わたしは、早寝だ。
早起きだ、と書きたいけれど、どう考えても、早寝のなりゆきで、朝早く起きることになるのに過ぎない。
午後10時には床につく。
それが11時になると、もう、わたしにとっては真夜中だ。うろたえてしまう。
ほんとは、9時に寝るのが理想。枕に頭をのせ、壁の時計を見上げると、9時―そんなときは、あきれるほどのシアワセを感じる。
9時なんかに寝て、眠れるの? と、よく尋ねられるが、
「眠れます」。
じゃ、テレビドラマなんかは観ないわけ? これも、たびたび尋ねられる。
「たまには観ます」。
ただし、録画しておいて、朝いちばんで観るのだ。
9時や10時に寝ているので、ひとりでに目がさめる時間は、早いときで3時、まあ、たいてい4時ごろだ。目がさめたら起きだす習慣なので、目ざまし時計はかけない。たまに、夫や友だちと酒をのみ、「午前様」とあいなったときも、
目ざめが6時を過ぎることはない。
午前6時がタイムリミット―朝ごはんや弁当づくり、そのほか、朝のうちに片づけておかないとその日の調子がおおいに狂ってしまう用事をするため―だ。
今朝は、3時に目がさめた。
さて。スープをどんと、大鍋につくるとしようかな。
夏の野菜を、大きめに刻んでどんどんほうり込む。かぼちゃ。茄子(皮をむいて)。トマト。それから―じゃがいも。にんじん。玉ねぎ。きゃべつ。残りもののベーコンと鶏もも肉も、鍋のなかへ。昆布を2枚、入れる。塩、こしょう。あとはことこと煮込むだけ。
時計を見ると、午前4時。
そうだ。ずいぶん前に録っておいた映画のDVDを観よう。
豪儀(ごうぎ)だ。
そして、これを観ながら、やかんを磨く。
やかんを、油やら、煮ものの汁やらで汚したくないので、湯を沸かしたあと、ガス台からはなれた鍋ラックのてっぺんに置くことにしている。それでも、湯を沸かしている最中に、となりでじゅうじゅうと揚げものをすることはあるので、やっぱり、だんだんやかんは汚れる。
目の粗い(焦げをがしがし磨くのにいいような)スポンジに、あら塩をつけて磨く。
「あなたとも、もう長いよねえ」
と言いながら。
数えてみれば、やかんとわたしは足掛け15年のつきあい。磨き方が乱暴なせいで、こすりキズをつけてしまったが、それだからなお、愛着がある。
この愛着に支えられての、わたし。
DVDを観ながら、足掛け15年のつきあいのやかんを磨く。
写真では、違いがわかりにくいけれど、
汚れたやかん(写真下)も、ぴかぴかになる。
〈あら塩の効能〉
・やかんや鍋の焦げつきや汚れ→スポンジに塩をつけて磨く。
・湯飲みや急須、ポットの茶渋→茶渋に塩をつけ、指でこする。
・ガラスのコップや器→スポンジに塩をつけて磨けば、ぴかぴかに。
・まな板→てのひらに塩をとり、表面をこすると清潔を保てる。
※どの場合も、こすったり磨いたりしたあとは、水で流します。