久しぶりに、あれを読んだ。
読みはじめると、どうしてもつづけて全31巻読み切ることになる。読み切るための時間が不足しているような気がしたが、とにかくパワーがほしかった。
ええい、読んじまえっ。
暮らしのバランスがくずれることが、ある。家のこと。仕事。その他。それぞれの量に問題があるのよ、と文句を言いながら、バランスがくずれているのは、暮らしではなく、自分自身のここ(胸)。わかってる……。
疲れ? たぶんそうだ。
倦怠? それも、ある。
とにかく、なんだかみーんないやになっちゃって、することなすこと、うまくいかない。つい最近、そういうことが起きた。
そんな場面での、「読んじまえっ」だった。
この全31巻の正体は、『スラムダンク(SLAM DUNK)』(集英社)。
まんがだ。バスケットボールのまんが。
しびれるような名せりふが、いくつもある。
これまで30回は読んだが、何度読んでも力をもらえる。読むたびに、ぐっと来る場面が、変化しているようでもある。自分の弱っている部分に、ドン、とくる。
このたび、ドンときたのは、こんなやりとり。
「もう勝てねーとでも 思ってんのか」(桜木)
「何だと…」(赤木)
「おめーが 簡単に言うよーな点差じゃねーぜ…」(三井)
「あ?バカめ」(桜木)
「おめーらバスケかぶれの常識は オレには通用しねえ!!」(桜木)
「シロートだからよ!!」(桜木)(『スラムダンク』28巻より)
〈ちょっとだけ、あらすじ〉
神奈川県立湘北高校1年生の桜木花道(はなみち)は、かわいい同級生「ハルコさん」の「バスケットは… お好きですか?」というひと言に誘われ、バスケット部に入った。赤いリーゼントのヤンキーとしてならしていた桜木は、はたしてバスケットマンになれるのか……。
しかし。すったもんだはあったものの、桜木は基礎練習に励んだ。部員たちが全国制覇を目標に練習する体育館のすみっこで。
湘北高校は県大会を勝ちすすみ、ついに悲願の全国大会出場を決めた……。
ああ、待って。
『スラムダンク』を知らないアナタ。
バスケットには興味ないって? そうじゃないんですってば。
バスケットをまったく知らなくても、胸のあたりをがしっとつかまれる。
自分の毎日を、考えさせられる。
掲出のやりとりも、然り。なにかをつづけてきて壁に突き当たるときって、中途半端にクロート(玄人)化していることが、ある。
そうして簡単に、「そんなの無理よ」とか、言う。「もう手いっぱいよ」と、嘆く。
『スラムダンク』の桜木花道クンは、ちがうんだな。口癖のように、「天才ですから」とつぶやきながら、常に、挑戦している。練習している。バスケットがうまくなりたい一心で。
『スラムダンク』。
くりかえしを生きることの意味を、そのすばらしさを思いださせてくれる。
くりかえしのなかで、自分にもきっと何かが見えてくるだろう。
——そんな気持ちになる。
上達しているんじゃないか。
——と、いう気もしてくる。
だから、このマンガは、「日日のくりかえしに疲れている場合じゃないわたしたち」の必読書なんじゃないか、と思うわけだ。
主将赤木、メガネ君(木暮)、三井、宮城、流川(るかわ)にも、是非、アナタを会わせたい。そうだ、監督の安西先生を忘れては、いけないな。
安西先生の名せりふも書いておこう。
「あきらめたら そこで試合終了ですよ…?」(『スラム ダンク』27巻より)
ああ、元気でたでた!
それにしても、ページを繰るほか、なんにもしていないはずなのに、読破したあと、どうして、こんなに汗かいているんだろう、わたしは。
![Photo_2 Photo_2](https://image.space.rakuten.co.jp/d/strg/ctrl/9/23a04a77fea4d599cd87f813294e03e568d766f4.39.2.9.2.jpeg)
長女、小6のクリスマス。サンタクロースが『スラムダンク』全31巻を枕元に届けて
くれました。その苦労、その重み、なぜだかわからないけど、わが事のように思い返
すことができます。サンタクロースさん、アナタは、えらいっ。
ついでに。子どもたちの本棚に、頑丈なフックを1つずつつけました。
出かけるとき着ようと決めた服
(ほかの誰か——きょうだいや、母に先に着られてしまわないように)や、
持ち物を下げておくフックです。