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『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第五十二段 ~ネクスト15 ああ、シアン~ 映画『西遊記之孫悟空三打白骨精』によせて ★☆★☆ 第五十三段 ジョンは船に乗り込み 艦長室に閉じこもると シアンにどうすれば、伝えたいことが伝わるかを 考えた。 だが、多分、 ポールはもう広大な河の流れに釣り糸を垂らしているはずだった。 ポール・キューザックの息子は"あの"シアンに会いたがっている。 困ったことだ。 お互いにぞっこんのようだ。 総帥に知れたら、ことだぞ。 とっくに鋭い釣り針に突き刺されてぶら下げられている。 上級カーストオンリーの回線。 社交界というしろもの。 彼等は、それに情報を乗せる。 ばかばかしい噂話。 彼等だけの憂さ晴らし。 時には、そこに秘められた当事者同士にしか分からない 企み。 名門キューザック家の憂い。 息子の道ならぬ恋。 一大スキャンダル。 瞬く間に拡散するだろう。 シアンが飛びつくのか、 総帥が飛びかかるのが先かは ぶらさがった餌の運次第だ。 シアン。 だけど、君には分かるんだろう? この作り話。 最後に見たシアンの哀しい笑顔を思い出した。 そして彼の細い凛とした背中。 いったいシアンはどこまでを視透せるのだろうか。 似合いもしない感傷にしばらく浸っていると ジョンは机上のコンソールの中の特別連絡を示す明かりが明滅し 部屋の壁に広がるスクリーンが宇宙の暗い景色から ぱっと輝く画面に変化するのを見た。 普及型の冴えない連絡用のアンドロイドが映り 『キャプテン。総帥です』と言った。 ジョンは飛び上がった。 彼は椅子から弾かれるように立ち上がった。 相手のために照明の光度が上がった。船内は暗いのだ。 ジョンは目を瞬いた。 宮殿の最新式のアンドロイドに画面が切り替わった。 『陛下です』 ジョンは敬礼した。 次に画面が替わるとアレクの顔が大映しで ジョンを睨んでいた。 その目からも口からも火炎を吹きそうな勢いだった。 そして 世界一の権力者の濃い眉は それ自体が獰猛な絶対者であるかのごとく どの船にも飾られている絵のままに 美しく見事に整えられている。 独裁者。専制君主。暴君。狂王。あらゆる忌わしい呼び名が浮かんだ。 『顔をよく見せるのだ』 彼は言った。 ジョンは手を降ろし、顔を真っ直ぐに画面に向けた。 多分相手スクリーン上でのジョンの顔も 画面一杯になっていることだろう。 『大人になったな』 彼は言った。 『お前に初めて会った時、お前は栄養失調で昆虫のようだった』 ジョンは呆気にとられた。 直接会ったことがあるのか? ジョンは義兄たちとは違って、 学校や体調や任務を口実に総帥に会う機会のことごとくを 逃げて来た。 『ふん』 アレクは忌々しげに鼻を鳴らした。 『朕は反対したのだ。ポールがお前を養子にしたと言った時、 きっとこの子供はお前の寝首をかくぞ、と忠告した。 今殺してしまえとな』 ジョンはその時を思い出せなかった。 きっと、何か他の事に気を取られている隙に、彼は こっそり子供の品定めをしたのだろう。 『朕のシアンに会いたいのか?』 いきなりだった。 ジョンは準備ができていなかった。 『そうです、陛下』と言ってしまってから 返事はそれでよかったのか心配になった。 『シアンは大人だが、保育カプセルから出て まだ十年と経っていない。彼を抱いたのか?』 『いいえ、陛下』 うろたえて、言葉が震えた。 『そんなふうには聞いていない。』 アレクは怒鳴った。 『それにシアンに会いたいなら、まず朕にその旨を伝えるべきだ』 『そうです、陛下。そうするつもりでした。誰かが先走ったのです』 ジョンは舌がもつれそうになった。 そしてポールを呪った。 『お前には朕の差し向ける監視がつく』 『はい、陛下』 『お前の死刑執行人だと思え』 『はい、陛下』 『もしシアンに会うなら、朕にすぐに知らせるだろう。 間違っても彼らを撒こうとするな。』 『はい、陛下』 『シアンに手を出すな。』 『はい、陛下』 ジョンの背中を汗が流れた。 つづく ↓次回です♪ 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第五十四段 最初からお読みになりたいごキトクな方は (たぶんいらっしゃらないと思うけど) 下記の 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ早見表 ↑ からどうぞ♪ ウィリアム・フォン、馮紹峰、フォン・シャオフォン、ペン・シャオペン 以上全部同じ人(笑) 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ早見表ってことでヨロシク♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.01.14 10:20:19
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