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仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

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2005.12.11
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カテゴリ:教育
河北新報の本日(11日)の「持論・時論」コーナーには仙台一高同窓会副会長という方の投稿がでている。要旨は、
------------
 (1) 戦後占領政策の中で宮城県が共学に抵抗できたのは、有識者の時流にとらわれぬ公正な教育観と権力に盲従しない勇気によることを想起せよ
 (2) 仙台には個性的な伝統を持つ別学校と新設の共学校がバランス良く併存している。中学生が自分の意思で別学か共学かを選択できる現在の方式を維持すべき。
 (3) 百年の伝統を持ち人材を社会に送ってきた1つの文化を、一方的に歪めるべきでない。
 (4) 共学切替えには多額の投資が必要。県財政の状況下では急ぐ理由がない。
 (5) 11月25日に高校生とが村井知事に存続を陳情したが、現代の風潮に抗して自らの意志を持って学校づくりに参加する高校生の姿も尊重せよ。
------------
というところ。

この方が別学維持の意見を整理しているとすれば、つまるところ別学維持論者は「確立した伝統であり選択肢の多様性からも残しても良いだろう」ということだろう。
なお、(1)は歴史認識が違うが、かりに主体的に抵抗したと評価しても、ではなぜ別学が優れているのか、の議論が必要だ。(5)に至っては、この議論をする場合に取り上げるべきではない。

私は、問題は「残しても良いか」という図式ではなく、宮城の学力水準向上のために「不可欠だ」という立場である。内容は以前に記したが、論理的に再整理すれば次のとおり。
 (1) 宮城県の高校生の学力向上は急務(現役の大学進学率が指標)
 (2) 仙台市内はもちろんだが、石巻、古川、白石など地方都市の中心的高校の進学レベルが低い。東北他県の同等の規模の都市に所在する公立高校と比較すると歴然。
 (3) すなわち、県全体の公立高校の学力レベルが低いのが現状で、重大な問題。
 (4) そして、これを改善するためには、県全体の教育水準を牽引するような模範となるトップ進学校が実績を伸ばすことが必要である。
 (5) 普通に考えれば、それは県都仙台市にある伝統県立校である。
 (6) 教育内容の見直し、学校関係者の理解、教員の人事方策や資質向上などとセットで行わなければならないが、このような「水準牽引校」はいくつも作れない。せいぜい1校、あるいは競わせる意味で2校。
 (7) となれば、男女別というわけにはいかない。当然共学でなければならない。目標・模範・頂点は1つであるべきだ。また、付随的に資源投入(人、カネ、施設)の視点からも。

県教委は、学力向上推進プログラムと高校再編の視点とは、表面上、特にリンケージさせていないと思われるが、現実には学力向上のための男女共学化という戦略的意図を持って考えておられるのではないかと思う。それは当然のことだ。

この問題は深い根がある。一高、二高、一女、二女などは、伝統校の良さは存分に発揮しているとは思うが、進学の面では近年の不本意な傾向が改まる兆しが薄い。
要因として、例えば教員人事が悪いと言われた。旧東北帝大を出て高校教諭になった先生が、理解できない生徒への懇切丁寧な指導や、ましてや生活指導などするはずがない。それよりは、自分の好きな研究や論文作成にいそしむために教諭の道を選んだ、などと言われる。仙台一高などは教科別に職員室が構成されている。学校としての共通目標を校長が言っても聞き入れるはずもない。人事上も仙台の安住を好み、同一学校に10年も20年も居るから、革新の気風が生じない。というわけだ。他県なら引っ越しも当たり前なのに。
これもだいぶ改善されてきているようです。

私は、番号付き高校(横文字を言いたくないのでこう呼んでいます。)にこそ再生・躍進して欲しい。人事や教育財政の問題とも絡むが、共学なんてのは当然のことなのです。さまざまな「よどみ」や「停滞」を誠実に直視し、これを断ち切って、新しいステージに出るべきだ。再生のチャンスでもある。

もし別学を維持するという一点を押し通すと、県教委はどうするのだろうか。泉館山高や、仙台南高に資源を投入して県全体を牽引する代表的進学校にする、とせざるを得ないのかも知れない。普通なら、それこそ「伝統」と関係者の裾野の広い番号つき高校こそ、トップ進学校にする、それが効率的でもあるのだが。
意地の悪い言い方だが、同窓生に代表される別学論者も、それでも別学を通しますか。

