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profile:山本ふみこ
随筆家。1958年北海道生まれ。つれあいと娘3人との5人暮らし。ふだんの生活をさりげなく描いたエッセイで読者の支持を集める。著書に『片づけたがり』 『おいしい くふう たのしい くふう 』、『こぎれい、こざっぱり』、『人づきあい学習帖』、『親がしてやれることなんて、ほんの少し』(ともにオレンジページ)、『家族のさじかげん』(家の光協会)など。

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2007/07/31
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カテゴリ:生活

 家具調度は好みのものを選んでいるつもりだし、色に関しても、この部屋に置いていい色は、これとこれと、決めていたりする。そういうことには、ちょっとうるさいのだ。いい調度だなあ、と思っても、これがうちに入ってくるのはやっぱりよそう……と、思い直すこともたびたび。そういうわけで、家のなかには、あまり、思いがけないものはない。



 とはいえ、わたしだって、失敗はする。
 あのとき、どうしてこれを選んだのだろう、わたしは……という気持ちにさせられる、そんなモノを連れて帰ることがあるのだ。
 2、3日ののち、ひどいときには、置いてみてすぐ、やっぱりこのうちには思いがけなさ過ぎる、合わない、と気づいて、フリーマーケット好きの友だちに渡す箱というのに、そっと入れる。ごめんよ。
 それにしても、こんなときは、自分が、いかにこころと家のなかに、変化をもとめていたかを思い知り、うなってしまう。
 自分で好みをつくっておきながら、こんなことを言うのはどうかと思うが、ときどき、この家にも、自分にも飽きるんだな。



 話はかわるが、この夏のはじめ、蚊取り線香皿をつくった。
 毎年、その夏さいしょの蚊に出合うころ、これをつくる。が、ここ数年は、子どもたちにその工作の楽しみをうばわれていたので、今年こそは、と隠れるようにしてこしらえたのだった。
 蚊取り線香皿は、近年、姿のいいのが売られるようになったし、お馴染・焼きものの豚の皿は、夏の風物詩というところまで、その存在価値を高めてもいる。
 でもね、いちばんよくできているのはアレである。
 アレ。蚊とり線香が30巻入った缶があるでしょう? それについている缶からでできた蚊とり線香皿。これがいちばん安定していて、具合がいい。
 皿のなかには、不燃性のガラス繊維が敷きつめてあり(最近は、注意書きに、「これはアスベストではありません」と記されている)、そこに、直接、火をつけた蚊取り線香を置く仕組み。
 具合はいいが、缶からを部屋に置くのはどうもいただけないというので、もう10年以上、この缶からに細工をしてきた。紙粘土を使って、動物のかたちにつくりかえるのだ。これまで、リュウ、シマリス、トリ、カメなんかをこしらえた。どうしてもヤニが付着するので、別れは辛いが、ひと夏だけのつきあいということにしてきた。



 今年。さあ、と、紙粘土の包みをひらいたとき、思いがけないのをつくろう、と思った。色もかたちも、この家に置くのに、ちょっと思いがけないようなのをこしらえて、自分でもびっくりしよう、とね。
 ときどきは、こういうのもいいんじゃないかな。
 季節ごとの、小さな遊び。
 これは、小さな模様がえといえなくもないんじゃないか、という気がした。



Photo


Photo_2



恐竜のつもり。赤に青い斑点。すごいのをつくりました。
不思議な存在感があって、ちょっと気に入っています。
子どもたちは、「変なキョウリュウ! やっぱりわたしのほうがうまい」
と言われていますけど。ふん。







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最終更新日  2007/07/31 10:00:00 AM
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