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ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

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Oct 15, 2006
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「三人兄弟の真ん中?」

 今日はニューヨークで開催されたアマチュアのための室内楽ワークショップに参加した。

 二曲受講したうちの一曲めはブラームスのピアノ四重奏曲2番(1楽章)。メンバーは、僕がバイオリンで、ビオラはハンナ先生、チェロはナンシー、ピアノはエリカ。講師はピアニストのマルクス先生。
 ナンシーとエリカとは過去に何度か別の曲で一緒に受講したことがあるのでリラックスして弾けるはずだったが、マルクス先生があまりにいかめしい顔でスコアを見ながら指導なさるので、内心おののきながらのレッスンになってしまった。しかも彼は生粋のロシア人だったりする。

 ブラームスはピアノ四重奏曲を全部で三曲書いていて、僕はどれも過去に一応は弾いたことはあるけれども、なぜか2番は一番印象が薄い。大慌てでCDを聴き込み、強引にさらって今日を迎えた。

 この曲、音符の動きや長さに細心の注意を払う必要がある。印象的なリズムの冒頭といい、計算し尽くしてんだか適当なのかイマイチ不明な転調&臨時記号といい、一瞬たりとも気が抜けない。
 しかし同時に、各所に出没する三連符やタイでつながった音符などにいちいち惑わされることなく、大きい三拍子の流れを保つことも実は大切。なにせアレグロだし。落ち着いて、かつ決して停滞せずに前へ前へと進むこと、とのご指導があった。言うは易し。

 あまりの難曲ぶりにみんなでブツブツ文句を言いながらも、やはりブラームスは室内楽の醍醐味を存分に味わわせてくれるということで我々は意見が一致した。果敢に立ち向かっても決して手の届くような気はしない。報われることのない、その虚しさもまたいい。
 美しくも切ない哀愁の旋律が一瞬だけ現れては過ぎ去ったり、途中のクライマックスで絶叫したりするとこも圧巻。

 で、この2番のピアノカルテット、盛りだくさんなのはいいのだけれど、難を言えば、ちょっと長すぎ。1楽章だけで20分近く。この楽章だけで既にお腹いっぱい。今日も、レッスンを終えた頃には我々全員とも意識が朦朧としていた(笑)。

 余談だが、室内楽において三曲単位で曲が存在する場合、どうも2番めに位置する曲は一番人気がないような気がする。佳曲なのに地味なのだ。いくつか例が挙げられると思う。

ベートーベン ピアノ三重奏曲の作品1の三曲
ベートーベン 弦楽三重奏曲の作品9の三曲
ベートーベン 弦楽四重奏曲の作品59(ラズモフスキー)の三曲
ブラームス バイオリンソナタの三曲
シューマン 弦楽四重奏曲の三曲
そして、このブラームスのピアノ四重奏曲の三曲

 これらは、いずれも1番と3番が特に好まれて弾かれて(聴かれて)いるようだ。作曲者側の意図なのか、それとも聴く側の心理的なものなのか、とにかく不思議なことに2番はなかなか脚光を浴びていない。

 これって、三人兄弟の真ん中の子の性格について論じるのにちょっと似てるかも。真ん中の子って、一般に一番クセがないように思うのは気のせいだろうか。
(編集部注:本文は特定の個人を誹謗・中傷するものではありません。悪しからずご了承願います。)





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最終更新日  Oct 18, 2006 07:12:04 AM
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