私たちは未来を見なければならない。百年の伝統はもちろん尊重されるべきだし、同窓生が母校を思う熱い気持ちはわかる。
しかし、「別学」という一属性にこだわり続けることの弊害に冷静に思いを致して欲しい。他県で言えば、戦後の占領政策によって他律的に、あるいは近時になって自主的に共学化に踏み出しているが、それで学校の価値が下がったという議論が、あるか。
長いから伝統というのでは議論にならない。未来をみつめないと。

仙台市外では、学校統合がそろそろ具体化を帯びてきた。学校が廃止されるのは、実に辛い。同窓生のセンチメンタリズムだけではなく、現実に地域の中学生の進学の機会が(距離が広がるという意味で)制約されるからです。
これに対して、統合・廃止ならともかく、共学か別学か、という私に言わせれば学校やその伝統の、ほんの一属性に過ぎないことを、アヤコヤ論議している、のんきな実情ではないのです。

県教委には、このような本県の学力向上の視点からの議論をもっと明示的に主張していただきたいと思うのですが、どうでしょうか。

別学維持派の考えは、アンケート実施など民意を再確認して、維持派の強い伝統校は別学で残そう、という作戦のようです。でも、各学校ごとに考えていい問題ではありません。県全体の問題であって、これらの学校こそ改革の焦点となるべきなのです。

■関連する過去の日記です
 ○宮城県立高校の男女共学化を考える(3)妙案登場!?(12月7日)
 ○仙台市梅原市長の「仙台一高・仙台二高別学維持」発言に思う(11月30日)
 ○宮城県内の公立高校の男女共学化論議を考える(2)歴史(11月28日)  
 ○宮城県立高校の男女共学化を考える(1)序論(10月28日)  
 ○宮城の進学率と公立高校を考える(9月6日)





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最終更新日  2005.12.11 14:08:33
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Re:宮城県立高校の共学化について(4)真に学校を思うなら(12/11)   宮城県民 さん
初めてコメントします。

宮城県立高校共学化を扱うブログを目にしたのでコメントしました。
私は88~94年まで仙台市内の私立中高一貫男子校に6年通いました。親に無理やり生かされたので、学校生活に楽しい思い出はなく虐めや窃盗、授業崩壊が頻発。教師もエスカレーターで大学進学させれば良い、という体たらく。
私の人生にとって一番無駄で今でも人生の汚点でタイムマシンに乗ってやり直したい。

40歳になった今思うのは、別学維持派に「伝統に固執した歪んだエリート意識、と嫌われても別学を守る覚悟」が無かったことだ。
仙台弁護士会でも60数名が共学化を訴える会を作ったことを思い出したが、なぜ番号付き高校卒業生の弁護士は対抗して共学化反対を訴える会を作らなかったのか?という疑問。
POSSEの今野晴貴氏は二高OBだが反対運動は表だってしていない。

県教委は共学化推進だったが、同じく番号付き高校の卒業生の教師の中に反対派はいたのに共学と別学の共存を守る教師の会を作らなかったのか?

仙台一高OBなら知名度抜群の井上ひさし・菅原文太・樋口陽一がいるが3人とも共学化反対を新聞やTVで表明しなかったのは何故?県庁に行き浅野県知事(当時)に卒業生として反対、と対談しても良さそうなもの。井上と菅原は鬼籍に入ったが、樋口はなぜ今も沈黙を貫くのか。憲法9条にはあれほど熱心なのに…?それとも3巨頭は共学化には大賛成だった?

埼玉・栃木・群馬も旧制高校の流れを引く男女別学の進学校があったが、ほぼ同レベルの共学の進学校があるため一律共学化の必要性を強く感じなかったこと。
埼玉なら浦和が別学なら大宮は共学、川越が別学なら所沢は共学と近隣の市で対抗意識が働いたため。
宮城は共学進学校は泉館山と仙台向山だけでは弱すぎた。

共学反対派は共学の進学校を作る代案を出さなかったこと。男女共学の宮城教育大付属高校を作り、小中高大と共学の進学校があるから、とすら言えなかった。
「宮城県の進学校は別学が伝統」
「別学にあらずんば進学校にあらず」
この2つが番号付き別学出身でない県民から反感を買ったのだろう。

別学維持派は負けるべくして負けた、と言える。
言われてみれば、宮城教育大付属高校って何故ないんでしょう? (2016.09.30 22:57:20)

