家具調度は好みのものを選んでいるつもりだし、色に関しても、この部屋に置いていい色は、これとこれと、決めていたりする。そういうことには、ちょっとうるさいのだ。いい調度だなあ、と思っても、これがうちに入ってくるのはやっぱりよそう……と、思い直すこともたびたび。そういうわけで、家のなかには、あまり、思いがけないものはない。
とはいえ、わたしだって、失敗はする。
あのとき、どうしてこれを選んだのだろう、わたしは……という気持ちにさせられる、そんなモノを連れて帰ることがあるのだ。
2、3日ののち、ひどいときには、置いてみてすぐ、やっぱりこのうちには思いがけなさ過ぎる、合わない、と気づいて、フリーマーケット好きの友だちに渡す箱というのに、そっと入れる。ごめんよ。
それにしても、こんなときは、自分が、いかにこころと家のなかに、変化をもとめていたかを思い知り、うなってしまう。
自分で好みをつくっておきながら、こんなことを言うのはどうかと思うが、ときどき、この家にも、自分にも飽きるんだな。
話はかわるが、この夏のはじめ、蚊取り線香皿をつくった。
毎年、その夏さいしょの蚊に出合うころ、これをつくる。が、ここ数年は、子どもたちにその工作の楽しみをうばわれていたので、今年こそは、と隠れるようにしてこしらえたのだった。
蚊取り線香皿は、近年、姿のいいのが売られるようになったし、お馴染・焼きものの豚の皿は、夏の風物詩というところまで、その存在価値を高めてもいる。
でもね、いちばんよくできているのはアレである。
アレ。蚊とり線香が30巻入った缶があるでしょう? それについている缶からでできた蚊とり線香皿。これがいちばん安定していて、具合がいい。
皿のなかには、不燃性のガラス繊維が敷きつめてあり(最近は、注意書きに、「これはアスベストではありません」と記されている)、そこに、直接、火をつけた蚊取り線香を置く仕組み。
具合はいいが、缶からを部屋に置くのはどうもいただけないというので、もう10年以上、この缶からに細工をしてきた。紙粘土を使って、動物のかたちにつくりかえるのだ。これまで、リュウ、シマリス、トリ、カメなんかをこしらえた。どうしてもヤニが付着するので、別れは辛いが、ひと夏だけのつきあいということにしてきた。
今年。さあ、と、紙粘土の包みをひらいたとき、思いがけないのをつくろう、と思った。色もかたちも、この家に置くのに、ちょっと思いがけないようなのをこしらえて、自分でもびっくりしよう、とね。
ときどきは、こういうのもいいんじゃないかな。
季節ごとの、小さな遊び。
これは、小さな模様がえといえなくもないんじゃないか、という気がした。
恐竜のつもり。赤に青い斑点。すごいのをつくりました。
不思議な存在感があって、ちょっと気に入っています。
子どもたちは、「変なキョウリュウ! やっぱりわたしのほうがうまい」
と言われていますけど。ふん。