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2007年04月19日
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daslebenderanderenこちらにも書きましたが、出張への移動中に、このあいだアカデミー外国語映画賞をとったばかりのドイツ映画「Das Leben der Anderen」(邦題 善き人のためのソナタ)のDVDを観ました。amazon.deからレンタルで借りたものです。




この映画、とってもお薦めです。
以下ネタバレありますので、まだ観てないかたはまずご覧になってからどうぞ。

まず、冒頭からいきなり、数ヶ月前に見学に行った、あのStasiの拘置所の廊下の映像が出てきて「おっ!?」と思わせてくれました。取調室もまさにその通り、取り調べのディテールも、見学の際に案内の人が説明してくれたそのままです。
でもこれ、後で解説を聞いてみたら、現地でのロケが許されなかったため、そっくりに作ったセットで撮ったものなんだそうですよ。Normannenstr.のStasi庁舎のほうは現地で撮らせてもらえたらしいですが(この庁舎も今は記念館になっていて、私もだいぶ前に見学に行ったことがあります)。
それから、舞台女優であるChrista-Mariaが出演するDreymanの作品の上演のシーンですが、パッと見た瞬間「あれっ?!これはもしや・・・」と思ったんです。なんとまさしく、私も何度もその舞台に立っているHebbel Theaterで撮影したものなのだそうです。ここは実は旧西ベルリン地区にあるので、見る人が見ればすぐに「あり得ない!」とばれてしまうのではありますが、でも、劇場のサイズや、昔ながらのスタイルの内装が残っている点などから見て、当時の東ベルリンの劇場の雰囲気を出すのには最適の場所じゃないかと私も思いました。そしてPremierenfeier(初演後の打ち上げパーティ)の場所や、Christa-Mariaが公演後に「お疲れさま~」と出てくる劇場の楽屋口なんかも、「あ~~~ここ~~~!」と思わず叫びそうになってしまいました。どちらも、Volksbuehne am Rosa-Luxemburg-Platzなんです。打ち上げシーンの場所はここのGruener Salon(緑のサロン)。私、ベルリンで最初に住んだ家が、このVolksbuehneのすぐ裏だったんですよ。楽屋口なんかうちの窓の真っ正面でしたから、忘れるはずもありません。彼女が楽屋口から出て歩くそのストリートも、映像では少しぼかしを入れてありましたが、パッと見てすぐ「ああこれはLinienstr.だ!」とわかりましたよ。
また、Dreymanの住居のあるストリートは、ベルリン中を探し回ってようやく見つけた、当時の雰囲気そのままを残す唯一の通り、と監督のコメントにありましたが、その、ロケに使ったというWedekindstr./Marchlewskistr.って・・・もちろん知ってます、私(笑)。なんか見たことあるな~と思ったんだわ。

そんなこんなで極めて「ジモティ的楽しみ方」をしてしまったわけですが(笑)、そういう要素を除いても、これは素晴らしい映画だと思いました。
いかにStasiの監視が徹底的であったか、監視されている芸術家たちがそれをどうやってかいくぐっていたのかなどという描写、そして、監視をする側のWiesler大尉が変化していく様子、特権を濫用して専横的に振る舞いながらもChrista-Mariaに袖にされて落ち込む大臣Hempf・・・。最初から最後まで、ぐっと惹きつけて放さぬ力に満ちあふれた作品です。

この「Dreyman事件」のあと降格されて、郵便検閲用に封書を開封する単純作業に回されたWieslerが、東西統一後、広告を郵便受けに入れて回るアルバイトをして喰いつないでいる後ろ姿は、シュタージの職員だった人にはやっぱりまともな就職先がなかったのか、いや、元シュタージだって、統一時の混乱に乗じて甘い汁を吸っている連中だってけっこういる、ということは彼は自分の良心を貫いて自分なりに責任をとっているつもりなのか、そうじゃなくて単に人生を諦めて淡々と生きているのか・・・と、様々な思いを抱かせてくれました。また、後になって、Wieslerの創作した報告書によって自分が守られていたこと、また、西から持ち込まれた証拠品のタイプライターをそのWieslerが隠して自分を救ってくれたことを知ったDreymanが「Die Sonate vom Guten Menschen(善き人のソナタ)」と題した小説の巻頭に「HGW XX/7(←WieslerのIDコード)へ感謝を込めて捧ぐ」と記して出版し、その本とWieslerとの出会い、そしてその本を買う彼が「プレゼント用に包装しますか?」と聞かれて「Nein...nein,das ist fuer mich.(いや・・・いや、自分のためです)」と答えるその表情・・・!もちろん書店員にとっては「自分用に買う」というだけの意味でしかないこの言葉ですが、Wiesler自身の中では「この作品は、作者から自分へのプレゼントなのだ」という気持ちが込められているに違いありません(このセリフ、普通に文脈で訳せば「自分用です」となるのでしょうが、それでは後者のニュアンスが匂わせられません。かといって上に書いたように「自分のため」とすると、今度は違うニュアンスも混ざってしまう。これぞまさしく「Lost in translation」ですね。英語へならニュアンスそのまま訳せますが...「No, it's for me」ですもん)。

移動の行き帰りの列車の中で、3回も繰り返して観てしまいました。
とってもとっても、お薦めしたい作品です。

ところで。今回私が借りたDVDは、どうやら2006年11月に出た初版だったらしいのです。監督のコメントの中で、現在も現役である某政治家のシュタージへの協力の過去についてコメントしてある部分があり、これが後に問題になり、2007年2月にこの部分をカットしたヴァージョンが出され旧版は販売もレンタルもしないようにと配給元が通達をしたということなのですが・・・私が今回観たものには、このコメントがそのまま残っていましたよ。いいのかな?amazonさん・・・(笑)。
あとどうしても気になるのは、邦題が「善き人のためのソナタ」となっていること。「Die Sonate vom Guten Menschen」は、どうやってもそうは訳せないと思うんだけどな~単に言葉の語呂を良くしたかっただけなのかしらね・・・かちんこ



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最終更新日  2007年04月20日 06時10分26秒
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