Re[1]:宮城県立高校の共学化について(4)真に学校を思うなら(12/11)   おだずまジャーナル さん
宮城県民さんコメント感謝いたします。また、訪問ありがとうございました。

思えばもう10年以上も前の記事で、当時は私は、共学化問題をなるべく客観的に読み解こうとしながらも、共学化反対勢力のの根底にある(と感じていた)仙台の閉鎖的体質や気風などをどう客観的に説明できるのるかの点にも関心が及んで、それなりにマジメに腐心していました。

主観的な思いとしては、公立共学の県外から来た自分の目には、誰もが別学を賛美し別学を許容しない仙台の人たちの言い方と、自分のノスタルジーを教育や財政や地域のあり方より優先する意識が、どうしても奇妙に映った面があります。

私の娘は、共学化した旧男子校に入りましたが、彼女らにとっては、共学が当たり前という意識でしょう(意識すらしていないかも)。さまざまな見方や評価があると思いますが、検証は大事だと思います。

ご指摘のとおり、関東などでいまだに別学を残しているわけで、歴史の重みや地域性なども背景にして、簡単に論議できる問題でないことは間違いないと言うことですね。

ともかく宮城は共学化問題を乗り越えたので、その際の論議のエネルギーを今度は、いじめ、地方の疲弊と地道な人材輩出、震災復興と教育などの、今後重要となる問題に大いに向けて論議していければと、個人的には思います。

コメント大変ありがとうございました。 (2016.10.04 21:16:53)

Re:宮城県立高校の共学化について(4)真に学校を思うなら(12/11)   hts さん
ちなみに県立高校に関しては完全共学化されましたが公立高校全体だと今でも女子高は一箇所県内に残っています。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E7%94%B7%E5%A5%B3%E5%88%A5%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E4%B8%80%E8%A6%A7
ここに書いている石巻市立桜坂高等学校が唯一の公立別学校ですね。
ただ桜坂高校の場合は別学を維持した一方で商業高校との統合を受け入れているんですよね。
そういう意味では宮城県民さんの言うとおり番号付き別学の別学維持派は覚悟が足りなかったんでしょうね。

ちなみに宮城県の番号付き高校を筆頭とした精神としてはかつてあった別学主義以外にもう1つありましてそれが自由服主義だったり。ちなみにこちらは現役だったり。
近隣の県の高校を見ると当たり前のように制服が定められているのですが宮城県の場合は今でも上位校は私服で制服があるのは中下位校という意識がありますね。
まあ別学主義に比べれば問題は少ないからこれはこれで宮城県の高校の特色としてもいいのでしょうけど。
(少なくとも新潟県のマイクロミニ制服主義よりはましかな?) (2016.11.01 22:31:12)

Re:宮城県立高校の共学化について(4)真に学校を思うなら(12/11)   hts さん
これは補足になりますが…。
まず宮城の90~00年代頃の特に共学高校のレベルの低さに関してはすでに90年代に問題になっており、そのために番号付きに対抗できる勢力として作られた高校が実は宮城野高校だったという話があります。
実際宮城野高校は95年設立でありながら自由服であり、学区制があった当初から学区外の南学区の生徒を受け入れる枠も3~4割もあったとか(他はせいせい1割)。
ところが宮城野高校が失敗したんですよね。結果としては中下位の共学校を増やす格好になったわけで…。

でこれではどうしようもないということで県教委が次に打った手というのが今回話題になった番号付き別学の共学化というわけで…
ちなみに学区制廃止はこの時点ではあまり検討されておらず村井知事になってから知事が共学化凍結の対案として持ちだしたのが最初だったような…。

その意味では向山と館山は最初から番号付きへの対抗勢力としては残念ながらあまり期待されていなかったのかと。
不幸だったのは自由服主義を取り入れた向山が南学区で他県のように制服を導入して制服進学校になった館山が北学区だったという点。もし逆だったら館山が番号付きに対抗する勢力となったのかもしれない。
そうだとすれば北関東3県のように別学も温存した可能性もあるかと。
(ただそれでも残るのは一高/一女の番号付き筆頭のみだとは思うが。) (2016.11.03 12:42:07)

Re[1]:宮城県立高校の共学化について(4)真に学校を思うなら(12/11)   管理人です さん
htsさんコメント大変ありがとうございました。

昭和時代からの宮城県の高校の状況を振り返ると、さまざまな点で検証すべきことがあるような気がしますね。 (2016.11.04 06:23:56)

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