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「物語の卵、物語の予感、物語のキザハシ、
それをなんかワケがワカラナイならワカラナイなりに 描きとどめたかったのです」 ―しりあがり寿 まんが、ヤジキタのぐるぐる感、うじゃうじゃ感、 狂ってる感、DEEPだなぁと、昔、思っていたが、 なんて、明晰な人なんだ、さすが、キリンの宣伝部員、 ブランドマネージャーは、違う、と思わせる 広告論的まんが論を提示していたと思いきや、 中盤、やはり、エッジな部分に、肉薄していく。 「この全体感、つまり作品の世界が持っている時間の感覚と なんともいえない空気感というのが、実はけっこう大切ではないか」 ―しりあがり寿 それと、話しは、月と土星くらいかけ離れるが、 先日、大学の頃の友人が、自称「地の果て」から、東京にやってきた、 しりあがりまんがの登場人物のようなシュールなトーンを持つ、 井戸彦は、東京を散歩するのが趣味の、地方人になっている。 酒でも、飲もうと、上野は、御徒町を散策するのだが、 天候は折からの雨、人もまばらだ。 混雑しているときは、歩けども、歩けども、 一向に、終わりのない、安物天国の街も、 あっというまに、歩き切ってしまう。 しかも、3回も、4回も、歩いてしまった。 おそらく、二人とも、腹が減っていなかったのだ。 ようやく、雨で体力を奪われ、腹も空いてきて、 街の居酒屋に、昼と夕方のあいだくらいに、 入ると、出てくるサラ、出てくるサラ、 全て、彼は、名前や由来を言い当てるのだった。 なぜなら、彼が、扱っている商品が、巡り巡って、 全国の居酒屋などに、ばら撒かれているから。 「地の果て」は、焼き物の名産地で、 電化製品のアキハバラのように、 焼き物の工場が集中しているそうだ。 「おお!」 と、いちいち、歓喜する井戸彦氏から、 地の果てと、地の果てが繋がる、 時空のねじれ、というか、 「地の果て」の山郷と、 オカチをカチあるいたあとの居酒屋を繋ぐ、 流通を、まじかに感じた。 流通は、時空のねじれでも、なんでもないが、 井戸彦氏の反応を見るたびに、 それは、不思議なことであってもいい気がしてくるのだった。 「結局のところマンガ家に必要なのは、 馬が走るように、犬が吠えるように、人が祈るように、 ひとコマひとコマ、1ページ1ページ、 まるで息をするようにマンガを描き続けること。 ただ、それだけかもしれません」 ―しりあがり寿 ただ、狂ったまんがをかいてるだけの人じゃなかったんだ、 と、あらためて、心動かされた。 マーケティング的な分析を、 前半でしっかり、こなしながらも、 最後は、全てに通じる、核心をついてきた。 それと、話しは、月と土星くらいかけ離れるが、 結局、居酒屋を二軒ハシゴし、 最後に、地下の珈琲屋で、剥き出しの配管が 白く塗られた天井を見上げながら、 珈琲を飲んでいると、配管に混じって、 銀色のマグロが、群れをなして、 延々と、通過していくのだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 15, 2008 12:26:43 AM
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