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カテゴリ:映画
小津安二郎や溝口健二が“天才”とよんだ清水宏(1903~1966)監督の作品。
観るのは初めてです。 最近、DVD BOX化されたらしく、オンラインでレンタルしました。 製作年1936年にして、ロードムービーですよ! たまらな~く爽やかな、古き良き時代の日本の原風景が広がっています。 伊豆の村落を抜けて、峠道を走る乗り合いバスには、今日も道中さまざまな人が、乗っては降り、すれ違い通り過ぎていく―――。 原作は川端康成氏の原稿用紙5枚ほどの掌編だそう。 道を譲ってくれる人々に、爽やか~に「有りがとぉ~さ~ん」と優しく声を掛けるところから、その愛称がついた運転手さん。 彼は道行く人から言伝を頼まれたり、買い物を言い使ったり、村落で暮らす人々にとっては欠かせない存在となっているのでした。 今日も彼のバスには、様々な人が乗り込んできます。 口減らしのため東京へ売られていく17になる若い娘と、その母親。つけ髭で威張りくさる偽紳士。そして黒襟のワケあり美女など、、、。 娼妓として売られることを悲しむ娘と、彼女が不憫でならない“有りがたうさん”とのやりとりを軸に、ときにユーモアを交えつつ、今でこそ郷愁豊かに綴られた古典の名作。 桑野通子演じる、蓮っ葉な毒舌黒襟女が、姐御肌で好きでした。 煙草スパスパやりつつ、皆に酒を振る舞い、売られる娘を密かに心配している女。 それから、“有りがたうさん”のそうとう爽やかな存在がピカイチです。 「街道渡世の仁義ですよ」 そう、さらりと言ってのける彼のカッコ良さといったら! これは一見の価値ありでしょう。 監督・脚色 清水宏 原作 川端康成 撮影 青木勇 出演 上原謙 桑野通子 築地まゆみ (モノクロ/78分) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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