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ヒロガルセカイ。

ヒロガルセカイ。

唇が逃がさない

「志信さん、少し痩せました?」
東京から帰宅した志信さんに抱きつきながらアヤが問いかけます。
「向こうでは食事も取れなかったんですか」
兄弟盃を交わした組に顔を出していた志信さんは、疲労を隠せない様子でいたのです。
「まあ、あちこち顔を出したからな」
「そうですか」
アヤは志信さんの胸元に顔を埋めて動きません。
「アヤ、着替えるからどけ」
「俺が着替えさせます」
「ふうん?」
志信さんが興味津々にアヤを眺めます。
細い指がジャケットのボタンを外し、両手で脱がせます。
そしてネクタイを緩め、シャツのボタンにかかったとき、志信さんがアヤを抱き締めました。

「わ」
「アヤ、抱きたい」
「…俺もそのつもりでした」

志信さんはアヤをベッドにぽんと投げ出します。
「乱暴ですね!」
むかっときたアヤは上半身を起こして髪の乱れを直しながら志信さんを睨みます。
しかし、ベッドの上を歩いてくる志信さんを見上げて口が半開きです。
「私以外のものの前で、そんな表情をするなよ?」
「当たり前です。するもんか」
アヤは口を尖らせながら自分でスーツを脱ぎました。
ベッドからひょいひょいと脱いだ服を床に落とし、膝を立てると靴下を脱ぎにかかります。
「その様もなかなか」
志信さんは悦に入ったようです。
いつもなら自分が脱がせてしまうのですが、潔く脱ぐアヤに目が釘付けです。
最後に下着を脱ぐとき、アヤは恥じらいがあるのか股間を片手で隠しながら下着を下ろし、素早く下着を脱ぎました。
「手馴れてきたな」
志信さんは満更でもありません。

「アヤ」
志信さんはアヤの体をひきよせると唇を重ねました。
互いが唾液を欲して、アヤが苦しくなるほど長いキスをしました。
「あ、もう」
アヤの唇から唾液が零れます。
熱い息を吐きながら、アヤはそれを拭いました。
「アヤ、股間から手を離せ」
「やだ。もっと熱くなりたい」
「我侭が増長したか」
志信さんが荒々しくアヤの手をどけると、そのままアヤの茎を掴み、口に含みました。
「あ!そんなことしないでください!」
アヤの叫びは志信さんには通じません。
「ずっと抱きたかった。三日もこの体を抱いていないんだ」
志信さんは丁寧にフェラをして、アヤの茎を屹立させると今度は手で扱き始めます。
「アッ・アッ・ああ!やだ、ああん」
「その声が聞きたかった」
「やだっ、出ちゃう!」
のけぞるのと同時に、アヤは爆ぜました。

「いい子だ」
志信さんは白く濡れた指先をアヤの秘部に差し入れます。
「ん!」
アヤは枕を抱えて痛みに耐えようとします。
「きついな。締め付けるな、アヤ」
「やだ、久々だから…」
アヤは息を吐きながら弱弱しい声を上げます。
「指、冷たすぎますっ」
「そうか、じゃあこっちがいいか」
志信さんはファスナーを下ろして怒張した茎をさらけ出しました。
「あ、もう…」
アヤはそれを見ただけで頬が熱くなります。
「志信さんっ」
枕を放り投げて志信さんに両手を伸ばしました。
「わかっている、アヤ」
志信さんはアヤの秘部に自分の茎を挿入しました。
アヤがきつくしているし、濡れていないのでなかなか進めません。
「アヤ、力を抜け」
「やだやだ!早く来てください」
興奮しきったアヤには志信さんの声が届きません。
「欲しがられると燃える」
志信さんはなかば強引にアヤの中に進みます。
すると「もっと奥です、奥まで来て」とアヤが腰を揺らし始めました。

「そんなところじゃない、もっと奥!」

興奮したままのアヤに言われるままに志信さんは茎をつきたてます。
「あああん!」
アヤが再びのけぞりました。
「く…うん。そこ。そこが、いい」
「よし、動くぞ」
志信さんはアヤの体にぴたりと合わせ、ヘアーが触れ合うほど力強く突き上げます。
「あ、あ、あ、あ。ううん、志信さんっ!」
「アヤ、もっといかせてくれ」
「志信さん、あ、ああん!あ、もう…もう。くうっ」
乱れるアヤの姿に、志信さんも興奮を抑えられません。
休みなく突き上げ、アヤが再び爆ぜてしまいました。
「や、ん。志信さん…」
肩で大きく呼吸をするアヤを見て、志信さんはその頬を撫でます。
するとアヤがその手に重ねてきました。
「もっとして。もっとしてください」
「よし」
志信さんは更に突き上げて、ぐいぐいとアヤを追い詰めます。
「ああん!そ、そこが…あ、たまんない。もっとして!」
アヤの懇願を聞きながら、志信さんはようやく爆ぜました。


「アヤ、寝るか?」
「…こんなことのあとで、すぐに眠れません…シャワーを浴びます」
 アヤはフラフラとした足取りで部屋を出ようとします。
「待て、アヤ!服を着なさい!」
この部屋からバスルームまでは距離があります。
アヤを裸で歩かせては、いい見世物です。
志信さんは仕方なくアヤをタオルで巻いて、抱っこすると歩き始めました。

「ときどき優しいんですよね」
「私の事か」
「冷たかったり、可愛がってくれたり。あなたの行動は読めません」
「アヤが好きだからだよ」
志信さんが笑顔で言うと、アヤは頬を膨らませます。
「愛しているって言えませんか」
「言わせたいのか。たいした子だ」




その頃大叔父は極西の未来を案じていました。
「矢張り、志信に愛人をつけようと思うが」
「それは…」
言葉に詰まるのは紀章です。
「アヤちゃんは可愛いが子供を産めない。だから後継者をよその女にお願いしなければ、な」
「恐れながらオヤジサン。あの二人は誰にも引き離せないと思います」
「…そうだな」
大叔父は帰宅した志信さんが自分への挨拶もそこそこに、急いでアヤのいる部屋に入ったのを見ていました。
「未来はあの二人が作ります。我々も尽力します」
「心強いな」
大叔父は笑顔を浮かべて障子を開けました。
ライトアップした中庭が見事です。
「この先はどうなるのやら」
「毎日が楽しくなると思います。生と死が隣り合わせの日々でも、何故か明るい日差しを感じるのです。アヤさんのおかげで」

「そうだな。しかし極道には向かない子だ」
大叔父はアヤを認めながらも、不安を抱えています。
この極西が代々受け継がれていくことを願うばかりです。


終わり

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