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テーマ:■ムービー所感■(484)
カテゴリ:フィンランド映画
まったりとした主人公の哀愁がたまりません。 キレイな青い瞳が印象深い、その目の物語るのは善良さ。しがない主人公のコイスティネンは、いつも受身の孤独な男です。 感情的にはならず感傷に生きる彼が、情けなくもいとおしい。 フィンランドの、まだ近代化の途上にある雰囲気が、そこはかとない哀愁に良く似合います。 初めての恋に希望を見出したコイスティネンは、相手が強盗団一味の情婦とは知るよしもなく、警備先のデパートへと招き入れてしまいます。 暗証番号を知られ、鍵も盗まれ・・・まんまと薬で眠らされて、宝石を奪われてしまうのです。 しかもしっかり罪まで着せられて、大人しく服役してしまうほど乾いているのがカウリスマキワールドといえるでしょうか、魅力です。 ソーセージ屋の娘は、彼に恋しているのでしょう。慰めるようにコイスティネンにそっと寄り添う優しいシーン、最後に握り締めた手のぬくもり、残るのは希望の余韻でした。 『浮き雲』『過去のない男』に続く敗者三部作なのだそうです。 悲しい鼻つまみ者の、捨て犬のような人生、けれど澄んだ目が心を捉えて忘れがたい。離れない。 負け組みだっていいじゃない、心根の優しい彼の人生は上等だ。 そう思える人は、自分の人生に黄昏時がきても、きっと乗り越えていける人なのかもしれない。 監督・製作・脚本 アキ・カウリスマキ 撮影 ティモ・サルミネン 音楽 メルローズ 出演 ヤンネ・フーティアイネン マリア・ヤンヴェンヘルミ マリア・ヘイスカネン (カラー/78分/フィンランド=ドイツ=フランス) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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