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ヒロガルセカイ。

ヒロガルセカイ。

5.

  5。

彼の真意がわからない。
なにがアグレッシブだよ、なんだよその可愛い顔は・・。
「ん~~?なんやあ?男・初めてかいな。
結構ぎりぎりなことしてるんやけどな。待ったなしやで。ありえへんな。」
彼は少し機嫌を損ねたよう。
「ええやん。」
「・・なにがだよ。よくないよ。」
「おかしいで?」
「おかしくないよ。」
ますます機嫌が悪くなったみたい。でもでも、ここは研究室。いつ教授が入ってくるかもわかんない。

大体・・・ああああ!!ドア・・ドアが開きっぱなしだ!!!

これでは何もかもが、駄々漏れだ!!

まるで昨日の夜の 彼 状態だ。

慌てふためく俺を捕まえて。いきなり彼に股間を触られた・・!
「ここ。かっちかちやんか!頭ん中でぱっこんぱっこんしてるんちゃうん?
顔にもかいてあるで。わろうてまうな。
ミカちゃん・かきたい言うてなあ。」
「ぎゃあ。触るなよ!何してんだよ。あのさ、ドア!ドアが開いてるんだよ!!」
「聞かれたらまずいことしたいんかい?」
「きみがさっきから・・!!」
「きみちゃう。ミカや。言うて言うて。ミ・カ・や。ほれ。」

またそのあひる口・・!目の前でそんなことしても・・・・・・。
ぐ。
柔らかい唇が俺の唇に食らいついてきた・・。
唾液と共に入り込む舌・・その舌が俺の口の中を舐めている。
「ん。」
甘い吐息が漏れてる。
彼の左手が、俺の胸の辺りをゆっくり円を描くようにまさぐる。
やめてやめて・・どきどきしているのがわかってしまう。
顔が熱い。
なんなのこのキス。

すごく上手い・。
感じてしまう。

目を閉じないままキスを受け止めていた。
彼の長い睫がよく見えた。
こうして見ていると女の子にしか見えないのに。

正直。俺の腿の辺りに当たっている感触が・・硬い。
彼も感じているのか伝わって、余計に興奮してしまう。

すごく感じているのに、どうして男なんだろう。

この唇から漏れる声が・・思い出してしまう、どんどん記憶が蘇る。
漏れ聞こえたあの声。軋むあの音。
「ん・・。」
危ない、股間がもう・・限界。
勢いよく彼を突き飛ばした。

「・・!」
彼は、ととっと足をふらつかせながら姿勢を整えた。
「言わなあかんよ。」

「・・・なにが?」
心臓の鼓動が激しい。
ばくばくと叩き続けている。
「やりたい、言わな。もうあかんやろ。言うてみ。な~んとでもなるで。」
前髪をかきあげて、にかっと笑う。

「黙っとったら怒られるで?」
「誰にだよ。」
「<もったいないおばけ>を知らんのかいな。めっちゃかきたいんやろ。
やれへんのは絶対、罰当たるで。」
「意味がわからない。」
「おもろいなあ。なにいな、ややこしい子やな。全然わからへん。
な~んも持ち帰らんと。今夜も寝られへんよ。」
今夜も寝れない?
この悶々とした感情のままでは寝れないのは確か。


「あかんねんな。言えん子やな。ほしたら。」

え。
彼の手が、また俺の股間を触る。
そこは・・。
「かっちかちやん自分。どないやねんな。かきたいんやんか。びっくりや。」
ジッパーをささっとおろして指を伸ばしてきた。
「・・だから!ドアが開いてる・・。」
離そうと彼の手に触れた。
冷たい手。
細い指。

「絶妙のタイミングやな。」
彼が顔を上げていた。靴の音が聞こえていた。

「何をしているんだい。ここは私の研究室だよ・・春日くん。」
眼鏡をかけた神経質そうな教授が俺の後ろに立っていた。
「まいど。研究室やったんかい。ここはスナックかと思いましたわ。」
「どうしてだい。」
「お酒隠してはる。ちびちび飲んでんやろ。ときどきぷわ~んて酒臭いやん。加齢臭隠しかいな。」
「・・臭いかね私は。」
「40やろ。そろそろあかんで?」
「・・気をつけよう。・・きみは?何か用かね。」
「あ。・・あの。レポートを提出に。」
「そんなとこより。ジッパーを上げたまえ。」
うわ。
さっき彼が下げたんだ・・。
「あかん子やなあ。」
俺の前に膝まづいてさっと彼が上げてくれた。
その仕草が・・なんだかエロい。
「春日くん?」
「おもろい子でしょう?俺のお隣さんやねん。」
にこにこと、またあひる口。
お隣さん。その響きに優越感を感じそうになった。
さっきのキスで、何かがとろけてる。
「お隣・・?」
教授が不審な目つきで俺を見た。
ん?
何だろう、嫌な予感。
「へ・や!昨日のセックス、聞かれててん、建ちゃんに。」

「はああああ??」

「網戸開いててんよ。気いつけへんかってん。駄々漏れや。」


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画像提供/optimisuto様


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