きょうは午前中の仕事を終え、そのまま層雲峡へ向かった。日中はかなり気温が上がり、標高の高い上川町の桜は満開を迎えていた。露天風呂にある桜の木も開花していた。いつもと同じく、湯量は豊富なのだけれど、剥き出しの蛇口から流れ出る湯熱は、触れるくらいの熱さで温めだった。源泉の温度は日によって、低い時もあるのだと思った。
今日の芝居の演目は、「三浦屋孫次郎」という時代人情物だった。恩義のあるやくざの親分を、義理という立場から殺める羽目となった孫次郎は、薬物のため知恵遅れとなった妹の将来を案じるあまり、手にかけて首を絞め、己自らも敢えて仇として命を委ねるという悲劇的な結末であった。斬られ役として登場した孫次郎は、南無妙法蓮華経の衣を纏い、清滝の女将の手にも、日蓮宗の数珠が握られていたのには、小道具一つにしても手が込んでいると感じた。
妹役として演じた、子役の大和かなめの演技も涙を誘われた。舞踊ショーでは、城愛華と大和かなめの相舞踊が披露され、一番手前に席を占めていると、二人の演技を同時に鑑賞することができずに苦労した。「恋のハレルヤ」で、和服姿で舞台に立った城愛華の洋風の舞踊にも目が離せなかった。彼女のオリジナル性には、いつも驚嘆させられる。