の湯という日帰りの温泉の施設もあったが、薄着で来たため見送ることにした。神社の境内を散策し、遥拝殿と本殿を礼拝した後、興雲閣の売店で土産を買った。帰りの車中で、I氏はなぜ私をこの神社に案内したのかを説明してくれた。実はI氏も私と同様、宜保さんに個人霊視を受けた一人である。
彼の話では、10年ほど前のある日、多くの神社が周囲にあるにも関わらず、急にこの神社に足が向いて、車を走らせていたのだという。気が付くと日没になっていて、怖い思いをしながら岐路に着いたそうである。その体験の後、様々な夢を見るようになり、夢のほうが現実よりもリアルに感じるようになったという。そして、宜保さんに霊視を受ける機会があったとき、不思議にも宜保さんの口から「三峰神社」という言葉が出てきて、彼の先祖にあたる人物が、この神社に奉公していたと告げられたのだという。それ以来、年に数回はこの神社に訪れ、礼拝しているそうである。そうすると体調が良くなり、頭の閃きが冴えるのだと語ってくれた。