トラケイアの野への入口

ここはトラケイアの野
　
神々の住まうパルナソスと
　
現実世界とを繋ぐ中継地
　
Mousike（ムシケー＝音楽・詩歌・舞踏などの時間芸術）は
　
なにゆえ人に与えられているのだろう？
　
人の生が魂の成長のためにあるとするならば
　
我等の魂を高め　神々のもとへと運ぶもの
　
それが Mousike　パルナソスよりの招待状
　
その原初の意味に遡り　魂の登山口として
　
トラケイアの野は存在した
　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

「オルフェウスに寄せるソネット」　（リルケ作）

世界がめまぐるしく
雲の形のように変化しても
すべて完成されたものは
太古へと還ってゆく

世の移り変わりがさらに
大きく　奔放になっても
あなたの原初の歌は生き続ける
竪琴を持つ神の子よ

苦悩の意味は知られておらず
愛は会得されていない
死において我々を引き離すものも
まだその正体を見せてはいない

トラケイアの野に広がる歌だけが
清め　讃える

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パルナソスの粋　芸術に関する詩集

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