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カテゴリ:映画
“シティ・オブ・ゴッド”と呼ばれたブラジル・リオデジャネイロの貧民街を舞台に、暴力と貧困に埋め尽くされた子どもたちの日常を、実録タッチで描いた衝撃の犯罪ドラマ。
年端も行かぬ少年が殺人に手を染め、やがて街を仕切るギャングへと成長し、激しい抗争に明け暮れる姿を壮絶な暴力描写で綴っていく。 命の重みが微塵も感じられない少年たちの日常が、痛い。 麻薬の売買でスラムの町を牛耳る冷徹なリトル・ゼと、その相棒で親友のベネ、彼らと勢力争いをはじめることとなるギャングたち。様々な若者の60年代~70年代後半にかけての物語。 実話というのはジャスチャーかもしれませんが、ドキュメンタリータッチで描く臨場感は、迫真の勢いがあります。 銃器の氾濫したスラム街に育った、カメラマンになりたい主人公・ブスカペは、偶然にも真っ当に生き、ラストでこの悲惨な現状を写真を媒体にして世に叩きだすことに成功するのですが…… その空しさは、ボスがいなくなっても何も変わることはなく。警官の汚職と少年ギャングの存在は、なくなる気配すらありません。 物語の舞台が過去であるとしても、衝撃と血なまぐささはずっしり重い。 それでも淡々と、テンポ良く、時にクールにシュールに、凝った映像で見せる手腕にはすごいと感心させられます。緊張が途切れず、長さをカンジさせません。 ギャング団の抗争を「まるでベトナムだ」と表現していたのは、少し違うように思えたけれど。 登場する人間はクズばかり。人殺しは日常。気分次第で仲間さえ殺す、命の重さを知らない彼らには、死が待つのみ。 けれど非情なボスの片腕・ベネだけは、気のいい男でした。 主人公が想いを寄せるアンジェリカも、いつしか彼に惹かれて、ふたりは恋仲になります。 ベネがいたからどうにか保たれていたスラム街の安全でしたが、繰り返される強奪や人殺しにうんざりした彼は、恋人とともに街を出て行くことを決めるのです。 少年の頃からの相棒を失い、孤独と嫉妬に苛まれるリトル・ゼが、持ち前の横行で旅立ちを悲劇に変えてしまう後半。 ベネ亡き後、‘シティ・オブ・ゴッド’は、リトル・ゼ率いる仲間と、第二の勢力との争いが激化し、長きにわたる市街戦へと突入してしまうのでした。 この恐ろしい街で、兄を亡くした主人公は、目立たないようになんとか生きてきました。 弾を怖いと思い、銃なんて持ちたくはないと(自棄を起こしたことは1.2度あったけど)、カメラマンを目指します。 この街でまともに生きていけるのは、ほんの一握りの数しかいないのでしょう。 主人公もカメラひとつで、ことの真理と行く末を、レンズを通して見たけれど、その答えはあまりに単純であまりに救いのない虚しいものでした。 はじめはまともに働いていた青年でも、兄弟を殺され人が変わったように復讐の鬼となるシーンが印象に残ります。 泣き寝入りすればいいとは思わないけれど、殺し殺されなんにも生まれない世界に嫌悪を感じました。 だれでも銃を持っていて、いとも簡単に命が消える。この価値観の違いはいったいどこからくるのでしょう。 都会とは程遠い場所での物語―――そんな解説から、国から臭いものには蓋をしろ的に見捨てられた人々の闇の生活がありました。 監督 フェルナンド・メイレレス/カティア・ルンド 製作 アルドレア・バラタ・ヒベイロ 、マウリシオ・アンドラーデ・ラモス 原作 パウロ・リンス 脚本 ブラウリオ・マントヴァーニ 撮影 セザール・シャローン 音楽 アントニオ・ピント 、エド・コルテス 出演 アレクサンドル・ロドリゲス 、レアンドロ・フィルミノ・ダ・オラ セウ・ジョルジ 、アリス・ブラガ 、ダグラス・シルヴァ ダーラン・カンナー (カラー/130分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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