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カテゴリ:趣味
「10年間で、万単位の魚を捌いてきたよ」
師匠のO君は、1日目の修行の最後にお茶を飲みながら言った。 僕はこれからの人生で、一体何匹の魚を捌くのか分からないけれど、11月11日(土)、ずらっと1が並んだこの日に、人生で1匹目となる魚(鯵だった)捌きを行い、刺身にして食べた。 どんなことでもそうだけど、長い間、やりたくてできなかったことが、ある1日を境にできるようになるということは、無条件で視界が広がった気分になれるし、生きる喜びと言っても大袈裟ではないと思う。 そういう経験をさせてくれるO君と出会えたことは、あらためて幸せなことだ。 O君とのマンツーマン修行は、朝7時の朝食から始まった。 納豆(北海道産)と明太子と酢飯と粗汁とお茶をいただきながら、これから始まる楽しい未来について僕の具体案を伝え、O君との会話の中で確定させていった。 雨が降る中、自転車をすっ飛ばして築地市場に行き、魚の選び方を教わる。O君の方針で、「まずは鯵。鯵の捌き方、調理の仕方を徹底的に身につけるべし」に従い、目が黒く、エラが赤く、脂の乗った鯵を見つけた。 そして包丁を買いに行く。「僕が薦められる店は、河童橋のあの店しかない」とO君が絶大な信頼を寄せる、明治41年創業の料理道具屋に行く。一通りの説明を受け、何度も持ってみた。 僕は、包丁を使う時は左利きで、リンゴもキャベツも左手で切るのだけど、専門店の包丁は左利き用については通常より30~50%も高くなる。品数も少ない。 それだけでなく、O君が右利きだから、僕が左利きだと教えるのが困難だということを知った。 僕は決意し、右利きに変えることにした。 出刃包丁、柳刃包丁、砥石、骨抜きの4点を購入。包丁には「暢宏別誂」と彫ってもらった。四字熟語みたいだが、僕のための特別な包丁である、という意味だ。2万円。わくわく未来への投資。 鯵も買った。道具も揃った。 いよいよ捌く時がきた。 今回教えてもらったのは全部で5つのプロセス。 ぜいご(鯵特有の固いうろこ)とうろこを落とし、頭を落とし、内臓を出し、水洗いする”おろしの下処理”と、上身と下身を骨から切り離す”3枚おろし”と、上身と下身に付いてる”骨の下処理”と骨抜きを使う”骨の本処理”、最後に”皮剥ぎ”。 刺身として食べられる状態までのプロセスをひととおり教えてもらったことになる。 捌ききった後、鯵を刺身にして、O君と二人で食べた。 僕の捌いた刺身(切り方の修行は次回以降なので見た目は不細工だけど)をO君はごく普通に食べてくれていた。 うろこも骨も残っていなかった。 捌くのに時間はかかったけど、自分で捌いた鯵は本当に美味しかった。1回目でここまでこれたのはO君の指導の賜物です。魚捌きに興味や関心を持っている仲間たちに、少しずつでも伝えていきたいと思う。 大事なことを言い忘れていた。 3月17日(土)に、お披露目会をすることにしました。 自分で魚(たぶん鯵になると思うけど)を目利きし、捌き、調理した料理の品々を仲間たちにふるまう機会です。O君に課された1回目の中間試験。 もしも運良く(?)招待された方は、是非とも足を運んでくださいね。あなたに喜んでもらえるように次回の修行でも張り切って捌いてきます。 そして僕は体じゅうから鯵臭を漂わせながら、友人の結婚パーティーに移動した。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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