スカイダックの航行を支えるのは私です
陸を走るバスがいきなり、川に入って航行する...そんな夢のようなバスがあるのをご存知でしょうか?そんな夢のようなバス、いや、水陸両用バス「スカイダック」が東京の浅草周辺で就航されています。東京スカイツリーコース、亀戸コースなどがあり、隅田川を航行する人気のバスとのこと。夕方時分から乗って、涼しげな水しぶきを十分に楽しめることもあり、人気も上々とのことでした。珍しい水陸両用車ですが、実は、陸上自衛隊施設科の装備品に水陸両用車があるんです。タイヤの付いた船のような外観ですね。車体下部には2軸のプロペラが用意されていて、海上を航行しながら作業を行います。「94式水際地雷敷設装置」と呼ばれています。敵の着上陸侵攻阻止を主眼におき、敵の侵攻が予想される海岸線の水際に、上陸部隊阻止用の地雷原を迅速に構築するために、この水陸両用車は、開発されました。方面隊直轄の施設群の水際障害中隊及び施設教導隊に配備されています。この装備品は、勝田駐屯地に取材に行った際に撮影したもの。施設導―水との標示がありますので、勝田駐屯地、施設教導隊水際中隊のものと思われます。主たる任務以外にも、2011年の東日本大震災において、荷台にダイバーを乗せ、相馬港周辺沿岸における行方不明者の捜索の災害派遣にも使用されました。しかし、昨今の我が国を取り巻く状況を垣間見ると、離島防衛強化のため、上陸作戦等の人員輸送等にこの装備品は適していません。なぜならば、水際地雷を格納する機能になっており、人員を敵の砲火等から防護する機能がないからです。つまり、多くの戦闘人員を運搬するにあたり、安全に作戦を遂行するには不適、つまり、用途に適していないということです。防衛省は、陸上自衛隊に導入を計画している水陸両用車の車種選定の参考品として、米軍の「AAV7」を購入しました。主に、離島上陸作戦等に使われ、海上では航行、そのまま上陸し、走行でき、その作戦等を有利に導くことが期待されています。できれば、スカイダックのように、水陸両用車は、皆さんを楽しませる楽しい車輛であって欲しいのですが、水陸両用車両のような防衛装備品がなければ、我が国固有の離島等の平和と安全が保たれないことには、皆さんの楽しい生活を保つことはできません。スカイダックが楽しく航行しているなかで、同じ水陸両用の仲間達の影の力がその平和を担っていることを考えて頂ければ嬉しく思います。