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カテゴリ:季刊オリ自身(オーナー)
スパゲッティナポリタンという新しい食べ物が日本人に受け入れ始めたのは、1970年代辺りだと言われています。
当時、喫茶店での軽食として発明されたそれは、ミートソースと共にそれまでスパゲッティなんて物を知らなかった人々を魅了しました。 もちろん当時新種のこの食べ物はイタリアのナポリに行っても存在しません。 その頃まだ珍しかった日本のイタリアンレストラン(伝説の<キャンティ>は1960年頃にオープン)で食べた人とか、まだ珍しかった海外旅行でイタリアに行きパスタ料理に感動した人、あるいは最新の情報をキャッチしていた人らがナンチャッテスパゲッティを発明したのです。 さてそういう時代に生まれるべくして生まれた和製スパは、日本人の得意とする改良を経て根付いたトンカツやラーメンと同じく、まだ貧しかった時代の先輩方の工夫の成果でもあったのです。 僕の父なんかは未だにスパゲッティと言えばミートかナポリタンです。 これはナポリ好きの方が良く言われることですが「あのケチャップでドロドロの感じがたまらないんだよねぇ」なんて話をよく聞きます。 トマトソースと言うものすらまだ馴染みのなかった時代に見よう見まねで赤くしてみた、哀愁漂うナポリタン。 僕も昔、お金がない時なんかに家で作ったものです。 適当な野菜を入れてケチャップを入れればなんとなく食べられてしまう、どう失敗してもケチャップの味なので大きく外しはしないお手軽な感じも良いのですね。 しかしこんな王道なナポリタンがオリエントには無かったのです。 まれに「ナポリタンないのか?」というお客さまにはケチャップと海老の殻で取ったアメリケ-ヌソースとトマトソースをミックスさせてたものをナポリソースとして、ナポリタンを作っていました。 家で適当に食べるならまだしもお店で<ただケチャップをまぶしたもの>はちょっとな、と思ったのと、実は僕自身ナポリタンのケチャップまみれのそれは好きではないのです。 どう考えてもケチャップの味だけで最後には飽きてしまうし、あまりにも芸がないからです。 よく老舗の洋食屋とか喫茶店の特集でナポリタンが紹介されてますが、今だホントにケチャップのみで作っている店があるのには驚きました。(でもそれでお金を払ってくれるお客さんがいるのも事実なので何も言えませんが、、、) そこで自分で旨いと思えるオリエント独自のナポリタンを作ってみようと思い立ったのです。 まずはグランドメニューに入れる前におすすめメニュー(1、2ヶ月くらいで変わる季節のメニュー)で 様子見です。 ナポリソースの基本は(何が基本なのかわからないのですが、とりあえずケチャップだけではないレシピをいろいろ探った結果)マリナラソース(アサリエキスや白ワインの風味が特徴の海の香りがするトマトソース)が母体となるのですが、たまたま業者にそのソースがあったのでそれを使いました。 そして海老の殻で作った常備してあるアメリケーヌソースとケチャップをミックスさせてナポリソースを作ったのです。 これでトマトソースを使うよりは一段とグレードアップしました。 これに辛味を付けて海老とフランクと野菜で<夏のナポリタン>として4年前にオススメメニューとして売り出したのですが、これがまた結構好評で世の中にこんなにナポリ好きの方がいたのかと驚くほどでした。 さて次はこんなに食べて頂けるならとオススメからグランドメニューへの昇格です。 ここでいろいろ考えましてグランドメニューにするならマリナラソースをイカを仕込む時に余ってしまうエンペラやゲソを使って作ることは出来ないかと考えました。 そこで試行錯誤を重ね最終的には、ミンチにしたエンペラとゲソをクールブイヨン(アサリと野菜のブイヨン)と白ワインとで圧力鍋を使い柔らかくして、そのエキスごとトマトソースとアメリケーヌソースとミックスし、さらにエピス(甲殻類などに合うスパイス。オリエントでは12種類のスパイスを配合)で風味付けしてナポリソースとしました。 オーダーが入れば小海老とフランクと野菜をソテーしバターでコクを出しナポリソースを入れてパスタと 和えれば完成です。 しかし難点が一つだけあります。 それはイカと海老の仕込みの前にナポリソースが無くなってしまうとオーダーストップとなってしまうことです。 なので品切れの場合はごめんなさい、、、。 そんな時は次の仕込みはいつかと聞いてくだされば即回答いたしますので、気兼ねなくスタッフまで声をかけてくださいね。 それでは今後もさらなるナポリライフを! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年08月13日 21時13分04秒
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