4咲楽は意外そうな顔をしました。その顔が直生には妙に引っかかりました。 朝田が他のホストたちに仕事の指示を出して散らしている間、所在なげに立っている咲楽に直生が話しかけました。 「どうしてびっくりしてたんですか?」 「直生さんが断ると思っていましたから。」 まっすぐに見つめてくる目に、直生はどうとりあっていいのかわからなくなりました。 「咲楽さんが望んだから。断る理由はありません。」 「俺が望んだから管理してくれるんですか。へえ・・。」 「なんですか?」 「ううん。言ってみるもんだな、と思いました。」 丸め込まれているのかな。そう感じながらも、直生は咲楽に興味を持ちました。 「・・じゃあ俺でいいんですか?管理するの。」 「あなたがいい。あなたに管理されたいんです。」 そんな言われ方されたのは初めてでした。 でも動揺を見せずに、咲楽に答えます。 「わかりました。暫らくは行動も共にしてください。」 「あんたたち。こっちにいらっしゃい。お店を開けるんだから。」 朝田が咲楽の手を引張ってキッチンのほうへ向かいます。 「咲楽はお酒はのめるわよね?」 「飲めません。」 「まーーー。困るわよホストなんだから。直生、教えてあげなさいよ、飲み方を。」 「あ。はい・。」 「煙草は教えなくていいわ。点け方は仕込んでね。」 「はい。わかりました。」 いろいろ教えなきゃいけないな。直生は少し負担も感じましたが、お店のオレンジ色のライトに照らされた咲楽の顔に。吸い込まれそうな錯覚を覚えました。 <なんだろう。このひとには不思議な魅力がある。人工のものは皆こうなのかな。> 直生は機械と話したのは初めてです。 <普通の人間みたいだけど。でもなにか違うんだ・・。> 5.へ ジャンル別一覧
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