自分しかできないこと
テレビアニメ「アンデルセン物語」(1971年)とは、1971年1月3日から同年12月26日にかけ、フジテレビ系の「カルピスまんが劇場」枠で全52話が放送されたミュージカルアニメであります。おそらく、これをご覧の方でリアルタイムでご覧になられたって方は、少ないんではないでしょうか?愚生は、まだ、幼稚園に通っていた頃(大阪万博の翌年)で毎週、楽しみに視聴していました。ストーリーは、下記のとおり。魔法の国の妖精キャンティが魔法大学に入学するには、魔法カードを101枚集めなければならなかった。魔法カードは、 良い行いをひとつする度にどこからともなく現れるカードである。キャンティは相棒のズッコを伴ってアンデルセンのお話の世界に現れ、何か良いことをするチャンスを探しはじめる。はたしてキャンティとズッコは101枚のカードを集めることができるだろうか。というものでしたが、誰でも知っているアンデルセンの童話の進行における狂言回し的な役割を担っており、全体的に暗い内容の物語に笑いのスパイスをふんだんに入れた画期的なアニメでもありました。ズッコは、 ご存知、ルパンの「故山田康雄さん」(本当に惜しい人を亡くしました。謹んでご冥福をお祈りします)キャンティーは、増山 江威子さん、峰不二子(2代目)。増山さんについては、当初「何故、峰不二子は、二階堂さん(初代)じゃないんだ」という投書が殺到したそうです。増山さんは、日本テレビのスタッフからこれを聞き、「私がどうあがいても二階堂さんにはなれないから、私の持ち味でやるしかない」と一生懸命に演じ続けたといいます。今、栗田貫一さんがルパンの声を”継承”しましたそのことについてこう述べられています。「山田さんが生きていたら、僕は一生ルパンファンのままであった。山田さんという手本があれば、完璧にルパンをものまねできるが、山田さんが亡くなっているので、今では完全には真似できない。今の僕は山田さんならきっとこういう感じで表現すると思いながら、山田さんのルパンの匂いを少しでも出せるよう演じている。今でも収録前には山田さんのルパンの映像を見て雰囲気や匂いに加え、山田さんの声を徐々に出しながらスタジオに向かっている」(ラジオのインタビュー)おそらく、不二子同様に山田ルパンのイメージが大きすぎて”違和感”があると仰る方もいます。お二人とも、前任者のプレッシャーが大きすぎて、相当に悩まれたことであると思います。それでも、他人にはできない「自分しかできないこと」を心に強く持たれ、頑張っていかれたのでしょう。「サザエさん」をはじめとする声優さんの高齢化に伴う、有名アニメの世代交代が多い中、若い世代の声優さんは、前任者のプレッシャーに負けず、自信を持って演じて頂きたいと思っています。栗田さん増山さんの熱意は、きっとルパンファンの心に届いていると信じて止みません。